俺たちは場所を中庭に移し、俺は木場を隣に彼女ら、紫藤イリナと脳筋女に相対した
「なぁ木場…お前、ホントに"聖剣が憎いのか"?」
「……そう言いたい所だけど、正直言い切れない部分もある。けどね、今目の前にある仇が憎いことに変わりはない!」
そう言うと木場はメッシュの脳筋女、ゼノヴィアの前に立つ。俺は俺で自分の相手である紫藤イリナの前に立つ
「…抜かるなよ」
「…誰に言ってるんだい?そっちこそ」
「話は終わったか?ならば…殺さぬように、楽しもう!」
すると教会側の二人はローブを脱ぎ捨て、各々の聖剣を構えた。片や十字架を模した重厚な大剣、片やリボン状の形から日本刀に変化した未知数の聖剣
「ふふっ、よろしくね~!」
俺の目の前のコイツ、紫藤は小馬鹿にしたような調子で刀を構える。正直ふざけてるとしか言いようがねえんだが、ムカつく事に隙が無い…さすがに精鋭ってのは伊達じゃないか
でもそれ以上に気になった事がある
「木場、教会っていつから異常性癖者の集いになった?」
「…少なくとも僕が見てきた教会の頃はまだ普通だったね」
「?これは教会が支給してきたエクソシストの戦闘服だが?」
あんの脳筋絶対騙されてる!!うら若き乙女があんなボンテージみてぇな服装してて違和感感じないとか!狂信し過ぎて周り見えてないだけじゃねえか!
「おい脳筋女、あと紫藤。それ絶対作った奴らが邪な思惑付きで開発したと思う」
「何を言っている。これは聖剣を扱いやすくするためのギミックが備わっていてだな」
「だとしてもちっとは恥じらい持たんか脳筋痴女!何でこっち側の連中はグレモリー筆頭に変態ばっかなんだ!?」
「タカシ?後で少しお話しましょうか」
後ろで何か黒いオーラ出してるけど今はどうでもいい!取り敢えずあの格好は目に毒すぎる!
「はぁぁあああ!」
「っ!ふん!」
その時、俺の隣にいた木場がゼノヴィアに特攻した。だけどその動きは今まで見たアイツ特有の動きは無く、完全に突っ込んだだけなのは目に見えている
「向こうも始めてるし、こっちもやろっか!…て言いたいんだけど、聞かせてほしい事があるの」
「はあ…結局改善は出来ないと。…ま、俺もお前に言っとかねぇとダメな話があんだ。気にしねえで行くか」
だけどこっちの様子は向こうとはまるで正反対。さっきまでのふざけた様子はなりを潜め、代わりに顔を出したのは射殺すような鋭い目。殺気すら感じる
「イッセー君のおば様から聞いたの。あなたのこと」
「まぁ、昔からの付き合いなら聞くこともあんだろうな」
「何でもイッセー君が行方不明になって暫くしたら、前触れもなく"転校生でクラスメイトだから"顔を出したとか言って訪ねたんだって?これ都合良すぎると思わない?」
絶対零度、これほど当てはまる言葉は無い。恐らく紫藤は、イッセーの失踪の原因が俺だとでも考えてるんだろう。確かに、間違いではないがな
「お前の考えてる感じで大体合ってる。俺はイッセーの居場所を知ってる、と言うよりここにいる…が正しいのかな?」
「…何ですって?」
「イッセーの境遇が特殊でな?俺も元に戻そうとは思ってるんだが、まだしっかり目処がついてないんだ」
俺はそう告げ、訝しむ紫藤に見えるように左手を出して『赤龍帝の籠手』を呼び出した
「それ…『ブーステッド・ギア』!?あなた赤龍帝だったの!?」
「俺は仮初めだよ。真の赤龍帝は、件のイッセーだ…おい、黙ってねえで出て来いエロ坊主」
『誰がエロ坊主だ!』
そして籠手から響く声を聞いた紫藤の目はも文字通り丸くなっていた
「イッ、セー君…?」
『あ、ええと~…お久しぶりって言うのかな?こんな状態だから何とも言えねえけど』
「一体、何がどうなって」
「イッセーは…4月に堕天使の陰謀に巻き込まれて殺されたんだ。だけど、どういった原理か知らねえが、未だ健在の魂と傷付いた肉体が籠手と一緒に、まるで吸い寄せられるように俺の左手に宿っちまったらしい」
話を聞くに連れて段々と驚愕が困惑へと変わって行く。まあ前例の無さ過ぎる現象だから、無理もないけど
「イッセー君は…元に戻るの?」
「あぁ、恐らくは戻せる。そこは心配しなくていい…ただし、成り行きだったが、こいつが元の肉体で帰って来た時は、悪魔になってるはずだ」
「!?そんな、あなた!イッセー君を悪魔に転生させたと言うの!」
「いや、それは俺がやった訳じゃあ」
「ああ!神よ、私の大切なイッセー君を悪魔へと堕としたあの外道を恨む事をお許し下さい!待っててねイッセー君!今その人の皮を被った悪魔を消滅させて救済してあげるから!」
あれ?シリアスが一瞬にして妙な流れに!?
「おいイッセー、あの女いつもああなのか?」
『し、知らねえよ!俺だってつい最近まで男だと思ってたんだから…それにしてもピチピチスーツで惜しげもなく主張されたあの双丘!けしからん!』
こいっつはどこまで欲に忠実なんだ!
「神より与えられたこの試練、これを乗り越える事で更なる信仰が証明されるんだわ~!」
「こいつ脳筋より質の悪い狂信者じゃねえか!クネクネしやがってうっとおしい!」
「さあ、この聖なる一撃で滅されなさい!アーメン!」
はあ、どいつもこいつも我が強い奴ばっかだな!
「こなくそ!」
紫藤の鋭い一撃を辛うじて避け、俺は状況をリセットするために『手』を後ろの木に貼り付け、ゴムの要領で跳ねるように後退する
「へぇ、面白いことするね」
「スピードと剣捌きは木場ランクか。ちっと骨が折れそうだ!」
『Boost!explosion!』
こりゃ出し惜しみはなしだ。短期決戦と洒落込むか!
「『鬼龍門 阿修羅』!」
「わお…これはちょっとキツいかも」
俺は籠手で倍化した状態で『腕』に火を付加させることで、総勢二十本の炎の豪腕を背に紫藤へ立ちふさがる。ま、さすがにこの光景で笑ってはいられないらしい
「ほお、今代の赤龍帝は芸達者だな」
「余所見とは余裕だね!『魔剣創造(ソード・バース)』!!」
そしてふと木場の方を見ると、木場は自分の神器『魔剣創造』を解放して無数の剣撃をゼノヴィア目掛けて放っていた
「この程度!ふんっ!」
だけど次の瞬間、聖なるのオーラを纏った『破壊の聖剣』を地面に突き立てることで、魔剣の剣撃を容易く無効化し、それだけでなく地面そのものに中規模のクレーターを作ってしまった。てかどんだけの威力秘めてんだあれ!?
「もしかして相手にする奴間違えたかな?」
「どっちでも同じだよ。君たちが負けることに変わりは無いの!」
「『ヘカトンケイル』!」
さすがに俺も気は抜かねえ、いや抜けねえな。木場並の機動力に対して、俺は物量攻撃に打って出る。二十の豪腕による高速打撃が紫藤へ殺到するんだが…
「ふふっ♪それ、ほい!」
「やっぱ避けるよな…」
一度殴った場所に上手く逃げ込みながら、紫藤は確実に俺へと近付く
「もうお終い?」
「まさか」
「っ!?」
だけどコイツは勘違いしてる。俺が"魔力操作のみ"が得意だと
だから俺は紫藤が拳の弾幕を抜けた瞬間、魔力を身体強化に回して急接近して拳を繰り出す
「くっ!速い…!」
「これ避けてる奴が言える口かよ!」
籠手をつけた左手でフックから始まり、右ストレート、ワンツー、ブローと流れる動作で紫藤に打ち込んでいくんだが向こうも半端じゃねえ!掠ることはあっても他は避けるかいなすか、又は刀で止められて有効打になりゃしねえ!
「接近戦は不利!だったらこれなら、どう!」
「っ!ちぃ!」
すると向こうも攻撃パターンを変更して後ろに下がると、刀を蛇のように伸ばして俺に挑んで来る。成る程、刀はあくまで使いやすい形なだけで『擬態の聖剣』の真骨頂はこれか!
「うお!どら!…くっ、攻撃手段のレパートリーの豊富さ。それがその聖剣の持ち味、違うか?」
「ふふっ♪そゆこと!」
話してる今も聖剣はうねりながら俺に刃を向け襲い掛かって来る。…だけど、そろそろ"仕込み"は万全!
「『テンペスト』ォ!」
「わわわっ!?」
俺の合図に従い、俺が殴りつけた地面に貼り付けた"点"に接続した"糸"から発動を促して電撃の波状攻撃を仕掛ける。それをイリナは鞭に変わった刀を振り回して防御し、避けられない攻撃は致命傷を避けていく。コイツ、流石に少数精鋭で選ばれただけの実力者だな…
『Zero!』
「っ!!」
「だけどもう隙だらけだ」
次のお互いの交差は、俺の勝利の合図となった
「かっは…ちか、らが…」
「『サイレンス・ゼロ』。これに防御は通用しないかんな」
「ぐっ、反則じゃない…!あなた何者…!?」
俺の虚無の炎を纏った拳を腹に受け、イリナはふらふらになりつつも俺を睨む
「人間だよ。テメェと同じな?」
「それ絶対嘘…ぅっ!」
「何故断言された!?」
そして彼女は非常に失礼な事を告げて膝を折った
「ふぅ…こっちは良いとして、木場は…って、あいつ!」
だけど木場の方を見たら安心すら出来やしなかった!
「君と僕、どちらが力で勝っているか決めようか!」
「おい馬鹿野郎!!」
木場の奴、脳筋のパワーに張り合って『騎士』のメリットを塗り潰してやがる
「愚かな…」
そしてそれは自ずと結果として表れた
「そん、な…」
「君の本来の良さは多才な剣とその駿足。冷静さを欠いてそんな事まで気付かなかったのか?期待外れだ」
「……ッッ!」
明らかに重量にしか主眼を置いていない大剣は、脳筋の聖剣で砕かれた。鍔にあたる部分で腹を突かれた木場は、そのまま血を吐きながら膝をつく
「今度は冷静な君と剣を交えてみたいものだ、先輩?」
そう言い残した脳筋を、木場はただ睨み付ける事しか出来なかった。だが不意に、脳筋は振り返り俺を見た
「そして…タカシ、だったか?君とも戦ってみたい。その力、大いに興味がある」
「……」
俺が沈黙で返すと、脳筋は未だ歩くのに手こずる紫藤を担ぎ上げた
「待ちなさい、祐斗を滅さなかったのは感謝するわ。だけど、聖剣を取り戻すといっても、敵に見当はついてるの?」
「あぁ、主犯は『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部、『コカビエル』だ」
「っ、聖書に名が残るほどの相手を二人で?死ぬつもりなの?」
「教会での方針でな、堕天使に奪われるくらいなら、いっそ破壊しても構わないそうだ。その為なら死を選ぶことになっても、ね」
「…何だそりゃ」
俺のそんな言葉は聞かれること無く、今度こそ脳筋たちはこの場を去った
「カラオケの話、あたしも行ってあげてもいいわよ」
「もちろん、アーシアちゃんも!?」
「はい、行きます!」
桐生をガン無視して騒ぐ松田、元浜を余所に、俺は先日の出来事から姿を消した木場について考えていた。ちなみにアイツは学校も休んでいて、あからさまな変化が表れている
「ダメだよアーシアさん、こんな変態共といたら君が汚れてしまう」
「こ、こんにちは匙さん」
「やあ、こんにちは」
今の木場は周りが見えない位には冷静じゃない。だけど今の自分の愚かさにも気付いてる…つまりはグレモリーの言葉通り、感情がぶり返してるだけなのか?
「うるせえ匙!」
「生徒会の書記如きに言われる筋は無いわ!」
それに脳筋とやり合う前、アイツの言葉にはまだ眷属としての木場が残ってた。ならアイツの居場所をアイツ自身で無くさせる訳にゃいかねえ、か…とりあえずは
「はいはいテメェは気障ったらしいのは似合わんから止めとけや」
「イデデデデデ!?は、離せ近衛!」
いい加減放置してっと面倒なんで耳を引っ張り上げて匙を無力化しておく
さて、木場に関して俺が出来ることは、あの状態のまま木場を一人で行動させないこと。そんでもって俺にも因縁がありそうなエクスカリバーも木場と一緒叩き折る。だけどグレモリーは領地での聖剣騒動はダンマリするって話だから協力は仰げねえし、別のコネだと生徒会だがこれもまたアウト。親友の管理する土地で決められた事を破る程、支取さんは非常識じゃない…だとすると狙い目はある程度自由に動ける、グレモリーや支取さんの動きを把握できる人材と。流石に今回は一人でやるには骨が折れるし…グレモリーの動きだけなら何とかなりそうだが、支取さんもとなるれば話が…
「そうだ、お前だ!」
「イッテェ…な、何だよ」
「はぁあ!?」
放課後、俺は匙を呼び出し、早速例の聖剣騒動を片付ける旨を伝え、協力を願い出てみた。まあ、反応は見ての通りだが
「お前なに考えてやがる!只でさえ聖剣なんて物騒なもんに関わるなんてゴメンなのに、それを破壊しようだなんて!こんなの会長にバレたら何をされるか!」
「殺されるかもな」
「他人事だなオイ!?」
普通はこうなるわな。確かにこんな厄介事関わらないが吉だ…ただ、今回は訳が違う
「お前んとこの部長厳しいながら優しいけど、ウチの会長は厳しくて厳しいんだぞ!」
「それは隅にでも放り投げといて、実際嫌でも関わる話だと思わねえか?考えてみろ、敵さんは話だと幹部クラスの大物、それにたかだか人間二人を割り振るなんて時点で、コイツ等は使い捨ての駒にしか見えねえだろ」
「それがどうしたってんだよ」
「要は協会側はコレに関して本気で解決するつもりが無い。下手すりゃこのままグレモリーや支取さんを亡き者にしてもう一回三大勢力の大戦争をおっぱじめたいって考えも有り得るんだよ…つまりこのまま放っておくだけ、被害を受けるのはこの街の人間やお前たち悪魔だけってことさ」
「っ!?」
漸く事態の深刻さに気付いたらしく、匙も狼狽えずに真剣になり、話を聞きに入った
「付け加えるなら堕天使の阿呆は悪魔の領地と分かってここに聖剣を持ち込んでる節がある。なら聖剣の試し斬りに使う用途なんて一つしか無い」
「…悪魔狩り」
「ビンゴだ。向こうさんは相当暴れたいらしい…幹部クラスがこんなことやってるんなら、もしかすると堕天使側が戦争をふっかけたいのかもな。それともソイツだけが一人暴走してるのか…どちらにせよ、このままなら間違いなくこの街に大きな被害が出る。それはお前も不本意だろ?」
「だ、だからって俺にそんな大物倒す手伝いなんてさせるのか?言ってて悔しいけど…俺はお前ほど強くない」
そう言って俯いた匙の拳は、血が出そうな程握られていた。てか…まだ"アレ"を引き摺ってんのかよ
「俺が何の意味なしに協力してくれなんて言わねえよ。お前には支取さんら生徒会の行動や方針を探ってほしいんだ。あと、お前の神器は恐らく相手さんとも相性が良い。俺にとっちゃ、お前ほど適材適所な人間が思い付かねえ。だから、頼む…」
「…近衛」
俺は頭を下げ、精一杯の頼みをした。普段の俺を知ってるやつからすれば、驚くべきことなんだろうな
「……はぁ、何だよこれじゃ俺が格好悪いじゃねえかよ。ここまでされて嫌なんて、言えねえっての」
「…サンキューな」
「どうせまた自分の為とか言うんだろ?お前のことだし」
「当たり前だ。"俺の居場所"を荒らす輩をぶっ飛ばすだけなんだ、自分の為だろ?」
「素直じゃねえ奴」
そう告げた匙は困った奴を見るように俺を見る。何かムカつくなオイ
「…どうせそんな事だと思いました」
「え?」
「猫娘?」
だがそこへ思わぬ珍客が、何故かデカいパフェ片手に現れた
「私も協力します」
「いいのか?そうなるとグレモリーだってタダで済ますとは思えねえけど」
「はい、私も祐斗先輩がいなくなるのは寂しいですから…」
そう言って猫娘はイスに座ってこちらを見てジッとする。あれだ、梃子でも動かんって言いたいのな
「…はぁ、出来れば協力者は一人で良かったんだが、しゃーねぇ。それなら先ずは話を進めよう、木場が今後後に引きずらず復讐を果たせる方法をな」
「どうするかは決めているんですか?」
「当然」
そして俺は二人に計画を説明していく。ま、やるこた簡単なんだが
「では、私たちは別行動で」
「見つけたら俺らからも報せる」
「じゃ、さっそく捜索開始だ」
その後、俺は匙、猫娘と別行動を取り、ある人物たちを探す。ぶっちゃけた話先日の聖剣使いの二人だ
あいつらはぶっ壊してでも聖剣を回収したくて、そのためには命を惜しまないとか抜かしている。だから今回はそこに漬け込ませてもらう
『いくら狂信者でもあの年頃で死にたいなんて普通思わんだろ。ぶっ壊してぇんならソイツを一本仇討ちしたがってる奴に譲ってやっても構わねえとは思うはず』
『簡単に行くでしょうか?』
『そこで俺だ。今回は交渉に関しては俺一人でやる。だから二人は別行動で捜索して、見つけたら俺に報告、そのまま木場に関する話を含めて"協力することだけ"を伝えればいい』
『つまり、この話はあくまでお前一個人として交渉する体で行く。そんな感じか?』
『ああ、だから問題はこの動きをグレモリーや支取さんにバレると動きを制限される可能性が高い。それを避けるため、二人には先ず、今日と明日の放課後までに生徒会とオカ研がどこまでこの騒動に肩入れしているかを調べてもらいたい。そんでもって聖剣使いの二人の捜索は明日からにする。こんなもんかね』
『相変わらず抜け目ねえな、お前』
『当たり前よ、人間舐めんな』
『…既に手遅れ』
『次言ったら猫耳カチューシャつけさせて学校一周させるぞ?』
とまぁ、こんな感じで俺は捜索に当たっている。情報によればグレモリーと支取さんは双方目に見えて行動は起こしていないそうだが、時々それらしい情報を得ているらしい。まあ、十中八九だが女王の二人が動いているのだろう。聞けば二人の姿が夜中の間は見当たらなかったというのだから、そこは確定だろう
「となれば俺に関して監視は無いようで。そんなら早速動いて問題ないかね」
ただ動くにしたって街は狭くない。こっからどうやって連中を探し当てるのか、骨が折れる
「えぇ哀れな我々にお恵みを~」
「天の父に代わってご慈悲を~」
「…シスターって?」
取り敢えず電柱に顔をぶつけた俺は悪くないと思う
で、場所は変わって近くのファミレス。猫娘と匙を死角ギリギリの席に待機させておいて、目の前で未だ飯にありつく二人が落ち着くのを待っている。てか積み上げられた皿の数からして、コイツ等どんだけ腹減ってたのやら
「おぉ、神よ。この慈悲深い男へ祝福を」
「別に神様に見返り求めてねえから」
すると食後の水を飲み干した脳筋がグラスをわざと音を立てて置き、本題に話を切り替えた
「で、我々に接触した理由は?無償で一飯を与えてくれた訳ではないのだろう?」
「話が早い、エクスカリバーの破壊を協力したいんだよ。そのために顔を出した」
「何?」
眉をひそめる脳筋だが、俺は話を続ける
「正直な話、今回の騒動を黙って見るなんてのは、俺としては考えられねえんだわ。教会の胡座かいてる連中の考えなんて知らねえが、うら若き乙女に物騒なもん持たせて、明らかに勝てない格上に挑ませるなんぞ、正気とは思えねえ」
「つまり君は、我々ではコカビエルを倒せない所か、敵の良い的だとでも?舐められたものだな」
「言っとくけど、ここで断られても、俺は聖剣について首を突っ込む。それなら、目的が同じお前等と協力した方が都合は良さそうだし、何より…死ぬ確率は確実に下がる」
すると目を細めた脳筋は俺の言葉を聞き、黙り込む。脈あり、かな
「それに、一人先走って無茶してる馬鹿がいてな。ソイツの手助けをするためにも、やっぱり人数が多いのは都合が良いんだ」
「…それは魔剣創造の彼を言ってるのか?」
「あぁ、あいつは…木場は今、一人で憎しみと向き合って苦しんでる。多分このままだと、あいつはタダじゃ済まない。そうなる前に、俺も一緒にあいつの苦しみの清算を手伝いたいんだ。その為にも、敵対していようが、目的が同じお前等に、協力を願い出た。…ついでって形だけど、お前等の命も、出来れば守りたいしな」
そう言って、俺は思わず苦笑してしまった。何だ、これは?今までの自分じや、人が近付く要因を排除し続けたのに、まるで逆の行動を取ってるじゃねえか
「ふむ…いいだろう。一本くらいなら譲ってやろう」
「ゼノヴィア!?」
すると思ったよりもアッサリ協力が成り立ってしまい、イリナだけでなく俺も驚いた
「意外に快諾してくれるんだな」
「正直な話、私もこの任務は厳しいと思っていた。それに…君の言うとおり、私は命が惜しい」
「命を懸けるのが、私たちの本懐でしょ?今更怖じ気づいたの?」
脳筋は意外と物事を重く捉えてるらしい…逆にイリナは自爆特攻を受け入れてる節がある。ここで意見が分かれてるのか
「脳き…ゼノヴィア。協力の件受け入れてくれて助かった。それなら、一つ協力の際に条件を付けさせてくれ」
「何だ?」
「有志で仲間を増やしたい。最悪、木場だけでも参加させてくれ」
「それなら構わない。彼はこの騒動の渦中にいるからな」
…言質は取ったぜ?
「…やっぱり一人で突っ走ってましたね」
「ったく、油断も隙もねえな」
「げっ…」
「お前たちはグレモリーとシトリーの…」
話が一区切り着いた時点で、子猫と匙が顔を出した
「話は聞かせてもらいました。私たちもお手伝いさせて下さい」
「会長たちには気が引けるけど、事が事だしさ。一枚噛ませて貰うぜ?」
「あ~、って話なんだが…"有志"だから、構わねえか?」
そして俺は苦笑いを浮かべながら、脳筋改めゼノヴィアに許しを伺うと、あちらは何の躊躇いもなく返事を返してきた
「いいだろう、どうせだ」
「悪いな…ハハ」
「はぁぁ…これで良かったのかしら?」
こうして無事に協力を承諾してもらったので、俺は一人息を吐き、二人の悪魔で目配せした。それで返されたのは、小さなVサインと、親指を立てたグーだった
これぞ名付けて、言質取って便乗作戦!!…マンマじゃねえか
まあ、久々の投稿でグダグダが半端ないですね(^^;)
とりあえず、また少しずつ執筆するので、またよろしくお願いしますm(_ _)m