ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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激突!空へ舞うは…

腕が鱗に包まれ篭手というより鎧に近くなり、心臓は紫炎が輝き宝玉が埋め込まれ、不気味な血管の収束を感じた時のこと

 

 

俺の背後から突然気配を感じそちらを見ると、男がいた

 

 

 

「兵藤…一誠?」

 

 

「え?」

 

 

 

思わず出た名前に、男は反応し振り向いた。それは間違い無く、レイナーレに殺された青年、兵藤一誠だった

 

 

 

「…やっと、初めましてだな」

 

 

「そう、なのかな?けどこっちとしちゃ"ずっと一緒だったし実感無いや"」

 

 

「え?ずっと、てお前どういう」

 

 

『兵藤一誠、相棒は肉体的に死んでいたが魂は無事だった。その影響でお前が体験した日々を夢という形で共有していたのだ。つまり、今の現状は説明要らずといったところだな』

 

 

 

そいつはありがたいや。何なら今から言う策も説明し易い

 

 

 

「よっしゃ、なら今から「あっ、ちょっと待ってくれ!」って何だよいきなり」

 

 

「どうしてもお前に言いたかった事があってさ…」

 

 

 

かなり神妙な面持ちで俺を見る兵藤、まあ…眠ってしばらく閉じ込められてたんだ。文句の一つはあるよな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くたばれこのリア充め~~!!」

 

 

「……………は?」

 

 

 

ビシッと聞こえそうな程真っ直ぐ俺に指を差す目の前の男。え?今予想の斜め上の発言が聞こえたんだが?

 

 

 

「リアス先輩の生乳にアーシアの発展途上だが小ぶりでもない慎みあるおっぱい!更に姫島先輩の三桁おっぱいに子猫ちゃんのちっぱい!その他バラエティー豊かなおっぱいに囲まれやがって羨ましい妬まし「そいやあああああ!!」くぼほぉぉぉ!?」

 

 

 

ふぅ、悪は去ったか…

 

 

 

「て、てめ…何しやがる!?いきなり人にラリアットかますとか非常識過ぎるぞ!」

 

 

「こっちの台詞じゃスカタン!堂々と変態発言しやがってからに!てめぇそんなだから彼女いねぇんだろ!黙ってりゃ彼女出来そうな感じなのによ!」

 

 

「うるっせえ余計なお世話だ!俺は三度の飯よりおっぱい!夢はハーレム王!貫くはおっぱい!」

 

 

 

わ、訳が分からん!何だこの残念野郎は!?これが駒王の変態組最後の一角だってのか…舐めてた、心の底から舐めてた!

 

 

 

「…ドライグ、心の底から同情する」

 

 

『言うな…これはこれで面白いと思え』

 

 

 

うわぁ天龍さん黄昏てんぞ。こりゃいつか病むな、勘だけど

 

 

 

「ああ、お前のおっぱい理論はこの際置いといて…真面目な話だ聞いてくれ」

 

 

「っ!…そうだな、悪い暴走しちまった」

 

 

 

ふむ、自覚はあるのか。更正されることを祈ろう

 

 

 

「ドライグ、魂ってのは"一時的にモノへ取り憑けるか"?」

 

 

『ふむ…可能といえば可能だな』

 

 

「それが魔力でもか?」

 

 

『…まさか、相棒を表に出すつもりか』

 

 

「え?どういうこった?」

 

 

 

ドライグも鋭いな。兵藤はイマイチ理解してないのは仕方ないか

 

 

 

「兵藤、良く聞け。俺の神器はお前の神器で十二分の力を発揮する。だが奴は厄介な事に強化体に変異している。今の奴、ライザーと互角になるには最悪10度のブーストが最低条件となるんだが…あいつが100秒も待つ訳も無ければ、恐らく"十秒程度の『禁手』じゃ魔力を削りきれない"」

 

 

「っ!?それじゃあどうやって!」

 

 

『そこで相棒の登場さ。こいつの魔力の才は究極のテクニックタイプと言える。"魂に合わせた魔力の型"を創り、制御するなんて訳も無い…要はお前も戦うんだよ。『禁手』の鎧を纏い、不死鳥の悪魔とな』

 

 

「……へ?えぇぇえええ!?」

 

 

「驚くのも仕方ねえが時間も無い。付け加えて言えば俺が魔力の型を創るにしても最終的な制御はお前が担わなきゃ行けねえ。一応大半の制御はしつつ戦闘技術を曖昧ながら伝達することは可能だが…上手くいく保証はない。更に、俺も『禁手』で戦うから恐らくだが…」

 

 

『っ!?正気か貴様!そんなことをすれば相棒が』

 

 

 

言い淀む俺に、今度はドライグが驚き反発する。けどこれは元から大博打なんだ、今俺が握ってる手札をギリギリまで出し切った結果が…これだ

 

 

 

「いいか、良く考えて選べ。単純に『禁手』を二つ同時進行するって事は負担が倍になる。恐らく制限も半分以下になるだろう。下手をすれば負荷に耐えきれずお前の魂に重大な支障だってきたす恐れがある」

 

 

「……」

 

 

「それでも、やるか?」

 

 

「…難しい事だから分かんねえけど、けどこれだけは言える」

 

 

 

目の前の男は俺を見据えた。あれだけ途轍もないデメリットを提示しようとも、はっきりとした意思を持って俺に拳を出した…成る程、肝は据わってやがる

 

 

 

「もう何も出来ずに傷付く人たちを、リアス先輩があんな奴の為に泣く所なんて…見たくねえ!」

 

 

「…はっ!良い目してんじゃねえか。その覚悟、忘れんな」

 

 

『はあ…全くどいつもこいつも馬鹿としか思えん』

 

 

「あらぁ?俺には後先考えずオメオメ網に掛かるお馬鹿さんが喋ったように見えたが?」

 

 

『うるさい!それ以上口にするな!』

 

 

「何て言うか…ドラゴンの威厳が感じらんねえ」

 

 

 

どうもこの面子の突っ込み役が、まさかのド変態こと兵藤であることに驚きを禁じ得ない

 

 

 

「ま、いいや。兵藤!ドライグ!一発かますぞ!」

 

 

「ああ!やってやる、俺はリアス・グレモリーの『兵士』だからな!」

 

 

『ふん、あの不死鳥に目に物を見せてやる。龍の意地ってやつを!』

 

 

 

そして俺の行く先に光が灯り、俺は手を伸ばす

 

 

 

 

 

 

『お前も随分イカレた奴だよ』

 

 

 

天龍の呟きはどちらへのものなのか、それを知ることは無い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Ⅹ』

 

 

「っ!」

 

 

 

『禁手』のカウントダウンと共に、俺は背中のブースターを使って高速でライザーへ肉迫する

 

 

 

『ドラゴンショット!』

 

 

「『ちい!』」

 

 

 

そしてイッセーは俺の背後から魔弾を放ち、赤く太いレーザーをライザーに向け、注意を逸らす

 

 

 

「『小賢しい!龍が二匹に増えようと!』」

 

 

「勘違いしてんぜ?"元から二人だ"。『パープルフレア・ショット!』」

 

 

 

ライザーは一先ずイッセーの魔弾の回避を優先した。だがそこへ俺の『虚無の炎』を宿した拡散弾が至近距離で直撃し、あえなく吹き飛んで壁へ直撃した

 

 

 

『Ⅸ』

 

 

「『くっ!おのれぇ『ここだぁ!』っ!』」

 

 

 

忌々しげに俺を睨むライザーだったが、即座に襲い来る脅威に即座に反応し、尋常じゃない速度で空へ舞う

 

 

パンチが空ぶったイッセーは壁を叩き壊し、砂煙に埋もれるが、それを逃すライザーじゃない!

 

 

 

「『燃え尽きろ!』」

 

 

「やらすかよ!」

 

 

 

正に恰好の的になったイッセーへ片手を突き出し炎を収束させた瞬間、先程ダメージを与えた際貼り付けておいた『点(ポイント)』を『魔力の手(マジック・ハンド)』で接続し、無理やりその位置から引き離した

 

 

すると標的を失った炎が在らぬ方へ飛ぶと、遠方の地形に直径20mの火のドームが築き上げられた。今のイッセーじゃあれは命取りか

 

 

『Ⅷ』

 

 

「『ヴァイオレンス・スナイプ』!」

 

 

「『ぐふっ!?』」

 

 

 

そろそろカウントも無視出来ない。さっきの二発は直撃だが倒すまでは程遠い!徹底的に潰す!

 

 

 

『うおおおおおお!!』

 

 

「『しまっ、がはああああ!』」

 

 

「畳むぞ!イッセー!」

 

 

『おう!』

 

 

 

イッセーのボディーブローが決まり、空中でくの字になったライザーを、俺が右手の篭手から両手に紫炎を纏わせた状況で手を合わせ鎚のように後頭部へ振り落とし、地面に叩き付けた

 

 

 

「出血サービスだ、『魔力の腕(マジック・アーム)』フル展開!」

 

 

 

そして地に落ちた不死鳥へ、俺が今操作出来る限界域まで『腕』を展開する。勿論紫炎で作った事で紫の龍の腕が俺の背中から顕現している

 

 

 

 

その数、しめて14本

 

 

 

『Ⅶ』

 

 

「『鬼龍門 阿修羅』」

 

 

「『舐、めるなああぁぁ!!』」

 

 

 

ライザーは仰向けになりながらも羽を広げ、まるでクナイの様に鋭い炎の刃を無数に放ち迎撃の姿勢を見せる。物量に勝るは…質量だな

 

 

 

 

 

 

「『強襲する虚無(アサルト・ノーバディー)』!」

 

 

 

次の瞬間、俺の背に顕現した14の『腕』は形を変え、一斉にクナイの嵐へ飛び込む

 

 

その光景は、14体もの紫の龍が、荒波を超えるかのようだった

 

 

 

「『ごほぉああああ!!』」

 

 

 

東洋の龍を模した俺の一撃は、クナイによって何体か砕かれつつもライザーへ届く。爆発が地を覆う中、そこへ飛び込む影があった。勿論その動きに遅れる俺じゃねえ!

 

 

 

『まだだぜ焼き鳥野郎!リアス先輩を泣かせた分はこの程度じゃねえぞ!』

 

 

「『くっ!ポッと出の素人が漬け上がるな小僧!』」

 

 

『Ⅵ』

 

 

 

先に肉迫したイッセーに、あれだけの攻撃を受けて尚再生が衰えないライザーが迎え撃つ。両手に炎を纏い、鎧を切り裂く様に横へ凪ぐ!…だが

 

 

 

「甘えよお坊ちゃん」

 

 

『おらあ!』

 

 

「『なっ、がはっ!?』」

 

 

 

ライザーはこの期に及んで油断した。"戦いを知らない素人"と刷り込みされた概念でイッセーと相対した時点で、奴は負けだ

 

 

イッセーが即座にしゃがみ、下から掬い上げるようにアッパーカットを決めた所へ、すかさず俺が割り込む

 

 

 

「フルコース、楽しめや!」

 

 

「『ごっ!』」

 

 

 

がら空きの腹へ紫炎を纏わせた右ストレートをかますと、ライザーが腹を押さえ屈む

 

 

 

「『せい!』」

 

 

「『ぶふぉ!』」

 

 

 

追い打ちは続く。俺は四肢に炎を纏い、イッセーは持てる全力でライザーの顎を同時に蹴り上げ

 

 

 

「はあ!」

 

 

『どりゃあ!』

 

 

 

僅かに宙に浮いたライザーの腹部へ、今度は回転し、捻りを加えた後ろ回し蹴り、イッセーは振り上げた足を踏みしめて右ストレートを顔面に叩き込んだ

 

 

ライザーは為す術もなく、ノーバウンドで奥の壁へ吹き飛ばされ、激突した

 

 

 

『Ⅴ』

 

 

「っ!イッセー!」

 

 

『まだ、…だあ!』

 

 

 

そしてカウントは限界に達した。だけどイッセーはここで踏ん張ってみせる。両手にありったけの魔力をかき集め、鎧の像がブレ、ヒビが入ろうと魔弾を作ってみせた

 

 

 

「…はは、お前の方がよっぽどヒーローしてん、な!」

 

 

 

だから応える、イッセーの努力に!

 

 

 

レイナーレ、朱乃さんの言葉…魔力とはイメージ

 

 

より強く…より速く…より凶悪に!

 

 

 

「はぁぁぁあ!」

 

 

『ぉぉお"お"お!!』

 

 

 

円を描く様に、両手で空間をなぞり、中心にドスが効いた紫の魔弾を生み出す。イッセーもまた作り出した魔弾を圧縮する

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

「『消し飛べ!!』」

 

 

 

俺たちの渾身の一撃が放たれた

 

 

 

瞬間、フィールドは赤と紫の光に包まれ、爆風が荒れ狂う。どうにか飛ばされないよう踏ん張り、ライザーの行く末に目を凝らす

 

 

 

『うっ…もう、無理…』

 

 

「イッセー!」

 

 

 

だけどその傍らで、遂にイッセーは力尽きた

 

 

 

『Ⅳ…』

 

 

 

そのカウントが終わると、鎧も人型も崩れ去り、赤い光体が残る。それと同時に、俺が纏っていた鎧も解除され、元の姿に戻っていた

 

 

光体…イッセーの魂は『赤龍帝の篭手』の宝玉に潜ると、静かに溶け込んだ

 

 

 

「はぁ、はぁ…ドライグ、イッセーの様子は?」

 

 

『無茶をしたが別状はない。ただ気力を使い果たしたせいで、暫くはまた休眠していることだろう』

 

 

 

その言葉にホッとする俺だが、それに渇を入れるように、ドライグは言葉を紡ぐ

 

 

 

 

 

 

『ところでどうするつもりだ?"奴はまだやる気らしいぞ"?』

 

 

「当然、ぶちのめす!」

 

 

 

その言葉の後、爆心地に炎が噴き出した

 

 

 

「『正直に言おう、俺はお前を認める。永遠の宿敵として!』」

 

 

 

砂煙をもぶっ飛ばして現れたのは、もう再生が追い付かなくなった傷だらけのライザーだった

 

 

 

「ようやっと"同じ土俵"だぜ?ライザー…」

 

 

 

俺は構える。俺が強さを求め、一番最初に手にした拳の型を

 

 

最終ラウンドが今、鳴り響く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そん、な」

 

 

 

僕、木場祐斗は戦慄していた

 

 

一度の死を乗り越え、『禁手(バランス・ブレイク)』という奥の手を手にしただけでなく、篭手に宿った兵藤君の魂を呼び出し、二人で戦う彼の存在を…仲間でありながら戦慄してしまった

 

 

 

「あれだけやって、まだライザーは動けるというの!?」

 

 

 

だけど部長が言うように、それ程の力を正面から受け、尚も立ち上がるライザーもまた尋常じゃなかった

 

 

 

「ふん!あんな2人で掛からなければ戦えない人間に、お兄様が負けるはずがありませんわ!」

 

 

「…眷属の殆どで掛かっても一蹴されて、良く言う」

 

 

「な、何ですって!」

 

 

 

するとタカシ君を馬鹿にしていたレイヴェル・フェニックスに、意外にも子猫ちゃんが食って掛かった

 

 

 

「…先輩を知らない人が、先輩を馬鹿にしないで下さい」

 

 

「こ、の!言わせておけば!」

 

 

「レイヴェル様、少し落ち着きを」

 

 

「これが黙っていれますか!」

 

 

 

ライザーの『戦車』が宥めようとするが、レイヴェルさんは余計怒るばかり

 

 

 

「…ふふふっ」

 

 

「?お兄様?」

 

 

 

すると部長の傍らで戦いを見ていた魔王、サーゼクス様から漏れた声に、誰もが顔を向けた

 

 

 

「実に面白いね彼は。まるであれは"初めから本命ではない"ような態度に見える」

 

 

「それは、どういう…」

 

 

「見たまえ、彼はあれだけの大技を終えたにも関わらず、ライザー君が立ち上がる事を知っていたかのように拳を構えた…つまりあれで終わらせるつもりは無かったのだよ。"対等の状況に追い込む"為に『禁手』を使い、『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』の本来の持ち主を顕現させる事で、圧倒的差を縮めさせようとしたのではないか…と私は考えている」

 

 

 

その推測を聞き、再び視線をタカシ君に戻す。確かに…あれだけ『禁手』を行使して五体満足のライザーを見て尚、彼は拳を、彼の原点とも言えるボクシングの構えを取った。普通なら、誰もが諦め、膝を着きかねない光景なのに、タカシ君は闘志をたぎらせながらライザーを睨んでいた

 

 

 

「どこまでも、真っ直ぐなんだね。君は…」

 

 

「タカシさん…」

 

 

「タカシ君」

 

 

「…先輩」

 

 

 

全員が祈るように、彼の背中を見守った。願いは一つ、無事に、責めて生きて帰って来る事を…そして信じてる、そうなる時、彼は勝っていることを

 

 

 

「…タカシ!」

 

 

 

一人の為に、全てを懸ける…それが人間、近衛剛だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「『倒す!』」」

 

 

 

俺は今持てる総てを駆使する。ただ交わした約束の為に

 

 

敵の懐へ駆ける、人間が元来信頼すべき力…拳を叩き込む為に!

 

 

 

「『消えろおお!!』」

 

 

 

再び奴は羽からクナイを生み出し、広範囲へ撃ち出した。それを避けきるのは不可能、一々防御に回れば漬け入られる…

 

 

 

「円錐をイメージ…突っ切る!」

 

 

 

正面の空間に、不可視の円錐を生み出す。その瞬間、クナイの波状攻撃が俺に到達する

 

 

 

「『何!?』」

 

 

「ちんたら探ってる場合かよ!」

 

 

 

だがクナイは俺に当たらず、周りばかりを爆発させた。その中で俺は駆ける、真っ直ぐに敵の元へ!

 

 

 

「『ならば!』」

 

 

 

赤いカーテンを背に走る俺へ、ライザーは迎え撃つ。右手に紅蓮の炎を纏わせて

 

 

 

「来いよ!そっちのがらしいぜ!」

 

 

「『抜かせええええ!!』」

 

 

 

右手に紫炎を纏わせ、形を作る。イメージは腕の部分のみ再現した紫の鎧、およそ三倍の大きさの腕を真っ直ぐに突き出した瞬間、紅蓮と紫が交わる!

 

 

 

「『おおおおおお!!』」

 

 

「ぎっ、んのぉぉおお!!」

 

 

 

ゴドンッ!!!といった衝突音が鼓膜を刺激し、拳と拳が拮抗する。だけど魔力で強化しようと人間のスペック上どうしても俺が押し負けてる!

 

 

 

「おらあ!」

 

 

「『何!』」

 

 

 

だからこそ俺の出来ることは、手数で凌ぐ!ライザーの肘へ空いた左手でアッパーを打ち込み、競り合いを打破する

 

 

そこへすかさず膝蹴りを腹へヒットさせ、屈んだライザーを上から覆うような状態から首をホールディングした

 

 

 

「『ぎっ、い…小賢しい!』」

 

 

「うあ!?」

 

 

 

だけどライザーも一筋縄では行かず、全身を燃え上がらせる事で力尽くでホールドを打破してきた。てか熱っつ!俺上半身裸だった!

 

 

 

「『やはり人間のスペックが仇となったな!はあ!』」

 

 

「げっ!」

 

 

 

熱さのあまり思わず距離を取ったのは失敗した!ライザーが次の手に使用してきたのは、炎で出来た十数羽の鳥だった

 

 

 

「こうい、う!形の奴は!」

 

 

「『察しの通り、追尾だ!』」

 

 

 

すぐさま襲い来る鳥共を避けるが、後ろから、横から、あらゆる方向からまた攻撃して来やがる!拉致が開かねえ!

 

 

 

「ぐっ!がっ!」

 

 

「『はっ!追加だ!』」

 

 

 

鳥の羽が高速で俺の肉を焼きつつ、切り刻む。強化と虚無じゃ手数が足りねえ…そこに更に前方から無数の火のクナイが串刺しにしようと飛んでくる…ダメだ、ここで死ぬわけには!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうか…生きて帰って下さい!』

 

 

分かってるぜアーシア…もう寂しがらせねえからな

 

 

『タカシ君、勝って…!』

 

 

朱乃さん…当たり前ですよ

 

 

『タカシ君…どうか、無事に!』

 

 

木場、てめぇは端から優しかったな。いい加減、その優しさに応えねえと悪いよな!

 

 

思い出せ…曖昧ながらでも。あの10日や、今まで積み上げた力の一つ一つを!これを打破する方法を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『タカシ!!』

 

 

 

っ!!絶対飛ばせてやる、あの空(自由)に!!

 

 

 

「~~っ!南無三!」

 

 

 

そして浮かんだ方法は、一つ!

 

 

 

「『サイレンス・ゼロ』!」

 

 

「Zero!」

 

 

 

両脚に紫炎を纏い、高出力の魔力を注ぐ。そして

 

 

 

「いぃぃぃやっ!」

 

 

「『ちぃ!まだ足掻くか!』」

 

 

 

クナイの嵐をかいくぐる様に俺は跳び上がり、"空中で反転しコマのように回転する広範囲の蹴り"をクナイに叩き付けた

 

 

ある時は地に手を付き回転し、ある時は蹴り上げた勢いで爆転し、時には紫炎を纏わせた肘打ちなどをクナイに、読み辛い機動を駆使する火の鳥へヒットさせていく

 

 

カポエイラ、ムエタイ、ボクシング…他にも多くの武術を学び、取り入れ、昇華させてきた己の武。その集大成を、まるで披露するかのように、俺は一人技を繰り出し、着実に炎の脅威をぬぐい去る。その姿を客観的に見たら、一人踊りに見えるだろう

 

 

 

「打破したぞ、不死鳥!」

 

 

「『くっ!』」

 

 

 

そして遂に俺の位置はライザーの懐に到達した。慌てて下がるライザーを、俺は有無も言わせずピッタリと張り付き、拳を握る!

 

 

 

「らああ!!」

 

 

「『ぐっ!がっは!』」

 

 

 

右の拳は吸い込まれるようにライザーの頬を突き刺す。けどこれで終わりにする気は無い!

 

 

 

『タカシ!『禁手』のエネルギーのほんの少しを宝玉に残せている。使え!』

 

 

「そういうのは早く言え!ドライグ!」

 

 

『Dragon Booster Second Liberation!!』

 

 

 

すると左の篭手、『赤龍帝の篭手』がけたたましく声を発する。見ると篭手が更に大きく変化し、宝玉が一つ増えた

 

 

 

『Transfer!』

 

 

「っ!」

 

 

 

何だ、篭手から急激にエネルギーが流れて、虚無の炎がより強大になった!?…そうか、宝玉の力を『虚無の篭手』に"譲渡"したのか!

 

 

 

「行くぞ!」

 

 

『Boost!Explosion!!』

 

 

 

譲渡の力、そして倍加の力によって、俺はこの僅かなチャンスを最大限に活かす!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ヘカトンケイル』!!!」

 

 

「『っ!!?~っ、ごっ!ぼっふ!?がぁぁあああ!!』」

 

 

 

生身の『腕』の操作限界は四本、倍加して八本、そして俺の両腕を加えた10本の虚無の腕が、ライザーの全身を貫く!下手をすれば命を奪うかもしれない、俺が掲げた『守る力』の定義に背くかもしれない。それでも"奪わないと奪われる"大切なモノを、守ってみせる!

 

 

 

「『登龍門(ライジング・ドラゴォォォォン)』!!」

 

 

「『ぐぶっ、この、え…たがしぃぃぃぃぃぃぃ!!!』」

 

 

 

天へ登る龍は…絶望を空へ運んだ。俺を奪い、グレモリーの夢を奪い、皆の想いを奪った男から

 

 

 

 

 

 

"俺は全てを奪い返した"




ようやくライザー編、完結!

残るはエンディングを残し、二巻突入です!てかここまで何話使ってんだろ…ホント文章力無くてスイマセンm(_ _)m

熱く書けてたか微妙だった気もありますが、ここまで読んでいただきありがとうございます!

そして今年も末永く読んでいただきますよう、よろしくお願いします!

では!
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