Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結)   作:ursus

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※イベントとは一切関係ありません。


閑話~本日のエミヤ食堂 クリスマス編~

 

 12月25日。クリスマス。

 秘境と言われる場所に存在しているカルデアでもクリスマスの準備が行われていた。ある者は飾り付けを、またある者は食材を狩りに行っている。

 前回はスタッフが飾り付けを担当し、一夏は食材を集めに奔走していた。しかし、今年はシャルロットと言う新たなマスターを得て役割分担で作業することになった。

 

マシュ「オーナメントボールはこのあたりでいいでしょうか?」

 

ムニエル「もう少し右に寄せた方がいいかも」

 

 脚立に乗ってオーナメントボールをツリーに付ける。彼女の他に数人のスタッフが飾り付けをしている。

 

カワタ「去年もそうだが……立派なもみの木だな」

 

マシュ「先輩が食材を集める時にヘラクレスさんに頼んだそうですよ」

 

 食材確保のついでにヘラクレスにツリーの木を取ってくるように頼んでおいたのだ。一夏とヘラクレスはツリーをマシュ達に渡すとまたレイシフトする。

 

シルビア「彼らならきっと美味しい料理をたくさん作ってくれると思うからさっさと飾り付けを終わらせましょう」

 

マシュ「そうですね」

 

 もうひと踏ん張りと気合を入れてマシュとカルデアスタッフは飾り付けに勤しむ。

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 とあるレイシフト先ではシャルロットが困惑している。原因は解体するために並べられた食材にどのようなリアクションを取ればいいのか迷っているのだ。

 母国のフランスでは狩猟時期に猪や兎等が食卓に並ぶことがあるので魔猪にはあまり抵抗はなし、一夏も体に害はないと言っていたので問題はない。ワイバーンは初めての特異点で食べられることが分かったので大丈夫。

だが、他の物はどうかと問われれば反応に困る。

 

シャルロット「一夏……これら全部食べられるの?」

 

 狩ったエネミーの中にはキメラにバイコーン、果てにはドラゴンまであった。

 百歩譲ってバイコーンは馬に似ているのでなんとか想像できる。しかし、他は味も食感もそうだが、体に害があるのかも分からない。

 自分よりカルデアの生活が長い一夏に聞いてみることにした。

 

一夏「バイコーンは普通に馬肉だし、キメラは食感と味、成分が部位によって違うからお得感がある。ドラゴンは高級和牛っぽくてとても美味しい。その中でも喉の部分がオススメだ」

 

 無駄に良い笑顔で返されてしまい、シャルロットは曖昧な笑みを浮かべることしかできなかった。少なくとも、体に害はないのだけは分かった。そしてこの件について聞かなかったことにした瞬間でもあった。

 対して一夏は遠い目をするシャルロットに首を傾げながら解体作業に移った。

 

 

 

 

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 解体された食材はエミヤを筆頭とする料理上手の英霊たちが忙しなく動いている。一夏は前菜を担当し、和食が得意としている源頼光が助手として付いている。スープは勝利を意味する「victory」の語源となったとされる古代ブリタニアの女王「ブーディカ」とシャルロットが担当する。デザートはキャットが行う。

 そして食堂の管理者、調理場総監督として扱われているエミヤはメインデッシュを担当することになった。

 エミヤは焼きあがったローストチキンを皿に盛りつけながら各担当の様子を見る。

 

一夏「頼光さん。じゃがいもをすりおろしてくれない?」

 

頼光「分かりましたが……何を作るのですか?」

 

一夏「ポテトパンケーキっていうすりおろしたじゃがいもを揚げ焼きにするドイツの家庭料理。他にもマリネとか色々と作るつもり」

 

頼光「分かりました。私も全霊でお手伝いいたします」

 

シャルロット「ブーディカさん、ビーフシチューの味見をしてもらえませんか?」

 

ブーディカ「いいよ……うん、いい感じ」

 

 各担当も問題はなく調理しているのを確認して次の料理に移る。次に作るのはドラゴンの肉を使ったローストビーフだ。

 常温に戻したドラゴンの肉に普段より多め塩を振り、叩いたにんにくをすりこんでラップに包み、味を馴染ませるよう十五分から三十分ぐらい放置する。その間に付け合わせの野菜の調理も忘れない。

 それが終わると油をひいたフライパンで肉にすりこんだにんにくを弱火で炒め香りを出す。にんにくを取り出し、強火にしたら肉を投入する。四面を約二分ずつ焼いて焼き目をしっかりつける。この時に焼く面を変える時以外は動かさない方が綺麗に焼き目が付く。

 蓋をして火を止め、余熱で五分程火を通す。肉をひっくり返して再び蓋をし、三分から四分極弱火で加熱する。串を肉の中心まで刺し、数秒後に抜いた串を唇の下に当てて温かく感じれば火が通っている証拠である。

 最後に粗びき胡椒を肉全体に少し強めに振り、焼き終わった肉をすぐにラップとアルミホイルで包んで三十分程肉を休ませたら完成。

 

エミヤ「(後はフライパンに残った肉汁でソース作りだが……グレービーソースか赤ワインか……にんにく醬油も捨てがたいな)」

 

 ローストビーフに合うソースをあれやこれやと考えているとケルト勢が大量の鮭を運んでくるという珍事が発生したのは別の話である

 

 

 

 

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ダ・ヴィンチちゃん「えぇ…正直目が回るような事件が色々と遭ったと思うけどよく乗り切りました。……まぁ、硬い挨拶はこれくらいにしてメリークリスマス!」

 

「「「「「「「「「「メリークリスマス!」」」」」」」」」」

 

 ダ・ヴィンチちゃんの号令が合図となってグラスに入った飲み物(大半が酒)を飲む者もいれば、

 

一夏「むっ。このローストチキン、中にピラフが入っている」

 

アルトリア「流石はシロウですね。お肉も柔らかいしピラフにも味が染みていて美味です」

 

 小分けにしたチキンを口に運ぶ一夏とアルトリアは幸せそうに感想を述べている。

 一方のシャルロットは皿に乗っているドラゴンの肉で作られたローストビーフとにらめっこしている。

 自分以外の全員が美味しそうに食べている様子を見て意を決して口の中に運んだ。

 

シャルロット「(あっ、美味しい。これはドラゴンって言わなきゃ高級のローストビーフだ)」

 

 まるで霜降りの牛肉で作られたと言われても信じてしまう味に納得するシャルロット。

 食材もそうだが、それらを調理するエミヤの技量に感服する。

 

一夏「あっ、それは俺が狙っていた鮭!」

 

アルトリア「甘いですね。食卓とは常に戦場と同じですよ」

 

 所々でどんちゃん騒ぎを起こしながらカルデアのクリスマスをシャルロットは満喫する。

 

 

 

 

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 誰もが寝静まった夜にパーティーの後片付けを終えたシャルロットと一夏は廊下を歩いていた。後片付けと言っても空の食器を片付けるだけなので大したことはしていない。

 

一夏「カルデアのクリスマスはどうだった?」

 

シャルロット「とても楽しかったよ。みんな心から笑顔で楽しんでいた」

 

 自分達の世界では女性が自分の欲望を満たすためだけの物でとてもじゃないが楽しめる行為じゃなかった。

 カルデアのクリスマスが本来あるべきクリスマスだと、シャルロットは感じていた。

 

シャルロット「いろんな人やサーヴァントから一杯プレゼントを貰ったね

 

一夏「まぁ、中にはツッコミどころ満載のプレゼントを貰ったな」

 

 ギリシャ神話に登場する月の女神のアルテミスからは生クリームまみれのオリオンを貰ったことを思い出してしまい、げんなりする。

 プレゼントと聞いて一夏はあることを思い出す。

 

一夏「そういえば、俺らだけプレゼント交換してないな」

 

シャルロット「あっ、忘れてた」

 

 たくさんのサーヴァント達からプレゼントを貰っていたのですっかり頭から抜け落ちていた。

 誰もいないし後は寝るだけなので今ここでプレゼントを渡そうと提案した。

 

シャルロット「僕から一夏へのクリスマスプレゼント」

 

 一夏はシャルロットから可愛いらしい袋を貰った。開けていいかと問い、承諾を得たところで開けると赤いマフラーが入っていた。

 

シャルロット「昔は白が一夏のトレードカラーだけど今の一夏は赤が似合うよ」

 

一夏「そうか?ありがとう」

 

 今度は一夏の番なのだが、緊張しているのか顔がこわばっている。

 

一夏「俺からはこれしかなかった」

 

 そう言って渡されたのは小粒のアメジストが埋め込まれた翼のブローチだった。

 魔術礼装でもない普通のブローチだが、売店で売っているものではないと理解する。

 

一夏「自分で作ったんだ。細工に関してはダ・ヴィンチちゃんから学んだが……あまりセンスが良くなくてごめんな」

 

シャルロット「う、ううん。嬉しいよ。ありがとう」

 

 手製とは思えない出来もそうだが、自分のために作られた事実にシャルロットははにかんだ。

 喜んで貰えた事に一夏は安堵しつつシャルロットにある事を言う。

 

一夏「実はな、もう一つ渡すものがあったな。目を閉じてくれるか?」

 

 妙に歯切れが悪そうな感じで言う一夏に首を傾げながらも言われるがまま瞳を閉じた。

 その時だった――――――――

 

 

チュッ

 

 

 唇から伝わった感触に思わず目を開けるとそこには顔を真っ赤にしていた一夏の顔があった。

 

シャルロット「い、今のって……」

 

一夏「お、俺からは以上だ。じゃぁな!」

 

 そそくさと逃げるように廊下を走る一夏の背中を見ながら自分の唇に触れる。

 一夏がしたのは紛れもなく接吻だ。

 

シャルロット「(どうしよう……今日は眠れない)」

 

 恐らく一夏も同じだろう。

 明日からどんな顔をすればいいのかシャルロットは頭を抱えることになってしまったのであった。




メリークリスマス。
これを書いているとチキンとローストビーフが食いたい
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