Infinite GrandOrder ~異世界から帰還した魔術使い~(凍結) 作:ursus
私には一つ上の姉がいる。何をやってもな私に対して姉は天才で全てそつなくこなしていく。特殊な家庭事情のため家の人から比べられるのは仕方がない事だとしても無能だと言われて傷つかないはずがない。それでも我慢できたのは姉のおかげだった。
しかし、姉は私に向かってこう言い放った。
姉『貴方は何もしなくていい。ただ、無能なままでいなさい』
その言葉を聞いた瞬間、何かが砕ける音が聞こえた。その何かの正体は自分自身がよく分かっている。砕けたのは姉への信頼だ。
結局、姉は私を両親や親戚の人と同じように見ていたのだ。砕け散った信頼はいつしか憎悪と嫌悪に成り代わり、姉妹の間に埋めがたい溝ができた。月日が経つにつれて段々深くなっていく。
「どうしよう…助けを呼べない」
そして現在。
今のIS学園は昨日までの日常は終わりを告げ、阿鼻叫喚となっている。
自分の周囲には骸骨兵が跋扈しており、自分は見つからないように息を潜めてじっとしている。何か行動を起こさないといけないのに見つかれば死と言う未来が待っている。まさに絶対絶命とはこのことだろう。
しかし、絶体絶命と言える事態は覆された。骸骨兵が一斉にあらぬ方向を向いた瞬間、赤熱した矢が一斉に降り注ぎ、全滅させた。
???「いい加減見飽きてきたのだが…」
骸骨兵の集団を薙ぎ倒したのは赤いコートをなびかせ、仮面をつけた人。声からして男の人のようだ。手にした黒い弓をしまうと溜息を吐いた。どうやらここ以外でも戦っていたのだろう。彼は暫く周囲を見てから何もないと判断するとその場を後にした。
彼が何者で敵なのか味方なのか不明で頭の整理が追い付かない。五分ぐらい経った頃には従者であり、私の幼馴染の
本音「かんちゃん、大丈夫!?」
簪「大丈夫…」
安全な場所まで避難している際に色々と整理してみたけど、どんな特徴なのかは見ていたはずなのにその記憶がまるで消しゴムで消されたみたいに覚えていない。
けど、あの時の感覚だけは覚えている。実の姉より私のヒーローみたいでかっこよかった。
***
一夏はマシュやカルデアのスタッフに連絡しようと思ったら霊脈が不安定となって通信ができなかったためこのまま調査を続行した。
一夏「しかし、こうも派手にぶっ壊れているとシェルターなんて宛てにできないな。ファラオか英雄王でも降臨したか?」
エミヤ[一夏、冗談でも言うもんじゃない。もし、あの二人がいたのなら今頃この人工島は更地と化している]
外の様子を確認しながら進む一夏の冗談に魔力の節約のために霊体化している
シャルロット「(すごいな…一夏は)」
シャルロットは近くにいるはずの一夏の背中が何処か遠くに感じて寂しい気持ちでいっぱいだった。
パールヴァティー「マスター…大丈夫ですか?」
シャルロット「大丈夫。僕も戦えればいいんだけど…」
代表候補生になるために格闘技や銃の扱いを叩き込まれたシャルロットであったが、改めて自分がISが無ければ無力だと実感する。現役の軍人であるラウラはともかく、他の候補生達が経験とする実戦はほとんどが試合形式だ。そのうえ、魔術等の所謂オカルトと言った類の知識は皆無と言っていい。
情けない自分が悲しくもあり腹立たしくもある。
パールヴァティー「貴方は貴方のまま強くなればいいのですよ」
シャルロット「ランサー?」
パールヴァティー「一夏さんも昔はマスターと同じ気持ちを味わい、魔術の腕を磨いたのでしょう」
一夏だって一人だけ安全な場所で見ていて歯痒い思いを抱かないわけもない。必死に魔術師の腕を研鑽して今に至った。一体どれほどの道のりを歩いてきたのか。きっと自分では理解できない苦難があったのだろう。
パールヴァティー「ですが、マスターは一夏さんじゃありません。貴方にしかできないことがたくさんあります」
一夏は自分のやり方で強くなった。仮に彼と同じやり方で強くなれるとも限らないし逆に弱くなるかもしれない。
パールヴァティー「ゆっくりでもいいのです。自分の足でちゃんと歩きましょう」
シャルロット「ありがとう…」
ならば、自分も自分のやり方で頑張らなければならない。
一夏「アーチャーが怪しいと言っていた本校舎を目指すとして、サーヴァントの戦いは可能な限り避けてほしい」
パールヴァティー「どうしてですか?」
一夏「ほぼ確実と言っていいほどIS部隊がいる。そいつらと遭遇すると面倒な事になりかねない」
エミヤ[ほぅ…見つかったらどうなるのかね?]
一夏「この混乱時でシャル以外の俺等は侵入者みたいな扱いとなって捕まるか殺されるのがオチだ。余計な事で時間を取りたくない」
こんな大惨事に教員達が動かないはずがない。侵入者に近い立ち位置にいる自分達がこの異変の原因だと真っ先に疑われる。シャルロットの話が本当だとすれば、その場で殺される可能性が大である。
幸か不幸か、はぐれサーヴァントが好き勝手に暴れているおかげでこちらを脅威と認識していないので行動するなら今しかない。
一夏はそのための下準備を行う。
一夏「
投影するは
一夏「(初めてロビンの
属性や起源のせいで特定の物以外を投影するのに倍の魔力を使う。尤も、武器も他の物も投影品なのだから多少の精度は落ちている。
一夏「シャルは念のためにこれを被ってくれ」
シャルロット「それってマント?」
一夏「とある英霊が使っていた奴。贋作だけどこれを身に着けると姿を消せる」
エミヤ[ロビンの宝具か。彼女より君が身に着けるべきだと思うが…]
一夏「俺が使ってもいいけど。シャルがランサーのマスターであることはなるべく隠しておきたい。俺かシャルかどっちが狙われやすいかと言うと間違いなく後者だ」
サーヴァントへの魔力の出力を上げるためできるだけ近くにいる必要がある。身を守る術を持っている一夏はともかく、何も持っていないシャルロットが高確率で狙われる。
シャルロット「これを身に着けていればいいの?」
一夏「姿を消せるから攻撃されるリスクは減る……手当たり次第攻撃して燻りだす作戦を実行する奴がいなければの話だが」
シャルロット「最後の台詞は一体何!?」
姿を消せるからと言って必ずしも安全ではない。『平安の神秘殺し』が行った作戦が余程トラウマだったのか死んだ目で遠くを見る一夏にシャルロットの不安が膨れ上がった。仕方なしにマントを身に着けると一夏と
一夏「(どうだ?)」
エミヤ[完全に消えているわけではないがかなり集中しなければ見つかりはしない]
サーヴァントでもかなり集中しなければ見つけることができないなら、余程の事が無い限りは大丈夫だろう。
一夏「よし、行くか…」
常に最悪な状況を頭に入れておかなければならない。鬼が出るか蛇が出るか、はたまた狂戦士が出てくるか。
一夏達は原因の調査に向かった。
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本当に何がどうなっているのか分からない。中国の代表候補生の
鈴「セシリアもシャルロットもラウラも何処行っちゃったのよ…」
骸骨兵や岩でできたゴーレムはゲームや本に出てくる空想の物だと思っていた。しかし、実際に目の前にいる。今までに体験したことが無い戦闘に頭が混乱して精神が摩耗していく。
連絡があった場所に到着すると鉄と肉が混ざり合った何かが散らばっていた。もう戦闘は終わっていると判断した鈴は吐き気を我慢しながら生存者を探す。
鉄が混じった肉塊の中で比較的人の原型をとどめている物体を発見した。バイタルを看ると息はしている。
生存者を運ぼうと近づく鈴は有り得ない物を見た。
鈴「千冬…さん?」
その生存者とは行方不明の幼馴染の実姉であり、学園の教師である千冬であった。両足は有り得ない角度で折られ、利き腕に至っては引きちぎられている。この学園にいる者なら彼女の強さを疑う人がいるはずがない。
鈴「嘘……でしょ。千冬さんが…こんな…」
突きつけられる現実に鈴はその場で腰を抜かしてしまった。敵がいなかっただけでも幸運だ。もし、此処にまだ敵がいたのなら既に彼女の命は散っていただろう。
既存の兵器を物ともしないISを鉄屑にし、さらには