チート元ぼっちのソードアートオンライン リメイク 作:blackcat☆
あれから一ヶ月、俺達プレイヤーは未だに一層を攻略することが出来ていなかった。しかし、確実に攻略は進んでいる。
「……ふぅ」
何度目かのモンスターがポリゴンの欠片になるのを見届けると、一緒にレベリングをしている2人に声をかける。
「アスナ、キリト。そろそろ切り上げるぞ」
「分かった!ハァッ!!」
キリトはモンスターにソードスキル、『スラント』を叩き込み倒す。ちょうどよかったようだ。
「私も今終わったよ!」
キリトの次にアスナが終わったようだ。
「お前らいくつになった?」
「俺は19だな」
「私も」
「よし、目標達成といった所か。俺もさっきなってたから明日の攻略会議にむけて休むぞ」
「明日か」
「あぁ。さっきアルゴから連絡来ててな、そのために今日は切り上げだ」
「分かったわ。それにしてもオクト君の指示は本当に的確でやりやすかったよ。ありがとう」
「ん、それならよかった。キリトは?」
「俺も大丈夫だ。けどオクトは大丈夫なのか?クライン達の依頼もあるんだし…」
そう、あれからクラインから連絡が来て他のメンバーにも教えてほしい依頼された。まぁ楽がしたいし、それに攻略に参加するプレイヤーが増えるのはとても嬉しいことだ。だからレクチャーや効率のいいレベリング、指示などを教えてる所だ。
「今日はクライン達にも切り上げるよう言ってるから大丈夫だ。ボス討伐に必要なレベルにはなってるから明日の会議には出れるらしい」
「よし、なら大丈夫だな。正直オクトの頭の中がどうなってるのか知りたいぞ」
「私もだよ。本当に気になるわ」
「ただ普通に効率のいい攻略が思いつくだけなんたがな。それと先読みもな」
「「それがおかしい」」
なぜだ?解せぬ。某腹黒眼鏡よりは劣るぞ?
***
翌日。
ここ、トールバーナには40人以上のプレイヤーが集まっていた。そこに俺達も入る。
「スゲェな…こんなにもいるなんて」
「……マジか。これフルレイド以上の大きさだぞ」
「凄い……みんな、頑張ってるんだね」
俺達はこの場にいるプレイヤー達に驚きながら適当な所に座る。すると誰かが手を鳴らす。
「皆!今日は集まってくれてありがとう!。俺はディアベル。気持ち的にナイトをやっています!」
…なんか葉山っぽい奴がいるんだが。えぇ……
「そして、俺はβテスターでもあります」
その一言で周りの喧騒が一気に無くなる。
「俺達は、このゲームを終わらせないといけない!現実世界に帰らなきゃいけない!!だから、頼む!俺達に力を貸してくれ!!」
……感情には感情を。俺は体育祭の時を思いだしていた。そうか、コイツはそれを分かっている上でやっているのか。スゲェな。
「俺は勿論貸すぞ」
「あぁ、折角強くなってんだ。それに帰らなきゃいけないのは俺もだしな」
「そうだな!ディアベル!俺は力を貸すぞ!」
「ばっか!俺達だろ!」
周りのプレイヤーは決意した顔でディアベルに話している。スゲェな。コイツには凄いカリスマがある。
「オクト君、キリト君。あの人凄いね…」
「あぁ、普通なら罵倒も来るはずだがそれを知ってて自分から言ったんだろう」
「それにプレイヤー達の士気が上がっている。天性のカリスマだな」
俺達はそんなことをいいながら会議を聞いていく。
「知ってると思うがこのガイドブックにも書いてある通り、このボスは体力がレッドになったら武器を変える。けど今回俺達が今やっているのは正規版だ。つまり、βの時とは違う武器かもしれない」
周りがそれを聞いてどよめくが、それほどうるさいと言うわけではない。
「まぁだよな」
「あぁ、むしろβの時と同じだったら少しがっかりだな」
「もう、2人とも」
アスナが咎められる声を出す。ちょっと不謹慎だったか。おっと、こんな時に連絡が来たな……マジか。
「ちょっと用事出来た。しばらくここにいてくれ」
そう言って俺は2人から離れディアベルの近くに行く。ディアベルはそれを確認すると声を一段階大きくする。
「実はここにもう一人心強いβテスターがいる。その人はあらゆる戦況で正確な指示、信頼出来る強さを持っている。それがこの人、オクトさんだ!」
「紹介されたオクトだ。βテスターであるが指示をする。よろしく頼む」
周りはいきなりの登場で唖然となっている。するとモヤッとボールみたいな頭をしたプレイヤーがこっちに気付く。
「あ、あんさんはあん時助けてくれはった人じゃないか!」
「ん?あぁ、アンタか。てか凄いなここまで来たのか」
「わいはキバオウってもんや。あん時は助かった!おおきに!!」
「そんな感謝されてもな……」
実際俺は体が動いただけだからな……
「皆!この人はすんごい強いんや!!さらにはこの人の指示はタメになる!信用しようや!!」
そこからキバオウの言ったことが響いたのか周りから賛成が出てくる。てかクラインこっち見んな。恥ずかしいから。
「さて、それじゃ6人パーティーになってくれ!オクトさんは確かパーティーに入ってましたよね?あなたが入っているパーティーは多分この場合にいるパーティーよりも強いと思いますので、前線に出てほしいです」
「ちょっと待ってろ」
そう言って俺はアスナとキリトがいる所に戻る。
「さっき前線でやってほしいって言われた。どうする」
「ひとまず俺はいつディアベルって人と知り合ったのか知りたいんだけど」
「私も!」
「いや、まぁすまん。色んなパーティー助けてたらこうなってた」
「「あぁ、なるほど」」
「なんだその納得した顔は」
てかなんで納得するんですかね?
「それで、前線で戦うかどうかの話でしょ?私はオクト君が良いなら私はやるわ」
「俺もだ。なんせ『軍神』がいるからな!」
「おいやめろそれは恥ずかしいからやめてくださいお願いします」
「キリト君、『軍神』って?」
「オクトがβ時代に付けられてた二つ名だ。よく言われてたじゃないか」
「だから恥ずかしいって言ってるだろ!?」
やめてくれ…マジで誰が付けたんだよ…!!恥ずかしい…
「凄いねオクト君!」
「……お、おう。それじゃ前線に出るって言うわ」
「おう」
なんとか引き上げてくれたか……いや、でもまた後で来るのか?え、それ嫌なんだけど。
「ディアベル、前線に出れるがどこに入ればいい?」
「オクトさんには辛いと思うけど全体の指揮とオクトさんのパーティーに指示をしてほしいんだ」
「マジか……まぁ仕方ない。やってやるか」
「ありがとう。さすがは『軍神』だ」
「お前もかディアベル!?」
それからあれよあれよと話し合いが終わり、翌日。俺達はボス部屋の前に来ていた。