Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結)   作:ursus

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まだスランプ中です
皆様、よいお年を


閑話~本日のエミヤ食堂 年越し編~

 

 師走三一日。

 新年を迎えるという事でカルデアのスタッフもサーヴァントも大掃除している。

 時折、赤い外套の弓兵の怒鳴り声と悲鳴が聞こえるが、いつものことなのでスルーする。

 

シャルロット「一夏、キッチンやお風呂場はしなくていいの?」

 

一夏「あそこは普段からまめにやっているから除外、今回は普段使っていない部屋を中心にする」

 

 一夏とシャルロットは掃除用具を一式用意して廊下を歩きながら雑談していた。

 異世界出身である一夏とシャルロットの部屋には私物などはあまり置かれていないし暇がある時を見つけては掃除をしているので綺麗なままである。やるとすればレクリエーションルームか図書室ぐらいだろう。

 

シャルロット「それにしても、まさかアルトリア・ペンドラゴン(アーサー王)が掃除しているところを出くわすなんて思わなかった……」

 

一夏「セシリアじゃなくても驚くだろうな」

 

 彼女の以外にもオルレアンの聖女に第六天魔王、さらにはローマ帝国の第五代皇帝と言った歴史に名を刻んだ者達がエプロン姿で掃除するなんて誰も思わないだろう。

 

シャルロット「パールヴァティーやイシュタルも手慣れた様子で掃除していたね」

 

一夏「あの二人は依代のせいかもしれないな……」

 

 パールヴァティーやイシュタルは神霊であり高次元の生命のため依代が必要となる。その依代は聖杯と縁がある者が選ばれる事があるが今のところ、エミヤに縁がある者が多いようだ。

 

一夏「とりあえず、掃除をちゃっちゃと終わらせようか」

 

シャルロット「そうだね。ジャックやナーサリーがちゃんと掃除をしているか心配だし」

 

一夏「此処へ来てジャックのお母さんが板についたな」

 

 そんなやりとりをしながら次の掃除場所へ向かう二人。しかし、次に向かう場所は炬燵で寝ているタイガーのようなジャガーを相手しなければならない事に気付いていなかった。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 全ての掃除が終わり、厨房ではエミヤが厨房に立ち、夕飯の準備に取り掛かっていた。

 

エミヤ「さて、今日はこれ一択だな。昨日からつけていた昆布はOK」

 

 出汁昆布は水に浸けておきその水ごと鍋に入れて沸騰寸前になったら昆布を取り出す。弱火にし、鰹節を入れて30分から40分煮だし、こし布等でこせば出汁の完成。長葱を小口切り、蒲鉾を8mm程度に切る。小松菜は茹でて食べやすい大きさに切る。

 

エミヤ「(次に海老の天ぷら……)」

 

 海老の殻と背ワタを取って尾の剣先を少し切って水を出すと塩、片栗粉、酒少々で海老を揉んだら水で洗い、キッチンペーパーで水気を取る。

 それを終えると腹側に3分の1程度の深さの切れ込みを五か所ほど入れると腹を下にして上から筋が切れる感触がなくなるまで伸ばす。

 次に衣の準備。玉子と冷水をよく混ぜ、薄力粉を加えてだまが残る程度になるまで縦に切るように混ぜる。

 打ち粉した海老の尻尾を持って衣をつけて170℃から180℃油で揚げていく。

 

エミヤ「後は出汁と出汁の前に作っておいたかえし(・・・)を合わせて温めて味を整える」

 

 かえしとはめんつゆの素になる物の事。

 鍋にみりんを入れて沸騰させてアルコールを飛ばすと弱火にしてザラメ糖を入れて溶かす。醬油を加え、弱火で焦がさないように加熱して鍋縁の醬油が小さく泡立って表面に白い灰汁が出たら取り、火を止めて自然に冷まして完成。

 少し固めに茹でた蕎麦を冷水にさらして水気を切る。お湯で温めた蕎麦につゆをはり、海老の天ぷらに長葱、小松菜、蒲鉾、最後に柚子皮を添えると年越しそばの完成。

 

エミヤ「できたぞ、年越しそばだ」

 

 年越しそばが完成したときには腹を空かせた面々が厨房に並んでいた。

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 エミヤから年越しそばを貰った一夏はシャルロットが確保していた席に座る。

 

一夏「日本の大晦日はやっぱ年越しそばだよな」

 

シャルロット「一夏、普通の蕎麦と何が違うの?」

 

一夏「違いはないけど縁起担ぎだな。蕎麦は他の麺類よりも切れやすいから今年の厄を断ち切るとか細く長く。伸びることから健康長寿の意味で食べられる」

 

シャルロット「そうなんだ。じゃあ、年越しそばを食べて皆が健康でいられるように―――――」

 

一夏&シャルロット「「いただきます」」

 

 一夏は蕎麦をすすり、シャルロットはつゆを一口飲んだ。

 

シャルロット「ふぅ……僕、この出汁好きだな」

 

一夏「流石はエミヤだな。それに海老が二本だなんて贅沢だな」

 

 流石は厨房を取り仕切るサーヴァントと言ったところだろうか。年越し蕎麦に二人は舌鼓する。

 食べ終わって一夏とシャルロットは器を返却すると

 

シャルロット「美味しかったな……」

 

一夏「確かに美味しいよな。俺もエミヤみたいに美味しい料理を作りたいよ。なんせホテルの一流シェフとメル友だからな」

 

シャルロット「一夏ならできるよ」

 

 他愛もない会話を楽しみながら年を越すのを待っている二人。そんな中、一夏はある事を思い出した。

 

一夏「そういえば、年越しそばには色々由来があってその一つがあったのを思い出したんだ」

 

シャルロット「へぇ~どんなの?」

 

 興味を示したシャルロットが一夏に訊くと一夏は顔を赤らめて次のように述べた。

 

一夏「『末永くそばにいられますように」って…いうのを思い出してな」

 

 傍にいられるように。

 その言葉を聞いてシャルロットは硬直し、言った一夏は照れ臭そうにシャルロットを見つめた。

 

一夏「その…なんだ………来年もよろしく、シャル」

 

 顔を赤くして言う一夏にシャルロットの返答はとうに決まっている。

 

 

シャルロット「うん、一夏。来年もよろしくね」

 

 

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