今の状況を整理すると、夢でしかなかった出来事を追っていた俺の目の前に、黒いコート来て帽子被ったロン毛野郎が現れた
「…季節外れやしないか?今は春だけど…」
「これは普段着故に気にする事はない」
意外と普通に返してきた男は、ゆっくりとこちらに歩み寄る。だがこいつ、明らかに普通とは違う何かがある。それにさっきから゛左手゛が疼いて仕方ねえ!
「少年、悪いが死んでもらおう」
だが間もなく事態が動く。目の前の男から、一対の翼が生えたのだ。それは見間違えることもない。あの痴女と同じ、カラスのような黒い翼だったのだ
(ちっ、面倒臭せえ!あの夢の女関係の野郎か!)
つか何でだ?今ここに夢が現実だと受け入れ始めてる俺がいる。普通あんな奴見たら驚くはずなのに
「生憎てめえみたいなカラスに殺されて終わる人生なんて真っ平ごめんだね」
「何だと!」
いや考えてもみろって。何でいきなり死ねとか言われる筋合いがあんだ?人の命軽く見てんじゃねえよクソ野郎が
「…あぁ何か無性に腹立ってきた。一発殴んねえと治まりそうにねえわこれ」
「貴様が私を?くっ!はっははははは!人間無勢が堕天使の私を倒せるとでも?」
ロン毛が空飛びながら高笑いかましてやがる。ああいう奴基本泣かされて帰ってくんだよな~、経験則からして
「そういえばここはレイナーレが神器持ちのガキを殺した場所だったな!貴様も神器を持っているようだな。ならばここで殺しておいて損は」
「おいロン毛、何さっきから平気で人の死を適当にあしらってやがる」
「なっ!?」
どうやらこの自称堕天使共は俺と相成れないと見た。俺みたいな両親の死に古傷抱えてる人間からしたら…この馬鹿は俺の神経を逆撫でし過ぎたってやつだ
「な、何だその魔力は!?人間がそのような魔力をーー」
何か言ってるみてえだが知ったこっちゃねえ。取り敢えずは神器?セイクリッド何たらってのが俺にはあるらしい。更にはこれを脅威と言っている…一発殴る力位はあんだろ
「御託はなしだ。てめえを殴って首から下地面に埋めてやらぁ…覚悟しろ!」
次の瞬間、疼き続けていた俺の左手が輝く。手の甲には緑の玉が生まれ、色が赤い大きな篭手が出現し、俺の武器となる
「これが、神器…」
詳しい事なんかさっぱり知らねえ。まず昨日の今日でこんなファンタジーな非日常を体験するだなんて思いもしなかった。だけど左手に装備されたこれは、確実に俺の力になるという確信があった
「…くっははははは!驚かせおって!何かと思えば『龍の手』ではないか、そのような低級神器で私を倒せるとでも思ってるのか!」
だがどうだろうか、空飛ぶくそロン毛は俺の神器を見てまた高笑いしてる。最早小物臭で鼻が曲がるレベルだな。除菌してやろうか?
「一般的な神器か…じゃあ冥土の土産に能力教えろよ」
「何だ、もう諦めたか。いいだろう、その神器は持ち主の力を倍化する能力がある。まあそれだけしか持たんのだがな」
…もう悪口もする気起こらない程アホだこいつ。光る槍っぽいの作って構えてるけど、自分の仕出かした意味分かってねえだろ
「はぁ~そうかいそうかい。んじゃ、早速」
「ふっ、潔く死ぬ覚悟が『Boost!』っ!?ぐはあ!?」
気障っぽく決めようとしてた地表4m辺りのカラス一匹に左ストレートをぶち込んでやった
「冥土の土産に俺のKOパンチ貰ってくれや」
「ぐっ!このクソガキがああ!!」
すると何とか滞空したロン毛が槍を投擲してきた。つかまだ俺空中なんだけど!?
「くっ!南無三!」
取り敢えず今は勘に任せる!篭手で直撃を防ぐなんて論外だ、けど避けられない。なら!
「ちっ!上手く逃れよって」
「いだっ!てっ!あたたた…ギリギリか」
危ねええぇ!篭手の耐久力を心配したけど、側面叩いていなす位は出来るみてえだ。その代わり受け身なしで地面に叩きつけられたのがな…贅沢言えねえか
「ならば接近すれば!」
「っ!?」
っと、今度は近付いて戦おうってか。確かにあの投擲からして膂力は人間を凌駕してるだろうな…
「残念でした」
「っ!ぐふっ!かっは…!」
でも人間ってのは弱いからこそ技術でカバー出来る生き物なんだよねぇ。今のもやってみたって程度だけど、低空飛行で近付いてきたロン毛の更に下に潜って左アッパーを腹に入れた。かじる程度でボクシングやってみた甲斐があった。そして俺の勘よ!最早才能でしょこれ!
「まだだ」
これで心置きなく
「何!?」
こいつを袋たたきに出来る!!
「おらああああああ!!」
『Boost!』
次の瞬間、俺の左手が更に輝きを増し、俺は腹にめり込ませた左手をそのまま上に掲げ、真下へ振り下ろす
「がっ!!…ば、馬鹿な」
「人間の底力だ!あの男の、兵藤一誠の死を軽く見た罪は重えぞ!!」
そしてもう一度左手を引き絞り、トドメに移る
「調子に乗るなクソガキイイイイイ!!!」
だが向こうさんもプライドがあるんだろう。ロン毛もまた一矢報いようと右手に光の槍を作り、俺の顔面へ突き出してくる
刹那、俺の篭手は槍の先端を外側の部分で逸らし、軌道をズラし始めた。篭手と槍が激しく擦れ、火花が散る。だが篭手の部分が過ぎると次第に槍は俺の左腕の外側をなぞるように切り裂く。でも止められねえ、この際左腕犠牲にしてでもこいつをぶん殴る!
「しゃらああああ!!」
「ぶっふぉあああ!!」
そして俺の下段突きはロン毛の顔面を捉え、地面にヒビを走らせた
「はあ!はあ!ざまあみろ!」
ロン毛は意識を手放したようで、右手の槍をこぼし、光の粒子となって消え失せた
「……痛ってえええええ!!!」
けど俺だってまだ人間やめた覚えはねえ!何これくっそ痛え!肉裂けてるって!血が尋常じゃねえ位出てるって!
「やべえ、早く病院!その前に止血!」
「驚いたわ…まさか人間が堕天使を倒すだなんて」
っ!!え?ちょ、待てって!こんな時に新手かよ!
「勘弁してくれや…俺殺し合い初心者だってのに連戦とかねえわ」
地面に突如現れた赤い魔法陣。そこから何者かがせり上がってくると、俺を見て高らかに名を名乗る
「ご機嫌よう、近衛徹君。私の名前はリアス・グレモリー、悪魔よ」
この世のものとは思えぬ白い肌に理想を超えるスタイルを持ち、誰もが羨む美貌を持つ彼女との出会いは、余りにも劇的だった
初戦闘、主人公の戦いは粗があるにしても勘を頼りにするタイプです。しかし有能性はご覧の通りといった感じです
一応ご紹介を
近衛徹(このえたかし)
身長172cm、体重67kg、16歳の高校二年。風貌は至って地味、しかし脱いだら体脂肪率3パーセントのボディを隠し持つ本作主人公
親を無くし親類の人達から援助してもらう形でアパート暮らしをしている。基本の性格はボッチ気質。ただ気に食わない事に対しては全力で排除、または解決しようとする矛盾した所がある。親を無くした過去の影響が強く反映したようで、彼自身独自の世界の見方を有しているようだ。リアス・グレモリー他眷族とは出来るだけ距離を取りたがる
さて、これからどうするか…ご期待下さい