ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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過去最長です…まとめれなくてすんません!

とりあえずどうぞ!


全てはこの為の布石

立ち上る煙、爆発の余波で舞う土。その中心にいた塔城の姿は未だに見えない

 

 

 

「撃破(テイク)」

 

 

 

その言葉と共に、上空に現れたのはいつかのセクシー姉さん。どうやら爆発の魔法が得意らしい

 

 

 

「狡い真似するねぇ。作戦としちゃ良い線行ってるよ」

 

 

「そういうあなたは酷いわね人間。仲間が倒れたというのに落ち着いているだなんて」

 

 

 

何を言ってるんだこのお間抜けさんは

 

 

 

 

 

 

 

 

「んなもん決まってんだろ?"守りきったから"冷静なんだよ」

 

 

「何!?」

 

 

 

次の瞬間、煙の中から塔城の姿が現れる…水に浸かりながら

 

 

 

「こ、これは!」

 

 

「もう大丈夫だな」

 

 

 

俺が指を鳴らすと、数カ所から伸びるように発生していた水が弾け、塔城を包んでいた水も弾け飛んだ。って塔城のやつ着地準備してねえ!

 

 

 

「んの馬鹿!」

 

 

「ふにゅっ、こほっ!こほっ!」

 

 

 

すぐさま着地地点に走り、塔城を受け止めると、衝撃で口から水を吐き出した…ちょい待て。こいつまさか

 

 

 

「…お前、泳げなかったのか?」

 

 

「けほっ!こほっ!…先輩、恨みますよ」

 

 

「その…ごめん、またお詫びするわ」

 

 

「馬鹿な!あの短時間で数カ所から水を引き出すだなんて不可能だわ!それこそ最上級悪魔でもなければそんな芸当」

 

 

 

びっくり仰天みたいな態度を取るセクシー姉さん、確か~ユーベ何とか?違うカマンベールかな?まあそいつが俺へ言葉を投げる

 

 

 

「俺だからじゃない?」

 

 

「ほざけ!」

 

 

 

軽口を叩いてやったら爆破してきた。けどあいつの魔法、指定した場所に魔力を溜め込んで、魔法陣に変換、爆発の手順で攻撃を行っているらしい。"さっき使っちまった奇策"を応用すれば容易に指定された場所と範囲は割り出せる

 

 

 

「『女王』が聞いて呆れるぜ?見え見え過ぎて欠伸が出る」

 

 

「クソ!ちょこまかと「あらあら、余所見は禁物ですわ」っ!?ぐぁ!」

 

 

 

するとカマンベール?の横から雷撃が飛ぶ。そして俺の目の前に移動してきたのは、勿論朱乃さんだ

 

 

 

「タカシくん、ここは私が…早く先へ行って合流を」

 

 

「朱乃さん…頼みます」

 

 

 

正直ここで『女王』を潰したい所だが、俺には俺の役割がある。ここは大人しく離脱するとしますか

 

 

 

「…いい加減降ろして下さい」

 

 

「あ、抱えてんの忘れてた」

 

 

 

そしたら今度は塔城が睨んで来た。流れ的な結果だが、どうもこいつを抱えたまま攻撃を避けてたようだ。…あれだ、俺が女の子をお姫様抱っこした所でラブコメは無いさ

 

 

 

「ほら、立てるか?」

 

 

「お気になさらず…それと、ありがとうございます」

 

 

 

こっちを見てくれないけど、感謝された

 

 

 

「気にすんな、行くぞ!」

 

 

「了解です」

 

 

 

とりあえず、有り難く礼はもらっておく

 

 

 

「逃げるな!貴様、っ!」

 

 

「私がお相手しますわ、『爆弾女王(ボムクィーン)』さん?」

 

 

「『雷の巫女』か、邪魔をするな!」

 

 

 

壮大な爆発音を背に、俺と塔城は木場との合流地点へ向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ライザー様の『兵士』三名、リタイア』

 

 

 

グレイフィアさんのアナウンスが響き、戦況は少しずつこちらに向かっていることが分かってきた

 

 

 

「…祐斗先輩がやってくれたんでしょう」

 

 

「かもな、確か自陣の森に入った鼠退治だったよな?あいつ」

 

 

 

予想した『兵士』の分配人数だったので、恐らくは木場の功績だろう…っ!?気配が近い!

 

 

 

「っ!しっ!」

 

 

「ちょ、待って!」

 

 

 

瞬時に『赤龍帝の篭手』を出し、横に隠れた気配の主へ裏拳を放ったが、めちゃくちゃ聞き覚えのある声だったので、ギリギリ寸止めして正体を確かめた

 

 

 

「木場か、危うくぶっ飛ばしてたぞ」

 

 

「はは…気を付けるよ」

 

 

「…とりあえず合流したので、あそこで現状を確認しましょう」

 

 

 

当初の目的を達成した俺達は、こうして体育倉庫に身を潜め、次の行動へシフトする

 

 

 

「今の所敵の数は9人、それでも『騎士』、『僧侶』は二つとも健在だし、『戦車』だっている。まだまだこちらの数より多いし、何よりこれから更に厳しい戦いになるよ」

 

 

「ここまで来ると向こうも慎重には…ならないかな?あの野郎、仲間をサクリファイスで捨て駒にした後、最も信頼する『女王』で俺達を削ろうとした位だからな。多分こっちの考えは全てお見通しって考えた方が賢明だ」

 

 

「…つまり、私達がここまで来る事も読まれていると?」

 

 

「だな、唯一の誤算は、『女王』が駒を落としきれなかった事だが、あのチャラ男のこった。想定範囲内とでも言うだろうな」

 

 

 

何より、あいつはグレモリーと朱乃さん"のみ"注視していた。てことは早々に主力の朱乃さんを足止めするのも、今回の行動に関する要因とも言える

 

 

 

「どちらにせよ、連中は部長、朱乃さん以外を舐めきってる。これは絶好のチャンスだ、何せ人間如きと思われてほぼノーマーク兼、怒りの対象になってる俺に敵が湧けば、容易に二人の動きが自由になるし、"何より奇策に嵌まる可能性が高くなる"」

 

 

「奇策?そう言えばタカシ君は罠を張ったと言ってはいたけど、具体的に何を仕掛けたんだい?」

 

 

「愉快なもんだよ。そのお陰でこの猫も助けられたしな?」

 

 

 

そう言ってポンポンと頭を撫でてやると、猫娘はシュンとしてしまった。耳と尻尾があったら垂れてるんだろうな

 

 

 

「…すみません、何もお役に立てずに」

 

 

「そう考えてる内は一生役には立てねえよ。今から引き摺って何もしなけりゃ、それこそ本物の役立たずだぞ?」

 

 

「!……そうですね、すみません」

 

 

「後これ着ろ。制服ひっついて濡れ濡れのスケスケだぞ?」

 

 

「…スケベ」

 

 

 

あれ?親切に学ラン着せてあげたら変態扱いされた!?てかそんな変質者避けるみたいな態度やめてくれねえかね…傷付く。そして寒く感じるのは黒シャツにYシャツしか羽織ってないからだけでは無いと思う

 

 

 

「子猫ちゃんも悪気があって言ってないと思うよ?そうでしょ?」

 

 

「…先輩の優しさはどこか抜けてます」

 

 

「優しさに抜け目とかあんのかよ…ま、いいや。後、奇策に関しては追々見せるさ。先ずは先手として、俺が先行する。敵を引っ掻き回してる所へ、各特性を最も活かした奇襲をかけてくれ」

 

 

 

早めに動かないと、下手したら朱乃さんがやられてこの倉庫ごとドカンッ!になりかねないからな

 

 

 

「あまり気が進まないね」

 

 

「主の幸せの為に泥を浴びるか、ひよって主を奈落に落とすか、決めるのはお前だ。俺は前者だ」

 

 

「その聞き方は狡いよ…僕だって前者だ」

 

 

「…同じく」

 

 

 

さて、全員賛成かな

 

 

 

「よし、それじゃあ作戦「私はライザー様に仕える『騎士』カーラマイン!こそこそと腹の探り合いをするのも飽きた!リアス・グレモリーの『騎士』よ!いざ尋常に剣を交えようじゃないか!」…どこの馬鹿だ、ワザワザ名乗るとか」

 

 

 

だけど上手く行くことは早々無いもんだ。倉庫の外から聞こえた声を辿り覗いて見ると、白いバンダナをつけ頭を出した甲冑姿の短髪女が仁王立ちしていた

 

 

 

「はぁ、あんなのに感化される馬鹿がここにいる訳「名乗られてしまったら、隠れているわけにもいかないか」…前言撤回、馬鹿がいた」

 

 

 

止めようにも気配剥き出しで出て行っちまったし、完全に奇襲失敗じゃねえか。騎士としてとかカッコいい事言いやがって、何も言えねえじゃねえか

 

 

 

「僕はリアス・グレモリー様の『騎士』、木場祐斗!」

 

 

「堂々と真正面から出てくる戦士がいてくれて嬉しいぞ!私はそういう馬鹿が大好きだ!」

 

 

「ダメだ、馬鹿同士だから突っ込む余地無いや」

 

 

 

何かやんや言い合った後始まった『騎士』の高速戦闘、あ~あ~派手にやってるねぇ…勝手にやってて

 

 

 

「暇そうだな」

 

 

「…そういうお前らはお相手してくれんのか?」

 

 

 

このグラウンドはもう"探知済み"だから、既にここの敵数は知れてる。その中から現れたのは金髪縦ロールのお嬢様らしき女。それにいかにも厳しい女長官的な雰囲気で右目付近だけ仮面で隠してる女も現れた…残りはまだ待機らしい

 

 

 

「全く泥臭くてたまりませんわ。剣のことしか頭に無いんですもの」

 

 

「何かに熱中したことも無さそうな奴が言えるかよ」

 

 

「っ!…言ってくれますわね」

 

 

 

こいつの態度はどうも鼻につく。それに…全くもって敵意を感じないのが気になる

 

 

 

「で?丁度イイブンだし、俺の相手はてめえかお嬢様?」

 

 

「あら?私は戦いませんわよ?」

 

 

 

…何を言ってやがるんだこいつは?

 

 

 

「この方は特別でな。名はレイヴェル・フェニックス、ライザー様の実の妹君だ」

 

 

「イザベラ、二人まとめてお相手してあげなさいn「舐めてんのか小娘?」…え?」

 

 

「舐めてんのかって言ってんだよ小娘!!」

 

 

「ひっ!」

 

 

「必死こいて足掻いてる奴らを何処までコケにしてやがんだコラ!」

 

 

《!!?》

 

 

 

戦う気もねえのに殺し合いの場に立つたぁ舐めた態度取ってんじゃねえの

 

 

 

「おままごとなら部屋に籠もってろ!傷付く覚悟すらない世間知らずがつけあがるな!でないと俺が誤って"存在ごと消し飛ばすぞ"!!」

 

 

「そ、それは…」

 

 

 

はっ、張り合う素振りも無えのかよ…あの兄なら妹もこんなもんかよ

 

 

 

「興味すら湧かねえわ。消えろよチキン娘、てめぇに一撃やる価値も無い」

 

 

「それ以上の侮辱は許さんぞ人間!」

 

 

「っ!イザベラ…」

 

 

 

どうやら主の妹の悪口に物申したいらしく、仮面女…イザベラが俺に立ちはだかる

 

 

 

「何だ?てめぇなら張り合えんのか?」

 

 

「いい気になるな!」

 

 

 

仮面女が特攻をかけてくるが、スピードが全く足りてない。恐らく奴は『戦車』…なら取るべき行動はカウンター!

 

 

 

「慢心は油断、どこぞで聞いた事無いか?」

 

 

「がっ、は…」

 

 

 

仮面女が放つ右ストレートを右手でいなし、右膝を仮面女の腹に叩き込む。彼女は文字通りくの字に曲がり、腹を押さえて屈み込んだ

 

 

 

「欠伸が出るな?10日の日々がここまで差を開かせるなんて…余程舐められてたんだな」

 

 

「強い…!」

 

 

「人間舐めんな。人間の最も秀でた点は限り無い可能性だ、それを注視すらしなかったお前らの慢心が敗因だよ」

 

 

 

そのまま俺は仮面女を置いていき、お嬢様の方へ歩みを進める

 

 

 

「何故、倒さない!」

 

 

「お前を障害と見ないから。現にあんたはそこで詰みだ」

 

 

「舐めるなあああ!!」

 

 

「えい…」

 

 

 

激昂する仮面女を、側にいた猫娘がトドメを刺した。仮面女は仮面を割られ、後方へ吹き飛んだ

 

 

 

『ライザー・フェニックス様の『戦車』一名、リタイア』

 

 

「サンキュー」

 

 

「…お気になさらず」

 

 

 

猫娘は再び俺の隣に来ると、宣言するように告げる

 

 

 

「…先輩、ここは私がやります。…先へ行って下さい」

 

 

「それは塔城子猫の意思か?それとも部長の下僕としての意地か?」

 

 

「…両方です」

 

 

「了解」

 

 

 

そして俺は猫娘から離れ、新校舎へ向かう。ま、向こうも黙っちゃいないが

 

 

 

「させないにゃ!」

 

 

「にゃにゃ!」

 

 

 

進行を妨害してくるのは又も双子。しかもキャラが猫

 

 

 

「邪魔、てかキャラ被らすなよ面倒な」

 

 

「知らないにゃ!」

 

 

 

猫耳の一人がロウキックを放ち、脚を狙ってくる。機動を鈍くさせる作戦なのは見え見えだ。すかさず蹴りを片手で掴み、即座に体を屈めて水平蹴りを繰り出し、猫耳の足を払う

 

 

 

「にゃにゃ!」

 

 

「見えてんだよ」

 

 

 

背後から踵を振り落とすもう一人を、俺はまだ空いている手を向けて魔弾を放つことで脅威を排除する

 

 

 

「その手を放せ!」

 

 

「『騎士』か」

 

 

 

その合間に高速で接近し、俺の腕を切り落とさんと大振りな剣を振り下ろす黒髪ポニーテールの女が現れた。それを避ける為に一度掴んだ手を離すと、剣は空を切る

 

 

 

「はあ!」

 

 

「魔法の発動ラグ大き過ぎんぜ?」

 

 

 

追い討ちはまだ続き、次は遠距離から火炎弾が放たれ襲いかかる。位置も発動の兆候もバレバレだから避けるのは容易く、即座に横に前転することで難を逃れる

 

 

 

「何だ何だ、全員集合ってか?」

 

 

「そう簡単には行かせませんわ!」

 

 

 

どうやらチャラ男はこっちの陣地を攻めず駒を潰すつもりらしい。つまり極力グレモリーへは手を出すつもりが無い…違う、裸の大将にしてから自分自身で片を付ける腹だろう

 

 

 

「なあ塔城、これ一人でやれる?」

 

 

「…無理です」

 

 

「だよな。ま!見事に"餌"に食い付いてくれたんだし、まとめて終わらせるか」

 

 

「何?」

 

 

「小鳥は群がり虫を貪る…それが猛毒持ちだと知らずに」

 

 

 

言葉の後、俺はパチンッ!と、この場全体に響く位に指を鳴らす

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、眼前にいる敵の四方八方から無数の魔弾が襲い掛かる

 

 

 

《なっ!!?きゃああああ!》

 

 

 

魔弾は様々だ。火、水、氷、雷、土、無色とランダムに放たれた攻撃は、当然避けられる筈もなかった

 

 

 

「さて結論から言えば、虫は俺で小鳥はてめえらだ」

 

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』一名、『僧侶』一名、リタイア』

 

 

 

アナウンスからして、大方まだ残ったらしい。濛々と上がる煙が徐々に晴れ、そこから現れたのは、あちこちに手傷を負ったポニーテール、猫耳の片割れ、お嬢様の三人。だけどお嬢様はさすがにあのチャラ男の妹なだけに、負った傷が燃え上がると傷が再生した

 

 

 

「くっ…一体何が」

 

 

「俺が仕掛けた"罠"だよ。ノコノコと誘われてくれたから一網打尽だった」

 

 

「ば、馬鹿な!?これほどの数の罠を、よりによって身を隠せないこちらの陣営に仕掛けただと!?一体どうやって!」

 

 

「…まさか」

 

 

 

ポニーテールがきゃんきゃん吠えるが、どうやらお嬢様は気付いたらしい。…こいつ参謀向きなタイプなのか?

 

 

 

「若干一名気付いたみたいだが、俺は罠を序盤に張っていた。さて、俺は何をしたでしょう?」

 

 

「…花火?」

 

 

「正解、正確には花火に偽装した『魔力の点(ポイント)』をばらまいたんだよ」

 

 

 

猫娘は鋭いな。俺の持つ特性、スタイルを知らないこいつらからしたら、この奇策は効果覿面だろうよ

 

 

 

「ポイン、ト…?」

 

 

「お前らは俺を知らなさすぎた。俺の魔力は変わっててな?無色なんだよ。そして無色の特徴もこの10日で試した結果、普通誰もが持つ、特化属性が無い代わりに『どの属性も並より少し上で汎用性に長けている』ことが分かった」

 

 

「!?そんな能力、聞いたこともありませんわ!」

 

 

「現に有り得てんだよ…で、俺は普段、この『魔力の点』を俺の伸ばす魔力で繋いで、魔力に貼り付いてる物を投げたり応用して使っていたんだ。…だがこの修業期間で、俺は魔力の具体的な使用法を教わった時、考えたのさ…点として働くものは魔力、つまり何らかの方法で"遠隔操作して魔力で攻撃出来るんじゃ?"、とな」

 

 

 

だからこそ俺は従来の『魔力の手』で点を接続するよりも、繋ぐことを重点に『魔力の糸』を練り出す修業を、1日のメニューの間に取り込んだ。結果"糸"は作りやすく、これといって数量制限が無い。いわば糸は導火線、名付けるなら『透化機雷(スケルトン・マイン)』かな?

 

 

 

「そ、それじゃあ…ライザー様をコケにしたり、派手に目立つ言動を取ったのは…この為だったのにゃ…?」

 

 

 

信じたくないといった様子で、恐る恐る聞いてくる猫耳。他の奴ら、いつの間にか塔城、木場とその相手すらこっちを見てる。ま、結果は変わらんが

 

 

 

「正解、悟られると対処されるから敢えて注意を俺に向けさせた。敵を面食らわせるには何重にも罠を張らなきゃならない…根気と迫真の演技が成せる技だな」

 

 

「…今日ほど、君が味方で良かったと思った事はないよ」

 

 

「…同意です」

 

 

「何それ褒めてるの?貶してるのどっちなの?」

 

 

 

まさか味方がドン引きかい…泣くぞ?泣いちゃうよ?

 

 

 

「甘かったですわ…人間と軽く見ていたこちらのミスですわ」

 

 

「良い薬になったろ?」

 

 

「バケモノめ!貴様は今ここで潰す!」

 

 

 

おいおい、化物に化物認定されたぜおい。…はあ、平穏がまた遠退く

 

 

 

「お前考えて動くの苦手だろ?」

 

 

「黙れ!」

 

 

 

完全にブッチしてるので、俺はまんまと網に掛かった馬鹿を葬るため、再び指を鳴らしポニーテールの左側へ火の弾を放つ

 

 

 

「そう何度もいくか!」

 

 

 

だがポニーテールは突っ込みながら剣を横に凪ぎ、火を叩き斬った

 

 

 

 

 

 

 

 

それが狙い通りなんだが

 

 

 

「ごふ!…なっ…!」

 

 

「言ったろ?"俺の魔力は無色"だ」

 

 

 

ポニーテールの注意が左に逸れ、その隙に同時に放っていた無色の魔弾が彼女の右脇腹を直撃した。俺はそこへすかさず飛び込み、体勢の崩れたポニーテールの顎へ跳び膝蹴りを放ち、意識を刈り取った

 

 

 

『ライザー・フェニックス様の『騎士』一名、リタイア』

 

 

「シーリス!」

 

 

 

どうやらあいつはシーリスと言うらしい。ま、もう退場したが

 

 

 

「分かるか?俺が指を鳴らせば自由に魔弾を、時には敵を阻み、捕らえる檻をも作れる。何も"指を鳴らす"だけが発動合図じゃないんだ。目で追えば無色の攻撃が突然襲い、俺の言葉を聞けばどれが真実なのかも分からなくなる…決め手はだ。このフィールド後いくつ『魔力の点(ポイント)』があるでしょうか?」

 

 

「…最初から、この展開を作る為の布石だった、と。見かけに寄らず、とんだ食わせ者ですわね!」

 

 

 

忌々しいんだろうよ。そんな顔だ、だが俺にも言いたい事がある

 

 

 

「俺は姑息だろうが死なねえ限り全力を尽くす!てめえが俺達の想いを、何よりリアス・グレモリーの『願い』を軽く見た態度で!この場に立ってるってのが俺にとって物凄く気にくわねえ!」

 

 

「っ!」

 

 

「だから宣言してやる。俺はあいつの『願い』を守る。そのためにここに立つ!同じ土俵に立つ気が無いなら立ち塞がるな!」

 

 

 

それだけ告げ、俺は新校舎を見た。だがそこにはとんでも無い光景が見えた

 

 

 

「なっ!部長!?」

 

 

「そうですわ、お兄様はリアス様との一騎打ちを望んでおりますの…先程の言葉の後ですが、それを邪魔するのは不粋ですわよ?」

 

 

 

今、グレモリーは新校舎の屋上でライザーと戦っていた。いや、最早戦いではなく、グレモリーのスタミナ切れを待つ消化試合となっていた

 

 

 

『リアス・グレモリー様の『女王』、リタイア』

 

 

「なっ!」

 

 

 

しかも悪いことが重なった。朱乃さんがやられたのか!てことは次の標的は

 

 

 

「木場!塔城!その場から下がれ!」

 

 

「「っ!」」

 

 

 

その言葉と同時に、俺を含め三人が後ろへ下がると、魔力の変動を察知した瞬間に三カ所で爆発が発生した。そこは寸分違わずさっき俺達がいた場所だ…だけど

 

 

 

『リアス・グレモリー様の『戦車』、リタイア』

 

 

「塔城!…クソが!来るにしてももう少し先だと思ってたのに…カマンベール!」

 

 

「ユーベルーナだ!名前ぐらい覚えろ人間!」

 

 

「どうやら形勢はこちらに向いたようですわね」

 

 

 

敵さんの『女王』がほぼ無傷でこちらへ現れた。…しかも猫娘を爆破してだ。こいつはマズい…出来れば"全員退場させる"予定だったんだが…ここで無駄な消耗は避けたい

 

 

 

「…木場、『女王』を頼めるか?他は俺が叩く」

 

 

「何か策でも?」

 

 

「サポーターを付ける、ただ一時的なんだが…最悪足止めを頼む。俺は奴を潰す!そのためにも温存したい」

 

 

 

心苦しいが、今『女王』を相手したら絶対チャラ男を倒せない。余り道徳に沿った考えではないが、木場がここにいては邪魔だ。全力が出せないんでな

 

 

 

「…うん、分かったよ。必ず、部長を助けてほしい」

 

 

「ぬかせ、てめぇも加担すんだろが」

 

 

「お喋りは終わりましたかしら?」

 

 

 

どうやら余裕こいて待ってくれてたらしい。どこまで馬鹿なんだろこの連中

 

 

 

「ユーベルーナ、気を付けなさい。あの男はフィールドのほぼ全面に罠を張っていますわ。冷静に対処しなければこちらが食われますわよ!」

 

 

「承知」

 

 

「互いに作戦タイムが終わった所で…フィナーレと行くか。こっちの凱旋でな!」

 

 

 

次の瞬間、全てが動き出す。木場が『女王』へ、俺は残りの駒全てを相手取る為、敵は各々の敵を定めて向かい来る

 

 

 

「仕事の時間だ!ジーク!メリル!」

 

 

 

俺は走りながらも後方に魔法陣を展開した。そこから現れたのは二匹の小動物、鷹のジーク、羊のメリルだ

 

 

 

「使い魔か!まあいい!貴様の本気見せてみろ!」

 

 

「戦闘狂ってより生粋の馬鹿か!お前ら!"全力"で木場と戦ってやれ!」

 

 

 

袈裟斬りする甲冑女の手元へ前蹴りを放ち、体を反らした後すかさず跳び膝蹴りを腹部に叩き込み、吹き飛ぶ寸前に手刀で剣を持つ手首を叩き落とすと剣を取りこぼしながら地面を転がった

 

 

 

その一連の間に新たな変化が起こる。俺の指示を受け、正に歓喜を上げるように二匹が輝きを放った

 

 

 

「これは!?」

 

 

「何かやばそうにゃ!」

 

 

 

すると猫耳がすぐさま標的を変更すると、二匹に向かって拳を向けた。だが

 

 

 

彼女の周りに雷が飛び交い、一部が拳に当たることで進行を阻害された

 

 

 

「雷鳥と星座の羊が本気になるんだ。ちょっとは楽しめんだろ?『女王』さん」

 

 

 

そして光が止むと、二匹の姿は先程と比べ物にならない変化が起きていた

 

 

 

片や全長4m程の巨躯に茶色の羽で覆われ、常にどこかしらで紫電が迸り、圧倒的なプレッシャーを放つ鋭い顔つきをする鷹。片や上半身が純白の毛並みに猛々しい金の巻き角、下半身が水色で常に潤う鱗に覆われた魚の姿をした美しき羊が、見る者へ存在感を主張していた

 

 

 

「サンダーバード…カプリコルヌス!上位の魔獣まで使役するか!」

 

 

「暇はしねえだろ?行け!」

 

 

 

二匹は風を巻き上げ、或いは空を泳ぎながらユーベルーナへ向かう。これなら木場もどうにかなるだろう

 

 

 

「小癪な!」

 

 

「『拡散拳(ラッシュ・ショット)』!」

 

 

 

正面から突撃する甲冑女を見据え、衝突寸前に拳から拡散弾を放つ。酸素を失った甲冑女はそのまま吹っ飛び、地面を転がる

 

 

 

『Zero!』

 

 

「時間がねえ、終わらせる!」

 

 

 

篭手から響く音と共に紫炎が灯る。猫耳は慌てて回避を選び、後ろへ跳ぶ…だが

 

 

 

「逃がすか」

 

 

「にゃ!?」

 

 

 

背後に設置した『点』から土塊が盛り上がり、猫耳の足を捕らえる

 

 

 

「『紫炎散拳(パープルフレア・ショット)』!」

 

 

「が!?」

 

 

 

紫炎を纏う俺の拳から拡散弾が放たれる。猫耳も苦し紛れに両腕を交差し防御するが…無駄なんだよ

 

 

 

「に、ゃ…?力が…」

 

 

「悪いがこれは防御云々じゃない。"触れたらアウト"、込めた魔力の分お前の魔力と体力は削られる…謂わば貫通攻撃だな」

 

 

「反則…だにゃ…」

 

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』一名、リタイア』

 

 

 

猫耳は虚しくも光の粒子となり、消え去る

 

 

 

「リィ!」

 

 

「残りはお前だけど、やっぱ戦うか?」

 

 

 

右の篭手を突き出すと、お嬢様はあからさまに怯えた。未知の力に警戒しているって感じだな

 

 

 

「…その篭手は一体、あなたは赤龍帝のはず!」

 

 

「半分正解、だけど言ったはずだぜ?俺は『仮初めの赤龍帝』だと。あの篭手はあくまで俺のモノじゃなく、諸事情で借り受けてるもんさ」

 

 

「…あなた、本当に人間ですの?人間がこれほどの魔力を有し、あまつさえ赤龍帝レベルの神滅具を借りているだなんて!」

 

 

 

確かに端から見りゃチートだわこれ。けど逆に"人間だからこそ"弱点がある。これだけは拭えない

 

 

 

「知らんな。向こうはどうやら上手くやってるみたいだし、さっさとボス戦としますか」

 

 

 

俺が木場の方を見てみると、ジークが空中で電撃を放ち、その背に木場が魔剣を両手に握りながら空中戦をしていた。そこに遠距離からメリルが怪音波を放ち、ユーベルーナの爆破魔法を阻害したり、死角から火炎放射などの多岐に渡る魔法を使って援護している…あれ?敵の方詰んでね?

 

 

 

「…本当に行かれますの?あなたは赤龍帝であり謎の力を有する強者では有ります。それでも人間ですのよ?お兄様は必ず手加減をしませんわ。不死身であり『王』である純血上級悪魔、元のスペック差が天と地を行くのですのよ?」

 

 

 

何故か通り過ぎようとしたお嬢様に引き止められた。時間稼ぎ、には見えないな。ただ至極邪魔なんだが

 

 

 

「その差を埋める10日だろうが。分かったら失せろ」

 

 

「あなたは馬鹿ですの!?死ぬかもしれないから私がせっかく助言していますのに「死ぬより大事なもんがある」…え?」

 

 

「余計なお節介だ。それに俺は助けて下さいとも言っちゃいない…俺は約束した。生きて帰ると、共にあの女を救おうと、助けてやると約束した!」

 

 

『Boost!』

 

 

 

最終戦に向け、俺は『赤龍帝の篭手』を起動し、カウントを開始する

 

 

 

「今から助ける女に約束したんだ…リアス・グレモリーっていう一人の女の幸せを守る、てさ?だけどあいつは貴族の戒めに捕らわれた。…理不尽に潰される願いなんて…夢なんて、そんな悲しいもんあってたまるかよ!」

 

 

 

俺の夢、ボクシングタイトル王者…ガキのデカい夢だった。それを嘲笑う連中に潰されたからこそ分かる。夢を持って叶えられないとか…寂しいんだよ

 

 

 

『Boost!』

 

 

「これは勝ち負けを前提に、夢を守る戦いなんだよ!ここで見捨てたら死ぬよりだせぇんだよ!」

 

 

「っ!」

 

 

「俺は行く…止めるならお前も敵だ!」

 

 

『Boost!』

 

 

 

ゆっくり、ゆっくりと蓄積されるカウント。そう、限界を超えるその時まで…

 

 

 

 

 

俺の身を焦がす程の力を手にするその時まで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リアス~、投了しろ。確かにお前の才能は目を見張るし、実際俺なんかよりも遥かに優れてる…だが今はまだ俺の方が上だ」

 

 

『リアス・グレモリー様の『騎士』、リタイア』

 

 

「くっ!まだよ!」

 

 

 

私リアス・グレモリーは、プライベート回線からライザーに一騎打ちを申し込まれた。下僕が頑張っているのに、私だけ黙ってはいられなかった…それなのに、現状ではライザーに掠り傷も負わせられない

 

 

 

「止めとけって、経験者と処女の違いさ」

 

 

「下品なものね!やはりあなたと結婚だなんて真っ平ごめんだわ!」

 

 

 

私はライザーに向けて再び消滅の魔力を顔面に叩き込んだ。だけど結果は変わらない、ライザーの不死身の再生力によって即座に傷を回復される…ジリ貧も良いところね

 

 

 

「ライザー様、敵の殲滅を終えました」

 

 

「そうか、ご苦労」

 

 

 

!?そんな、『女王』がこちらに来るだなんて!

 

 

 

「リアス、投了するんだ。このままだと観戦されている君のお父上やサーゼクス様にも格好がつかない。何より君はそこの『僧侶』を残して駒は全滅、こちらの『女王』も健在ときた。既に王手(チェック)は揺るがないんだよ」

 

 

「それでも私は諦めない!私の為に必死になってくれた下僕たちの為にも…何より、私にはまだ希望がある!」

 

 

 

そう、アナウンスを聞く限り、まだ彼は生きている。…私のちっぽけな夢を、真剣に受け止めてくれた"ただの高校生だった彼"が!

 

 

 

「希望?あの生意気なガキの事か…そうだな、リアス。こうしよう…ここで投了しないのなら、君の縋る希望を跡形も無く塵にしてやる」

 

 

「!?」

 

 

「一つ言ってやる。いくら赤龍帝だろうと高が人間だ!根本的に器が足りないんだよ!いくら足掻こうとも悪魔でもない限り俺を覆す力を得ることなど不可能だ!…お前も分かってるだろう」

 

 

 

…確かに、その通り。私の見立てでは責めて七回のブーストが今の彼、タカシの限界。いくら"アレ"を使おうとも、タネが分かれば間違い無く時間が足りずに……タカシは死ぬ

 

 

 

「お前の選択が奴の生死を分ける。リアス、決断は早い方が為だ…投了しろ」

 

 

「…リアス先輩」

 

 

 

アーシアの目が揺らぐ…彼女も分かってる。ライザーの言葉に嘘は無い

 

 

 

『あんたは誰よりも強かった』

 

 

ごめんなさい、私…そんなに強くなかった

 

 

『誰でもないリアス・グレモリーその人に幸せになってもらいたい』

 

 

嬉しかった…"グレモリーじゃなく、リアスを見てくれた"ことが…あなたが私を受け入れてくれたことが嬉しかった…だからあなたを、ここで死なせたくない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライザー…」

 

 

「随分舐めた事してんな…」

 

 

《!!?》

 

 

「赤コーナーから参上じゃコラあああああ!!」

 

 

 

その時、私たちの前に"希望"が姿を見せた…ドアを蹴破りながら

 

 

 

「…全くあなたはもう少し上品に『Boot!』っ!?タカシ、待ちなさい!」

 

 

 

来てくれた喜びと呆れがない交ぜの心境だったはずが…彼の篭手の音声と共に不吉な予感が走った

 

 

 

何故目立った傷も無い彼があれほど消耗している?

 

 

彼から漏れる圧倒的魔力の奔流は何?

 

 

私の中で、最悪の予想が過ぎるのは何故?

 

 

 

「タカシ…あなたの篭手の限界は七回のはずよ!一体何度ブーストをかけたの!」

 

 

 

 

 

 

「何だよ…"14回"だが?」

 

 

「っ!!タカシ!!」

 

 

 

彼が何をしようとするのかが、一瞬で分かってしまった。余りにも無謀で、後先など一切考えない捨て身の策を使おうとしている!早く、早く止めないと!

 

 

 

「貴様…随分フザケた事してくれたな。容赦は無用だ!」

 

 

「はっ!ところで用は済ませたか?宣言通り叩きのめしに来たぜ?」

 

 

「止めてタカシ!!」

 

 

「来るな!!」

 

 

 

走り寄る私を、今まで聞いたこと無い程の一括で止められてしまった。何をしているのリアス・グレモリー!私の前で"命を投げ捨てよう"としている恩人がいるのよ!

 

 

 

「…アーシアを頼む。"近づけば全てが消えちまうから"」

 

 

「っ!?タカシぃぃぃぃぃ!!」 

 

 

『Explosion!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その音と共に、彼の秘策が…戦場の崩壊が始まった




いよいよ秘策、ていうかタカシ全開!焼き鳥さんは生きて明日を見られるのか!(笑


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もうすぐクリスマス&元旦!キリストと仏教どっちも祝う国とか早々無いんですよね確か?
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