今回はライザー登場、何をしでかす
どうぞ!
次の日、俺は恐ろしく低いテンションで部室へ向かう。両側には木場、アーシアがいる
「タカシさん、本当に大丈夫ですか?いっそのこと今日はお休みした方が…」
「…んぁ?あ、ああ悪い悪い!けど部員全員を招集なんてただ事じゃねえだろ。横になってらんねえわ」
そう、今日俺とグレモリー眷属は部室へ招集を受けて向かっている。…恐らく、グレイフィアさんとの話についてだろう。既に朱乃さんは話を把握して、共にいるはずだ。それに…どうもいつもとは違う妙な気配を感じる。勘が酷く何かを訴えかけてるし、こりゃ一波乱ありそうだな
「だったら、終わった後休んだらどうかな?きっと部長もすぐに、っ!?…こんな近くまで来て気付かなかったなんて…この僕が」
って、木場に至っては今更気付いたっぽい。そんなんで大丈夫なのか、『騎士』よ…
部室へ入ると、かなり重苦しい空気の中グレモリーが座り、両脇に朱乃さん、グレイフィアが控え、塔城がいつも通りの無表情で座っていた
「昨日はどうも」
「こちらこそ」
「タ、タカシさん!この綺麗な方と知り合いなんですか!?」
「偶々会ったんだ。それで知り合っただけ…まあ、グレモリー関係者なのはそこで既に知ってな」
「全員揃ったようね」
アーシアが暴走しかけたので、グレモリーも早々に切り上げて、話を進めようと口を開く
だが次の瞬間、ドアの付近に魔法陣と共に、膨大な炎が逆巻いた
「暑苦しい…」
取り敢えず火の被害を抑えるべく、俺は『魔力の腕』で魔法陣の前を覆うように展開し、炎の進行を遮る。その炎によって腕の形も露わとなるが、別に何か変わるまでもない
「…フェニックス」
今木場から不穏な言葉が聞こえたんだが、その魔法陣から現れたのは、赤いスーツを着崩した金髪イケメン。胸をはだけて、一言で言えばチャラい男だ。しかもめっちゃ気障ったらしく、炎を片手で払って登場してきた
「やあ、会いに来たよ。愛しのリアぶっ!?」
だが奴は気障ったらしくしてたから、俺の『魔力の腕』を目視しないままこちらに寄ってきたので、思いっきり顔をぶつけて転けた。そして俺は悟った…こいつネタキャラだ
念の為、イチャモンつけられないよう即座に腕を解除し、何食わぬ顔をしておく
「くっ、う~…やあ、会いたかったよ。愛しのリアス」
「無かった事には出来ないと思う」
「うるさい!」
いやぁ非常に苦しいやり方だと思うぜこのチャラ男。鼻とか赤いし、てかグレモリー眷属は笑い堪えまくってるし。塔城すら珍しくプルプルして笑ってやがる
「グレイフィアさん。もしかしてこのタイミングの登場って、さっきの話に関係する方って認識で良いんですか?」
「はい、彼はフェニックス家の三男であられますライザー・フェニックス様です。同時にグレモリー家の次期当主…つまりリアス様の婚約者にあらせられます」
「え、えええ!?こ、婚約ですか!?」
アーシアがびっくり仰天してる間に、どうやらチャラ男も機嫌を戻したらしく、ズカズカとグレモリーへ近付いた。…合点がいったな、つまりあいつは婚約相手を勝手に決められて
「ライザー、放して頂戴」
気に食わないから駄々をこねてると。まあ分からんでも無いけどさ?何せ手慣れた動きでグレモリーを抱き寄せてたし、絶対フラフラ女食ってる下衆だろ
「はあぁ、リアスの『女王』が淹れてくれた紅茶は美味しいなぁ」
「痛み入りますわ」
気障っぽく決めてる感じがひっじょ~に痛いチャラ男、もといライザーは朱乃さんの紅茶を評価してるが、どう見ても朱乃さんのお世辞は凍てついてると気付かない点、空気すら読めない阿呆だと分かる
「ライザー、何度も言ってるでしょ?あなたと結婚する気は無いって!」
「リアス?君が駄々をこねていられる程、グレモリー家が切羽詰まっていないとでも?」
「家を潰すつもりは無いわ!」
うわぁ見事な平行線。グレモリーの奴は文字通り駄々をこね続ける。チャラ男はバックを余すこと無く使って退く気配も無し。相当こじらせて来たんだなこの人
「俺としては、君の配下全員を焼き払って君を連れて行っても構わないんだが?」
何か口論が物騒な方向に流れてんぞおい。二人して魔力ダダ漏れにして喧嘩腰だよ…
「そこまでで「止めんかガキ共」っ!?」
「「あたっ!?」」
グレイフィアさんに被せちゃったけど、まあいいや。即座に『魔力の手』を使い、グレモリーの机から厚めの本二冊を引き寄せ、軌道上にいた馬鹿二人の側頭部へクリーンヒットさせた。あ、チャラ男の奴耳に直撃してる。ありゃ痛いぞ~、やったの俺だけど
「お前ら力量測って威嚇しろ。貴族がこんな短気でいいのか全く」
「…殺す!」
だけど次の瞬間、チャラ男がこちらへ向けて炎を放つ。だから場所考えろやこいつ!
「馬鹿正直な野郎だな」
俺が魔力に込め、『腕』を具現化したのと、チャラ男の炎がぶつかったのはほぼ同時だった。視界は真っ赤だけど、壁となる魔力は熱も通さないようだな。魔力って便利
「ハハハハ!さすがはゴミだな!良く燃える!」
「ライザー!あなた何てことを!」
「上級悪魔であるこの俺を軽く見た奴が悪い!死んで詫びるのが当然だ!それに人間だったようだし、下級種族をここに置いていたお前も悪いのだぞリアス!」
何か俺死んだ事になってるし。このままフケてやろうか…いや、癪だし啖呵ぐらい切らせてもらおう
「てめえら勝手に俺を殺してんじゃねえ。後チャラ男、せめて死体確認してからモノ言いやがれ」
俺は燃え盛る炎を『腕』で握りつぶし、視界を戻す。それを見たチャラ男は驚きを表した間抜け面を、部員連中はホッとした顔をしていた。グレイフィアさんの目は、まるで品定めするような目つきで俺を睨んでたがな…勘だが悪い予感しかしない。今の俺じゃあの人は手に余る
「なっ…馬鹿な!タダの人間が俺の炎を!」
「ここにいる時点で普通じゃないこと位ガキでも分かるがな?」
『Boost!』
俺は左手の篭手、『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』を装着し、ブーストを開始する。牽制と迎撃の意味合いを込めてだ
「っ!『赤龍帝の篭手』!?貴様『赤龍帝』か!」
「『仮初め』だがな。どっかの誰かさんよりは強いかもなぁ…」
そう言って悪どい笑みを浮かべてやると、向こうの警戒が一気に跳ね上がった。今更過ぎて呆れてくる
『Boost!』
「俺は駒王学園二年、オカ研部所属の平民…近衛剛だ。ぶっちゃけここの居心地は割と良いんだ、あんま"俺のテリトリー"で好き勝手やってると羽毟るぞ」
「忌々しい…神滅具が無ければただのクズのくせに!」
まあ、否めないがな?それでも有るもの使ってんだ、文句は聞かねえ
『Boost!』
「このままでは拉致があきませんね。ですがそうなる事はこちらも予想済み…お二人とその眷属には、『レーティングゲーム』をして頂き決着をつけてもらいます」
「ん?その単語って…支取さんが言ってたような?」
「いいわ、受けて立つわ!」
「リアス、本気で言ってるのか?俺は既に成人して何度もゲームを経験している。それに比べ君はまだ未成年じゃないか。やるだけ無駄だと思うがね?」
『Boost!』
知らぬ間に四度ブーストしつつ、俺はチャラ男の言動に疑問を感じた。ゲームってのはどうも穏やかなもんじゃ無さそうだし、実力差云々の話をしているのなら聞いておくべきだ
「悪魔の社会では、『レーティングゲーム』は謂わば力の見せ合い…権力の誇示を示すものなんだ。『王』である部長を筆頭とした僕達『駒』は、このゲームの勝敗次第で、出世もその逆も有るんだ」
「リアルチェスって奴か。確かに熟練者にケツの青いガキが挑んでも無駄と思うわな」
「あなたは黙っててちょうだ「だけど」…?」
あくまでこの場で大事なのはそこじゃぁないよな
「これは『誇り』を、望む『願い』を求める戦いだ。退く選択は有り得ねえわな?第一勝率だってゼロじゃない…はず」
「そこは言い切って下さい」
仰る通りで猫娘
「くっ、はっはっは!これだから馬鹿は困る。まともに戦えるのはリアスに『女王』の『雷の巫女』位だ…リアス、君の眷属がこれで全部だとしたら、君に勝ち目は無い」
するとチャラ男は指を鳴らし背後に再び魔法陣と炎を呼び出す。そこにはゾロゾロと人影が見え、派手な演出が終わると、そこには15人もの女がずらりと現れた
「何故ならこちらは駒全てが揃っているんだからな!」
「え?もしかして、こいつこれ見せるだけで勝ち誇ってんの?」
「私にとっては何故あなたがこの光景を見て、そんな涼しい顔をしているのかが疑問に思えるのですが」
どいつもこいつも個性溢れるメンバーなこって。でも各々の平均的な魔力とか存在感らしきもんは高い…んだろうな。最悪いかにも魔法使い的な黒髪のセクシー美女を除く連中は、朱乃さん未満塔城以上って所か
「ご自慢のハーレム見せた所で何にも変わらねえぞチャラ男。そんなの見せても部長が戦意失う訳でもねえし、逆に"この程度"で済んだんなら気張りすぎ無くて済むわ。てか爆発しろよリア充、いや不死鳥っぽいし凍り付けよ。モテない男の嫉妬の鉄槌で心そのものを叩き折られろよ」
「後半の部分が無ければ恰好がついたのに」
事の元凶が煩い。俺もあんま言えた口じゃねえけど、こんなカオス状態でほっとく程俺もまだイカレちゃいねえさ
「さっきから小煩い人間が、そんなに羨ましいか?お前では一生こんな光景作れまい!」
「事実なだけに言い返せねえ!けどそんないつ背中刺されるような光景作る位なら、俺は大人しく諦めるね」
「そ、それならタカシさんの将来は私が!」
こんな時に爆弾投下すんなアーシア、取り敢えず頭を鷲掴みして止める。あぅっとか言ってたが許せ
「こんだけいんのにまだ飽きたらず女の尻を追うかよ。そら部長も嫌がるわ、誠意が見えねえ」
ま、こいつらに喧嘩売る相手の程を見せてやっても良さそうだ。首を回しながら、俺はゆっくりとチャラ男共の下へ歩み出す
「タカシ、何を」
「俺はあんたに付くぜ部長?この野郎は個人的に気に食わねえ」
「止めなさいタカシ、今事を荒げた所で何も変わらないわ!」
「そうだぞ小僧、寿命を縮めたく無いなら尻尾撒いて隅にいとくんだな」
「鳥籠でクソしてなお坊ちゃん。世間知らずがチビって恥かく前に用でも足してな」
徐々にチャラ男共に近付く中、チャラ男の額に物凄い青筋が見えた。おぉおぉキレてるキレてる
「貴様、ライザー様に対して何たる無礼を!」
「何だいセクシー魔法使い、みた感じ『女王』みてえだが、今の俺には絶対勝てねえぞ?」
「何を!」
「落ち着きをユーベルーナ様、こんな地味な男に息を荒げるだけ無駄かと。ここは私が身の程を教えて差し上げますので」
すると俺の前に進み出て来たのは、下っ端らしき棒を構えた女だった。てか恰好よ、ハッピか何かで?祭りで御輿担いでそうな女だ
「邪魔だ」
「あなたこそ」
するとそいつは高速で俺の懐へ潜り込み、棒を握り締めて俺へ突き出してきた
「だから言ってんだろ、"今の俺には勝てない"って」
『Explosion!』
《!!!!》
「っ!!!がっ!?」
ま、チャンスのとこ悪いが、俺は左手でブーストし続けていた篭手を発動させた。ふむ、どうやらいつの間にかストッパーらしきもので五回のブーストから増えていなかったらしい。それでも倍化した俺の魔力は、周りの連中には荷が重すぎたと見た。何か窓ガラスヒビ入ったり部屋が揺れたりしてるし、一番近くにいたハッピ女は棒を取りこぼして呼吸が乱れていた。他の奴らも気圧されて動けないっぽいな、グレイフィアさんはビックリしてるだけで余裕そう…うん、絶対敵に回したくない
「頭悪いだろてめえら。くっちゃべってる間、いつブースト止めてたよ?篭手の事知ってるクセに時間与えるとか片腹痛いわ。今ならチャラ男抜きのハーレム要員なら上手く立ち回れるけど?」
「な、んだ…この魔力量は!貴様人間では無いのか!?」
「鶏の亜種がほざくな、レッキとした人間だよ。…舐めてると火傷すんのはそっちだ」
「タカシ…あなた、元の魔力がまた上がったの!?こんなの…信じられない」
敵味方なしにビビられてるよ…まあ、あの夢があるから、離れててくれるのは有り難いかな
「不死だっけ?なら生き返る事すら嫌になるまで殴り倒してやる。喧嘩売る相手見なかった…てめえの浅はかさを呪え」
「ぐっ…」
余りの差に反論も出来ないようだ。そんなチャラ男を無視して、俺は足元で未だ転がっているハッピ女へ視線を送り、しゃがみ込んだ
「で?問題だ…身の程知らねえのは何処のどいつだ?」
「ひっ!ぁ…」
恐怖に歪む女を更に追い込むように、俺は指で女の顎を持ち上げ、無理やり目を合わさせた
「【消すぞ?】…っ!」
「ひぃぃっ!」
だけど俺は見た。女の瞳に映る自分の姿を
狂気に満ちた笑み、紫の炎を灯した右目を輝かせた…あの龍の特徴を彷彿させる俺の姿を
何だ…今俺じゃない"何か"が言葉を被せたような!
「タカシ!もう止めて!」
「はっ!っ!?え…」
すると俺は、またも驚愕する。俺の意思とは反した動きを、体が取っていた
「あ…がっ…!」
「貴様!その手を離せ!」
「タカシ!やり過ぎよ!それじゃその子が死んでしまう!」
俺は全く知らぬ間に、ハッピ女の首を片手で締め上げ、持ち上げていた。その手に必死に掴みかかるグレモリー。チャラ男共は迎撃しようにも、俺が女を盾にしていて手が出せない状況だった
俺はすぐに手を離し、ハッピ女を地面に落とした。だけど女は呼吸を整えもせず、俺から逃げるように四つん這いで逃げ出し、眷属達へ介抱されていた
「あ…うぁ…」
「貴様…よくも俺の眷属を殺そうとしたな!」
「ち、違…俺は」
「落ち着いて下さい」
一触即発、そんな空間へ何の気兼ねなく待ったを掛けたのは、グレイフィアさんだった
「ライザー様、今はそこの『兵士』の為に早急にここを去るべきかと。決着は後のゲームでいくらでも出来ます」
「だが!」
「これ以上の事は、お二人の仲介ではなく、魔王の『女王』として対処させて頂きます。期日は十日後、それで手打ちにして頂きとう御座います」
「……ちい!人間!十日後のゲーム、お前だけは絶対に生きて返さん!覚えていろ!」
吐き捨てるように叫んだチャラ男は、魔法陣を展開し、眷属共々転移する。その全員の目が、俺に殺気を宿して向けられて、だ…
「……」
『Reset!』
沈黙が支配する中、篭手の効力が失われ、魔力が霧散した。それと同時に胃からせり上がる何かを感じ、吐き出した
その色は、赤
「タカシ!!」
「がはっ!ごぼっ!触るな!!」
「きゃっ!?」
ずっと俺の腕に抱きついていたグレモリーを、俺は無理やり振り解くが、勢いが強く、グレモリーは尻餅をついてしまった
「あ…」
「タカシ、さん?」
分かる、俺に向けてくる皆の視線が。そこに宿る感情が
「…すんません、グレイフィアさん。助かりました…」
「……」
黙りかよ、居心地わりぃな
「…ごめん」
「タカシ…何があったっていうの?ちゃんと説明して!」
「うるせえ!!」
《っ!?》
「俺に近寄るな!側にいるな!皆…皆消えちまう前に、俺から離れてくれ…」
ダメだ、もう居られない。ここに居られる程俺は強くない
「くっ!」
「タカシ!!」
「「「「タカシ君(さん)(先輩)!!」」」」
皆の声を振り切り、俺は学校を離れた
あの夢が現実に起きる予感は、確実に大きくなっていた
タカシ、暴走。次第に見える彼の危険性は、周りは勿論自分すら恐怖を覚えていく
次回特訓編、早めに二巻済ませたい所…
では!