リアス・グレモリー筆頭の悪魔サイドとの邂逅から翌日、俺近衛徹は学校を休んだ。理由は左腕の怪我でだ。普通に学校へは行けるけど、これで悪目立ちするのも勘弁だし、何より今はこのへんてこパワーや裏事情の状況整理をしたい
「らららららららららああ!!」
今の時刻は朝っぱら、正直寝たい。けどこちとら命狙われてる身だかんな!余裕なんかありゃしねえ!堕天使とか悪魔とかマジで洒落にならん!
「せい!はあ!だあ!」
さっきから声張り上げてやってんのは、勿論トレーニングだ。ボクシングかじってた時の指導法を潤覚えながら再現して、ついでに蹴りも織り交ぜて出来るだけ゛型を潰している゛
「『龍の手』!」
近くの寺院にある森の奥、そこで俺の神器が輝き、左手に装備される。ん?何で出来上がった型で戦わないのかって?実戦で型通り戦ってくれる相手いんのかよ…第一相手空飛んでますよ?地上戦だけ考えてるとか自殺志願かっての!
「穿て!!」
俺の左手が昨日のストレスを上乗せしながら、一際太い木を殴りつけた!
「って木が折れて…ってぬおおおおおお!!?」
だけど上手くは行かねえもんだな。大木がまんま俺の方へ倒れてきた
「ぶはああ!あっぶねえ!…幹に当たらなくて良かった~」
俺のトレーニングは前途多難だ
トレーニングにしばし没頭していたんだが、俺の活動限界とやらが来たようで、知らぬ間に結構な時間が経っていた
「つ、疲れた…療養もクソもなかったけどこれはやり過ぎたか?」
まあ適度な休憩挟んで頑張ってたし日常に支障はないでしょ
「あ゛ぁ~休憩…」
丁度公園に差し掛かってベンチが見えたし、俺は周りの目も構わずドッカリと音を立ててベンチに座り込む。今の格好は短パンに半袖の黒シャツ、下にスポーツインナーを着込んでるから、春風が心地いい
「わぷっ!」
「…ふう~……」
朝から動かした体の重みをベンチに預けると、自然と眠気が襲う
「うぅ~…!」
「……」
ホントはそのはずなんだよ。でもさ、ついさっき俺の目の前で示し合わせたように転んだ奴を見かけちまってはそうも出来ないんだよな~これが
「ぁ…」
すると転んだ奴のフードが風に飛ばされ、遠くに落ちてしまう。……出来れば無視したい、いやそうするべきだろう。だってこいつ
修道服着た金髪美少女だから
まずだ、宗教関係ってのでアウトだ。堕天使だろ?悪魔だろ?てことは天使とかいても道理が通るっしょ?つかここからは勘だが、顔が恵まれてる奴は何かとトラブル抱えてると見た。関わらないのが吉だ!……だが
「……あぁ、どうぞ?」
この捨てられた子犬のような雰囲気見てたら無視しづれえんだよ!つかこの時間人少ないけどいるこたいるじゃん!誰か動けよ!
「ー、~~ー!」
俺が取って渡したローブを、金髪美少女が恐る恐る受け取ると、英語とは違う異国の言語を使う。…多分、礼を言ってんだろう
「ーッ!~ー%×、ーー!」
だが矢継ぎ早に異国の、恐らくヨーロッパのどこかの言葉を使われるが、高が並程度の高校生が分かる訳がない。言葉通じないとか更に厄介だろ!
「あ~、何言ってるかさっぱりだ」
「ッ!ー、~…ー$&~%…」
向こうも事態に気付いたみたいでしょぼんとしている。…一々そんな反応してくれるなよ!退くに退けねえ!
「え~…ドゥ、ドゥーユーアンダースタンドイングリッシュ…?」
「?」
……か、帰りてええええ!!めちゃめちゃ疑問符浮かべてるよ!バカ丸出しじゃん!?俺を生殺しにする気は神様はーー!?
「く、くそ…こうなりゃヤケだ!ドゥーユーウォント……ゴートゥー、チャーチ?」
「!」
するとどうだろう。金髪のこの子、シスターさんの顔が明るくなった。…とすると、もしや迷子か?
「もしかして教会探してるとか?」
何かジェスチャー出来るか考え、両手の指で十字架を作ってみると、シスターさんは非常に嬉しそうな顔で俺に地図を見せ、ある一点を指差した。どうやら合ってる様子…だが俺の記憶ではここにまともに活動している教会なんぞ聞いた事がない。一応二つ廃れたのはあるが、片方は妙な噂を聞いたことがある。まあ地図の方だと違う所だったから助かったけど
「よし、ならとっとと送っていくか。面倒は長引かせると後々…って何だ何だおい」
だが早速出発しようとした矢先、シスターさんが俺の左腕を見ると、そっと手を添えて目を閉じた
その時、俺の左腕に緑色の光が宿り、優しく包み込む
「この光…傷を塞いでる?」
そしてすぐに変化は表れた。痛みに疼いていた俺の腕から徐々に痛みが消えている。…これは、治癒の光って奴か?
「ー、~#”~!」
光が止み、何かを俺に告げた後、シスターさんは俺に優しく微笑む
このシスター、神器持ちだ
「ねえママー!あのお姉ちゃん凄いよ~!」
「コラ!あんまり見ちゃダメ、行くわよ!」
するとタイミングの悪いことに、俺たちのやり取りを見ていた親子がいた。それを見た親は、シスターさんに対して不審者を見る目で立ち去った。…そうしちまう理由は分かる、多分力に目覚めてなかったら俺もそうしたと思う
「……」
「…サンキュー」
「…?」
それでも、俺は目の前の優しいシスターさんに礼を言わなきゃいけない。言葉がなくても、出来る限りの笑顔でだ
「サンキュー!」
「……~!」
何か目尻に涙溜めて笑ってきてる。…どうやら、伝わったかな?
「はっ、はっ、はっ!」
あのシスターさんを廃れた教会に送った後、俺は一度家に戻った後再びトレーニングに明け暮れた。俺こんな熱血派じゃなかったのにな~…それもこれも人外共の勝手な都合で巻き込んできたせいだ!
「けほっ、はぁ…はあ…もう暗いな。大分走ったのかね?」
あれから何時間やってたのやら…でも全ては俺の為!平穏の為!片っ端から強くなる方法見つけて来た連中を返り討ちにしてくれる!
「時間は~、げ…23時だぁ?帰って寝る時間短そうだなおい」
ま、愚痴は愛嬌だ。そう思ってねえとやってられるかこんな事
「……そういえばこの辺り、゛あの゛教会付近だよな」
あの教会、つまりはシスターさんを案内した方とは別の教会の事だ。ここには俺達ティーン世代が好きそうな噂が流れている
゛悪魔の棲む教会゛、夜な夜な訪れた人間を襲い、血肉を貪る恐ろしい悪魔が潜んでるんだとか…今の俺からしたらシャレにならねえっつの!すぐここからおさらばして
「~っ!!…何だ?」
そう思って立ち去ろうとした瞬間、俺の中の何かが電流でも流したように全身を駆け巡った。ホント、何だってんだよ!
「行かなきゃ…いけねえのか?」
逃げたい、でも体が拒む。まるで俺の体じゃねえように、むかつく程スムーズな足取りで教会の敷地を跨いでしまった
「……」
扉を前にして、俺の中の何かがより強く俺に訴えかけてくる。勘とは別…言うなれば本能に近い感覚が俺を突き動かそうとする
「…ヤバいってことは分かってんのに、わざわざ藪つつくとか筋金入りのバカだよ…」
もう諦める方がいっそマシに思えてきた俺は、一気に教会の扉を開け、中へ入った
近衛が教会へ入った少し後のこと、オカルト研究部の部室にて、リアス・グレモリーは近衛の監視を頼んでいた木場、塔城に途中経過の報告を受けていた
「で?近衛徹の動向は?」
「はい、彼は早朝からずっと体を鍛えていました。学校へは今日は欠席しているみたいですね」
「…あの人、変だった」
「え?子猫?」
するとグレモリーは塔城の第一声が気になり、そちらに顔を向けた
「修行の仕方から見て、格闘なんてまるで初心者。でも動きの節々に卓越した動きもある…だから変」
「僕も子猫ちゃんに同意です。ボクシングをやっていた節はあるんですが…わざわざ彼は蹴り技を組み込んでいました。まるで型を初めから捨て去るような…奇怪な修行法を駆使していました。それに…」
「それに?」
「…彼は意識していないとはいえ、魔力操作を駆使した攻撃を扱えるようです」
「何ですって?」
グレモリーは木場の報告に耳を疑う。驚くのも無理からぬ事のようだ
「人間の身でそんな芸当が…、ますます気になるわね。兵藤一誠の件といい、堕天使の件といい…本質が全くもって見えやしない」
「結論から言うと、彼は感覚を頼りにするタイプの人間のようです。しかしなまじ戦闘センスと潜在的な能力が飛び抜けているので、それがより実戦に反映出来ています」
「…後、彼は人外との繋がりを持っている風に見えませんでした。教会の人間と接触はありましたが、単なる偶然だったようで、特に何かをやり取りした形跡もありませんでした…」
目を鋭く細め、突如現れた謎の男、近衛徹に思いを馳せるグレモリー。彼女の目から映る彼はどのように映っているのか
(まあ、別段問題を起こそうと思わず、堕天使の襲撃に備えた準備を整える位なら大丈夫でしょう。けれど、もしも私の管轄であるこの街で何か仕出かそうと言うのなら、グレモリー家の名において、私が滅してあげる!)
「部長!連絡です!」
すると突然ドアから入って来た黒髪ポニーテールの美少女、姫島朱乃がグレモリーへ駆け寄った
「はぐれ悪魔の討伐任務です!」
「っ!こんな時に」
グレモリーの悪態を責める者などここにはいない。そして次に放たれるであろう一言にも見当がついていた
「皆、行くわよ!」
「「「はい!」」」
こうして、グレモリーとその眷属が動く
「美味そうな匂いがするなぁ~…しかも飛びっきりのだ~!」
「ボクオイシクナイデース、ユエニオウチカエル」
さ、て。何でか知らん法則でここに来てしまった俺なんだが…早速ピンチじゃん!
「逃がさない!」
「って!ドア閉めんじゃねえコラ!てめら人外共と付き合ってたら寿命が足りねえんだよ!」
「威勢の良い人間だねえ。食い応えがありそうだ!」
何か言ってたら下半身四足の獣に上半身素っ裸の女が降ってきたし!全長4m位か?てか人外共は何でこんな露出狂が多いんだ!
「ハッハハハハハ!」
「こうなったら玉砕上等!叩きのめしてやる!」
近衛は疲労しきった体に一喝入れると、左手に神器を装着して駆ける
グレモリー達が現れるのは、まだしばらく先の話だ
タグ増やしますが、原作沿いですがオリ展開もあります。ただしブレイクはしません、そうしたらこの作品の根本が…という理由があるので
次回はまた戦闘、主人公は最悪のコンディション…でも生きる為に文句は言わない哀れな男をこれからもよろしくお願いします!