湖の姉   作:やなぎのまい

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書きなぐり。

書きたくて書きました。

宜しければお付き合い下さい。ではでは


物語のはじまり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ん、っ」

 

目を覚ますと、辺り一面緑一色だった。

心落ち着く木々の香り、葉と葉の間から差し込む木漏れ日、静かに響き渡る小鳥たちのさえずり、座り込んだ木の幹の下に敷かれているのは少し水気を含んだ落ち葉だろうか。

色んなことが頭の中で浮かんでは消えていく。なにか考えようとしても全てが霧で覆われているように、思考がまるでまとまらない。まるでふわふわと浮いているようだ。

それに、周りの環境が快適すぎる。あまりの心地の良さに、もう一度まぶたが下がりそうになったその時。

 

カサッ

 

足音がすると共に、と仕掛けていた目を開く。

そこには美しい少女がいた。精巧な人形のような少女は、仄かに滲み出すオーラを放ちながら、こちらを観察するかのように見つめていた。

 

「あなたは、誰?」

「あ、えっと……………」

 

熱の入らない脳みそを総動員して言葉を放とうとする。質問を頭脳に落とし込んで、それの答えを出す。

そもそも、どうして私はこんなところに?あれ、これって記憶喪失?

 

名前、なまえって────────は?

 

 

 

 

()は誰だ?

 

 

 

 

「いや、その……………」

「じゃあ、質問を変えるわね。どうやってここまで来たの?」

 

自我を確立させるための鍵と言っても過言ではないモノ、名を思い出せないことに戸惑っている、いや状況が把握できていないことに焦りを感じている間に次の質問をされた。

 

どうやってここまで来たか、か。

 

「気づいたらここに……………としか」

「おかしいわね。この森は私の掛けた幻術と何重にも重ねた積層結界で誰も入ってこれないはずなのだけれども……………認識阻害も掛けたわよね……………それに今のフランスには、ここを突破できる術者も、神秘も圧倒的に足りないはず。なのになんで……………いやもしかしたら」

 

私の答えについて、指をあごに添えて考え事にふける少女。

可愛い。

それに聞き慣れない単語も幾つか混じっていた気がする。

 

「あの、魔術って……………何、ですか?それにここは?」

 

取り敢えず、状況把握が先決だ。であるのなら、目の前の少女に聞いてみるのが一番いいだろう。

 

「こんな様子じゃ外界からの回し者、ってわけでも理想郷(アヴァロン)の宝を奪いに来た訳でもなさそうね。……………いいわ、教えてあげる!」

 

そう答えると大きくない胸を張って、腰に手を当てて高らかに答えた。

 

「私は湖の妖精、ニミュエ!妖精郷(アヴァロン)の橋渡し訳にしてこの森の主!夜に蔓延る悪しきドラゴンをワンパンで沈めたニミュエとは私のことよ!」

「えっと……………はい!」

 

何だかわからず取り敢えず拍手をしておく。パチパチ。

 

そういえば、そう呟きながら再度ニミュエはこちらを見てくる。

 

「あの、なにか?」

 

ニミュエは指をこちらに指しながら

 

「まずは服を着なさい!」

「あ」

 

自分を見下ろせば、そこには一糸纏わぬ裸体が。

胸には小さな膨らみがあった。

 

「女の子なんだから、尚更よね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、じゃあ名前から考えてあげなきゃね」

「あ、ありがとうございます」

 

場所を変えて、湖のほとりに作られた小さな広場。パチパチと音を放つ焚き火を挟んで私とニミュエは座っていた。

ちなみに、今は仮というわけで肌触りのいい大きな布を体に巻いていた。

 

「女の子だしなー」

 

うんうん、と唸るニミュエ

 

そうか、自分は女性なのか。心のどこかで何かが引っかかる。依然、頭のモヤが完全に晴れた気がしないし。

さっき、湖の反射を鏡がわりにして自分の姿を確認した。整った顔立ち。流れるような美しい長髪、淡い光沢を放つ薄紫の髪。柔らかそうな華奢な体つき。胸は────まぁ、壁ほどでもないと思うんだが……………。

 

「決まりました!」

「早くないですか!?」

 

もう決まったの?私達出会ってからまだ一時間(体感で)経ってないよ!

あれ、にしてもなんだろうか。この胸の高鳴りというかなんというか。うまく言葉に言い表せない気持ちが胸のそこから湧いて出てくる。期待、なのだろか。

 

「あなたは今日から、ベルクーリよ!」

「べる、くーり……………」

 

ストンと何かが腑に落ちた感じがした。そうか、名前があるとないとではこんなにも違うものなのか。なんだか急に活力が湧いてきた気すらする。

 

「私はベルクーリ!」

「そう、あなたはベルクーリ!うんうん、我ながら素晴らしいセンスだわ!」

 

鼻高々にない胸を張るニミュエ。あっそうだ。思い出したかのようにニミュエは

 

「これから、しばらく私があなたを教育してあげるわ!あなた、何も知らなさそうなんだもの」

 

と言った。

 

そう言えばそうだ。記憶があるとすればニミュエと出会った森の中からしかない。今更ながら本当に記憶喪失らしい。ニミュエの話では森の中に一般人が入ってくることは不可能らしいからね。ぶっちゃけた話、とても助かる。このまま放り出されたらと考えるとゾッとする。

 

「よーしやるわよー!」

「お、おー!」

 

ノリノリのニミュエの掛け声に合わせて私ことベルクーリも声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呼吸を落ち着かせ、手を前に突き出す。

 

「魔力回路、問題なし。術式確認、完了。典開(レーゼン)

 

神経系やリンパ系と似て非なるものである魔術回路、それを励起させそこに生成した魔力を流して魔術を発動させる。周囲に三つの魔法陣が現れ、幾何学模様を描きながら空中で一つの術式を展開する。

頭上に展開した魔法陣をゆっくり下に下げて、目の前に倒れている傷ついたリスにその魔法陣を向ける。血を流していた傷口が緑色の光に包まれると、出血が止まり、開いていた傷口がゆっくりと閉じていった。

 

「出来た!」

「やっぱりベルはよく出来る子ね。まぁ、このくらいの治癒魔術、出来なきゃ外界に出ても死んじゃうんだけど」

「えへへ」

 

まず初めにニミュエから教わったことは魔術とはなんたるか、という話だった。

魔力を用いて事象を起こす、いや書き換える?とはニミュエ談だが、ざっくりしすぎてよく分からなかった。

魔術を行使する上で絶対に必要なものである魔術回路を開いたときはとても痛かった。しかし、その後ニミュエが驚愕していたことはよく覚えている。なんでもマーリン(アホ)と同じくらいの魔術回路を備えているとかなんとか。マーリンが誰だか知らんがあの反応を見る限り私には何か飛び抜けて秀でているものがあるのだろう。嬉しい限りだ。しかしなんでニミュエはあんなにも顔を顰めていたのだろうか?マーリンってもしかして人でなし?

 

「次は攻撃魔法よ!簡単だけど当たると痛いわよ!」

「はい!」

 

同じように、手を前に突き出し、詠唱を開始する。

 

展開(レーゼン)、」

 

ぶわっ、と魔力の嵐が吹き荒れる。森林の木々の枝や葉が擦れ合い、ざわざわと音を立てる。湖には、大分大きめな波紋が水辺から沖へと広がって行った。

すると、今度は荒ぶっていた魔力の嵐が方向性を持ち、3箇所に集まっていき、大砲を彷彿させるような巨大な積層魔法陣が3つ現れた。ガコンガコンと、重なった魔法陣が廻ったり、前後に動いたりと細かく動き出す。そして、その積層魔法陣(大砲)の中に魔力(弾丸)が充填されていく。

 

「ふぁいあ!」

 

ドゴォォオオオオン!!!

 

閃光が瞬く、刹那轟音とともに衝撃波がベルクーリを中心に駆け抜ける。木々はザワザワと大きく揺れ、放たれた魔力砲(ビーム)を受けた湖はぱっくりと割れ、バチバチと弾ける魔力の跡に阻まれ、底が丸見えとなっていた。

 

「うわぁ……………」

 

自分でも引くまである。そう、何を隠そうベルクーリは、回復魔術はからっきしなのに攻撃魔術に限っては力加減もできず、大出力ですべてを薙ぎ払ってしまうのだ。

 

「あ」

 

そう言えば傍にニミュエがいたな、そう思い出し後ろに振り返ると、そこには誰もいなかった。

 

「あれ?」

 

どこいったのだろうか?名前でも読んでみるかと叫ぼうとしたところ

 

「何すんのよもー!!」

「あニミュエ」

 

茂みから現れたニミュエは、髪の毛がボサボサになり、所々に枝が突き刺さっていた。

 

「あニミュエ、じゃないわよ!力加減を覚えなさいって何度も言ったわよね!?ち・か・ら・か・げ・ん!!!」

「そうだったっけなータハハハ」

 

またやってしまった。プンスコと怒るニミュエをどうするか、そんなことを思いながら、自分が力加減できないことも合わせて、ため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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