ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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一人称の良い所、他者の心境を一々書かずに済むこと。なのに話し全っ然進みません!すんません!


そしてこれをお気に入り登録して下さった方々、改めて感謝を!


未知の恐怖

囲うように置かれたソファー、端に置かれた仕切りがカーテン一枚のシャワールーム、あちこちにある魔法陣やら奇怪な文字。俺の変化した日常に染み込んだ…"俺の居場所"

 

 

オカルト研究部の部室

 

 

「あれ?いつの間に放課後だったんだ?」

 

 

 

どうも無駄に愛着が湧いたらしい。教室にいる時間を忘れる位、ここへ帰るのが待ち遠しくなってたんだな

 

 

 

 

 

 

「近衛…く、ん」

 

 

「え…木場?っ!?」

 

 

 

だけどそこにいて、いつものように笑って出迎えて来るはずのイケメンは、片腕を失い血塗れになっていた。そして俺の名を呼んですぐ、彼は地に伏し、物言わぬ屍になり果てた

 

 

 

「せ…ん、…ぱ」

 

 

「塔城!?」

 

 

 

その側に、いつも無口で毒ばかり吐く後輩が、腹に風穴を開けて、こちらを見ていた

 

 

 

「どう…して……」

 

 

「塔城!!っ!?…嘘だろ?」

 

 

 

塔城は何かを告げきる前に、体を横たえ目から光を消した。だけどそれを更に塗り替えるように、俺の視界に映ったものは衝撃を与えた

 

 

 

「朱乃さん…」

 

 

 

部室の中央、転移に使う魔法陣の中で、皆の姉として慕われた朱乃さんが瞳孔を開ききり、胸を貫かれて倒れていた。誰だ!!『女王』の悪魔をここまで出来る連中なのか!?

 

 

 

「タカシ…さん…」

 

 

「っ!」

 

 

 

すると、俺の隣からアーシアの声が聞こえた。良かった!生きてる奴がいるんだ!そう思ってそちらを見た

 

 

 

「……え?」

 

 

「タカシさん…どうして、殺…し、た……」

 

 

 

そこに立っていたアーシアは、口から一筋の血を流し、たった今胸を貫かれていたんだ

 

 

 

 

 

 

俺の手で

 

 

 

「は?何で…?何がどうなってんだ!!!」

 

 

 

知らない!俺の視点で見えている光景が信じられない!!

 

 

だけど現実は無惨にも…俺の意思で動かした腕と、アーシアに刺さった腕が一致したことで、犯人を割り出してしまった

 

 

 

「俺…?俺が殺したってのか…!」

 

 

 

自分を見回した。両手にはべったりと赤い鮮血がつき、未だ乾いていない。服にも返り血がつき、制服すら真っ赤に染まっている

 

 

 

誰の血だ?分かりきってる、こいつらのものだ

 

 

 

「来ないで!!」

 

 

「!!グレモリー!?」

 

 

 

その時、俺の視界に唯一生きていた者がいた。この血と同じ赤の髪持つ、こいつらの主。グレモリーは子供のように震え、俺を恐怖の目で見ていた。違う、俺はこんなこと望んでない!!

 

 

 

「っ!?ちょっと待てよ…」

 

 

 

だけど次の瞬間、右手の甲から突如紫の宝玉が現れ、腕を炎で包んだ…いや、腕どころか、体をも包んだ

 

 

 

「何でだ?何で俺グレモリーに向かってる!」

 

 

 

その時から、俺の体は意思に反してグレモリーへ近付く。左手の『赤龍帝の篭手』に埋められた緑の宝玉すら紫の光を放ち、次第に速度を上げてグレモリーへ近付き…右手を引き絞る!

 

 

 

「止めろおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

腹の底から叫んだ。だがそれすらも虚しく、"灰色の篭手"をはめた右手がグレモリーの心臓を貫いた

 

 

 

「タカ…シ…」

 

 

 

涙が頬を伝う彼女の瞳が色を失う…その瞳に映ったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灰色の龍の姿となり、狂気の笑みを浮かべた"俺自身"の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁぁああああ!!っは!…ハッ、ハ…!」

 

 

 

日も上がっちゃいない深夜。自分がいるのはいつものベッド……ようやく夢だったと自覚した俺は、体中が震えを覚えて止まらなくなった

 

 

 

「くっ…!今までで最っ悪の夢だ……~~っ!」

 

 

 

不意に見た右手は、変わらずいつもの人間の手だ。だけどこの手には事実…あの夢で出た炎が溢れ出ていた

 

 

 

「…怖ぇ」

 

 

 

あの悲劇が夢だとしても、あれだけ生々しい夢じゃ…この右手がとてつもなく怖い

 

 

何なんだ…この力は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相変わらずぼ~っとして物思いに耽っている俺だが、今朝の夢が衝撃的過ぎて話も耳に入らない

 

 

 

「おいタカシ!返事しやがれ!」

 

 

「んぁ?松田に元浜?いつの間にいたんだ?」

 

 

「さっきから何度も呼んでいたよ、どうしたというのだ?様子がおかしく見えたのだが?」

 

 

 

どうやら側にいたエロコンビにも気付けない程思い詰めてたようだ

 

 

 

「いんや、ちょいと悪い夢見てな?寝付けなかったんだよ…」

 

 

「そういえば朝のトレーニングの際もお顔が優れないようでしたが、本当に大丈夫なのですか?」

 

 

「んなもん気にすんなってアーシっ!?」

 

 

 

だけど、俺の心配をしてくれるアーシアへ声を掛けようと振り向いた瞬間

 

 

ほんの一瞬、胸に風穴を開け、口から血を流したアーシアの幻覚が見えてしまった

 

 

 

「タカシさん!?」

 

 

「おいおいマジで大丈夫かよ?体調悪いなら帰った方がいいぜ?」

 

 

「珍しく気にかけてくれた所悪いが、そこまで柔じゃねえよ…」

 

 

「とてもそうは見えんのだが…」

 

 

 

ダメだ、全身から汗が吹き出るような不快感が俺の体を支配する。思わず気分を変えようと窓を見ると

 

 

そこに映ったのは、顔の右半分が歪む俺の姿が一瞬映り、元に戻った

 

 

 

「っ!!」

 

 

 

思わず立ち上がってしまう俺を本気で心配する一同。落ち着け…夢と現実をない交ぜにするからそう見えるんだ!

 

 

 

「はぁ、はぁ!…ごめんごめん。結構心に来てたわ、今朝の夢」

 

 

「一体どんな夢見たんだ?」

 

 

「あ?いやぁ顔も知らない女の子に襲われて逃げ回る夢を…ちょっと」

 

 

「「なぁぁぬぃぃぃぃ!?」」

 

 

 

ここで一つ、気を紛らわす為に嘘を吐いた。絶対食いつくと思った

 

 

 

「てめえ!周りに美少女を侍らせておいてまだそんなふざけた夢を!」

 

 

「畜生!この地味野郎と俺達のどこに差があるのだぁぁ!!」

 

 

「主にその犯罪地味た性欲の発露が原因かと」

 

 

「タ、タカシさん!そんな夢を見る位でしたら私を」

 

 

「それ以上は君の社会的生命に関わりそうだから控えなさいアーシア!」

 

 

 

だけど嘘が呼んだのはカオスだったようだ。嘘はついちゃダメ!後で痛い目に遭うよ!

 

 

 

「ぬぉぉぉ!アーシアちゃんにそこまで言ってもらえる上に同棲しているだなんて!羨まし過ぎるぞタカシ!」

 

 

「ご飯とかもよそって貰ってるんだろ!?」

 

 

「いや、主に俺がよそってあげてるぞ?女の子を動かさせるのはどうかと思うしさ?でも気が効く子で一緒にいて凄い助かってるんだけどな?ご飯作ってる間に洗濯回して、お風呂溜めといてくれたりしてくれるから家事が楽なんだ。将来婿に困らないぞきっと!」

 

 

「そ、そんな!お婿さんだなんて!タカシさんは少し飛躍し過ぎかと」

 

 

 

あれ?今不穏な事言わなかったこの子?

 

 

 

「ち、畜生!俺達の前でノロケ話とか嫌みだろてめぇ!かくなる上は!」

 

 

「な、なぁ親友!この際、一人位俺達に紹介してくれても罰は当たらないと思うのだが…と言うよりマジで紹介して下さい!頼む!頼んますぅ!」

 

 

 

うわぁ本気で頼み込んで来やがった。相当飢えてるよなぁこいつら…周り悪魔ばっかで紹介出来そうも無いんだけどさ?

 

 

 

「…はあ分かったよ。ちょい探すから待ってろ」

 

 

「「マジっすか!?」」

 

 

 

現金な奴らである。俺を下衆に仕立て上げた張本人の癖によぉ…あれまだ許して無いんだぜホントは

 

 

 

「あ、行けます?了解、是非ともお願いしま~す…一人良いってよ?多分趣味も合う奴だから、接しやすいと思う」

 

 

「そ、それはどんな人なんだ!?」

 

 

「まあ~…乙女だな。あと野郎、友達連れて来るとか言ってたぞ?」

 

 

「乙女!しかも団体だとよ!」

 

 

「ち、ちなみにお名前は?」

 

 

「あ~…ミルたん」

 

 

 

うん、きっと良い社会勉強になると思うんだ。強くなって帰って来るさ…明日生きてるかなぁ?こいつら

 

 

まぁ煮え湯飲まされた事もあるし、これ位は仕返しさせてもらうぜ?お二人さん

 

 

 

「な、ならばタカシよ!俺達からそれなりの礼をしよう!」

 

 

「言うなれば、紳士のVIP席だ!」

 

 

「却下で、お前らが言うそのフレーズは危険フラグ乱立してんだよ」

 

 

 

その日、とある女子更衣室で男子二名の悲鳴が聞こえたとか

 

 

 

 

 

 

 

 

「…タカシ先輩のクラスメイトは最低です」

 

 

「まるで俺を貶してるようだな猫娘」

 

 

 

現在、俺は部室のソファで朱乃さんのお茶を飲みながら寛いでいる。どうも塔城のいる更衣室に侵入したらしいエロコンビは、気配に敏感な塔城にたこ殴りされたそうだ。不機嫌ですよオーラを放ちながら羊羹をもぐもぐ食べる姿は何ともシュール

 

 

 

「お友達なら止めるのが筋です」

 

 

「それが出来たらどれだけ楽か…もはや病気だよあのレベルは」

 

 

「タカシさんは誘われていましたが、女性には興味が無いんですか?」

 

 

「あら、それは問題ねタカシ。どうかしら?お勉強のついでに女の子の勉強も」

 

 

「くたばれ痴女。自分からすり寄って来る奴は信用ならん」

 

 

 

何かグレモリー青筋立ててるけど、これはあいつが悪いと思う。俺はそんなのにホイホイ乗っかる程そういった関係を軽く見ちゃいないんだ

 

 

 

「そ、そんな!タカシさん!女性に興味が無いだなんていけません!いっその事私が体を張って!」

 

 

「わああアーシア!興味はあるっての!ただそれを知り合いとかで想像するのはどうかと思ってるだけ!部長!あんたが変に接するからアーシアまで毒されてんぞ!」

 

 

「聞き捨てならないわねタカシ?男の子に肢体を強調することだって立派な悪魔のやる一環よ?」

 

 

 

ダメだ!常識が通じねえ!

 

 

 

「後タカシ!あなたの使い魔にチラシを食べるのを止めさせなさい!」

 

 

「メェェ!」

 

 

「あぁ…ったく『メリル』!面倒を起こすなよもう!」

 

 

 

そしてグレモリーが指差した方向を見ると、そこには先日相棒となった奴の一部、カプリコルヌスのメリルが机の上のチラシを何枚かムシャムシャ食っていた。ちなみに俺が名付けた、捻りも無いのは俺自身分かってる

 

 

 

「シァァ…」

 

 

「ぐぇっ!『スリープ』!頸動脈を絞めんじゃねえ!」

 

 

 

更に今までずっと俺の首に巻き付いて大人しくしていたツチノコ、スリープが力んで首を絞めて来やがった!この蛇しょっちゅう寝てるから面倒は少ないんだが、俺といる時は大概首に巻き付いている

 

 

 

「…キィィ」

 

 

「『ジーク』、お前は強がりだよな…遊びたいならそう態度で見せりゃいいのに」

 

 

 

そして今俺の肩に止まったちっさい鷹、サンダーバードのジークだが、こいつはいつも自分の意思を逆の態度で示す困ったちゃんだ。まあ裏返しを分かってりゃ扱いやすい奴なんだが…現に肩に止まってそっぽ向いてるクセに、俺の方にジリジリ近付いているし

 

 

 

「フンッ…」

 

 

「あらあら、『プライド』君は興味無さそうですわね?」

 

 

 

だが…俺が最も頭を悩ませるのは、塔城の隣で優雅に寝ているライオン、プライドだ。こいつは使い魔になってから分かったんだが非常にプライドが高い奴だ。自分の認めた連中以外には毛すらも触れさせないという面倒な性格をしている。現に触れるのは朱乃さん、アーシア位で、他の奴なんて近付いたら牙を見せて威嚇していた…主人に触れさせないとはこれ如何に?

 

 

 

「プライド…お前小型化出来るならさっさとなれ。誰か来たらタマったもんじゃないぞ?」

 

 

「…フンッ」

 

 

 

イラッとする態度でそっぽを向く。こいつ本気で毛皮剥ごうか悩む所だ。あの使い魔の爺が言うには、他の連中もなろうと思えば一時的に大人の姿になれるらしいんだが、こいつら自身なる気も無いし、プライドがそうさせないだろう

 

 

俺の使い魔達についてだが、あくまで予測の域を出ない考えではあるが、プライドを王とした主従関係なのではないかという説がある(使い魔の爺の見解)。元がキマイラという一体の生命体だったのでなく、何らかの外的要因…つまり何者かによる強化の影響によって、偶然にも合体能力を身に付けてしまったのだろうというのが、俺達の最終結論だ。ちなみにラッセー、青いチビドラゴンはプライドに怯えていたらしく、他の奴らとは良くつるむ。どうも俺達がこいつを見つけた時、屈する事はドラゴンのプライドに関わるから、意地になって威嚇していたんだと。本人の話を聞いちゃいないが

 

 

 

「まあいいじゃない、賑やかで。さ、今日は特に何かある訳では無いし、これ位で解散しましょう」

 

 

「はいさ、おい全員。帰るから戻れ」

 

 

「…グルッ」

 

 

 

グレモリーの一言の後、俺が使い魔全員に指示を出すと、全員素直に集まり魔法陣の中に消えた。こういう命令には素直だから、何とも言えない奴らだ

 

 

そして俺達は部室を跡にし、朱乃さんとグレモリーを残して帰路についた

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、賑やかになりましたわね?」

 

 

「そうね…」

 

 

部員が帰った後の部室。二大お姉様と称されるグレモリーと姫島は、悪魔稼業の際書かれるアンケートの整理などを進めていた

 

 

 

「しかし…タカシ君は本当に面白い子だと思いますわ。あれだけ私達を忌避したような素振りをしているのに、悪魔稼業には真剣に取り組んでますし、部長との勉強会にも必死に参加して…何よりそれが実を結んでいるのですから」

 

 

 

姫島はそこまで言うと、自分がまとめた、契約者のアンケートの束へ視線を落とす。それは丁度、話題の中心である近衛のものだった

 

 

 

「契約を既に六割も達成させ、出来なかったとしても、アンケートを見る限りとても満足しているのが分かりますわ…学校での成績も、つい最近のもので学年100位内に入ったそうですし。この変化は何を表しているのでしょうか」

 

 

「…いいえ、何も変わっていないわ。タカシは最初から努力家だったのよ、きっと…でも彼の境遇が、それを今まで全面に押し出せなかったというだけ。…だから私が、もう少し面倒を見てあげないと」

 

 

「…随分と、タカシ君に肩入れしますのね。彼は悪魔でもなければ眷属でもない。いくら『赤龍帝』であろうとも、そこまでする必要があるかどうか…」

 

 

 

何か物憂げに近衛について語るグレモリーに、姫島は先程までの"副部長"としての姫島ではなく、"親友 姫島朱乃"の目でグレモリーへ語り掛けた

 

 

 

「だからといって、タカシをこのまま放置する訳にもいかないわ。彼は余りにも異質過ぎる、己を『仮初め』と自覚しながらも、次第に得体の知れない何らかに目覚め始めている。この前の使い魔の件で、それは証明されているはずよ」

 

 

「謎の力、ですか…」

 

 

 

グレモリーは既に、近衛の変化に気付いていた。いや、気付かざるを得なかった。それは本能的に危機感を覚え、彼女は自分の兄、現四大魔王の一人へ報告を入れていたりする

 

 

 

「もう彼は無関係じゃなくなった。そしてこれから起こる騒動の中心には、必ずタカシがいる…そう思えてならないのよ。彼がどれ程強いのかなんて嫌でも理解しているわ。彼の精神がどれ程強靭なのかも理解してる。でも…彼はまるで子供のように弱く見える時がある。それを見ると、とても黙っていられないの…」

 

 

「…リアス、余り彼に肩入れするのはどうかと。それに今のあなたは」

 

 

「親友として心配してくれるのは嬉しいけど、その必要は無いわ。それに部室の中では部長…でしょ?」

 

 

 

姫島の言葉は続かなかった。まるでその先の言葉が読めたかのように、グレモリーは言葉を重ねて姫島の言葉を遮った

 

 

 

「……はい部長」

 

 

 

姫島もそれ以上は踏み込まない。親友で有り続けたからこそ、今のグレモリーに言葉はいらないと判断したのだ

 

 

 

「失礼します」

 

 

「ええ、お疲れ様」

 

 

 

姫島はグレモリーへ一礼し、その場を跡にした。残るは部長であるグレモリーのみ。彼女は何を想うのか、その表情だけでは分からない

 

 

 

 

その時、彼女の背後で、銀色の光が瞬いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部室から帰って、俺はアーシアといつも通り飯を食った後、一人ベッドの上で寝転がる

 

 

 

「…おいドライグ、聞こえてんなら返事しやがれ」

 

 

 

左手を眼前へ運び、俺は『赤龍帝』である赤い龍へと語り掛けた。だけどあいつはあの夢以来、ちっともコンタクトを取りに来ない。奴が目覚めさせたとかいう俺の力、それを問いただすには本人に聞くのが手っ取り早いはずだ

 

 

 

「…もし、あの夢が本当に起きたとしたら」

 

 

 

あの灰色の龍、謎の力、何者かとの会話。どれもこれもが俺に関係するのだとしたら、間違い無くあの悪夢は"起こり得る"。最早勘じゃなく、そう予感させられるんだ。…俺はそんな未来望んじゃいない!

 

 

 

「って、何だ!?」

 

 

 

とかシリアスに考えてたら、部屋が光り出した!?良く見ると、俺の部屋の地面に見覚えのある赤い魔法陣が展開されており、そこから徐々にある人物がせり上がって来た。てか見覚えがあり過ぎてげんなりしてきた

 

 

 

「いい加減プライバシーとかそういうの尊重してくんねえかな部長?」

 

 

「……」

 

 

 

そこには紅い髪をなびかせたオカ研部長にして悪魔の、リアス・グレモリーがいた。だけど何だ?顔がとんでもなく切羽詰まった表情だ。この感じ…こいつが悩んでた時のだ

 

 

 

「タカシ、頼みがあるの…」

 

 

「…何だよ神妙になって気持ちわる「私を抱きなさい!」…は?」

 

 

「私の処女を貰って頂戴!至急頼むわ!」

 

 

「はあぁ!?」

 

 

 

訳が分からん!何!?真剣なお悩み相談がそういう相談だったの!?てかこいつ力強えんだよ!悪魔の膂力舐めてた!しかもいつの間にか馬乗りされてたし!

 

 

 

「グレモリー!お前自分で何言ってんのか分かってんのか!?」

 

 

「ええ、しっかりと…タカシは初めてかしら?私は生憎経験が無いの。出来ればあなたの知っている知識で事を進めてくれて構わないわ」

 

 

 

あれよあれよと服を脱ぐ美女が上に。いつの間にか下着姿になってブラへ手を掛けてるし!クソ、頭がクラクラしてきた…こんな刺激の強い状況考えた事もなかった!

 

 

 

「…色々考えたのだけど、これしか方法が無いの。それに、あなたになら…私の初めてを捧げても良いと思ったの」

 

 

「……」

 

 

 

グレモリーのブラが外れ、遂にそのたわわな胸が露わとなった…だけど今の俺にそんな現状が迫っていても関係ねえ

 

 

 

「ふざけてんのか?」

 

 

「え?っ!?」

 

 

 

思わず俺はグレモリーを突き飛ばし、さっきとは逆に上から覆い被さる様に四つん這いとなって、驚いて固まっているグレモリーの目を見た

 

 

 

「こんな一生に関わる事を"方法"だと?大概にしろ馬鹿野郎!俺はお前の便利なオモチャか!あぁ!」

 

 

「そ、そんな…違うわ!」

 

 

「違わねえよ!俺はてめえの都合に合わせて、抱くなんて男女の仲で一番重要なことを!簡単にやらかす程軽く見ちゃいねえんだよ!焦って処女喪失して何が解決するってんだ?てめえがこれ見よがしに悩み続けた何かがか?その程度で解決することなら、端から悩んでる顔を人に見せつけてんじゃねえよ、この構ってちゃんが!」

 

 

「っ!!あなたに何が分かるって言うの!?あなたに私の悩みが分かるっていうの!?」

 

 

 

俺の怒りに食い付いてくるグレモリーは、涙を潤ませながら俺に怒鳴り返して来た

 

 

 

「知ったこっちゃ無えよ!他人の事情やらまとめてそっくり理解出来る人間がこの世にいてたまるか!ただ言えるのは、"俺はてめえが思い詰めたら助けるだけだ"!」

 

 

「なら!…なら、どうして助けてくれないの…?」

 

 

「決まってんだろ!!こんな事じゃてめえを救えないからだろが!」

 

 

「っ!!」

 

 

 

目を見開いて驚いているグレモリーを見て、はっきりと言ってやる。そうでもしねぇとこいつは理解しないだろうしな…裏を返せば、それだけ追い詰められてるってことだ

 

 

 

「ここにおられましたか」

 

 

「っ!?また違法者が増えただと!?」

 

 

 

だが俺の知らぬ間に、どうやらまた新たな刺客が現れた。銀色の魔法陣から現れた銀髪の…メイド?ただ、めちゃくちゃ美人だ。そしてこいつから感じる桁外れの気配は、この女の異質さを物語っている

 

 

銀髪メイドは魔法陣から現れると、射殺すように俺へ殺気を放ちながら、グレモリーと話し出す。…あ、そういえば俺グレモリーに襲い掛かってるみたいな格好だったな。そりゃ睨まれるか。とりあえずグレモリーから離れて、メイドと同じく立って応対する

 

 

 

「こんな真似をして…今回の件を破談に出来るとでもお思いでしたか。それにそのような下賤な輩へ初めてを捧げようとは…お父様や魔王様が悲しまれますよ?」

 

 

「私の初めては私のものよ!誰に捧げようと私の勝手だわ!それに私のげぼ「部員だ」…部員を、タカシを下賤呼ばわりすることは許さないわ!例え魔王の『女王』であるあなたでもね!」

 

 

 

途中ツッコまなければならなかったので横槍を入れたが、さっきから聞く限り、このメイドはグレモリーの家の者らしい。てか女王ってクソ強えんじゃねえか?

 

 

 

「タカシ?とすると彼が?」

 

 

「ええ、人間にして『仮初めの赤龍帝』、私の大切な部員、近衛剛よ」

 

 

「人でありながら、赤龍帝である二天龍に憑かれた者…こんな変哲も無い少年が…」

 

 

「確かに普通の男の子ですが、そんな目で人を見るのはどうかと思うんです」

 

 

 

何となく、半信半疑な目を向けて来るメイド。そんな目で見られたってさ?こっちだってなりたくてそんな痛い名前の存在になったんじゃないやい!

 

 

 

「これは大変失礼しました。それとご紹介が遅れましたが、私、グレモリー家の元でメイドを勤めておりますグレイフィアと申します」

 

 

「これはご丁寧に。で?礼儀正しい割には、法律ほったらかして不法侵入してるところどうよあなた?」

 

 

「今にもお嬢様に襲い掛からんとしていたあなたは、校則や社会倫理に触れているのでは?」

 

 

 

言うじゃねえのこのメイド…

 

 

 

「そのお嬢様に押し倒されて、逆レイプされそうだったから押し返したんですよ。お説教してて格好があれな感じに見えただけ。てかメイドさんなら、この人に淑女の嗜みを叩き直してあげて下さい。年頃の男と同じベッドで、全裸で寝るとか今時の貴族の流行ですか!おまけに事あるごとに報告もなしに勝手な事決めたりと!」

 

 

「確かにそれははしたない。それにお嬢様の我が儘や勝手な所は今も変わっていないようですね」

 

 

「あら?意外にも理解者なようで、聞いて下さいよメイドさん!この前なんかこの人ねぇ…」 

 

 

「グレイフィアとお呼び下さい。まあそんな事が…いつもいつもご迷惑を掛けているようで」

 

 

「いえいえ、悪魔は皆変態趣向でも持ち合わせてるのか本気で疑ってたので、あなたがまとものおかげで疑いは晴れました!後俺もタカシで構いません」

 

 

「二人してご近所の会話みたいなことしないで頂戴!しかも二人して酷くないかしら!?」

 

 

 

何だいこの部長は、今共に同じ苦労を知る人と和んでるんだが?

 

 

 

「仕方ないなぁもう…グレイフィアさん、この話はまた別の日に」

 

 

「そのようですね。では話を戻しましょうか」

 

 

「…何故かしら、目から涙が…」

 

 

「部長、メソメソしてたら進まないぞ?」

 

 

「誰のせいよ!」

 

 

 

知ってる、俺だけど何か?

 

 

 

「うぅ…いいわ、話は後にしましょう。朱乃を呼んで、私の根城で事の次第を話して頂戴」

 

 

「『雷の巫女』ですか、その方がよろしいかと。『王』が『女王』を側に置くことは当然ですから」

 

 

 

どうやら撤収のようだ。グレモリーのシャツを肩に掛け、スカートを持ったグレイフィアさんは再び魔法陣を出し、転移の準備を始めた

 

 

 

「ごめんなさい…迷惑だったわよね?」

 

 

「聞くまでも無いだろ。てかさ部長?これだけは言わせろ」

 

 

 

別れ際のグレモリーの口元に、俺は人差し指を当てて強く言い放つ

 

 

 

「明日ワケを話せ。出来る限り助けてやる!だから二度とこんな自棄みたいな真似は止せ」

 

 

「…タカシ」

 

 

「ほら行け、人を待たせんのは良くな…っ!?」

 

 

 

そこで終われば良かったのに、俺は見てしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

グレモリーの瞳に移った"血塗れの俺が"

 

 

 

「ひっ!」

 

 

「タカシ!?」

 

 

「!?」

 

 

 

情けねえ声を出して、俺はベッドに躓き、尻から転けた。今のままじゃグレモリーの顔が見えない…体が震えて上手く動けねぇ…!

 

 

 

「どうしたの!?どこか具合でも」

 

 

「来るな!」

 

 

「っ!!」

 

 

「…今は、無理だ。頼む、何も聞かず行ってくれ…」

 

 

「…グレイフィア、行きましょう」

 

 

「ですが…分かりました、お嬢様」

 

 

 

今回は意図を汲んでくれたようだ。足元だけ見て、グレモリーは魔法陣の中に入った

 

 

 

「タカシ…明日、あなたのこと話して頂戴」

 

 

 

そう言って、グレモリーは魔法陣で転移し、部屋は再び沈黙となる

 

 

 

「……悪い、多分…無理だ」

 

 

 

誰もいないけど、俺は静かに返答を口にした……っ!?

 

 

 

「なっ!?」

 

 

 

するとどうだ、不意に左手で抑えていた右手を見ると、手の甲に紫に輝く宝玉が埋め込まれていた

 

 

 

「くぅ…!消えろ、消えろ!」

 

 

 

必死に左手で手の甲を殴りつけた。意味が無いのは承知の上でだ。だけど意外にも、宝玉はそれに応じるかのようにふフッとその姿を消した。まるで何も無かったように

 

 

 

「……畜生」

 

 

 

怖い、どうしようもなく。この得体の知れない力が

 

 

 

 

"怖い"

 




モンハン4デビュー!
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