ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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今回は二話分を一話にしたと思って下さい!かなり長いです…


どうぞ!


力の片鱗

グレモリーと俺のとある出来事から数日、俺は勉強会から悪魔稼業やチラシ配りまで、今まで非日常だったものが日常になりつつあった。何かあるのが当たり前、常にしっちゃかめっちゃかが付きまといやがる。おちおち寝てもいられねえ!

 

 

そうそう、ちなみに例の鎧武者、スーザンの記憶を一部改竄した。まぁあんな裏事情知るだけ害だから、良かったと思う…グレモリーがヤケに張り切ってたのはこの際放っておく

 

 

そして今日も今日とて部活の時間

 

 

 

「アーシア、チラシ配りに行くぞ~」

 

 

「はい!すぐ行きます!」

 

 

「二人ともちょっと待って頂戴」

 

 

 

突然呼び止められる俺達、どうにも俺の勘が何かを嗅ぎ付けやがる…悪い方だろうなぁ

 

 

 

「チラシ配りは今週まででいいわ」

 

 

「つまりあの擬似配達業から解放か?」

 

 

「本来チラシ配りは使い魔の仕事なの。だから二人には、立派な使い魔を捕まえてもらわなきゃね」

 

 

 

何でも使い魔は悪魔の全面サポートらしい。グレモリーは女に化ける蝙蝠、朱乃さん(つい先日そう呼べと強制された)は緑の子鬼、塔城は彼女に似た白猫、木場は意外にも小鳥。まあそんな個性溢れる魔獣をとっ捕まえたら卒業らしい

 

 

 

「で、具体的には何を?」

 

 

「それは」

 

 

 

と、朱乃さんが説明しようとした瞬間、部室のドアを叩く来訪者が現れた。数は十を超え、殆どが女、先頭の眼鏡っ子、その側に追従する長髪の眼鏡っ子はただもんじゃないようだ。けど長髪の隣にいる男は…どうも少し格下だ。何かあるのに間違いないが

 

 

 

「失礼します」

 

 

「あらソーナ、皆お揃いでどうしたの?」

 

 

「…誰?」

 

 

「この方の"表"の名前は支取蒼那。この学園の生徒会長ですわ。隣の女性は真羅椿姫、生徒会の副会長を勤めておりますの」

 

 

「初めまして、近衛剛君。生徒会長の支取蒼那と申します」

 

 

 

朱乃さんの紹介の後、丁寧に挨拶してくれる支取さん。あれ、この人もしや漸く会えた常識人か!?

 

 

 

「そして真の名前はソーナ・シトリー。上級悪魔貴族、私のグレモリー家と同じ元72柱であるシトリー家の次期頭首よ」

 

 

「あぁやっぱり?ここに来た時点で薄々分かったけどよ?」

 

 

 

この学校どうなってやがんだマジで…理事長悪魔、生徒会長及び生徒会全員悪魔、学校のアイドル組全員悪魔とかイカレてるわ!既に上層部が黒に染まってやがる!

 

 

 

「それで?話が逸れたけれどもご用件は何かしら?」

 

 

「お互い駒が増えたようなので、顔合わせをと思いまして」

 

 

「生徒会長さん?それって俺も含んでませんよね?」

 

 

「タカシ?何故同い年のソーナに敬語を使って、私は無いのかしら?」

 

 

「前にも言った通り『敬意』を払う価値があるかの話で、この会長さんにはそれがあると思ったまでだ」

 

 

 

この女話が進まねえな!さっさと進めろよな!

 

 

 

「くっ、納得が行かないけど、取り敢えず紹介するわ。『僧侶』のアーシア・アルジェントよ…そしてさっきから喋っているのが…」

 

 

「人間にして『仮初めの赤龍帝』、近衛剛です。お見知り置きを」

 

 

「っ!そう、あなたが…よろしくね。近衛君、アルジェントさん。こちらは私の新しい眷属、『兵士』の匙元士郎です」

 

 

「初めまして、お前が噂の近衛剛か。見た目程強そうには見えないがな」

 

 

 

何だか向こうさんの野郎はかなり敵意見せてくるなぁ…確かに初日の黒歴史は今でも良い話を持ち込まねえしな。しゃあないか

 

 

 

「あぁそれはどうも。出来ればそういった競い合いは悪魔同士で頼む」

 

 

「匙!ごめんなさいね、近衛君。気を悪くしないで貰えるかしら?」

 

 

「いえいえ、あなたのその誠実さを受け取れただけで満足ですよ。…最近の周りが非常識過ぎたもんで」

 

 

「何故こちらを見るのかしら?」

 

 

 

それはお前の豊満な胸によ~く聞け!と言いたいが、余りややこしくしたくないので黙っておく

 

 

 

「ふん、人間のくせに生意気過ぎるぞお前」

 

 

「ついこの間まで人間だったてめぇが言えた口か?」

 

 

「お止めなさい匙。それに今のあなたでは近衛君の足元にも及ばないわ。何せ今頻発する『強化体問題』のジョーカーなのだから」

 

 

「え!?じゃ、じゃああの強化体を倒せる人間ってのはこの男!?こんな地味な奴が信じられない」

 

 

「好きでこんな顔してねえんだよコラ!てか俺そんなポジションなの!?変に担ぐなよ部長!また面倒なの寄って来るじゃねえか!」

 

 

「とは言っても現状だとその事実は変わらないわ。逆に他の有象無象への牽制と思って受け止めておきなさい」

 

 

 

マジか!俺このままだと悪魔に墜ちる日も近いぞ!?嫌だぞそんなの!

 

 

 

 

「改めてだけど、出来れば新人同士仲良くしてあげてくれないかしら?」

 

 

「会長、俺人間ですから…」

 

 

「は、はい!匙さん、よろしくお願いします」

 

 

「こ、こちらこそよろしく!君みたいな可愛い子なら大歓迎だよ!」

 

 

 

俺が脳内で今後について本気で悩んでる間に、匙の奴アーシアの手をスリスリしながら握ってやがる!お兄さんそんなの許してないぞ!

 

 

 

「はいはい匙~?俺人間だけど挨拶はしておこうかぁ。てかあんまし調子こいてっと俺の最速パンチパターンをフルコースで顔面に叩き込んでやるから覚悟しろよ匙!」

 

 

「はん!てめぇみたいな悪魔にもならない腰抜けが金髪美少女を一人占めってか!いい気になるのも今のうちだぜおい!」

 

 

「大変ね」

 

 

「そちらも」

 

 

 

匙との熱い握力勝負の中、苦笑する面々を見て面倒になった俺は匙から手を振り解く

 

 

 

「ふん!俺は『兵士の駒』を4つ消費して転生早々使い魔を持つことを許されたんだよ!」

 

 

「となるとほぼ『戦車』か。確かに凄いな…だけどその位で浮かれてるんじゃ話にならねえな」

 

 

 

グレモリーの勉強会(学校の勉強の合間に悪魔社会についても教えられた)で得た知識を掘り返して考えたが、確かに凄い部類だ。今は会長、副会長で少し霞むように見えるが、将来は有望だろう…ただまだそれを扱いきれてない上、序盤で鼻高くしてたらこの先不安だ。それを踏まえた今の言葉を発した訳だが

 

 

 

「何だと!」

 

 

「匙!」

 

 

 

こう言われるのが必然。ま、きっと俺と同じで必死こいて強くなるんだろう…いずれこの意味も分かるはずだ

 

 

 

「あら?そういや俺も使い魔捕まえよう的な話さっき言ってたような…」

 

 

「そちらも使い魔の契約を?」

 

 

「ええ、この一週間じゅうにと思ってたのだけど」

 

 

「困ったわね、彼が一度に引き受けてくれるとは思えないし」

 

 

 

すると二人、何だか齟齬があるらしく話し合いを始めた。どうも使い魔契約とやらの担当さんは一定期に一グループしか請け負ってくれないそうで、公平に勝負しようって事になった。会長がそん時『レーティングゲーム』とか不穏な単語を発したが、上層部絡みの話で却下された。その時にも、グレモリーの『例の雰囲気』が垣間見えたが、気を取り直したんで良しとしよう

 

 

…どうやら、朱乃さんはグレモリーの悩みに心当たりがありそうだ。俺以外にあの雰囲気に気付いてたようだし。…まぁ、それは良いとして、早速使い魔契約の獲得権を賭けた勝負が始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、何故にテニス?」

 

 

 

今、グレモリー達の勝負を見ている。テニスウェアを着て煌めく四人の美少女。グレモリー、朱乃さん、会長、副会長が一挙して一つのテニスコートでプロ級の試合をしている様を見ると、俺と彼女らの世界の境界線を見るようだった。てか上手ぇ、見てて飽きない

 

 

 

「こうしてずっと眺めていたいものだなぁ!」

 

 

「松田と元浜!何時の間に、てかギャラリー増え過ぎじゃね!?」

 

 

「学園トップクラスの美女が、純白のアンダースコートの下でプロ級の試合をしているだなんて!」

 

 

「光速で学園中に広まらぬはずがなかろう」

 

 

 

確かにその通りだ。ギャラリーも続々とフェンスに釘付けになりながら、各々の好みの女性を応援している

 

 

 

「はぁ、これを逃すとは兵藤も惜しいことをした…」

 

 

「…イッセーの奴、あれから全く姿見せねえよな。家にも帰ってないみたいだし」

 

 

 

すると二人、双眼鏡で見ていた試合から目を離し、少し暗い顔をする。そう、この二人に加え、兵藤は駒王の『変態三人組』の一角だったらしい。松田が不意に話してくれた事で、今でも兵藤の席は空けたまま、瓶に花を差し、千羽鶴までも置かれている…そこに二人曰わく紳士の読み物を堂々と置いていなければ、少し物思いに耽られるものを

 

 

で、要はこの二人、未だに兵藤の身を案じているのだ。まあ彼らに限らず、セクハラ同然の所行を重ねたといえ、クラスの連中も彼を心配しているのだ。…あいつの人望が見えた気がする

 

 

 

皮肉なこった。転校生にくっついて、心配してる張本人も自分たちの側に来ているだなんてさ?今でも、兵藤が宿る『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』が僅かに疼いた。きっと、こいつも元の日常に帰りたがってる。そのためにも、一刻も早く解決策を見つけないといけない…それでもここにいるのが居たたまれなくなって、俺はその場を動いた

 

 

 

「大分ギャラリーも増えて来たみたいだね」

 

 

「…これでは魔力は使えません」

 

 

 

そこへ丁度、木場と塔城のいる所まで来ていたようで、合流することにした

 

 

 

「白熱してんな」

 

 

「近衛君。いいのかい?お友達」

 

 

「あぁ、ちと居たたまれなくなってさ?」

 

 

「…何かありましたか?」

 

 

「ん?な~んにも。今はな…」

 

 

 

やっぱり思うけど、初めが悪かっただけで、塔城は良い子だ。暴力に走る原因さえ作らなきゃ、仲間想いの後輩だ…グレモリー眷属全員に言えた事だが

 

 

 

「お食らいなさい!シトリー流スピンサーブ!!」

 

 

「甘いわ!グレモリー流カウンターを食らいなさい!」

 

 

 

すると勝負中の人らから妙な空気を感じて見てみたら…公然で魔力使ってるだと!?しかも無茶苦茶盛り上がってるし!てか匙!フェンスの上から旗を振るな!

 

 

 

「思いっきり使ってるね…魔力」

 

 

「両方熱くなりすぎです」

 

 

「同意、自重しろよ阿呆…」

 

 

 

なんだけど、何故か周りは魔球扱いで受け入れたらしく、誰も不審がらない。平和なこった

 

 

 

「ここの生徒って、以外と図太いのかもな」

 

 

「そうかもね」

 

 

「色々と平和で何よりです」

 

 

その後もグレモリーと会長が更にヒートアップし、試合はより大荒れしたんだが…

 

 

 

 

 

 

 

「いくらやっても決着がつきませんでしたので…」

 

 

 

塔城が穴の開いたラケットを持って、今後の予定を説明する。どうも団体戦で決めようって事になったらしい

 

 

 

「今、部長と朱乃さんが向こうと打ち合わせしている途中だよ」

 

 

「了解だ。てかまぁ頑丈なラケットをここまで…さすが悪魔」

 

 

「先輩、あなたが言っても何の説得力もありません」

 

 

「さすがに俺じゃ無理だぜこんなの、てアーシア!木場!あからさま頷くな!」

 

 

「皆、団体戦の競技はドッヂボールに決定したわ」

 

 

 

俺が弁解しようとした所で、うちの二大お姉さまが結果報告に来た

 

 

 

「日にちは明日の夜体育館。皆、アーシアとタカシの為に頑張りましょう!」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

そんな感じで、オカ研のメンバーが張り切っていた。…思えば、今まで誰かが必死に俺の為に何かしてくれるなんて、家族以外初めてだ。それが悪魔ってのが、ちとおかしく思える

 

 

 

「…ははっ、サンキュ皆!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴様!祖国を裏切るか!』

 

 

『ひゃははは!祖国?もう関係ねえ、俺は静かに眠りたくなった…こんな幾重に殺し合いを続けるこの世に見切りをつけたんだよ!なぁ……さんよ!』

 

 

 

息苦しい、夢の中でそう感じたのは初めてだ。最初とは比べようもないほど、今俺の視界には鮮明な光景が映し出されていた

 

 

 

『…信じていたのだぞ、お前が"それ"に飲まれないと』

 

 

『未練がましいぜ優しき王よ!"こいつ"は俺の望むものを与えてくれる!だから最大限使える方法を試したまでよ!』

 

 

 

辺りが炎で焼かれ、石造りの建物が無残に崩れ、人も埋もれて血が流れていた。更に多くの騎士が屍となり転がり、激しい戦闘を繰り広げた事が分かる

 

 

 

『気付いたのさ、人の求める真実に!誰もが求める望みになぁ!』

 

 

『それがもたらす世は間違っている!私は止めるぞ、何があろうとも!』

 

 

 

そこで唯一動く二つの影、片方は厳格な面持ちで、豪奢なマントと王冠をかぶり、眩い輝きを放つ剣を地に刺して杖代わりにしていた。その姿は正に満身創痍、毅然としたいが出来そうにないといった状況が良く分かる

 

 

 

『なら教えてやる王よ』

 

 

 

そしてもう一人、いや"一体"…それは

 

 

 

『平穏は……の先に!』

 

 

 

幾度も見てきた、人サイズの灰色の龍

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあっ!……くそっ」

 

 

 

まだ日の出には早い時間に、俺は目を覚ました。てかもう勘弁してくれ、あの夢は何なんだ…

 

 

 

「寝れねえ…あぁ、もう。起きるか…」

 

 

 

取り敢えず着替えて顔洗って…と。何するか

 

 

 

「トレーニングも悪かないけど、早すぎだしなぁ…そうだ!」

 

 

 

今日は使い魔契約の為のドッヂボール戦だ。ならちょっとは恩返し位してぇな…とすると材料は余ってるやつを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよ対戦よ!皆、気合いを入れて行きましょう!」

 

 

 

その日の夜、気合い入ったグレモリー眷属メンバーと共に、俺は体育館にいる。全員体操服き着替え、人によってはジャージ姿で各々のストレッチをやっている

 

 

 

「くぅぅぅ…!」

 

 

「もう少し頑張りましょうね?」

 

 

「は、はいぃ…!」

 

 

 

朱乃さんに押されて必死に柔軟してるアーシアが健気だねぇ…だが何つか、朱乃さんがやってると卑猥な事を強制されてるアーシアを想像してしまうのはどうなんだ俺?

 

 

 

「…タカシ先輩、目つきが嫌らしいです」

 

 

「僅かな劣情ってのは男の子に必要不可欠ってででで!?塔城止めろ!股の関節が外れる!」

 

 

 

この猫娘!こんな美少女集団の中いたら多少は嫌らしくもなるだろ!今まで一杯一杯で考える隙が無かっただけであってな!

 

 

 

「塔城…覚えてろよ」

 

 

「先輩が悪いです」

 

 

「逆にこんなメンバーの中そういう感情露ほど湧かないなら男としてどうかと思うが!?俺だって健全な男の子なんですぅ!」

 

 

 

まあ、青春を諦めた時点でどうかとも思うが、自分で言っといてだけど

 

 

 

「それにしても、タカシって凄い均整の取れた体つきよね?見た目にしては」

 

 

「そうですわね、人は見た目によらないといった感じでしょうか」

 

 

「…地味だけど鍛えてます」

 

 

「タカシ君は見た目にそぐわない努力家だからね」

 

 

「てめぇら今すぐ直れコラ」

 

 

 

この悪魔共どこまで俺を貶めるか!!

 

 

 

「お待たせしました」

 

 

 

と、そこへ現れた生徒会の面々。やる気満々だなやっぱ…どうなることやら

 

 

 

 

 

 

 

「さあ皆、生徒会に負けないよう頑張りましょう!」

 

 

 

生徒会も来た所で、俺達は今円陣を作って気合いを入れていた

 

 

 

「っと、ちょっとその前にだ」

 

 

「?何かしらタカシ?」

 

 

 

全員が俺を見ている所で、今朝作ったあるものを皆の前に出した

 

 

 

「これは、はちみつレモン?」

 

 

「味は普通だと思う。まぁ…こんなもんしか作れなかったけど、俺とアーシアの為に頑張ってくれるんだから礼位には~、と思って持って来たんだ。いらねえなら適当な時に摘んでくれても、食わなくてもいいから」

 

 

 

レモンとはちみつは運動後の体に染みるから、俺の中では必需品になっている。それをちょいと使って作ってみただけの代物、まぁ何回か作ってるもんだから慣れたもんだ。せめてもの感謝にしては、味気ないけど

 

 

 

「…何だよ、皆して固まって?」

 

 

「え?あぁ、タカシがこんな事してくれるだなんて思わなくて、つい…」

 

 

「何だよそれ、失敬な…」

 

 

 

だけどこんなもんでも、感謝の気持ちは伝わってるようだ。グレモリーが言いようの無い朗らかな表情で俺を見ている。他の奴らも段々笑みを浮かべてこっちを見てきた

 

 

 

「ありがとう、タカシ君!」

 

 

「ありがとうございます!タカシさん!」

 

 

「はむ、あらあら…良く出来ていますわ。ありがとうございます」

 

 

「うん、意外な一面」

 

 

「意外とは何か猫娘!俺は普通だからこれ位当然なんだよ!」

 

 

「「「「「いや、それは無いかと」」」」」

 

 

「やっぱ食うな!」

 

 

 

いつでも平常運転なオカ研メンバー…でも、これが今の俺の居場所なんだ。こんな雰囲気も悪くない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ピーーッ!アウト!」

 

 

「子猫ちゃん!」

 

 

「…問題ありません」

 

 

 

で、始まったドッジボールなんだが…さすが悪魔。あんな細い線した女の子のどこにあんな球のスピード出せる腕力があんだ!塔城の体操服が裂かれてるぞおい!?

 

 

 

「追憶の嘆き!」

 

 

「と思ったら魔力行使!?何でも有りかこの対決!」

 

 

「ふん!」

 

 

 

だけどあの凶弾をグレモリーは正面からキャッチ。さすが上級悪魔

 

 

 

「さすがですねリアス、椿姫の球を正面から」

 

 

「私を、誰だと思ってるのかしらっ!」

 

 

 

魔力には魔力ってか!?何か赤黒いオーラの球が女の子にクリーンヒットしたけど!?しかも体操服大破してほぼ全裸になったぞ!

 

 

 

「お前女の尊厳的なもん考えてやれよ!」

 

 

「タカシ君!」

 

 

 

朱乃さんが叫んだと思いきや、後ろから高速でボールが飛んできた。だが甘い!

 

 

 

「ふんがぁ!」

 

 

「嘘!?」

 

 

 

取りあえず振り向き様に右手に魔力を集めて威力を軽減させて、真下に落ちるボールを左手で取る。投げた女の子がめちゃ驚いてる、生憎この程度でやられるのは癪だから放っておこう

 

 

 

「ジョーカーの称号は伊達ではありませんね」

 

 

「んな不名誉な名前に興味ねえよ。人間舐めんなコラああ!!」

 

 

 

悪魔に対抗出来る身体能力は生憎無い。だからせめて魔力補助で少しでも差を埋めるしか俺には手が無い!

 

 

 

 

 

 

 

まあ、最初は俺もそう思ってやってましたよ。でも人外プレーがどんどん侵攻して最早カオス地味た何かに変貌してやがる!変化球、火の玉当たり前!これスポーツじゃなくて軽い戦争だぞ!

 

 

 

「ドッジボールって怖いスポーツなんですね…」

 

 

「アーシア!これを普通と思うんじゃない!ドッジボールはあくまで平和なスポーツだ、これは断じてスポーツではない!」

 

 

「会長、先に近衛を潰しましょう」

 

 

 

すると何だか不穏な言葉が聞こえてそっちを見たら、丁度会長が青いオーラを纏ったボールを投げてきた所だった。って俺の方に来た!?

 

 

 

「避けてタカシ!」

 

 

「畜生!追尾とか卑怯過ぎんぞ!」

 

 

「はっはっはあ!どうだ近衛!手も足も出まい!」

 

 

 

どうにか会長の追尾型ボールを、持ち前の反射神経と勘で避け続けてるが、ジリ貧もいいとこだ!だが関係も無い匙にとやかく言われんのが無償に腹が立つ!

 

 

 

「ん?待てよ?」

 

 

「タカシ!」

 

 

 

グレモリーが叫んでいるが、俺はとある妙案を思いついたので、すかさず正面から襲い来るボールを"弾き上げた"

 

 

 

「これで一人脱落ねリア、ス…あれ!?」

 

 

「残念でした。しっかり"手元にありますよ?"」

 

 

「成る程、その手があったわね」

 

 

 

グレモリーは気付いたようだが、種明かしすると弾いたボールに魔力を貼り付けて、『魔力の手』でボールを手元に引き寄せてキャッチした。これならいくら魔力補助付きのボールだろうが、当たって魔力の消えたボールを回収出来る

 

 

 

「な、何て非常識なんですかあなた!?」

 

 

「会長…悪魔なんて非常識の塊がそれ言っちゃ終わりですよ。てな訳で!さっきから調子くれてた匙を制裁させてもらいま~す。沈めイケメン!!」

 

 

「へ?ほぐっ!!?」

 

 

 

ズドンッ!という鈍い音と共に、匙は男のシンボルに絶大なダメージを受けて脱落した。ざまぁみろ!

 

 

で、結局試合という名の戦争は俺達オカ研の勝利に収まり、見事使い魔契約の権利をもぎ取った…気絶した匙が女の子におぶられる姿が何とも痛ましかった、可哀想に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝って早々に行くのかよ?」

 

 

「ええ、彼…使い魔マスターは満月の夜にしか請け負ってくれないの」

 

 

 

そんな理由で俺達、只今部室にて転移の準備をしている。朱乃さんが魔法陣を作ってるので待ってるだけなんだが

 

 

そんなことを思っていたが、次の瞬間には全員が転移され、おどろおどろしい森に到着していた

 

 

 

「ここがその場所?」

 

 

「ええ、使い魔が生息する森ですわ」

 

 

「ここで僕達も、使い魔を手に入れたんだ」

 

 

「確かに何が出来てもおかしくは無さそうだけど」

 

 

「ゲットだぜぃ!」

 

 

 

だがその時、頭上から変な声が聞こえたのでそっちを見ると、キャップを逆さに被ってタンクトップに短パン、リュックを背負ったオッサンが木の上に立っていた。非常に痛い奴が現れたもんだ…気配からして悪魔だし

 

 

 

「あんたが使い魔マスター?」

 

 

「そう!俺は使い魔マスターのザトゥージだぜぃ!今宵も美しい満月だ!使い魔ゲットには最高だぜぃ!」

 

 

 

何この人若く見られたくてサバ読んでる爺さんか?全くもって不快感しか与えねえよ!

 

 

 

「彼は使い魔のプロフェッショナルなのですわ」

 

 

「天才と変態は紙一重だな…」

 

 

「君達はどんな使い魔がお望みだい?強いの?速いの?それとも毒持ちとか?」

 

 

「何故毒限定!?」

 

 

「ちなみにオススメは『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマット!龍王最強にして龍王唯一のメスだ!今まで誰も契約した事の無いドラゴンだが、実力の保証はするぜ?」

 

 

 

このクソ爺ぼったくり物件を惜しげも無く押し付けて来やがっただと!?

 

 

 

「てめぇ命の保証をすっ飛ばしてんじゃねえぞ!もっと手元に収まる大人しい普通のを勧めろ!」

 

 

「甘いぜ地味な少年!使い魔ってのは自分の欠点を補ってくれるようなステータスを持った奴が一番なんだ」

 

 

「あ、あのぉ…私も可愛いのが欲しいです」

 

 

「そうかい俺に任せなぁ!」

 

 

 

そうか、この爺は何を求めてるのかがよぉく分かった

 

 

 

「タカシ!拳を納めて!言いたい事は分かるけれども!」

 

 

 

はっはっは!何を言うかこの美少女は。ただ世の理不尽を叩き割ろうとしているだけなのによぉ!

 

 

 

「奴は俺を嵌めて楽しんでやがるんだ!舐められっ放しは癪だこの爺!地味地味みんなして言いやがって!俺だってカッコ良くなりてえよぉぉ!!」

 

 

「落ち着いてタカシ君!」

 

 

 

木場に羽交い締めされる俺だが、俺の嘆きを止める奴は誰もいない

 

 

 

 

 

 

 

 

「この泉にはウンディーネが生息している」

 

 

 

爺の案内によって訪れたのは、周りの雰囲気とは釣り合いそうもない程綺麗な泉。先程まで荒んでいた心を癒やすようだ

 

 

 

「水の妖精ねぇ…イメージは沸くけども…」

 

 

「おっ、姿を現すぜぃ!」

 

 

 

すると泉の中心からゆっくりと水柱が生まれ、そこからピンクのドレスを着た金髪ドリルヘアーの

 

 

おっさんが現れた

 

 

 

「あれぇおかしいな?俺が見るにはミルたんの亜種が爆誕したようにしか見えんのだが!!」

 

 

 

そう、俺はこいつらと関わって知ったのだ。期待した奴は馬鹿を見ると!

 

 

 

「ちなみにあいつはレアもので女の子だ!」

 

 

「妖精ってそういったカオス方面での呼び方だったか!確かに脳みそお花畑のド変態野郎だけど!?」

 

 

 

女があんなゴリラに進化されたら女性不信になるわ!もしグレモリーとか朱乃さんがゴリラに進化したら首吊るわ!

 

 

何故か二人に意味も無く頭をど突かれた。解せぬ

 

 

 

 

 

 

 

「あの妖精さん、清い目をしていました。きっと素敵な女の子です!」

 

 

「アーシア、その話はタブーだ」

 

 

 

とりあえずこの世の摩訶不思議を体験し、再び俺達は森を歩く

 

 

 

「待て、あれを見ろ!」

 

 

 

爺が指した方向を見ると、そこには青い鱗を持つ綺麗なドラゴンの子供がいた

 

 

 

「『蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)』だ。あれはかなりレアだ!」

 

 

「私も実物を見るのは初めてだわ!」

 

 

 

女性陣がキャーキャー言ってる。まあ見た目かなり愛らしいしドラゴンだ、興奮するのも分かる。だが…

 

 

 

「おい爺、あいつ何に怯えてんだ?」

 

 

「ん?確かに妙だな。心無しか周りにあった魔物の気配が少ない気もするが…」

 

 

 

どうもあのチビドラゴン、辺りをキョロキョロして震えてるように見える。まるで抗えない強者にせめてもの抵抗を見せているような、そんな態度だ

 

 

 

「キィィ!」

 

 

「わ!?」

 

 

「きゃっ!」

 

 

「こいつは珍しい、サンダーバードだ!」

 

 

 

すると突然、俺の肩辺りに現れた謎の鳥。掌サイズで、全体的には鷹だけど、翼がまるで電気みたいにバチバチと音を立てて黄色に発光している。そいつは俺の顔の前でパタパタと翼を羽ばたかせてじっとこちらを見てきた。何こいつ凄いつぶらな瞳してる

 

 

 

「可愛いですぅ!」

 

 

「しかしまた珍しいこったぁ。サンダーバードは精霊に近い魔物で、姿も中々拝めねえ魔物なんだぜぃ!」

 

 

「タカシを見ているのなら、気に入ったということかしら?」

 

 

「だと良いんだけどさ…さっきから足にすり寄ってる生き物共はどうすりゃいいんだ?」

 

 

「へ?」

 

 

「っ!あらあらまあ!タカシ君は魔物に好かれやすいのでしょうか?」

 

 

 

グレモリーが間抜けな声を出してる間に、朱乃さんや他の奴らが俺の足元を見ると、どうも目の前のちっちゃいのと似た感じで、これまた掌サイズの山羊と、腹が異様にデカい蛇が俺を下から見上げていた。てかこの蛇って!

 

 

 

「カプリコルヌスとツチノコだぁ!?おい人間の坊主、お前中々幸運な野郎だなぁ!」

 

 

「やっぱツチノコかよ!悪魔がいるならいるもんだなおい!?」

 

 

「だけどこの魔物達、どうして突然タカシ君の元に現れたのかな?」

 

 

「…恐らくあれが関係しているかと」

 

 

 

塔城が徐に放った言葉の意味が理解出来ず、彼女が指差した方を、俺を含め全員がそちらを向いた。そこには…

 

 

 

「ゴルルルル…」

 

 

「ライ、オン?」

 

 

 

全長約3m、黒の鬣に赤い瞳、その体は山吹色にも似た堂々とした色の毛で覆われた、一頭のライオンがこちらを、正確には俺一択を射殺すように睨んできていた。今にもおいらチビりそう…

 

 

 

「ガオオオオオォォォ!!」

 

 

「キィィ!」

 

 

「メェェ!」

 

 

「シャア!」

 

 

 

その時、ライオンが天をも衝きそうな咆咬を挙げ、それに従うかのように今まで俺に纏わりついていた連中がライオンの元へ飛びつき、次の瞬間強烈な光を放った!っ!この感覚!?

 

 

 

「一体何が起きているの!?」

 

 

「こいつはヤバそうだぞ!今までこんな事一度も無かった!」

 

 

「ぐっ…まさか」

 

 

「タカシさん!大丈夫ですか!?」

 

 

 

光が収まり出した中、胸を握り締めて荒い息を立てた俺に寄って来るアーシア。だけどそんなのやってる場合じゃねえ!あの化け物は!

 

 

 

「あの姿、キマイラですわ!」

 

 

「どうなってやがる!キマイラなんてここいらじゃ見なかったはずなのに」

 

 

「違う!あいつはそんな生易しいもんじゃねえ!強化体だ!」

 

 

「「「「「「なっ!?」」」」」」

 

 

 

全員して驚いてやがるが事実だ!あれが変わる時、今までと同じ鼓動が俺の全身を駆け巡りやがった。間違い無い

 

 

今の奴の姿は、さっきの生き物全ての特徴を持っている。全身の基調はライオン、頭の隣には山羊の頭、背中には雷を纏う翼、尻尾は腹のデカいツチノコそのものになっていた。しかもこいつから流れる魔力が半端ないぞ!

 

 

 

「待て待て待て!この野郎今まで出会った中で一番強ぇぞ!」

 

 

「この威圧、これじゃ下手をすれば龍王に匹敵するわ!」

 

 

「一体全体どうなってやがる!この森で何が起こりやがったんだ!」

 

 

 

爺ですら狼狽える事態、これじゃ危険だ。一番指揮権を握った奴が焦ると全体が乱れる!

 

 

 

「お前ら!すぐ後ろに下がれ!」

 

 

「タカシ!?何をするつもり!」

 

 

「勘だけどこいつ、俺に興味があるらしい!どの道標的が絞られてるなら近くにいるな!」

 

 

「坊主!人間が龍王クラスに楯突くだなんてイカレてやがるぜ!」

 

 

「タダの一般人がここに来るとでも?起きろ!」

 

 

『Boost!』

 

 

 

即座に俺は篭手を呼び出し、キマイラに向けてファイティングポーズを取る

 

 

 

「こいつぁ驚いた!おめえさん『赤龍帝』かい!」

 

 

「正確には違うのだけど、彼はあれなしでも相当の実力を持っているわ。遅れを取る事は恐らく無いかと」

 

 

 

グレモリーの野郎言ってくれんじゃねえの。こちとらビビって膝が笑い出してんのによぉ

 

 

 

「…そんだけ期待されちゃぁ退けねえわな!」

 

 

「ガォォォ!!」

 

 

 

キマイラが翼を張り詰め、俺に突進を仕掛ける。ブーストしている間はタダの人間だ、当たれば即再起不能か、最悪即死!

 

 

 

「こっちだ猫ちゃん!」

 

 

『Boost!』

 

 

 

二度目のブーストが掛かった瞬間、キマイラの側頭部を左掌で押し、その手を軸に無理やり体を捻り、突進をスレスレで回避する。てかやっぱ速え!目で追うのがやっとだ!

 

 

 

「ガアッ!」

 

 

「んなっ!?ぎっ!」

 

 

 

だけど次の瞬間、キマイラの翼が俺の左肩に触れ、高圧電流が体を駆け巡った。やべえ!一瞬だったけど体の自由が取れねえ!

 

 

 

『Boost!』

 

 

「こ…なっ、くそ!」

 

 

『Explosion!』

 

 

 

心許ねえが、三度目のブーストで力を解放させる。無防備でも、最悪魔力で牽制を掛けて時間を稼がねえとっ!?

 

 

 

「飛んだ!」

 

 

「タカシ!避けて!」

 

 

 

無理言うなよグレモリー!こっちはまだ呂律もまともに回復してねえってのに!しかもあの空飛ぶ猫ちゃん、思いっきり息吸い込んでるんですが!?明らか何か吐くつもりですよね!?

 

 

 

「ガアアアアアア!!」

 

 

 

次の瞬間、キマイラの口から火炎が放たれ、俺と周囲の大地を呑み込んだ

 

 

 

「タカシいいいいいい!!」

 

 

「くっ!部長!下がって!」

 

 

「リアス!今行ってはいけないわ!」

 

 

「嫌、そんな…タカシ!嫌ああああ!!」

 

 

「タカシさん!!」

 

 

「アーシア先輩!危険です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ"あ"クソ、うっせえなおい」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

「「タカシ(さん)!」」

 

 

 

どうなるかと思ったーーー!炎に呑まれた時は死んだと思ったけど、どうやら"また"こいつが役立ったらしいな

 

 

 

「ガオッ!?」

 

 

「あっちぃなクソが。消し飛べ!」

 

 

 

そして俺は次の瞬間、"紫の炎を纏った右腕"を円を描くように振り、赤く燃える炎を紫の炎で"掻き消した"

 

 

 

「っ!…紫の炎」

 

 

「僕と子猫ちゃんが見た時と同じ!しかも…右腕にまで…?」

 

 

「あれは一体…」

 

 

 

全員驚いてるみてぇだけど、俺だって分かって無いんだよねこれ

 

 

 

「グルル…ガオオオオオ!!」

 

 

「第二ラウンドだ、降りて来な!」

 

 

 

俺の挑発に合わせて、キマイラが空から急降下する。俺はそれに合わせて右腕を引き絞り、一点を狙って魔力を込める!

 

 

 

「『拡散拳(ラッシュ・ショット)』!」

 

 

 

そしてキマイラが俺の射程内へ入った瞬間、右腕の魔力を一気に拡散させ、魔弾を全身に叩き込んだんだが

 

 

 

「紫の魔力!?」

 

 

「あんな色の魔力、見たこと有りませんわ」

 

 

 

今日は良く驚かれるな。タダ俺も驚いてる。キマイラがこれを受けたら、纏う魔力が面白い程削られた。うん、便宜上これは『紫炎散拳(パープル・フレア・ショット)』に改名しよう

 

 

 

「仕舞いだ!」

 

 

 

そして俺は今ある魔力を一気に練り上げ、巨大な腕を形作る。『魔力の腕(マジック・アーム)』、俺の今の最高技術だ。それを三度ブーストして限界点を超えた精度を利用し

 

 

"八本の腕"を作り上げた。だけど何故か右腕に位置する四本の腕だけは、紫の炎によって形が露わとなり、紫の鱗に覆われた龍の腕が出現した

 

 

 

「な…」

 

 

「おいおい冗談じゃねえぜぃ!ホントに坊主人間か!?」

 

 

「爺、老眼鏡でも付けな?列記とした人間だよ!」

 

 

 

そして俺は、未だによろめくキマイラへ駆け寄り、拳を思うがままに振るう!

 

 

 

「食らえ!『ヘカトンケイル』!!」

 

 

 

右から拳を交互にストレート、ボディーブロー、フック、アッパーを食らわせる。『マジック・アーム』は俺の拳から推定0,2秒おきに追従して拳を放ち、キマイラを攻め立てる。そして顎に拳が入り、浮き上がった胴体へありったけのラッシュを叩き込み、俺の立つ地面にヒビを入れ、キマイラは衝撃で僅かに宙を浮いた

 

 

 

「KO決めるぜ!『登龍門(ライジング・ドラゴン)』!!」

 

 

 

決め技はしっかりと決めます。俺は右腕を力強く振り上げ、四つの腕がキマイラへ向けて射出される。だがその時、四つの腕は俺の意に反し、形を変えて蛇型の紫の龍となってキマイラに直撃し、空へ昇って行った。しかも重なって極太ドラゴンだったし…登龍門に見合ってたのは確かだけど

 

 

そんなこんなで空を見ていたら、キマイラは龍との散歩を終え、地面に叩きつけられて煙を上げた。何とも無惨な…やったの俺だけど

 

 

 

「ふぅぅ~~…マジ怖かった~…」

 

 

『Reset!』

 

 

 

篭手から聞こえた音声の後、倍加が解けて気だるくなった。そしたらいつの間にか右腕から紫の炎が消え、篭手の宝玉で目を見たら、案の定一緒に紫になってた右目も丁度元に戻り始めていた。……この炎が、俺の元の力なのか?赤い龍、ドライグをも飲み込む力の根源?

 

 

 

「タカシさん!!」

 

 

 

とか考えに耽ってたら、アーシアが横からタックルしてきた!!よろめきましたよ、押し倒されましたよ!そしたら上のアーシアがボロボロ泣いて抱き付いて来ましたよ!色々柔らかいしありがとうございます!

 

 

 

「じゃなくてだな!何泣いてんだよ無事だろ俺!」

 

 

「良がっだでずぅ!タカシざんが死んでじまったら私ぃぃ!」

 

 

「タカシ…無事で本当に良かったわ…」

 

 

 

何故かグレモリーまで泣きそうなんですけど!?

 

 

 

「お疲れ様、タカシ君!」

 

 

「あらあらボロボロになって…男の子ですわね」

 

 

「…ヒヤヒヤさせないで下さい、バカ先輩」

 

 

 

若干一名罵って来たけど、かなり心配かけたみてぇだな。まあ、あんなの見たら肝も冷やすか

 

 

 

「あ~何だ…すまん」

 

 

「はっはっはあ!こいつはたまげたぜぃ!お前さんあんな強敵を倒すたぁさすがは『赤龍帝』だな!」

 

 

「爺、それでも俺人間だからな?今回は一番死んだかもって思ったんだからな」

 

 

「そう言えばタカシ、あの紫の炎は何なの?」

 

 

「こっちが聞きてえ位だ。知らん内に纏わりついてたんだから。話せる事は何も、っ!!皆!構えろ!!」

 

 

 

おいおいマジかよ!談笑に浸ってる間に、キマイラの奴また起き上がりやがった!

 

 

 

「相手は弱りきってるわ!ここは私達に任せて!あなたは傷をアーシアに治療してもらっていて頂戴?皆!行くわよ!」

 

 

「「「はい!」」」

 

 

 

だけどそんなキマイラに対して、グレモリーを筆頭に眷属達が俺の前に立ち上がった。…こういう時は、頼りになるよな。実際、俺も火炎攻撃を防ぎきっていないし、電撃の影響もあって彼方此方ヤケドが目立っている。右腕の部分の制服は弾け飛んでるし全体的にもビリビリ破れて無様な姿だ

 

 

 

「ちょいと待ってくれねえか?」

 

 

「っ!タカシ」

 

 

「…グルルル」

 

 

 

だけど、こんな今の俺だからこそ、この獣に向き合わないといけない。勘がそう伝えている

 

 

 

「お前、戦う気は無いだろ?もしかして"力試し"?」

 

 

 

キマイラに歩み寄りながら、俺から声を掛ける。すると向こうも俺の方へ寄って来て、手が届く位置まで来て、止まった

 

 

 

「……フンッ!」

 

 

 

猫如きに鼻で笑われた。かなりムカつく

 

 

 

「グルルル、ガゥッ!」

 

 

 

その時、キマイラは姿勢を正したと思えば、堂々とした態度で俺に頭を垂れた。何となくだが、意図は読めた

 

 

 

「…これからよろしく。俺の相棒!」

 

 

 

こうして、俺は新たに強力な相棒を手に入れた

 

 

 

 

ちなみにアーシアは、キマイラにビビっていたらしい『蒼雷龍』を使い魔にした。名前はラッセー君、由来は知らん。まぁそんなこんなで、俺の非日常は今日も無事終わりを迎えた




やっとライザーか…ついにタカシの見せ場到来!


そしてお気に入り件数が100を超え、UA10000を超えました事、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします!


では!
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