ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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メリークリスマス!…遅いな、うん

どうも!ようやくレーティングゲーム終了です。タイトル通りてすが…これで出してしまったか

後悔はありませんが、どうぞ!


結末

大気が悲鳴を上げた。大地が恐怖する。目にした者は絶対的異能の前に慄く

 

 

 

「【ウォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォォオオ!!】」

 

 

 

レーティングゲーム会場、駒王学園新校舎の屋上…ここに一人の鬼神、いや"龍"が君臨した

 

 

 

「【ガッ、ア"ッ…】」

 

 

 

人が持ち得ぬ程の魔力を持ち、それを14度倍化して得たその力は、正に神滅の域を極める…だが

 

 

ブヂッ!ミシッ!

 

 

そんなおぞましい音を鳴らしながら彼、近衛剛は力を練る。しかし彼の至る所からは血が弾ける。限界を告げる身体の警告も、今の彼には関係ない

 

 

 

(畜、生…!制御出来る域じゃねえ!さっさと使わねえと!)

 

 

「【ぐぅ!…サ、『サイレンス・ゼロ』!】」

 

 

 

エコーなのか、はたまた別の誰かと声が重なっているのか、不気味な声で発した指示は、違わず彼の右手に宿る力を引き起こす

 

 

 

『Zero!』

 

 

「【まだだ!】」

 

 

『Zero!Zero!Zero!Zero!Zero!…』

 

 

 

幾重にも響く右手の力、『虚無の篭手(ゼロ・ギア)』。そして徐々にうねり狂っていた魔力の暴発が、彼の周りへと収束し、紫のオーラとなって纏わりついた

 

 

 

「な…貴様、何をした!?」

 

 

「【戦闘準備だ、覚悟はいいか?】」

 

 

『Zero!』

 

 

 

次の瞬間、近衛の背中から膨大な紫炎が噴き出した!

 

 

それはまるで翼、一対の噴射の軌跡は空を掴むかのように伸び、毒々しいオーラを放つ

 

 

だがそれで終わらない。彼の纏ったオーラ徐々に形を成すのだ。頭は龍を模した兜、全体的に一回り大きい猫背のフォルムに、三倍は肥大した強靭な龍の両腕…後ろには尻尾まで伸びている

 

 

 

「【これは俺自身の『恐怖』の象徴…己の『恐怖』を身に纏い、てめぇに更なる恐怖を叩き込んでやる!】」

 

 

紫のオーラで創られた"鎧"、それは彼の恐怖…夢で見続けた"灰色の龍"そのものだった。そのオーラの中で血塗れになった男が敵を見据えると、両目が紫炎で輝き、右手、両肩、胸、下腹部、両脛、両腿に紫の宝玉が光輝く

 

 

「っ!!散れ!」

 

 

その時、相対する不死身の悪魔、ライザー・フェニックスが動く。指示を出した瞬間彼の『女王』もその場から翼を使い空を舞うと、彼らは信じられないものを見る

 

 

 

「【グルアアアァ!】」

 

 

 

獣が如きうなり声と共に、ライザーが先程いた屋上の地面を、肉眼で捕らえる前に"それ"は殴りつけていたのだ

 

 

そして異常なのは、悪魔の目を持ってしても捕らえられなかったスピードだけではない

 

 

 

「馬鹿げてる…まるで化物ではないか!」

 

 

 

ライザーの目に映るのは、"紫の柱"。それが彼、近衛剛が放った炎であることは、容易に見当がついた

 

 

そしてその柱が消えた時、新校舎の半径3メートルの体積が…"消えていた"

 

 

 

「【グルル…】」

 

 

ゾクッ!

 

 

 

うなり声が耳を震わせた時、ライザーの首筋を伝った悪寒。その感覚から立ち直る前に、既に彼の眼前には"人型の龍"がいた

 

 

 

「【手は抜かねえ!】」

 

 

「うっ、ぉぉぉおおおお!!」

 

 

 

ライザーの中で最大級の警報が鳴る。炎の翼を操り、すかさず後ろに飛び退くと同時に紅蓮の炎を放つ。摂氏数千度は下らない灼熱の炎は、人ならば触れずとも塵に変えるだろう

 

 

 

「【ハアアァ"ァ"!!】」

 

 

「何!?」

 

 

 

だが相手の能力を知らないライザーは驚愕する。己の放った炎を意図も容易く掻き消す"紫炎"が迫っていることに

 

 

しかしそこは腐っても上級悪魔、その炎の危険性をいち早く察知し、大きく横にスライドして回避を試みる

 

 

 

「ぐぅぅっ!」

 

 

 

回避そのものは成功したが、ライザーは苦悶の表情を浮かべる。彼を見ると、右翼と右腕が綺麗に消し飛ばされ、再生に時間が掛かっていた

 

 

 

「何だこの炎は!?再生が遅れ、て!?」

 

 

 

そのタイムラグを、彼が見逃す筈がない

 

 

次の瞬間、ライザーは背中から来た突然の重圧に押され、校舎屋上よりも高い位置から急速落下し、グラウンドに叩き付けられた

 

 

 

「【ウオオオオオオオオオオ!!】」

 

 

「こ、の~…邪魔だ!」

 

 

「ライザー様!」

 

 

 

雄叫びをあげる近衛を睨むライザーだが、再生するよりも速く損傷を与えられ、更に現在進行で地面を陥没させる程の踏みつけに苦悶の声をあげ、為す術がない

 

 

だがその状況でライザーを救うべく、彼の『女王』、ユーベルーナが近衛を爆発した

 

 

 

「【グルル…無駄だ】」

 

 

「馬鹿な!?」

 

 

 

決して手を抜いたつもりはなかった。現にユーベルーナが放った一撃は、ゲーム中で放ったどれよりも強力だった

 

 

だが爆風から現れた彼は…無傷だ

 

 

 

「【この鎧を砕くには、俺がこいつに込めた魔力以上の一撃を放つしかない…最強の矛と盾を兼ね備えた力。それが『虚無の篭手(ゼロ・ギア)』だ、っ!?グフッ!…クッ、クソが!】」

 

 

 

説明する途中、近衛は突如血を吐いた。その一瞬、鎧がユラリと歪む

 

 

 

「う、ぉぉぉぉおお!」

 

 

 

その時、ライザーが好機を逃さなかった。遅れていた再生を終え、全力を持って翼を展開し、地面スレスレを飛行しつつ、近衛の拘束から逃れた

 

 

 

「はあ!はあ!な、何なんだこの現象は!?再生するための魔力が馬鹿みたいに削られているだと!」

 

 

「【カハッ、はぁ…はぁ、当たり前だ。この鎧そのものが虚無の炎で出来てんだ。莫大な魔力を現在進行でガリガリ消費して生成してんだから、触れただけで中級悪魔くらいは即消し飛ばせるぞ】」

 

 

「なっ!?…いや、待てよ。その様子では完全に制御出来ていないらしいな!そんな自殺行為をすれば確実に貴様はここで死ぬ!」

 

 

 

肩で息をするライザーは、その推測にある程度確信を抱き、恐怖しながらも笑みを深くした。それに対し近衛は、既に白かったシャツが血で赤黒く染まり、生きているのも奇跡的に思える程消耗していた

 

 

 

「【確かに…こいつはヤバ過ぎなんだ、よ"っ!?~~!グッ、ただでさえ人間の許容量すっ飛ばしてブーストかけてんだから、この鎧を今解いたら暴発して文字通り汚ねぇ花火だ…おまけに!】」

 

 

 

一足でライザーの懐にまで飛び込んだ近衛は、拳を握りながらえぐり込む様にブローを放つ

 

 

 

「ごっほぉぁぁああ!」

 

 

 

凄まじい爆音を響かせ、ライザーの体が宙を舞う。そこへ近衛は追撃をかけるべく、今度は逆の拳に魔力を込めて放つ!

 

 

 

「【『暴力的狙撃(ヴァイオレンス・スナイプ)』!】」

 

 

「ぐはああ!?」

 

 

 

拳から放たれる魔弾は空気を切りつつ回転し、亜音速のスピードでライザーの胴を貫通した。しかも魔弾はそれに留まらず、仮想空間の空を突き抜け、真っ白な空にぽっかりと穴を開けた。そこから覗くのは、万華鏡のような異質な空間。近衛自身はまだ知らないが、それは次元の狭間と呼ばれる異空間の空だった

 

 

 

「【はあ!はあ!…この鎧はブースト状態の俺にとっての生命線だが、同時に生成されてる間は"無尽蔵に魔力を吸い上げる"。つまり纏ってる俺がブーストを解けば、ブーストした状態の時吸い上げてた魔力と同質の量を、ボロボロの俺から吸い上げる…つまり即死だ。助かる方法は唯一つ、ブースト状態で極限まで魔力を消費し、ブースト状態の間に鎧を解く…しかもタイミングはブースト解除直前と来た。これを逆算する為の魔力操作、10日で仕上げたんだから上等だろ】」

 

 

「ぜぇ、ぜぇ…イ、イカレてやがる!何故そこまでして勝とうとする!理解出来ん、人間無勢が悪魔の事情に関わるなど本来有り得ないはずだ!」

 

 

「【関わって来たのは向こうだっの…だけどあいつには"居場所"をくれた借りがある。その対価が寿命なら安い!】」

 

 

 

その言葉にライザー、ユーベルーナは絶句する。目の前の存在が、人間という悪魔からすれば有象無象でしかない生き物が、確固たる意思と決意を向けて牙を向けていることに、畏敬すら湧く感情を抱いた

 

 

 

「【そっちにとってはお家の決まりを守るお坊ちゃんでいいだろうよ…でもあいつは違う!あいつは鳥籠に囚われることを望んじゃいない!自分の幸せを見いだせてないんだよ!それを周りがはやし立ててもみ消しやがって、俺はそれが気にくわない!自己満足であってあいつの望みの為にここに立つ!それが俺の戦う理由だ!!】」

 

 

 

真っ直ぐに、驚くほど真っ直ぐに思いを叫ぶ人間、近衛剛。その姿を見て何を思ったか、ライザーは貫通した体も再生仕切らないまま、ゆっくりと立ち上がる。再生は著しく落ち、未だ腹は火がくすぶり、消える様子はない

 

 

 

「…はっ、下らない理由だなガキ。だが…悪くない姿勢だ」

 

 

「…ライザー様?」

 

 

 

今まで見たこともない姿を見せるライザーに、ユーベルーナは目を丸くした。心境の変化か、彼の眼差しは怯えや蔑みではなく、敵を見る目だった

 

 

 

「お前は所詮人間だが、その条件下でこれだけのモノを見せるとは思わなかった…どうだ、これが終われば悪魔にならないか?」

 

 

「【却下だ。てめぇのハーレム入りして男色の餌食にはなりたくないね】」

 

 

「こっちも願い下げだ、リアスはまだ駒を余らせている。そっちで十分お前の素質に合う駒があるだろうさ…俺が勝てばみっちり戦い方を教えてやるよ」

 

 

「【てめえの面倒位てめえでやるさ。勝つのは俺たちだ】」

 

 

 

互いに臨戦態勢を作ると、ライザーは残り少ない魔力を再生ではなく攻撃へ、近衛は翼の片翼、というよりも体の崩壊を防ぐ為に膨大な魔力を排出していた噴射口の魔力を無理やり右腕に圧縮し、形を作った

 

 

 

「腕、吹き飛ぶぜ?」

 

 

「【上等、吹っ飛ぶ前にてめぇを消し飛ばす!】」

 

 

 

決着は近い。これが最期の一撃となるのは明白だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タカシ…」

 

 

 

新校舎の屋上、私リアス・グレモリーとアーシアは、全てを消さんとする化身となり、ライザーとユーベルーナを圧倒するタカシを見守っていた

 

 

…そう、見守ることしか出来なかった

 

 

 

「ひくっ、タカシさん…どうしてあんな…」

 

 

「泣いてはダメよアーシア…まだ戦いは終わっていないわ」

 

 

 

私達は先程までライザーと戦っていた屋上にいる。ただし、屋上の足場は、まるで初めから無かったかのような虫食い状の穴だらけになっている

 

 

タカシが提案した秘策…『赤龍帝の篭手』で限界までブーストし、その莫大な魔力を消費して、彼の新たな力、『虚無の篭手』を使い、ライザーの魔力を再生不可になるまで消耗させる。それが当初の作戦だった

 

 

この作戦は非常に効果的だとすぐに分かった。祐斗との最終試合の時、彼は四回のブーストで地形ごと変えて見せた。これならば、或いはと本気で思ったわ

 

 

彼の神器は私の『消滅の魔力』と似て非なるもの。私の『消滅』は対象を消し飛ばすけど、彼の『虚無』は違う。炎を指先で触れてしまうだけで、触れた対象の魔力やエネルギーの類を消失させてしまう。それに限らず、威力も魔力の質と同等のものだから、モロに受ければ単純計算で、再生に要する魔力を含めて二倍の魔力を消費することとなる。タカシの限界値の二倍なら問題無いと踏んでいた

 

 

だけど、彼はそれ以上の危険を冒した。あんな禍々しい姿、誰も見たことが無い…少なくとも、私たちは

 

 

 

「…タカシは黙っていたのね。私達が止めると分かっていたから!」

 

 

 

憤りすら感じた。タカシはこの戦いを、それこそ死ぬ間際まで追い込んででも勝とうとしている。なのに私は、その覚悟すら察せず彼を頼ってしまった!こんな私が『王』ですって?とんだお笑い草だわ!

 

 

 

「部長さん…ひくっ、タカシさんは助かるのですか…?」

 

 

「…分からないわ、ただ言えるのは…あの状態のタカシを前に、ライザーだってタダじゃ済まないという事だけよ」

 

 

「タカシさんはどうなるのですか!?私の目からでも分かります!あれは危険過ぎます!」

 

 

「えぇ、その通りよ…タカシは 14回の倍化で既に魔力が致死レベルにまで跳ね上がってる。それを超高濃度の虚無の炎を背中から噴射することで、肉体の崩壊をギリギリまで押し留めているんだと思うわ」

 

 

 

それが、この屋上の有り様の原因。現に彼が通った場所は、翼の炎が通り過ぎた地形は全て"消え失せている"

 

 

 

「っ!タカシ!」

 

 

 

するとグラウンドで繰り広げられている戦闘に変化があった。ぶつかり合いの音が無く、静かに上昇する魔力。恐らく、決着が近いのだと分かる

 

 

 

「オォォォォォオオオ!!」

 

 

「【ハアアアァァ"ァ"!!】」

 

 

 

二つの雄叫びが響く。腹に穴が開くライザーと、半透明の紫の鎧の中、血塗れになってでも拳を握るタカシ。二人の距離が縮み

 

 

 

次の瞬間、衝突した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は不死鳥。鳳凰と呼ばれ、火と風を操る元七十二柱の上級悪魔の一族、フェニックス家の三男として生きてきた

 

 

欲しい物は手に入れてきた。現に俺は理想の女達を下僕とし、着実に実績を積んだ。そして今回も同じ…欲しい物を当然の如く手に入れるだけ

 

 

そう思っていた

 

 

 

(何故だ、目の前の存在は…死を明確に見せる程の脅威であるはずだ。何故こうも"立ち向かおうと動いたのだ"?)

 

 

 

リアスとの結婚は目に見えていた。なのにたった一人の男、それもアリにも満たない人間に何もかも狂わされた!

 

 

人間と呼ぶにはあまりに不可解、目の前の"何か"は得るはずの無い力を持ち、それを引き出して俺に楯突いて来る…それが何故か、怖くもあり、嬉しくもあった

 

 

 

(勝ちたい…この人間に、近衛剛に俺は勝ちたい!)

 

 

 

初めてだ、ここまで何かを欲する気持ちになったのは…当たり前に手に入らない物を、俺は求めている。リアスよりも勝利を求めてしまっている!

 

 

そう、悪魔が生きる源…欲望。俺の中で渇望する勝利への欲求が、今にも迫る奴の拳を貫かんと心から前へ進ませる!

 

 

 

勝ちたい…勝ちたい、勝ちたい

 

 

 

 

 

"勝ちたい!!"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【汝、力を求めるか】

 

 

 

っ!?誰だ!

 

 

 

【汝、比類無き力を求めるか】

 

 

 

…力、そうだな。求めよう、俺は力が欲しい!眼前の敵を葬り、欲しい物を全て手に入れられる最強の力が欲しい!

 

 

 

【聞き受けた…汝に栄光あれ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドックン!!!

 

 

「【なっ!!?】」

 

 

 

俺の敵、近衛剛の驚愕する声が聞こえた。そう…決着を付ける為に放った奴の一撃を

 

 

"片手で受け止めた"のだから

 

 

 

「『俺も負ける訳には行かないんだよ。死ね!』」

 

 

「【ごっ!?がああああ!!】」

 

 

 

次の瞬間、奴の理不尽にも感じる鎧を、俺の拳が貫いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最悪だ…想定しうる中で最悪の展開だ!

 

 

 

「【がふっ!ぇ"ほっ!ごほっ!】」

 

 

 

吐き気が喉にせり上がる。腹部を見れば、あれほど濃縮していた虚無の鎧にヒビが入っていた。…つまり、"今の奴"にはそれだけの力があるってことだ

 

 

 

「【…強化体!】」

 

 

 

そう、俺も二度や三度経験したから分かる。あれは通常の能力を数倍に跳ね上げる化物みたいな能力だ…それが上級悪魔で不死身の野郎に宿っただ!?反則も良いとこだぞおい!

 

 

 

「『どうした!ダメージを受けたことがそんなにショックか!』」

 

 

 

俺を殴り飛ばしたチャラ男、ライザーの体が燃え上がる。それは形を作り、徐々に奴の姿を別のものへと変化させていた

 

 

金髪の髪はオールバックのように後ろへ流れ、オレンジ色の"羽"へと変化し、それは頬辺りにまで生えている。両手両足は猛禽類の足と同様の構造となり、足は三本指、手は五本指で鋭利な爪を有する

 

 

更には肘から肩、膝から腿の根元にまで赤い羽で覆われ、胸全体は紅蓮の炎を纏う。極めつけは奴の羽、全長の二倍はありそうな一対の真紅の羽が視界を阻み、圧倒的存在感を示した

 

 

 

「『俺は勝つ!何があろうとも俺は欲するものをこの手に掴む!そのための糧となれ!近衛剛!』」

 

 

「【生憎エサになる気はねえぞボケ!】」

 

 

 

俺のタイムリミットも限界、魔力も底が見えだした。なのに野郎は強化体になって数倍の魔力を身に付けてほぼ無傷…詰んでるぜおい!

 

 

 

「【ハア!】」

 

 

 

それでもまだだ!奴の魔力を削ぎ落として、少しでも後ろに控えるグレモリーに繋ぐ!俺が琴切れても、奴にチャンスを作ってやる!

 

 

 

「【パープルフレア…】」

 

 

「『ヌルい!』」

 

 

「【っ!?ぐああああああ!!】」

 

 

 

嘘…だろ?攻撃する前に、鎧の密度を超える炎を放った…!?桁違い過ぎる!

 

 

俺は炎の勢いに押され、地面を二、三回バウンドした後倒れ伏した

 

 

 

「【が…ぁぁああああ"!!】」

 

 

「『半端な防御力が仇になったな。普通なら即消滅する熱量を生きたまま受けるとは』」

 

 

 

熱い!熱い熱い熱い!畜生!意識が吹き飛びそうだ…!全身から煙と肉の焼けた臭いが感覚を麻痺させる…死んだ方がマシってのはこの事だ!

 

 

 

「「タカシ(さん)!!」」

 

 

 

っ!?マジかよ、グレモリーとアーシア…?何で来た!これじゃ的にしてくれって言ってるようなもんじゃねえか!

 

 

 

「【ガッ…来るな!】」

 

 

「『ユーベルーナ!回復役を潰せ!』」

 

 

「は、はっ!」

 

 

 

畜、生!やっぱり狙いがアーシアに向きやがった!どうする、ポイントに接続しようにも数が足りない!今魔力の消耗は致命的だってのに、クソ!

 

 

 

「【ア"ー、シアああ"あ"!】」

 

 

 

ユーベルーナの爆破の準備が終わる。魔法陣から生まれる爆発の予兆、間に合え…背中の噴射で高速移動、この体でアーシアに触れず、爆発を防ぐ!

 

 

 

 

 

そして次の瞬間、アーシアの周囲で小規模の連続爆発が起きた

 

 

 

 

 

 

「【がっ、はぁ!】」

 

 

「タカシっ!」

 

 

 

結果的には、間に合った。爆発の直前にアーシアを覆うように、俺の鎧を形成する炎をアーシアの周囲に展開。爆発は防げた…けどそっちに気が行き過ぎて、逆に俺のダメージが深刻になった。おまけにアーシアは衝撃で気絶…最悪だ

 

 

 

「『さぁ、近衛剛。回復も無い、力も限界、打つ手は全て潰したぞ?』」

 

 

「【……グレモリー】」

 

 

「…えぇ、分かってるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【アーシアとの約束、破りそうだ】」

 

 

「え…?」

 

 

 

完璧に詰んだ…その通りかもな。今の状況でグレモリーにバトンを繋いでも、彼女じゃチャラ男を倒せない…なら"バトンを渡す前にケリをつける"しかねえだろ!

 

 

 

「【出来れば全部守りたかったけど、全部背負ったら、守れない約束がある…だから第一優先でお前の約束を守る!】」

 

 

「止めなさい!もういいの!これ以上あなたが傷付いたら…私、私…!」

 

 

 

必死に泣いて止めてくるグレモリーは、やっぱり出会った時から変わらない、優しい彼女だ…ただ我が儘だったけど

 

 

 

「【今まで我が儘に付き合ってたんだ…だから"俺の我が儘"、一回だけ聞いてくれや】」

 

 

 

多分、これ以上言ってもダメだ。だから俺は、決着をつけるまで、グレモリーを見ない。あいつに漬け入る隙を見せないためにも

 

 

 

「【アーシアを頼む】」

 

 

「止まりなさい!タカシ!行ってはダメ!」

 

 

 

もう…俺は後ろの声を拒む。俺の残る魔力全部と、さっきからダダ漏れしてる背中の噴射を

 

 

 

両手に宿す!!

 

 

 

「【吠えろ!『虚無の篭手(ゼロ・ギア)』!!】」

 

 

『Zero!!』

 

 

 

虚無の炎がこれまでに無い輝きを放つ。鎧のエネルギーも、背中の噴射も、体の魔力も、全て両手に託した。おかげでもう立ってる認識が無い。視界もほぼ皆無…それでも見据える、俺の敵を!

 

 

 

「これが全霊だ…止めてみやがれ!!」

 

 

「『フッ、ハッハハハ!驚いた!ここまでやれるか!悪あがきにも程があるぜ近衛剛!!』」

 

 

 

ライザーも両手に炎を蓄積し、球体を作り出した。あれ食らえば後は塵だけ残りそう…

 

 

 

 

 

 

「『強襲する虚無(アサルト・ノーバディー)』!!」

 

 

 

そして俺の最大の一撃が、右の拳から放たれる。その炎は形を変え、東洋の龍となる。『登龍門』を改良した、正真正銘の決め技だ!

 

 

 

「『うぉぉおおおおお!』」

 

 

 

チャラ男は迫る龍へ向けて火炎弾を放つ。遠くでも分かる程の熱を秘める強大な炎、それを龍は少しずつ食い破り、拮抗を破壊せんと押し進む

 

 

 

「『ちい!』」

 

 

 

そして火炎弾は押し込まれ始め、チャラ男は巻き込まれまいと両手で龍を押さえ込む。すると龍の体が少しずつヒビ割れて行く…ダメだ、これでもチャラ男に届かねえ!

 

 

 

「『ハ…ハハハハハ!これで終わりだ近衛たか…』」

 

 

 

 

 

「あぁ…"これ"で終わりだああああ!!」

 

 

 

俺はこのチャンスを逃す事無く、"残りの左手で地面を殴りつけた"

 

 

 

俺の狙いは…残りのポイント全てにリンクすること!

 

 

 

「『大嵐(テンペスト)』ォ!!」

 

 

 

次の瞬間、待機させていた全てのポイントへ左手の魔力全てをリンクさせ、虚無の魔弾を一斉放射した!

 

 

 

「ル"ォ"ォ"ォォォォォ!!」

 

 

 

腹の底から湧き出る雄叫びを、天に向け叫ぶ。数えるのも億劫になるほどの魔弾が、全て一点へ着弾した。決め手を敢えてブラフに使う…これもまた策ってもんだろ?

 

 

 

「ぉ…わ、っ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『残念だったな』」

 

 

 

…だけど俺の耳に絶望は響いた

 

 

全てを無くした俺の目に、煙から悠々と現れるチャラ男が映る。だが無事では無いらしく、未だに数カ所穴の開いた部分は再生仕切れていない

 

 

 

「『お前が初めの状態だったならば、今の俺と互角、それ以上に立ち回れただろうよ。まさか力を得てさえここまでやられるとは思ってもみなかった』」

 

 

 

奴が何を言ってるのか聞こえない…もう俺の全機能は停止寸前なんだろう。そのくせ…ここまで冷静に思考出来る状態なのが、不思議だ

 

 

 

 

 

『『Burst!』』

 

 

 

だけ…どっ、それ…篭手の恩、け…を失っ、瞬か…

 

 

 

「『良くやったよ、念押しだ。楽にしてやる』」

 

 

 

視界…全、赤…染まる…な、か

 

 

 

 

 

血まみ…の、体、やつ…のうっで…が、貫、い…た……




主人公、死亡!?まさかの展開にしましたが、これで終わる訳ありませんよ?

次回からはクライマックス編…文字数多いくせ進行おっそい(泣)

ホント文章力無くてすんません!

次回にご期待下さい!
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