皆さんどうもお久しぶりです
ごたついて執筆が進まず、他の小説書きたいなー、とか文才無いのに考えたりとか忙しい感じでしたが、どうぞゆっくり見てください
あ、あと遅れましてPV5万を越えて非常に嬉しく思います!こらからも駄文ですがチラッと見てやって下さい!
「成る程、だけど聖剣使いに容認されるのは遺憾だね」
場所は変わってここは色々とあった(堕天使関連)公園。そこで木場と落ち合って話を聞かせたんだが、この有り様だ
「随分な言いようだな。君は先日グレモリー眷属から外れたそうじゃないか…状況次第ではここで滅してもいいんだぞ?」
「止めんかい」
「「いたっ!?」」
とりあえず無色の『腕』で二人に拳骨をくれてやってから話を戻させる
「ここに来たのは殺し合いが目的じゃねえだろ。顔合わせと今後の方針決め、そうだろ?」
「そうだが…殴ることはなかろう」
ゼノヴィアの涙目+上目遣いに少しドキッとしたのは秘密
「コホン!えぇっとね魔剣使い君。実を言うと、君の気持ちも分からなくは無いんだよね」
「あぁ…あの聖剣計画は、教会の中でも最大級に嫌悪感される事と言ってもいいからな」
一応、話の軸が戻ったのだが、どうも悪い形にはならずに済んだらしい
「あの計画が公にされた後、計画の首謀者は教会から追放され、『皆殺しの大司教』と呼ばれている」
「そいつは今どこに?」
「堕天使の仲間入りさ。だが奴は、『神の子を見張る者』にいようとも変わることは無かった。当然か、奴の信仰は主ではなく聖剣だったのだから」
そういうゼノヴィアは、心底呆れたように溜め息を吐いた。…堕天使関連で聖剣が絡んで、挙げ句は因縁の根元までここにいる。何つーか、世の中狭いもんだ
「その男の名は『バルパー・ガリレイ』、恐らく奴もこの件に関わっている可能性が高い」
「…バルパー、ガリレイ」
復讐の標的が定まったらしく、木場の目が明確に変わる。…さて、始めるか
「オーケーだな、これである程度叩きのめす奴は分かった。後はこれからの事だ」
「それなんだが、先に調査を進めていた神父が、忽然と姿を消している。有用な情報は今のところ無い」
「それ本末転倒じゃね?」
「…フリード・セルゼンだ」
すると不意に木場が話に乗り出し、どっかで聞いたことのある名前を口にした。はて、どこで聞いたか
「教会の厄介者か。確かにはぐれ同士で手を組むということも、珍しくはない」
「行方不明の神父は、恐らくフリードが殺した後遺体を隠して点々と逃げているんだろう。僕の目の前で力尽きる神父を見たから、間違いは無いと思う」
「…そうか」
何か周知の事実みたいな認識らしい…俺知らんねえんだけど?
「?ピンときてないみたいだけど、フリードとは一度戦っているはずだよ?レイナーレの教会で一緒にいた、はぐれエクソシストだよ」
「……あ、あのモヤシか!」
俺が漸く思い出したのは、一々耳につく笑い声を放つ銀髪イケメン…もう一発殴りたくなった
「…先輩、オーラが黒いです」
「気にすんな、単にモヤシをどう調理して献立にするか考えてるだけだから」
「遂に人間と野菜の区別もつかなくなったか」
口の減らないアホ(匙)をアイアンクローで締め上げつつ、俺はゼノヴィア達へ振り向く
「倒す相手は分かったし、後は行動だ。予定はどうすんだ?」
「ならば作戦の決行は今夜にしよう。内容はこちらで考える…なに、心配しないでくれ。エクソシスト相手なら、元同業者の方が作戦は立てやすいだろうさ」
いや、あんな頭イカれてる人間と同じ思考してますって言ってるようなもんだよなそれ?この子そんなに危ない…いや、出会って早々斬り掛かられたな。確かに"同業者"だ
「?何か不快な気配を感じたんだが?」
「気のせいだろ?了解した。なら作戦は任せるわ」
ゼノヴィアの指摘を華麗にスルーし、二人は先に公園を跡にした。やっべぇ、女の勘ってやつかあれ?
「タカシ君」
「手を引けってか?生憎だがゴメンだな」
すると二人が去った後に声を掛けてきた木場だが、言いたい事が読めたので先に断っといた
「分かってんだろ?ここに集まった連中が、私怨に"巻き込まれ"に来たことぐらいよ?」
「…それでもだ。君達を巻き込んで、もしもの事があった、っ!?」
だっけどまだウダウダ言ってるので俺はコイツの胸ぐらを掴み、言葉を遮った。ったく、男が迷ってる表情したって格好悪いだけだっつうのに
「いいか?二人が協力する理由は大分違ってるが、俺は"俺の用"でこの騒動に首突っ込むんだよ。今更オメェが何言おうと、退く気は無い。…ついでに、俺の平穏の"一部"が欠けんのも癪なんでね、お前が死んだら俺も周りも寝覚め悪いんだわ」
「っ!」
何か驚いてるみてぇだが、まあいい。今のこいつからは、危なっかしい雰囲気が薄れてる。寝言はもう言わねえだろ。そう思い、俺は木場から手を離した
「ふふっ…君はいつも変わらない。君が守るのはいつも自分の世界で、そこに住む皆の笑顔と、希望だ。僕はそんな君に憧れ…嫉妬していた気がする」
「いきなり何だよ?」
「君は気付いてないだろうけど、今の君の言葉が、僕や部長たちにとってとても大きな言葉なんだ。最初の君は、君の世界を必死に抱き締めていただけだったけど…今はその世界に、僕らを受け入れてくれている。それがとても嬉しいんだ」
何か気色悪い事を言い出したぞこの子、まさかモーホー?
『まさか、宿主!貴様そっちの方に』
後でその宝玉に焼き入れてやっから覚悟してろ
『あ~んまり~だ~~!!』
何かだんだんキャラ崩壊してるんだがこのトカゲ
「で?俺に対しての幻想語ったテメェの返事は?単独で復讐か、それとも協力して敵ごと叩き折るのか」
「…そうだね。一度あの計画で死んだ僕を、眷属として拾ってくれた部長には、心から感謝してる。それでも、僕は僕を救い、力尽きた同士の怨みを、魔剣とともに、エクスカリバーへぶつけなければならない。今一度、その協力を頼みたい」
そう言って木場は俺、その後ろにいる匙と子猫へ頭を下げた
「だが断る」
「うぉぉい!?そこは了承するとこだろうが!!」
匙の突っ込みは今は無視
「お前が剣に乗せるのは怨みなんてどす黒いもんだけじゃない。…どうせ乗せるなら、自分の明日への"希望も"乗せろ」
「っ!?」
「こっぱずかしいから一度しか言わねえぞ?確かにお前の仲間は無念の中で亡くなったんだろうさ。だけど…お前を救いたくて、命を懸けてくれた仲間は、辛そうにしてるお前を見たくてそうしたんじゃ、ねえだろ?」
「…そう、なんだろうね」
木場はどこか行き詰まるように応える。きっと、こいつが苦しんでる所は、生かされた『自分』と代わりに死んでしまった『命』なんじゃないのか?俺は、何となくだけどそう思った
「聖剣、エクスカリバーへ復讐することは仲間達にとっては大賛成だと思う。けど、それを怨みだけ乗せて戦うことを望んでないんじゃねえか?…お前は、少しだけでいい。"自分の為に"戦っていいんだ」
「…ははは、ホントに君ってやつは。…どこまでも僕の欲しいものを差し出してくれるんだね」
木場は俯く。手を力強く握りながら…今はいいんだ。こいつはずっと我慢してたんだ、だからーー
「そこまで言われちゃ…僕が断る道理なんて、無いさ」
涙を流す位、仲間だって許してくれるさ
「…私も、祐斗先輩がいなくなるのは寂しいです」
「ずずっ…熱いもん見せてくれんじゃねえの!木場!俺も全面的に協力すんぜ!お仕置きだろうが知ったこっちゃねえ!これが最終的に会長や街の為にもなるんなら、安い代償さ!」
「…どうやら皮肉なことに、神様が見捨てても、悪魔(仲間)は手を差し伸べてくれるらしいぜ?」
「ふふ…あぁ、ありがとう、皆」
つー訳で俺達は深夜、堕天使関連で大変世話になった廃教会に集まった。てかホント好きだなココ
一応、アーシアには仕事の名目で抜け出している…だが多分、いや勘が訴えてるのは、それで"あの人ら"を誤魔化せるとは思えねえんだよな~
「あー取り敢えず、諸々の事情があるので、今日の呼び出しはキャンセルでお願いしたいんですが……」
『まー急用なら仕方ない。次会うときは土産話でも聞かせてくれや』
「あいっ変わらず太いっすね兄さん。そんなら何か良さげな肴でも買ってきますわ。飲みは付き合えませんが」
『はっはっは!そいつぁ楽しみだ。じゃ、また会おう』
そして今日あった筈の仕事の断りの電話を入れ、俺は今一度集まったメンバーを見回した
「…さ、行きますか」
「あぁ、早速作戦についてだが、お前達にはこれを着てもらう」
ゼノヴィアはそう言うと、俺と悪魔組の分だけある神父服を渡してきた
「つまり、神父を襲うモヤシを誘きだす、てことでいいか?」
「察しが早いな。そういうことだ、これに着替え終わったら二つのチームに分かれる。私とイリナ、後はお前達のチームだ」
「悪くねえ作戦だな。おしっ、んじゃやるかね」
「あ、そうだ。近衛剛」
「?何だよ、変更点でもあんのか?」
「いや、君には色々世話になっているのでね。これぐらいは教えても良いと思ってね」
改まって息を整えると、ゼノヴィアは告げた
「白い龍は目覚めているぞ」
「っ!」
白い龍、か…まあ目覚めてても可笑しくはねえとは思ってたんだが、ここでそれを教えてくれなくても…何でかって?勘が悪い方に働いたからだよ
作戦が決行され、俺達は深夜の街を行軍していた。これ下手すりゃ通報もんだな
「…よくよく考えたらよぉ、別に俺らが堂々と歩かなくても、こっちから出向いた方が効率良くねえかこれ?」
「何だよ近衛、そんないきなり」
「あのモヤシは狂ってるが馬鹿じゃねえ。そこらの配慮は出来る野郎だってのは、殺り合って分かった事だ」
「つまり、人気の無い場所か」
すると木場が思い至る事があるらしく、口を開く
「心当たりでも?」
「一応ね」
んでやって来たとこが、だ…
「なあ、何で厄介事って同じとこで良く起こるんだろな?」
「私に聞かれても困ります」
「それもそだな」
以前叩き潰したはぐれ悪魔、バイサー?バイザー?がいた廃教会である。ま、ここなら確かにいそうだわな…魔力探知でビンビン引っ掛かってる奴がいるし
「ひゃっほおおおおぅ!!今日も今日とて神父狩り♪」
いつぞやのイカレ口調で上から飛び掛かって来たモヤシを捉え、俺は赤龍帝の籠手を展開して相手の剣を受け止めた
『Boost!』
「こんちわー、神父に見せかけモヤシ狩りの者でーす。殴られる準備は出来てるか?おぉ?」
「あんらー…ここで会ったが百年目!クソジミーのタ~カシ君じゃあ~りませんかッ!」
『Zero!』
ムカついたので無言で虚無の籠手を起動してストレートを撃ち込んだんだが、以前よりも圧倒的なスピードで後ろに避け、廃教会の上に着地した。てかアイツ人間だよな?どんな身体能力してやがる!?
『お前が言うな』
俺は魔力補助なのでセーフ
「おやおやおや~ん?見た目神父だけどよ~く見たらクソ悪魔どものコスプレ集団じゃん!そんなに俺様に斬られたいのかな~ん?ペローン♪」
相変わらず苛つく口調だが、油断すりゃ本気で首と胴体がさよならになんのは承知済み。アイツはイカレてるからこそ…"強い"
「気をつけて下さい。あれは…」
「あぁ、分かってんよ…木場、アイツの手元に目が行っちまうのは分かるが…使い手は真面目にやり合って無事で済む相手じゃねえからな」
「…あぁ、奴の力は今なら分かる。エクスカリバーだけじゃない、フリード・セルゼンだからこそ出来る芸当があの一連の動きにはある」
今まで戦った中でも、モヤシ以上の化け物なんぞゴロゴロいた、が…それはあくまで自力の問題だ。だがアイツは?悪いが自力がアイツの真骨頂じゃない
アイツの強さは、あのイカレた思考と真反対の冷静な判断力と、その悪魔祓いとして培ってきた戦いの"経験"だ。つまり…場数を踏んだ玄人、これが俺のモヤシに対する評価だ。決して侮るな、ペースを崩されるな、一つでもアイツに何かを譲れば、タダでは済まない。第一考えろ、アイツはどうあれ俺と同じ"人間"という種族でありながら、悪魔相手に容易く対応出来ている。この時点で、奴は天才の部類に入ると十分に言い切れる
「来ねえならコッチから行かせてもらいますぜ~!人気者も辛いっすからね~、四人相手だとちと体力もたねえんですわ!」
「言われずとも出向いてやるさ!」
「子猫!手筈通り頼む!匙!上手くやってくれ!」
「はい!」
「任せな!」
こうして前衛として木場と俺がモヤシへ突貫し、二人には別の役目を渡して行動を起こす
「はぁあ!」
「さっすが速いね~!だが今の僕ちんは」
「なっ!?」
「っ!ちっ!」
だがモヤシは早速パワーアップ効果らしき駿足で俺と木場の視界から消えた。だが!
「聖剣のオーラが駄々漏れなんだよ!」
『Boost!Explosion!』
「あっ、しゃらくせぇっすわ~!!」
二回の倍加を終えた俺は能力を解放させ、魔力を圧縮しながら腕を籠手に合わせて顕現させ、強固な盾を生み出す!
次の瞬間、聖剣と強化後の赤龍帝の籠手がぶつかり、火花を散らせた。つか何じゃこの衝撃と威力は!?危うく強化した腕が折れるとこだったぞ!
「ぐっ!んの…それが聖剣か…!」
「そうよ!これぞ『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』!俺呼んで、"ちょっ速の剣"!」
「マンマだな~見事に!」
「無視とは気分が悪いね!」
「あらよっと!」
その時、木場が横からモヤシに斬り掛かったが、持ち前のスピードを使って剣の効果範囲から離脱した
「木場!刀一本くれ!」
「ああ!」
そんなら俺も、たまには搦め手以外も使ってみっか!木場から鞘付きの刀受け取り、俺は静かに構える
「速度強化の聖剣か、他に6つそんなのがあって、昔はそれが全部纏まって一本だったとか…確かに、使えたらソイツは"さいきょうの剣"なんだろうな」
ま、結局ギミック詰め込んでぼくのかんがえたさいきょうぶき、とか笑って叫んでたんだろな~製作者。哀れに思える
『宿主、つまらん考えの前に現状を打破すればどうだ?』
「そのつもりだよ!」
俺は全身に魔力補助を掛け、倍加分の魔力も上乗せすることでモヤシと木場のスピードに追づいする
何合もの剣の応酬の中、木場の袈裟斬りをモヤシが横凪ぎで弾きすれ違う。そこへ俺が突貫して腰元へ刀を付けて居合いの構えを作る。速さで挑むなら、剣も速くねえとやってらんねえだろ!
「食らえや」
「あ、やば」
モヤシの野郎、俺の動きに危機感を覚えたらしく、剣を構えて防御に出た。なら撃ち込むのが道理だろ!
「ドライグ!」
『Transfer!』
そんでもって俺の倍加能力を刀に預け、刀の鍔(つば)付近で魔力を破裂させ、速さを底上げする
後は…振り抜く!
「チェストぉぉぉ!!」
「ぎゃんっ!?」
余りの威力に刀が刃こぼれを起こしたが、モヤシは綺麗に地面へ落下し、砂煙を上げながら突っ込んでいった。俺は俺で空中で体を反転させ、足に魔力のクッションを作って目の前に迫る木の幹へ足を向けて、速度を殺す
『Reset!』
「ふむ、刀の質が上がりゃ使えるか?」
「余所見たぁ舐めてんじゃねぇのクソ野郎が!!」
だけど生命力がG並のコイツがこの程度で伸びる訳もなく、血走った目で俺に迫ってきた。…あれ、ホントに人間なのかね?
「こっちのセリフだっつの、"周り見たか?"」
「ラインよ!」
「っ!うごっ!?」
だがしかし、隙を見せたモヤシを捕らえるのは容易だ。匙の神器、『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』から舌が伸び、モヤシの足に巻き付くと、一気に引き寄せて転倒させた
「こんの、何だこのベロベロ!これもドラゴン系統の神器か!?」
「その通り!そんでもってコイツの力はここからだ!」
「あんにっ!?なん、じゃこりゃ…力が」
舌が規則的に脈動を始めると、モヤシは目に見えて顔色を悪くし、勢いが無くなっていった。うん、アレは食らいたくないね、二度と
「クソ…力を吸い取る神器か……!」
「木場!今だ!」
『Boost!Transfer!』
そして俺は教会の屋根から飛び降りて来た木場の元へ走り、すれ違い様に肩に触れた
「後はくれてやるよ!」
「それじゃ、遠慮なく!魔剣創造(ソード・バース)!!」
木場が着地と同時に剣を地面に突き立てると、赤龍帝の籠手の譲渡で能力が向上した魔剣創造によって無数の魔剣がモヤシに迫る
「やっば~…とでも言うと思ったかな?はいざ~んね~ん♪」
だがアイツはこの危機的状況で狂った笑みを浮かべた
「っ!木場!離れろ!」
「っ!?ぐぁっ!」
突然、木場の横から現れた影が木場へ迫り、間一髪で飛び退いたんだが、腕に切り傷が入った。てか何じゃあの気配?まるで…
「いや、今は後回し!」
余り倍加に頼るとガス欠起こしちまうし、素であの乱入者を叩き潰さねえと
「ラッシュ・ショット!」
腹の中心線を狙って突き上げる様にアッパーをかまし、加えて魔力の散弾を敵にぶちこんだ
だが、俺の感じた違和感をこの時知ることになった。拳を入れた瞬間、余りにも"手応えが無さすぎる"!?
「ふっふっふ。魔剣創造に赤龍帝の籠手、実に珍しく強力な神器だ」
「誰だ!」
更に教会の中から年のいった男の声が聞こえ、そちらを見ると、ジ◯ムおじさんみたいな神父がこちらに歩いてきた…まあ、今はふざけてらんねえんだがな…こんなもん見せられたら頭がイカレちまいそうだ!!
「おお!バルパーのじいさん!」
「何!?バルパーだと!」
「フリード、まだ聖剣の力を扱いきれんようだな」
「それなんだけどさ~ぁ?このベロベロ切れねえし力吸われるし踏んだり蹴ったりなんですけど~?」
「体に流れる因子を刀身に込めろ。そうすれば力を引き出せる」
向こうで色々やってるが、俺はまず聞かねえとならんことがある
「おい…そこのジジイ」
「ん?私のことかな?」
「この倒れてるのは"死体"か?」
そう、さっき木場に襲いかかった男、たった今無力化したコイツは、本来感じる筈の魔力の流れや生物固有の気配を一切感じなかった。逆に感じられたのは、歪みに歪んだ"神聖"のみ。死体と言い切れる要素は十分あった。そして俺の予想が当たってるなら、この死体は
「その通り、本来は邪魔者をフリードに始末させていたのだが、コカビエルが"面白いモノ"を用意してくれてね?試しにそこの肉塊を実験台にすると、驚くべき事に生前の戦闘能力をそのままに、丁度いい"手駒"を作ることが出来たのだよ」
今コイツは何て言った?肉塊?実験?木場やその仲間を手に掛けて未だに人間をモノとしか見ていないのかこの男は
「見つけたぞ!はぐれ神父バルパー・ガリレイ、フリード・セルゼン!」
「教会の犬共か、聖剣をわざわざ持ってきてくれるとは痛みいる」
【変わるわけねえよ、人間ってのは等しく醜く、直視し難い"害悪"だ。それを利用し、己を有利にせんと動く異形もまた同じ、生きる全ての存在は私欲にまみれてやがる】
応援に来たゼノヴィア達の声が遠くに感じる。頭に語りかけるアイツの言葉に、俺は何故か聞き入っていた
【この世界はあるだけで吐き気がする。生きることそのものが穢れを生む錯覚さえ覚える…ならば終わらせよう、真の安寧を、『平穏』を求めて】
ゆっくりと差し伸べられた手に俺は手を伸ばす
【平穏は、虚無の先に】
「ひ、との命を何だと思ってやがんだぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『Zero!Zero!Zero!Zero!Zero!』
怒りが頭の中を支配し、視界を狭めた。今俺の視界に映るのは全【て敵だ…!】
「っ!?マズイな…フリード!退くぞ!」
「あいさ!はい、チャラバ!」
「【逃がさねえ…!】」
モヤシが閃光弾を叩き付ける中、俺はその光へ右手を振りかぶり
【Unlimited】
「【『暴食』】」
右の籠手から溢れ出た闇を撃ちだし、眼前の光を貪った
「っ!」
だが思った手応えが感じられず、逃げられた事が分かると、間髪入れずに飛び掛かってくる"ナニカ"へ腕を振るう
「【食い散らかせ】」
四つ程飛び込んで来た影が、腕の軌道に沿って綺麗に"消えた"。そして何処かでその光景に高揚感を覚える自分がいる
【いいねぇ、やっぱテメェの本質は変わっちゃいない。しがらみの無い自由な平穏を求める本質は…虚無のそれに他ならない】
頭でごちゃごちゃ言われてるが、今は俺の目の前に映るしゃがみこんだ"ナニカ"を【消す】ことが優先だ。早く、早く…俺の前から
『Time out』
【ちっ、時間切れかよ。もうちっと楽しめると思ったんだがなぁ…】
だが次の瞬間、俺の思考が一瞬でクリアとなり、更に視界が広がった。今、俺の前に片膝をついて苦しんでいるのは
「…さ、じ?俺は…何を…?」
私は、塔城子猫は今、いつもの様にタカシ先輩は、祐斗先輩や、私たち眷族を守る為に、多少の無茶をしながら聖剣の破壊、エクスカリバーへの復讐を果たそうと奮闘していました
「流石ナイトだよな、俺じゃ目でも追えねえや。てか俺必要だったか?」
目の前で祐斗先輩とフリード・セルゼンが高速戦闘を行っている最中、一緒に来てくれた匙先輩が小さく愚痴をこぼす
「大丈夫です。タカシ先輩が呼んだのなら、それは意味があってのことです」
「…はは、違いない。ホンット、妬ける位に、男らしいかんな~アイツは。会長やオカ研メンバーに信頼されんのは仕方ないか」
どこか切ない顔をする匙先輩が印象に残りましたが、それを考える余裕は無くなりました
「チェストぉぉぉ!」
相変わらず平常運転で人間を止めてる先輩の一撃の元、フリード・セルゼンが丁度匙先輩の射程範囲に落下する。あれを狙ってやったのなら、そろそろ種族を野菜人にする必要がありそうです
そして怒りで注意が疎かになったフリード・セルゼンへ匙先輩が意表をついた。相手の力を吸い取る神器…確か一度耳にしたのなら、アレは龍王の一角が封印された力だったと聞きます
フリード・セルゼンを捕縛、更にエクスカリバーの奪還の二つを成し遂げ、正しく祐斗先輩がトドメを刺そうとした瞬間、気配が非常に薄い何者かが祐斗先輩を襲い、タカシ先輩が迎撃しました…ただ、先輩が倒した相手からは、何故か生気を感じられないことが不気味に思えました。きっとそれは、倒した本人も同じのようだった
「ふっふっふ。魔剣創造に赤龍帝の籠手、実に珍しく強力な神器だ」
そこに現れた中年の神父、あの男から滲み出る狂気は、嫌でも私の神経を逆撫でました
そしてこの男こそが、祐斗先輩の同士の仇であるバルパー・ガリレイでした
「聖剣の因子を、刀身に籠める…ね」
「っ!マズイ」
バルパー・ガリレイがフリードへ助言を掛けた後、直感で危機感を覚えた私は即座にフリードへ接近しました。ですが
「がはっ…!」
「っ!?匙先輩!」
聖剣の刀身からゾッとする程の聖なるオーラが溢れたのと同時に、匙先輩が血を吐き出し、神器の拘束が緩んでしまった
「おほ~♪こりゃラッキー!」
「ぐっ、しまっ…ごぼっ!?げほっ!」
そしてフリードはその隙に神器を切断して脱出し、自身に溢れる力に歓喜した
「活性化した聖剣の因子を取り込んだ影響だな。今頃体内で聖剣の光力が荒れ狂い、内側を蝕んでいるだろう。光は悪魔にとっての猛毒だからな~、さぞ苦しかろう」
「よくも匙先輩を…!」
「ぐへへへへ!お嬢ちゃ~~ん、悪いけど君にはエクスカ~リバ~♪、の試し斬り第一号になってもらいやすぜ~。てな訳で死んでちょ!」
「見つけたぞ!はぐれ神父バルパー・ガリレイ、フリード・セルゼン!」
フリードが私へ聖剣を振るおうとしたその時、応援を伝えていたゼノヴィアさん、イリナさんが駆け付けてきた。これで少しは状況を変えられる
だけど、私はこの時余裕が無かったのかもしれない。ここまでの一連の中で、タカシ先輩がピクリとも身動きを取らなかった事に、疑問を抱けなかったのだから
「ひ、との命を何だと思ってやがんだぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
《っ!!?》
タカシ先輩の怨みにも似た怒号が辺りを響かせ、形容し難い殺気が場を包みました。私の中にある受け入れられない"力"が嫌でも分かるような警鐘を鳴らす。危険で、怖くて、動けなくなる程に濃い"闇"が…タカシ先輩の右腕と肩を覆い、巨大な爪を象ってまとわりついていた
顔の右目を中心とした4分の1が闇に隠れ、燃えるように光る紫の右目がより不気味に映える。何より怖かったのは…それだけ異常なナニカが目に見えてるのに、何の魔力も"感じなかった"こと
「【暴食】」
バルパーは今のタカシ先輩を危険と判断して逃げ出しましたが、その時に閃光弾を放ち、辺りが光で見えなくなったにも関わらず…タカシ先輩が振るった闇は、その光ごと掻き消すように呑み込んだ
「【食い散らかせ】」
そして、傀儡となったエクソシストへ躊躇無くその腕を振るうと…その軌跡に沿って、傀儡は原型を失い、腕や指、足だけを残して消え失せた
「…あれは、誰…?」
思わず口から漏れた言葉は、アレを目にしている全員の意見だと思いました。何故ならーー
タカシ先輩の形をした"ナニカ"が、人を消して、笑っていたのですから
「っ!?匙先輩!!」
余りにも衝撃的な光景を目の当たりにしていたこともあり、タカシ先輩の次の行動に反応出来ませんでした。タカシ先輩は、目にも止まらぬ速度で膝をつく匙先輩へ向かい、そして
『Time out!』
「…さ、じ?俺は…何を…?」
先程の姿が嘘の様に消え、元のタカシ先輩に戻ると、途端に顔を青ざめました
人の形をしたものを消した、怒りで全てを憎悪した、仲間を手に掛けようとした
ーーその全てに悦びを感じていた
「はぁ、はぁ…はあ!」
全部覚えてる。全部漏れなく思い出せる、あれは…
"俺の意志"だった
「タカシ先輩!」
「っ!?子猫…」
不意に掛けられた声に反応してそちらを向けば、瞳の中に確かな恐怖を抱く子猫の姿が映った
「俺…今」
「今は何も聞きません。ですから、さっきまでの事は何も問い詰めません。それよりも匙先輩を」
「っ!…あぁ」
自分でも驚く程弱々しい声を震わせ、俺はおぼつかない足で倒れそうな匙を支えた
「…木場は?」
「ゼノヴィアさん達とバルパーを追いました。事情は後で話せば間に合うと思います」
「…悪い」
「謝らないで下さい。貴方らしく、今は真っ直ぐ物事を見ていて下さい……先輩なら、きっと困難を乗り越えてくれるって、信じてますから」
何も問わず信じる。それがどれほど愚かで、浅はかで、勇ましいことか…この小さな後輩は気付いているのだろうか?いや、きっとそんな難しいこと、こいつは考えていないだろう
考えるまでもなく、これが正しいのだと、彼女は感じ取っている。そんな気がする…例え心に怯えや恐れを抱いていたとしても…ホント、俺にゃ勿体ない程、できた後輩だよ
「…こ、のえ」
すると間もなくして、匙が意識をはっきりさせたので、慌てて対処に移った
「っ!匙!今は話すな、すぐ治療をっ!?」
だが次の瞬間、匙は俺の胸ぐらを掴み、鋭い目を俺に向けて声を絞り出した
「お前は何してんだ…!俺の事、より…ごほっ!…向こうを追いやがれ…!」
その言葉は重く、俺の心の芯を響かせる程に強烈な衝撃を与え、俺を硬直させた
「一々自分責めてる…がは、…時間あんなら、とっとと騒動治めて来い…!」
「……分かった」
「タカシ先輩?!」
俺はゆっくり立ち上がると、子猫に匙を預け、木場たちのいる方角を探り、感覚を研ぎ澄ます
「匙の頼みだ、断れるか。…止めても無駄だぜ、グレモリー、会長」
「それでも私達は止めなければいけないのだけど?」
「全く、こちらの身にもなってもらいたいものです」
その索敵の途中で引っ掛かった魔力の方へ体を向けると、丁度家紋が描かれた魔方陣が2つ現れ、グレモリー、生徒会長とその側近である女王の二人が俺達の元に現れた
「今アイツらを見逃せば、確実に木場や悪魔祓いの二人が危険だ。それに、敵の目的であろうエクスカリバーも奪取されかねない」
「どういう意味かしら?」
「分からねえか?今木場たちはモヤシ共を"確実に"追っている」
「それの何が悪いことなの?」
「…成る程、そういうことですか」
会長は気付いたらしい。だがまだ頭の足りない部長にはきっちり説明しねえといけないようだ。あ、女王二人も気付いたっぽいから、ここで体裁取れてないのはグレモリーだけ。ナニソレウケる~
「今とても不快な気配がしたのだけど?」
こいつエスパーか何かですかね?誤魔化すけど。てか俺の周辺は何故俺の考えが読める
「話逸らすな、つまりこれだけの戦力差があって逃げ出したのに、アイツらはわざわざ追って来られるような痕跡を残して逃げてんだよ。普通逃げるなら痕跡を残さねえ筈なのに、何で残したのか。後は分かるだろ?」
「…罠、ということかしら」
「そういうこった。そしてあのメンツをあしらえて、尚且つ聖剣を粉々にせずとも奪取出来そうな術を持ってるであろう存在も、既に検討は着く」
「…コカビエル、ですね」
会長は吟味した上で答えに行き着いた様子でその答えに淀みが無い
「今、最悪の展開は戦力の低下と聖剣を奪われること。それなら、俺みたいな身軽な立場の人間が加勢に出て、離脱を伝えに行った方が得策だと思ってる。だから…行かせてくれ、グレモリー」
数少ない頭を下げる行為をグレモリー、ないし会長に向け、俺は返事を待つ。こればっかりは、結果待ちだ
「…はぁ、言いたいことは山程あるし、また自分を傷付けそうな貴方を行かせたくない。でも…それ以上に、貴方を信じてる。だから、祐斗のことをお願い」
「アイツだけじゃねえさ。ゼノヴィアも、イリナも、全員助ける」
きっと、グレモリーは自分を不甲斐ないとか、無力だと嘆いてるんだろう、顔見りゃ分かる。だから、俺はグレモリーに向けて、心配すんなと意味を込めて、笑ってみせた
「子猫、現状の報告…頼んだ」
「はい、いってらっしゃい。…気を付けて」
必死に俺を気遣う小さな後輩を、俺は優しく撫でた後、最後に会長の前に立ち、頭を深く下げた
「匙を大怪我させる事になって、本当にすいません」
「…謝らないで下さい。これは貴方の誘いであり、匙自身の意志です。貴方に責任を押し付けるつもりはありません」
「それでも俺は!」
「なら、こうしましょう。これは"貸し"です」
すると声色が変わった気がして顔を上げてみると、何だか凄いイイ笑みで俺を見る会長と目が合った
「貴方がこの前我々に作った分はそのままに、貴方に対して1つ、貸しを作らせてもらいます。それでよろしいですね?」
「……」
何故だろう、俺はとんでもない人に貸しを作られた気がする。だが俺が出せる返答は
「…はい」
「ならば、行って下さい。匙の治療は、我々に任せて」
そう言って背中を押してくれた会長だが、笑みが変わってないのが不安で仕方ない今日この頃だった
「…そいじゃま、行くか」
まあ色々あったが、これで木場たちを追える。まだ索敵範囲から出てないから、追い付けるだろう
色々不安や恐怖はあれど、俺は止まれない。預けられた信頼や思いがあるから、守るものが行き先にあるから
ーだけど、蝕む闇が着実に俺を呑み込んでいる事を、俺は自覚し、選択を迫られる日が近いことも、勘づきながらー
タカシの闇落ちフラグびんびんですが、そこはそれ。主人公は打たれ強いのです!
それでは、亀更新ですが、今後ともよろしくお願いします!