Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結) 作:ursus
一夏「………暇だ」
人理継続保障機関カルデアで織斑一夏は暇を持て余している。ダ・ヴィンチに元の世界の異変についての報告書を提出し、スカサハとロード・エルメロイ二世による講義が終わったため現在は手持ち無沙汰の状況になっている。もし、暇と言う物を売却できればメソポタミアの女神が泣いて喜ぶ金額になっているだろう。
時計を見ると午後二時を回っており、昼食のラッシュは鳴りを潜めている頃合いだろう。
一夏「(丁度小腹も空いたからお茶を飲んだりして暇をつぶしておくのも悪くないか)」
今の時間帯ならまだ錬鉄の英雄が食堂を切り盛りしている頃だろう。運が良ければ新作料理の試食を貰えるかもしれない。
思い立ったが吉日と言わんばかりに一夏は早足で食堂へ向かった。
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食堂に入るとサンドイッチや軽食を食べているカルデアの職員が数名いたくらいでサーヴァントはいなかった。
尤も、魔力が潤沢のカルデアでは食事は専ら娯楽に近いので一夏は気にしていない。しかし、問題はいつも厨房にいるはずの英霊がいない事だ。
一夏は近くにいたメガネをかけた職員に話しかけた。
一夏「ムニエルさん、エミヤは?」
ムニエル「刑部姫に頼まれて料理を運んでいるけどかれこれ二時間は経っているな」
刑部姫にご飯を届けに行った。
たったその一言だけで一夏はエミヤが帰ってこない理由が分かってしまった。
刑部姫はめんどくさがりやな気質な上に引き籠りのためか部屋が汚い。その汚さは姉の千冬より酷く、一夏もクエストに誘おうとするときに刑部姫の部屋を訪れた際に一回引いたことがあった。
そして刑部姫の部屋に向かったが相手が汚れ部屋や不摂生を許さないオカン気質のエミヤだ。二時間も帰ってこないと言う事は十中八九彼女の部屋をの強制掃除をしているのだろう。
一夏は苦笑しながら厨房に立った。料理はエミヤに任せきりだったため厨房に立つのは久々だった。特異点先でも料理をしていたので腕は鈍っていないから技量は問題ない。
一夏「さてと、何を作ろうか…」
冷蔵庫を開けると肉や野菜、魚の他にも果物が入っていた。サンドイッチでもいいしおにぎりという手もある。
どうしたものかと考えていると後ろから声をかけられた。
シャルロット「一夏?何か考えていたようだけど…」
その相手とはシャルロットだった。
しかし、彼女一人だけではなくジャック・ザ・リッパーもいる。
一夏「いや、軽い物を食べようかなと思って食堂に来てみたらエミヤがいなくて、仕方なしに適当に見繕って食べようかなとしていたところ」
シャルロット「あの人ならナイチンゲールさんと一緒に誰かの部屋の片づけをしていたよ」
一夏「うわぁ…まさかのダブルか」
一夏「シャルとジャックはどうして食堂に?」
シャルロット「僕も一夏と似た理由で甘い物が食べたくて来たんだ」
ジャック「私達も甘いもの食べたいからおかあさんに付いてきた」
そうかと言ってまた思考の海に潜る一夏。シャルロットの甘味と言う選択も悪くない。
一夏「よし、あれを作ってみるか」
シャルロット&ジャック「「あれ?」」
一夏「すぐに分かるよ」
そう言って冷蔵庫から苺を取り出してへたを取り除き、幾つかはスライスする。
一夏「まずはクリーム作り」
氷水の入ったボウルに一回り小さいボウルを入れ、その中に生クリームとグラニュー糖を入れて泡だて器で混ぜる。
一夏「(
真の担い手であるフェルグス・マックロイは笑って許してくれそうだが、仮にも英雄の武器なのだから戦闘で使って欲しいとエミヤから指摘されたので今回は自分の手で
クリームに角が立った事を確かめてから手を止める。泡だて器に付いたクリームを舐めると甘さ控えめで丁度よかった。
生クリームを絞り器に入れていると味見する様子を見ていたジャックが膨れっ面になっていた。
ジャック「おとうさん、ズルい…」
一夏「味見は料理人の特権だ。もう少し待てば美味しいのが食べられるよ」
心身共に子供なジャックに笑みを零すと一夏は冷凍庫からストロベリーアイスを取り出した。その際に「俺の」と書かれた容器があったのは内緒である。
大きいサイズのガラス容器を用意すると最初にコーンフレークを敷き詰めると次に先程作った生クリームと苺ジャムを交互に入れ、その途中にスライスした苺を容器の内側に貼り付けるように入れる。
そしてストロベリーアイスを適量のせ、その上から生クリームと苺ジャムをかけ、最後に残った苺とミントを乗せた。
一夏「苺パフェの完成」
一夏が作っていたのは苺パフェだった。綺麗に盛り付けされたパフェを見てジャックは興奮し、シャルロットは感慨深い思いでいっぱいだった。
シャルロット「(パフェなんて久しぶりだな。そういえば、こっちに来てから食べてなかったな…)」
魔術の訓練に異変の解決で肉体的にも精神的にも余裕がなくて忘れてしまっていた。
一夏「こういうのもたまには良いだろう。これまで頑張ったご褒美って奴だ」
シャルロット「そうだね。では、いただきます」
ジャック「いただきます」
長いスプーンでストロベリーアイスを掬って口に運ぶと苺の風味が鼻を通り抜ける。生クリームも甘さを控えめに調整したのかアイスにも苺ジャムにも合う。
シャルロット「美味しいね、ジャック」
ジャック「うん!」
一夏「菓子の類は普段からあまり作らないからちょっとだけ心配していたが、喜んでもらえてよかったよ」
安心したのか厨房に設けられている椅子に座って一息つく。自分も何か作るかと考えていると見慣れた赤い外套の弓兵が食堂に入ってきた。
エミヤ「すまない、一夏。大丈夫だったか?」
一夏「こっちは全く問題ないよ。そっちこそ刑部姫の部屋の掃除お疲れさん」
エミヤ「私の方はナイチンゲール女史がほとんどやっていた。まぁ尤も、刑部姫を宥めるのに時間はかかったがね」
やれやれとため息を吐くエミヤの視界に苺パフェが入った。
エミヤ「このパフェは一夏が作ったのか?」
ジャック「そうだよ。とても美味しいの」
満面の笑みを浮かべるジャックと首を縦に動かして肯定するシャルロットを見て間違いないのだろう。
エミヤ「食堂の番をしてくれてありがとう。お礼に試作のシフォンケーキをやろう。生クリームも余っているようだしな」
一夏「ありがとう」
偶にはこのような午後を過ごすのも悪くないと思いながら一夏はエミヤと交代するのであった。
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