やはり俺が提督なのは間違っている。   作:無名戦士

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EVEオンラインにハマってしまい、投稿が遅れてしまいました。
最後は睡魔に負けてしまい、適当に書いてしまい申し訳ないです。


やはり由比ヶ浜結衣はすぐキモいと言う(後編)

今日の授業が終わり、奉仕部の部室へ向かう。

 

部室へ続く廊下は静まり返り、ひんやりとした空気が流れる。

 

奉仕部の立地の影響なのか他に活動している部活があるのだが、どうやら喧噪は届かないようだ。

 

「うっす」

 

部室に入ると先日来たように雪ノ下は本を読んでいた。

 

雪ノ下はこちらに気が付くと、不思議な顔を作る。

 

「あなた、もう来ないかと思っていたわ」

 

「うっせ、働いたら負けと言う理論と同じで部活に来なければ負けだと思ったんだよ」

 

「ならあなた、マゾヒスト?」

 

「いやちげぇよ…」

 

「それともストーカー?」

 

「そもそも何故俺がお前に好意を抱いている前提で話しているんだ?」

 

流石に会ったばかりのやつを好きになるほどでは無いぞ俺は。

 

「違うの?」

 

「自意識過剰にも程があるだろ、流石に引くぞ」

 

どこからそういう自信が出てくるんだか。

 

「てっきり私のこと好きかと思ったわ」

 

雪ノ下は真面目な顔で平然に言う。

 

まぁ、雪ノ下の思っていることはわからんでもない。

 

なんせ彼女はそれなりの美少女だ、小学校の頃からかなりのモテていたはずだ。

 

「お前さ、友達いんの?」

 

俺はふと疑問に思ったことを聞く。

 

「そう、まず友達という定義はどこからなのか教えてくれないかしら?」

 

それ友達いないやつのセリフだは、ソースは俺。

 

「もういいわ、お前に友達いないのは分かった。だいたい一人でいることしかいないイメージしかないから別に気にしないがな」

 

「小学生の頃、上履きを60回程隠された事があるけれど、そのうち50回は同級生の女子に隠されたわ」

 

雪ノ下はうんざりした顔におれは若干同情する。

 

なんせ、俺にも似たような事があった。

 

「残り10回はあえて聞かないようにしておく、それに隠した女子とやらの器量が知れる」

 

そいつら自分の負けを心の奥底で感じて、それを認めたくないが為にそういった行動を取ったのだろう。

 

鎮守府の子達はそんなことしないはずだ……、しないよね?

 

「慣れたから仕方がないでしょう。私、可愛いから」

 

自傷気味に少し笑う。

 

「人間は完璧ではないから。醜く、すぐ嫉妬で蹴り落とそうとする。優秀な人間ほど生きずらいのよ、だから変えるのよ、人ごとこの世界を」

 

「人を変えるのは難しいことだぞ?」

 

「あら、やってみないと分からないじゃない」

 

雪ノ下は絶対やり遂げてみせるという目をしていた。

 

「勝手にしろ、俺には関係無いことだからな」

 

人を変えるのは簡単ではない、雪ノ下はやってみないと分からないと言っていたが彼女には到底できないことだろう。

 

「あら、あなたなら何か言いそうだけれど」

 

俺が何か変なこと言ったら面倒なことになるからな、こういうときは何も考えない方が良い。

 

そんななか来訪者による弱々しいノックが教室内に響き渡る。

 

「どうぞ」

 

雪ノ下は栞を挟んであった本を鞄の中にしまう。

 

「し、失礼しまーす」

 

少し緊張しているのか、来訪者は声を低くする。

 

入ってきたのは、俺の中で二度と関わりたくないランキングダントツ1位に輝いた由比ヶ浜結衣だった。

 

由比ヶ浜は何かを探るように教室を見渡し、俺の姿を見つける。

 

「な、なんでヒッキーがここにいんのよ!」

 

入ってきて早々、大きな声を出されたので俺と雪ノ下は耳を押さえる。

 

「俺がここの部員だから仕方がないだろ」

 

こいつとは関わりたくないのだが、一応客なので椅子を用意する。

 

「あ、ありがとうヒッキー…」

 

こいつは親しくもない相手にあだ名で呼ぶ癖を治した方が良いと思う。

 

「由比ヶ浜結衣さんね」

 

「あ、あたしのこと知ってるんだ」

 

由比ヶ浜はは雪ノ下に名前を言われて顔を明るくする。

 

どうやら由比ヶ浜は雪ノ下に名前を覚えられていることがステータスらしい。

 

「よく知ってるな、もしかして全校生徒全員の名前覚えてるのか?」

 

「えぇ、流石にあなたのことは知らなかったわ」

 

そりゃそうだ、昨日あったとき俺のこと知らなかったし。

 

「そう言えばヒッキーなんでお昼休みのとき無視したの?だからクラスに友達がいないんだよ?あとなんかキモいし」

 

この馬鹿にした目線覚えがあるなぁ、たまに俺を汚物を見る目で見てたし。

 

サッカー部のリア充所々つるんでいるやつの一人だと思っていたがこいつか。

 

「このビッチめ…」

 

リア充は俺の敵だ、容赦はしない。

 

「はぁ!?ビッチって何よ、私はまだ処──って何言わせるんだし!」

 

由比ヶ浜は顔を真っ赤にし、口にだしかけた言葉を取り消そうと手をバサバサと降る。

 

「別に処女で恥ずかしがるような事だろ、遊びで散らすような馬鹿共の影響に乗るな」

 

俺は極普通のことを口にする。

 

むしろ普通じゃなかったら、最近のリア充はビッチだらけということになる。

 

「それで由比ヶ浜さん、あなたの依頼は何かしら?」

 

「え、えっと……その…」

 

雪ノ下は依頼の事を聞くと、由比ヶ浜がこちらチラチラ見てくる。

 

どうやら俺がいては話せないような内容らしい。

 

「少しマッカン買ってくるわ。雪ノ下は?」

 

「私は野菜生活100いちごヨーグルトミックスをお願いできるかしら」

 

俺はさりげなく席を立ち、自販機に向かう。

 

状況把握してさりげなく行動する俺マジパネェっすわ。

 

 

 

 

 

ウォンウォンとUFOが出しそうな音を出す自販機で金を投入し、マッカンのボタンを押す。

 

雪ノ下の分も買い、誠に遺憾ではあるが由比ヶ浜の分も買う。一瞬暖かいブラックコーヒーを買おうとしたが、流石に可哀想だと思いやめておいた。

 

部室に戻ると話は終わっていたようで、二人は俺を待っていた。

 

「遅い」

 

帰って来て早々、雪ノ下からのありがたいお言葉を頂く。

 

「ほれ、お前の分だ」

 

由比ヶ浜に買ってきた飲み物を渡す。

 

「えっと、お金は…」

 

由比ヶ浜は慌てて財布を取り出し、小銭を探し出す。

 

「別にいらねーよ。で、依頼はなんだ?」

 

俺がそう言うと何故か由比ヶ浜がえへへとはにかむが、無視。

 

「家庭科室に行くわ」

 

好きな人とペアを組む部屋の事か?そもそも好きな人とペア組むなんてなんの拷問だよ、小中学生のときいつも俺だけ余ったような記憶しかないわ。

 

「結局そこで何すんだよ、大体何をするか予想できるが」

 

「由比ヶ浜さんは手作りクッキーを渡したい人がいるそうよ、けれど自信が無いらしいわ。それを手伝うのが由比ヶ浜の依頼よ」

 

手作りクッキーねぇ、正直言って由比ヶ浜が作っても大丈夫なのかね?こいつは比叡と同じ匂いがするぞ。

 

家庭科室に着くと早々、冷蔵庫を開けてクッキーの材料を持ってくる。他にもお玉や他のわけわからん調理器具をカチャカチャと手慣れた手つきで用意する。

 

準備を終え、雪ノ下と由比ヶ浜はエプロンを着るが由比ヶ浜は慣れていないのか手間取る。

 

ようやく由比ヶ浜がエプロンを着る。

 

「あ、あのさヒッキー…。家庭的な女の子ってどうかな?」

 

「あー、別に良いんじゃね?」

 

俺はそう言いながらエプロン姿の翔鶴を思い浮かべる。ヤバい、物凄く可愛い…。

 

「そ、そっか……。よーしっ、やるぞー!」

 

由比ヶ浜は何かを決心し、袖を巻き卵を割ってかき混ぜる。

 

だがその卵は卵の殻がマジっており、当然殻は溶けない。由比ヶ浜はそれを気にしないでバニラエッセンスや牛乳、小麦粉などの材料をボウルに投入し、かき混ぜる。

 

かき混ぜ終わるとボウルの中身は酷い有り様だった。小麦粉はダマになっていて、バターはいまだに個体の形を維持していた。

 

しかも砂糖と思っていた物は実は塩で、バニラエッセンスは入れすぎたのか溶けきってなく、牛乳はたぷたぷしている。

 

「さて、と……」

 

由比ヶ浜は何を思ったのかインスタントコーヒーを取り出し、ドバドバとボウルの中へ入れる。

 

当然インスタントコーヒーの山ができる訳で、由比ヶ浜は更に砂糖ではなく塩を追加するという蛮行にでる。

 

どうやら由比ヶ浜は言うまでもなく、どうしようもない不器用で大雑把でさらに無駄に独創的なので、到底料理に向かない人間のようだ。

 

化学の実験でこいつは必ず監視していないといけない、下手したら死人がでるレベルだ。

 

そして到底クッキーとは呼べない物が出来上がる。

 

「な、なんで?」

 

「むしろどうやったら上手く出来ると思ったんだよ。出来たとしてもそれこそ天文学的確率だ」

 

由比ヶ浜はショックを受けているが、驚くのはそこではない。

 

「どうやったら、信じられないほどのミスを犯すのかしら?」

 

雪ノ下は頭を押さえ悩む。

 

「見た目はあれだけど……、食べて見れば美味しい……のかなぁ?」

 

見た目で判断してはいけないというが流石にこれは見た目で分かるだろう。

 

なんせ見ただけで俺の本能がこれを食べるなと警告しているのだ。

 

「早速だけれども比企谷君、試食してちょうだい」

 

「雪ノ下、これは毒味と言ってだな。しかもこいつはジョイフル本田で売っている木炭と変わらないぞ」

 

磯風が作る料理を越えなければ少なくとも俺は食中毒になるだけだ、だが雪ノ下が食べると下手するとショック死ものだ。

 

「木炭とは失礼な!……木炭?やっぱり木炭なのかなぁ?」

 

由比ヶ浜は徐々にトーンを落とす。

 

クッキーを口に入れるが、味は酷いもので不幸中の幸いなのか磯風が作る料理よりいくらかマシだったが、下手したら気絶するレベルだ。

 

まだ飲んでいなかったマッカンを開け、一気に胃へ流し込む。

 

その後雪ノ下と結衣もなんとか物体Xを食べる。

 

「苦いよぉ。不味いよぉ」

 

「なるべく舌に触れないで飲み込んだ方が良いわ、劇薬みたいなものだから」

 

さりげなく雪ノ下は酷い事を言うが、由比ヶ浜は気づかなかった。

 

その後雪ノ下が紅茶を入れ。一息つき、雪ノ下が空気を引き締めるように口を開く。

 

「さて、どうすれば良くなるか考えましょう」

 

「由比ヶ浜がもう二度と料理しないこと」

 

「それで解決されちゃうの!?」

 

「比企谷君、それは最後の手段よ」

 

むしろそれ以外に何か解決する方法はあるのだろうか?

 

「解決方法が分かったわ。努力あるのみよ」

 

努力あるのみねぇ。ま、単純明快ではあるが当の本人はどう思っているのやら。

 

俺はそう思いながら由比ヶ浜を見る。

 

「やっぱりあたしって料理向いてないよね。ほら、才能ってゆーの?そんなのあたしには無いし」

 

由比ヶ浜は落ち込みながら言う。

 

「由比ヶ浜さん、そういう考えをやめなさい。努力もしないで才能がある人間を羨む権利は無いわ」

 

由比ヶ浜は言葉を詰まらせる。彼女の経験では雪ノ下のように正論を突きつけられた事が無いだろう。

 

だが由比ヶ浜は誤魔化すように笑う。

 

み、皆は最近こんなことやらないって言うし。きっとあたしには合わないんだよ、きっと…」

 

由比ヶ浜の言葉を聞くと雪ノ下は急に立ち上がる。立ち上がるときに生まれた音は酷く凍っているようだった。

 

「由比ヶ浜さんその他人に合わせること止めてくれないかしら?」

 

雪ノ下の言葉にははっきりとした嫌悪が混じっていて、由比ヶ浜は気圧されていた。

 

由比ヶ浜は黙り混み、俯く。

 

「か……、かっこいい!」

 

帰ると言うと思ったが急に変な事を言う由比ヶ浜。

 

雪ノ下も驚いており、少し固まる。

 

「「は?」」

 

このとき俺はこいつひょっとしたらドMじゃねとと思った。

 

「建前とか全然言わないんだ…。なんだか、その……かっこいい!」

 

「何を言っているのかしらこの子。これでも私は結構キツイことを言ったはずだけど」

 

雪ノ下の顔は明らかに困惑しており、由比ヶ浜に対して若干引いていた。

 

俺も同感で由比ヶ浜から物理的に離れる。

 

「確かに酷かったし、ブッチャケ軽く引いてたけど。でも本音って感じがするの。だからごめん。次からはちゃんとする」

 

雪ノ下は初めてのことであっただろう、いつもなら顔を真っ赤にし逆ギレするのが落ちだ。

 

雪ノ下は由比ヶ浜に少し微笑む。

 

「お手本を作るから、それに合わせて作って頂戴」

 

「う、うん!」

 

雪ノ下はそう言うと作業に取り、由比ヶ浜もそれに続く。

 

由比ヶ浜は雪ノ下になんとか従おうとするも、何かしらのミスを起こす。

 

何度か隠し味を入れようとするが、勿論雪ノ下に止められた。

 

なんとかオーブンに入れたときには雪ノ下は肩で息をしていた。

 

「なにか違う…」

 

オーブンから取り出すと、なんとかクッキーと呼べる代物が出来上がっていた。

 

食べて見ると先程の物体Xより確実に成長していた。

 

「えっと、ありがとう!家でもう一回作ってみる!」

 

そう言うと由比ヶ浜は駆け足で廊下に出ていった。

 

「これで良かったのかしら」

 

雪ノ下は不安そうに呟く。

 

「本人が納得しているなら別に良いだろ」

 

俺はそう言うと、調理器具を片付け始めた。

 

 




後日

翔鶴「あ、あの提督。この焦げた物は一体……」

比企谷「部活のお礼だと。どう処分するか困るな」

翔鶴「提督、虐められているのならこの私に話してください。私が力を貸しますよ?」

比企谷「いや、別に良い虐められてはいない」

比企谷「………捨てるか」




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