ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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遂に来ました戦闘描写!てかやっとタカシの能力を出せるのが嬉しいです、はい


まずはどうぞ!


進化は真価を引き出す

ゲーム当日、俺は旧校舎へ出発する時間まで自室で待機していた。各々自由な服装で良いらしく、俺は未練がましく平校の制服でゲームに臨むつもりだ。…いや制服とか汚したくないし?使わないんならどうなろうとお構いなしに使えるんで、もれなくこいつにした

 

 

 

「タカシさん、失礼します」

 

 

「アーシア?…どした、不安か?」

 

 

 

丁度平校の制服、見たまんま学ラン姿に着替えた所で、いかにも顔を曇らせているアーシアが部屋に来た。ま、争い沙汰に明らか遠い子だから無理ないか

 

 

 

「はい…出来れば、集合まで側にいても構わないでしょうか?」

 

 

「お安い御用、座ってな。何か淹れて来てやる」

 

 

 

そう言うやいなや、俺は一度下に降りる為、アーシアをベッドに座らせて立ち上がった

 

 

 

「あ、待って下さい!」

 

 

「え!?ちょ、どうした!?」

 

 

 

そしたら急に俺の胸に飛び込んできた、だと!?ちょっとアーシアさん!お兄さんそのアクションには胸キュン…じゃねえよ!てかアーシア泣きそうじゃねえか!

 

 

 

「不安なんです!これから恐ろしい戦いに向かうのだと思うと…怖くて」

 

 

そういうアーシアはゆっくりと顔を上げた。涙を溜めた目で上目遣いは反則だと思う。世の妹を持つ男共よ。本物の妹にこうされた事はあるか?この破壊力は滅びの魔力を凌ぐ!…何考えてんだ俺

 

 

 

「でもやっぱりタカシさんがいたら全然怖くありません!」

 

 

「…そっか」

 

 

 

甘えてくる彼女の頭をゆっくり撫でてやると、子犬のように身じろぎする。そして彼女の今の姿は…あの時守りきれなかった、修道女の時だったアーシアと同じ姿だ

 

 

 

「…絶対守る。アーシアも、グレモリーの自由も…あいつらの思いも、全部」

 

 

「…怖くないんですか?」

 

 

「怖いよ。俺の実力が通用するかは…あのチャラ男の"油断次第"だ」

 

 

 

つまり初めから油断されずに来られると…俺の勝率はゼロだ

 

 

 

「タカシさん…タカシさんは人間なんです。だから…」

 

 

「言いたいことは分かるけどさ。…分かってんだろ?俺は"その程度"で諦めねえよ」

 

 

「…そうでしたね」

 

 

 

アーシアはきっと、俺のゲーム参加を拒んでいる。当たり前か、俺が見せた"策"は爆釣過ぎる。いくら守る為とはいえ、危険なのは素人でも分かる

 

 

 

…またいつもの日々を守りたいが、暗い顔させるのはどうかと自分でも思う。だけど彼女はすぐ、まるで慈しむように微笑みをくれる。そんなアーシアを見た瞬間…写真でしか見たことが無い、母親の笑顔に見えてしまった

 

 

 

「…タカシさん、必ず生きて帰って来ましょうね」

 

 

「おうよ、約束だ!」

 

 

 

この子は戦えない。それでも彼女は…十分皆と戦っている仲間だ。この儚い女の子は、心が強い。意志の強さなら、きっと生まれながら上級の座にふんぞり返ってるあのチャラ男の、何倍も強い…そんな思いに応える方法は、何だ

 

 

 

やることはやった。新しく約束して、守る覚悟は出来た。もう、ビビってる暇はねえ!

 

 

 

「絶対に、勝つ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員揃ったようね」

 

 

「部長は落ち着いて…無さそうだな」

 

 

 

時間が迫り、俺達は部室へ足を運ぶと、他のメンバーは各々の準備の仕方で開始を待っていた。中でもグレモリーと姫島は落ち着いて紅茶を飲んでいる…ように見えるが、あれは冷静って言うよりは"冷静である自分を演じてる"感じだな

 

 

 

「はあ、なあ!全員聞いてくれ!」

 

 

《?》

 

 

 

怪訝な顔でこちらを見る奴らを確認した上で、俺は一度息を吐いて前置きをつくる

 

 

 

「これ終わったらさ?ここで祝勝会上げようぜ」

 

 

「え?」

 

 

「…タカシ先輩、それは先急ぎしすぎです」

 

 

「イベントが待ってるならやる気も倍ってやつだろ?…今を先に繋げるって思うなら、この考えも悪くねえと思う」

 

 

「そうね、いいかもしれないわ。それにしてもタカシ、どういう風の吹き回し?」

 

 

 

グレモリーが言いたいのはあれだ。普段絶対言わない事言ってる俺を不思議に思ってるって感じ?

 

 

 

「たまにゃこういう事言うんだよ俺も!あ、ちなみに祝勝会の飯は部長が作って」

 

 

「何で私だけ!?」

 

 

「主が下僕に褒美をやるのは当然では?」

 

 

「あら?それはあなたも下僕になるということかしら?」

 

 

「まさか、健気な後輩にご褒美くらいいいじゃねえか」

 

 

「…どの口がそれを言いますか」

 

 

 

おぉおぉ相変わらず毒吐いてくれるねぇこの猫

 

 

 

「小憎たらしい後輩だよお前は」

 

 

「…グリグリしないで下さい」

 

 

 

取りあえず意趣返しで頭をガシガシ撫でる。反応が薄いのが逆に面白い

 

 

 

「じゃあ木場が買い出し担当」

 

 

「使い勝手が荒くないかい?」

 

 

「はっはっは、男手は重労働担当が宿命なんだよ!ちなみにイケメンは特にアウト」

 

 

「醜い嫉妬ね…」

 

 

「はいそこ黙らっしゃい!」

 

 

 

ふむ、中々緊張感が和らいだな。これなら力まなくて良さそう

 

 

 

「開始10分前です。参加者はお揃いでしょうか」

 

 

 

すると銀の魔法陣から銀髪のメイド、グレイフィアさんが現れ、最終確認に入った

 

 

 

「ええ、準備は出来ているわ」

 

 

「左様ですか。今回のレーティングゲームはご両家の皆様に中継され、魔王ルシファー様、シトリー家次期当主であるソーナ様もご覧になられます」

 

 

「そう…お兄様が直接見られるのね」

 

 

 

ちょい待て驚愕カミングアウト!何故兄貴が魔王!?お前どんなボンボンだよ!

 

 

 

「うわぁ超有名所の名前じゃねえか。是非とも関わりたく無い」

 

 

「…既に手遅れ」

 

 

 

トドメは忘れねえな、塔城…

 

 

 

「そういや会長は顔出ししないんだな?見てるならてっきりここに来るのかと思ってたんだけど」

 

 

「ソーナ様なら、タカシ君とアーシアちゃんが来る前に尋ねて来られましたわ」

 

 

 

なるほど、行き違いか

 

 

 

「あれ?部長アニキがいんのに次期当主なのか?」

 

 

「先の大戦で魔王様が亡くなられたのはご存知でしょう?しかし魔王無くして悪魔は有り得ない…つまり」

 

 

「…空席を埋める必要があるから、有能な人材を代わりにその座へ振り当てた…て訳ね。なるほど、家の名を無くしたなら、それは自然と次の血縁、妹になるのか…苦労なこったな」

 

 

 

ま、それも今から尻拭いせにゃならんのだ。顔見せたら文句くらい言わせてもらうか

 

 

 

「そろそろ時間です。皆様魔法陣の方へ。開始時間と共に転移が始まり、戦闘フィールドへ皆様には移っていただきます。何をして下さっても使い捨ての空間なのでお好きにどうぞ。なお一度転移すればゲーム終了まで魔法陣での転移は不可能となります」

 

 

 

一通りの説明が終わると、魔法陣が輝きを増し、俺達を包んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部長、何も変わってない様に見えんのは俺だけ?」

 

 

「心配しないでいいわ」

 

 

 

さっきまでの朗らかな表情が、皆一気に引き締まっている。…そろそろ俺も切り替えていくか

 

 

 

『両チームの皆様、今回レーティングゲームの審判役(アービター)を務めさせて頂くグレイフィアでございます』

 

 

 

だがどこからともなく響くグレイフィアさんの声は、既にゲームが始まっている事を如実に語っていた

 

 

 

説明を聞いた限り、今いるこの部室…ていうか駒王学園そのものは複製された空間のようだ。しかもかなり精巧な出来なもんだから驚いたもんだ。悪魔に常識を当てはめるべきではない

 

 

 

俺達の陣地は旧校舎、チャラ男共は新校舎生徒会室。俺たちに有利な地形を選んだのは、配慮という名の油断に他ならない。また『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の『兵士』の特性、『昇格(プロモーション)』を行うには各相手陣地内に侵入することで条件が解放される。歩兵の成金同様、有象無象と放っておくのは痛い連中、ってこと認識でいいだろう

 

 

 

制限時間は夜明け、どちらかの『王』が『投了(リザイン)』叉は失格が勝利条件だ

 

 

 

『それではレーティングゲームを開始します』

 

 

 

チャイムの音が合図に、悪魔同士の"殺し合い(ゲーム)"は始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、まずはどう攻めましょうか」

 

 

 

合図の後、冷静に行動の確認を始めるグレモリー

 

 

 

「チェスの基本ってさ、確か真ん中を陣取る必要があんだろ?」

 

 

「そうだね、常套手段だと新校舎裏のグラウンドを行きたいけど、ここはライザーだって駒を置いているはず」

 

 

「ここの真ん中は体育館、そこが私達の要になる。でもそれは向こうもお見通し」

 

 

「数の暴力を考慮するなら向こうの『兵士』を片しておきたいな。小出しして攻めてくるのは確定。丁度優先順に3、3、2で分けてくるのが向こうの常套手段だな」

 

 

「…随分と手際がいいのね」

 

 

 

失敬な、俺の勤勉具合はこいつが一番知ってるだろうに

 

 

 

「生き残るにゃ頭を使う。人間の美点だよ」

 

 

「…人間?」

 

 

「コラ猫、疑問形は要らんぞ」

 

 

「…まあ、いいわ。話を戻しましょう、祐斗と子猫はトラップを、朱乃は結界と霧を張って頂戴」

 

 

《はい部長!》

 

 

 

そして各々の準備が指示される中、俺はというと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Boost!』

 

 

「っ!?タカシ!?」

 

 

 

グレモリーを筆頭に全員が俺の行動、つまり篭手を装着、起動して窓に向かったことに驚愕する

 

 

 

「タカシ!何をするつもり!」

 

 

「いんや?ちょいと"罠に嵌めてやる"だけだ」

 

 

『Explosion!』

 

 

 

一度のブーストと共に魔力を倍化、操作を行う。すると俺の意思に従い、左手の中に赤い炎が灯る

 

 

 

「しゃあ!開幕祝いだ!派手に上がれ!」

 

 

「ちょ、待ちなさ「たーーまや~~~!!」」

 

 

 

その直後、グレモリーの静止を掻き消す程の爆発…いや

 

 

 

 

特大の打ち上げ花火が学園のど真ん中、即ちグラウンドの方へと上がった。さて、お次は魔力で風を操って、と

 

 

 

『おいコラこのチキンボーイ!!今からズタボロに叩きのめしてやっから今の内に用でも足してな!!後でチビって恥かかねえようにしてな!!』

 

 

 

左手で円を作り、それを魔力操作の応用で拡声器に変えて叫び倒してやった。何?才能の無駄遣い?何の事やら

 

 

 

「……はぁ、もう台無しだわ」

 

 

「何が?弄られ役が珍しくシリアスしてた事か?」

 

 

「それを明らか私に向けて言っているのなら今すぐそこに直りなさい!」

 

 

「皆~早く準備した方がいいぜ?"こっちの罠は張ったから"」

 

 

 

取りあえず通称弄られ役を無視して他の連中を促す。凄い心に来る視線を受けたがスルーする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、タカシ…さっきは突然の事で気付かなかったけど、"罠を張った"とはどういう意味?」

 

 

 

眷属連中が罠を張りに行ってしばらく、グレモリーはようやく俺の言葉に疑問を抱いた

 

 

 

「なあグレモリー、格下が自分達より派手なことをして、尚且つ舐めた態度で喧嘩売って来たらどうする?」

 

 

「それは勿論舐めた事を後悔させる位完膚無きまで…てまさか」

 

 

「そういうこった。挑発は何よりも罠に適してるんだよ。あれの性格からして軽くあしらう程の器量は皆無だろ?そして眷属共のあの心酔様…今頃カンカンに怒ってるんじゃねえか?」

 

 

 

最も、"それ自体がブラフ"なんだが、これは誰にも言わない。何せ奇策に嵌めるならまず味方ごと騙す必要があるからな

 

 

 

「…あまり良い作戦とは呼べないわね」

 

 

「何、泥を被るのは仕掛けた本人だけだよ。以前の時と相まって、確実に俺を集中放火してくるだろうしな」

 

 

「それが、それがあなたの狙いなの…?」

 

 

「おぉ、ただ自己犠牲とか思うなよ?"俺の策"では集団を絡め取る事を前提にしてんだからな」

 

 

 

危険、それを分かってるからこそグレモリーの目は厳しい。アーシアも必死に俺を止めたい気持ちを、我慢しているようだ

 

 

 

「分かってるでしょうね?あなたの"あの策"は命を削る…無茶すれば本当に」

 

 

「俺は死なない、アーシアと生きて帰るって…約束したしな?」

 

 

「っ!…はい!」

 

 

 

ここできっちり約束しねぇと止められ兼ねない。一応の許可はもらったんだし、俺も気合い入れますか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先に行ってるよ!」

 

 

「上手くやれよ木場!」

 

 

 

あれから少しして、俺達は行動を開始した。俺は塔城と体育館の制圧、木場は別行動で、朱乃さんは撃破要因で待機、グレモリーとアーシアは本陣で待機という感じだ

 

 

 

「…悪魔って何でもありなんだな。学校丸々一つどっかに作っちまうんだから」

 

 

「それをあなたが言いますか…確かここから演壇に上がれたような」

 

 

 

何か猫娘が地道にツッコミスキルを上げてるんですけど…あ~やだやだ

 

 

 

「…気配、敵」

 

 

「そこにいるのは分かってるわよ!グレモリーの下僕さんたち!」

 

 

 

どうやら既に存在に気付かれていたようだ。その言葉に塔城がヒョコヒョコ姿を晒そうとするので、俺は無理やり腕を引いて止める

 

 

 

だけど俺は勘違いしていた。『戦車』の特性が常時発動している訳ではない事に、俺は気付けなかった…結果的に言えば、バランスを崩した塔城が俺の腕の中にすっぽり納まった

 

 

 

「にゃ…にゃにゃにゃ…!、?」

 

 

「あ~…すまん」

 

 

 

ぶっ飛ばされると思ったら、何この小動物!?顔真っ赤ですぜ!?畜生、これだからこの猫は憎めないんだ

 

 

 

「はぁ…ま、とりあえずここは俺に任せてくれ」

 

 

 

未だ回復しない塔城をそっと座らせ

 

 

 

戦闘準備に入る

 

 

 

「『狙撃拳(スナイプ・ショット)』」

 

 

 

次の瞬間、右手に魔力を集め炎を生み出しながら、高速で拳を放ち、火炎弾を放った

 

 

 

《…え?》

 

 

 

そして俺が放った痕跡を見た敵の団体は、一瞬で顔を青ざめた。何せ放った軌道が全員の頭スレスレで通り過ぎ、あまつさえ背後の体育館の壁が綺麗な円形で消え去り、その奥の木も何本か消し炭になってるんだからな

 

 

 

「さて、一番乗りはお前ららしいから、初回特典として遊んでやるよ…覚悟してろ」

 

 

「ひっ!?」

 

 

 

すると明らかに怯えすぎな奴が一人。てかこの前のハッピ女か、そりゃビビるわな

 

 

 

「貴様!舐めた真似をしてくれたな!」

 

 

「ライザー様をあそこまで侮辱するだなんて許さないんだから!」

 

 

「ミラを怖がらせるな地味人間!バラバラにして埋めてやる!」

 

 

「おい最後、地味とか言ってんじゃねえぞコラ」

 

 

 

酷い言われようだが、どうやら挑発は上手く行ったらしい。"本命"もバレてないし、こりゃ良い兆候だ

 

 

 

「はぁ…でも確かに、あの時の所業は俺に非があるしな」

 

 

 

相手に確固たる差を見せつけ、尚且つ謝罪をするために

 

 

 

「ごめんなハッピ女、俺が悪かった」

 

 

《!!?》

 

 

 

俺は一瞬の内にハッピ女の横へ移動し、片膝をついて謝る。ま、身体強化と地面に氷を張って、慣性の法則を利用した瞬間移動法ってやつを試したんだがな

 

 

 

「あ、えと…え?」

 

 

「あの時の俺は未熟だった。だから力に飲まれかけたが、もう遅れは取らない…俺は俺の意思で、全力でお前たちを倒す。約束だ」

 

 

「…あ」

 

 

 

俺はそれだけを告げ、ハッピ女から引き下がる。他の奴らは色々事態に追い付けてないようだ

 

 

 

「呆けてる所悪いが、倒させてもらうぞ?」

 

 

「はっ!?き、貴様ああああ!!」

 

 

 

だけど向こうもようやく再起動した様子。魔力量的にこの中でトップのチャイナ服着た女が俺へ突っ込んできた。その勢いのまま、チャイナ服は体を捻り、回転蹴りを繰り出した

 

 

 

「おいおい、直線的過ぎだっての」

 

 

 

ま、そんな素人な動きで来るもんだから、軽く右手を添えて方向を変えて受け流し

 

 

 

「ほら、よ!」

 

 

「がはっ!?」

 

 

 

俺は蹴りとは逆方向に回転しつつ、右足で後ろ蹴りをチャイナ服の土手っ腹に叩き込んだ。あら?あいつ壁まで吹っ飛んだけど、死んでないよね?

 

 

 

「この!」

 

 

「バラバラにしてやる!」

 

 

 

にしてもここの連中はアホばっかだな。相当チャラ男を馬鹿にしたのが頭にきてるらしい。せっかく背後取ったのに、馬鹿デカい声出す双子ちゃんは自前のチェーンソーを振りかぶって俺に攻撃を仕掛ける

 

 

 

「遊ぶならもっと健全な玩具をお勧めすんぜ双子ちゃん?」

 

 

「「っ!?きゃあああ!」」

 

 

 

すぐさま背後へ『魔力の腕(マジック・アーム)』を展開し、掌で押し返すように双子ちゃん向けて突き出すと、両方あっけなく無防備の中押し返され、床を三回程バウンドする

 

 

 

「研究不足だな、数で勝てる相手なんか、こっちのチームにゃ殆どいないんだよ」

 

 

「こいつ、強過ぎ…」

 

 

「馬鹿な、人間無勢がこんな!」

 

 

「その舐め腐ってくれてる人間に、お前は今膝をついてるんだが…無様な言い訳は考えたか?」

 

 

「くっそおぉぉぉぉ!!」

 

 

 

遂にブチ切れたチャイナ服が、再び俺へ突進してくる。しかも足が燃えてるし。何よ捨て身かなんか?どんなけ高くくって来やがんだよ

 

 

 

「あ、そうだ。"俺の口には乗せられんなよ?"」

 

 

「何を、っ!?ぐぁっ!」

 

 

 

ま、ここまで俺に殺意を向けてるんじゃ、もう一人のことなんか忘れてるわな

 

 

 

「ナイスアシスト」

 

 

「…必要あるようには見えませんでしたが」

 

 

「拗ねんなって!そいつの相手任せるわ。出来るだけ手間はかけたくない」

 

 

 

横からわき腹にストレートをかました塔城は、どこかムスッとした顔で俺を見る。出しゃばる気は無かったが、やりすぎたな

 

 

 

「はああ!」

 

 

「おっと」

 

 

 

だけどのんびりしてたらハッピ女が棍棒を突き出して攻撃してきた。遅過ぎて即片手で受け止めたけど

 

 

 

「くっ!」

 

 

「吹っ切れたかな?しっかり敵を見てるじゃねえかハッピ女」

 

 

「私の名前はミラだ!ライザー様に楯突くのならば、例え貴様を恐れようとも武器を取る!」

 

 

「見上げた根性だな!あいつの元にいんのが勿体無い位良い女じゃねえか」

 

 

「なっ、い…良い女とは…私が?」

 

 

 

何故か照れてるハッピ女改めミラ。魅力ってのは自覚しねえと損するぞ?

 

 

 

「自分で気付けないならこれから探しな?…俺に負けた後でな」

 

 

「っ!!?」

 

 

 

だけどそろそろ遊びは終わり。意識を再び戦闘へと切り替え、意図して俺の力を呼び起こす

 

 

 

「っ!?な、何だ…この感覚は」

 

 

「何…あいつ、何で"何も感じないの"?」

 

 

「ミラ離れて!」

 

 

 

敵の連中も、この力のヤバさに気付いてるが、目の前でそれを感じてるこいつにゃ聞こえてないだろう。てかよく見たら既にチャイナ服は塔城に関節極められて戦闘不能らしい

 

 

 

「あ、ひっ…」

 

 

「怖いのも一瞬だ、気付けば病室にでも寝てるだろ」

 

 

 

その言葉を最後に、俺は右手から力を呼び起こす

 

 

 

右目は紫に変わり、右腕は紫炎に覆われて手の甲、前腕、肩にまで宝玉が剥き出しとなった腕を

 

 

 

ミラの胸の中心に叩きつけた

 

 

 

「がっ、は…」

 

 

「ミラあああああ!!」

 

 

 

双子の一人が絶叫する。別に俺が生死に関わる程思いっきり殴りつけた訳ではない。問題なのは、"喧嘩で殴られた位の威力しか"受けていないミラが、完全に意識を失っているのだ

 

 

 

「あんた!!ミラに何をしたの!」

 

 

「殺しちゃいないさ。"急激に魔力が消失して"ショックを起こしたのが原因だと思う」

 

 

 

親の仇でも見るような目で睨む双子の一人へ、淡々と俺は語る。…そう、この力は扱いを間違えれば"神すら簡単に消せる"化物の力だ

 

 

 

 

「こいつの魔力を"立つのがやっと"レベルまで"削り落とした"んだよ…俺の力は、『炎を受けた対象のあらゆるエネルギーを、込めた魔力量と同等の分だけ打ち消す』。それが、本来の俺の正体、仮初めを脱ぎ捨てた俺の真価」

 

 

 

その言葉と共に、俺の右手に変化…いや、力の根源が姿を見せた。灰色の篭手、『赤龍帝の篭手』と同じ大きさの篭手に、紫の宝玉が手の甲、前腕に埋め込まれ、更にその2つに向かって幾何学模様が走っていた

 

 

 

 

 

 

 

「俺の能力は『虚無』、そして名を名乗るのなら…この神器の名は、『虚無の篭手(ゼロ・ギア)』だ」

 

 

 

 

 

 

ここに、高らかとその名を知らしめた。この篭手は…俺のちっぽけな世界を、守り、壊す力だ

 

 

 

「何よ…それ、反則級じゃない!赤龍帝に加えて魔力を消す力まで持ってるだなんて!」

 

 

「お前、ここまで聞いてまだ分かんねえか?"素で圧倒出来る力"を持ってる俺が、"お前等の魔力以上の魔力を込めて"炎を当てたらどうなるか…さ?」

 

 

《!!!》

 

 

「これを使うには、より正確な魔力量を調節出来る技量と、相対する敵以上の魔力を蓄える根気が無いと意味がない。そのために俺は十日間ひたすらそれを掴む修行を積んできた…全てはこれを掌握するためにな。今までの魔力に関する技術は全てこれの副産物でしかない」

 

 

 

正確な魔力調節、圧倒的な魔力量の底上げ、そしてそれらをラストで叩き込む為に、出来る限り敵を引っ掻き回し、攪乱させて味方を有利な環境から攻撃させる為の小細工…これだけの準備を十日で済ませた俺は誉められても良いと思う

 

 

 

「も、もし何だけど、私達を超える魔力を含んだ炎に当たると…どうなるの?」

 

 

「こうなる」

 

 

 

双子の一人が質問したので、簡単な例を見せた

 

 

 

少量の魔力込みの炎を当てた床を、"無かったように消し去ることで"

 

 

 

《……》

 

 

「気を付けないと簡単に体を"くり抜いちまう"。体そのものを消滅させない為の調節だ、俺を怒らせるなら存在の保証は無いと思え」

 

 

 

そう言って双子ちゃんのみに睨みを効かせると、二人は生まれたての小鹿のように震えだし、尻餅をついた

 

 

 

「それで?まだやる気(殺る気)か?」

 

 

「ひっ、ぁ…ぅ」

 

 

「おいおい、息出来てるのかよ?横になってな、すぐ終わるから」

 

 

「「きゃあああ!!」」

 

 

 

そう言って右手の篭手をしまって頭に手を置こうとした瞬間、悲鳴を上げながら逃げ出し、双子仲良く抱き合って震えてしまった……そらそうか、こんな化物見るだけでおぞましいか

 

 

 

「タカシ先輩…」

 

 

「あ?何だよ塔城、何憐れみの目で見てんだ?お前等としちゃ願っても無いチャンスだぜ?」

 

 

 

何を思ってるか知らねえけど、塔城が俺を心配している様子が見て取れた。…今はうじうじ考える暇は無えんだ。適当に誤魔化す事にした

 

 

 

「ま、待って。さっきあなたは込めた魔力と同じ量の対象を消すと言ったけど…赤龍帝の力を持ってるあなたが使ったらそんな…」

 

 

「そういうこと、正直やりようでこの空間そのものを"消せる"」

 

 

「!!!?」

 

 

『タカシ、子猫。そっちはどう?』

 

 

 

はっきりと死刑宣告に近い言葉をくれてやったすぐに、グレモリーから通信が入った。あの光る謎物体、本当に通信器だったのか

 

 

 

「とっくに全員戦意喪失させたよ。そっちの準備は?」

 

 

『出来てるわ。指示通り離れて!』

 

 

「「了解!」」

 

 

 

それを合図に俺と塔城は敵をほったらかしにして体育館を脱出した。向こうは俺という恐怖が唐突に去った事に戸惑いを覚えていたが、次の瞬間、そんなこと考える間でもなく

 

 

 

体育館ごと落雷で吹っ飛ばされた

 

 

 

「撃破(テイク)、うふふ」

 

 

『ライザー様の『兵士』三名、『戦車』一名、リタイア』

 

 

 

その後流れるアナウンス、それを満足そうに聞くのは落雷落とした張本人、姫島朱乃だ

 

 

 

元々この作戦は、真ん中を敢えて囮にして敵を一網打尽にすることだ。つまり俺が無駄な労力を使わずに済むというお得な特典がつくので、かなり楽になるのだ

 

 

 

「いい仕事してますよ、朱乃さん。特に敵を焦げ炭にする辺り」

 

 

「容赦などする暇がありませんもの…うふふ」

 

 

 

ただいま翼で宙を浮く巫女さんドS撫子、間違いなく手を抜く気など毛頭無かったはずだ

 

 

 

『良くやったわ、朱乃は次の準備を。タカシたちは次の行動に移って』

 

 

「あいよ…ふむ、何だろうか」

 

 

「…?タカシ先輩?」

 

 

 

だけど何か引っ掛かる。無難な数、要員を投入してきた真ん中の取り合い。"あっさり行き過ぎではないか?"

 

 

 

「…朱乃さん、あなたが敵で、この状況ならまず何を優先します?」

 

 

「え?私でしたら、…きっと少ない敵の駒を確実に潰しますわ」

 

 

「ですよね~。しかも上手く行った後ってどうも"気が抜けますよね!"」

 

 

 

その瞬間、俺の結論付けと行動を起こした直後に、少し離れた塔城の周囲が爆発した




タイトルに反する事なく、彼の力の正体、『虚無』。ここまでこぎ着けれて良かったです

とはいえ、この力を予想していた方もいるかと思います。どうやってパワーバランスを調節しようか悩んだ挙げ句が、『虚無の篭手』の能力です

次回はライザーとぶつけれるかな?位ですね、多分。剛の秘策、奇策を両方出せるかと思いますので、是非一読してみて下さい

それでは!
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