ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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執筆遅れましたが、どうぞ!



血みどろと嫌悪

体全体で感じる浮遊感の中、俺の意識は朦朧としている。この感覚、久々だな

 

 

 

ここは多分、夢だ

 

 

 

あの時の夢、俺の平穏が崩れ始めた夢と同じ。真っ暗で、音だけが聞こえる世界

 

 

 

「ーーて!」

 

 

 

っ?何だ、この声。どこかで聞いたような

 

 

 

『ーー穏はーー無ーー先ーーー』

 

 

 

続く声は聞き慣れない声…だけどその声を聞いた瞬間、僅かだが視界にあるものが光り、目を眩ませた

 

 

 

「『龍の…手』?」

 

 

 

そこに映ったのは、俺の左手に突如出現した神器だ。だが、違う…それは『龍の手』にして『龍の手』ではない神器だった。一回り大きく、露出していた左手すらも覆う赤い篭手は物々しいオーラを発し、何者かに装備されていた

 

 

 

だがその瞬間、篭手の宝玉が緑から゛紫゛へと変色して輝いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「~~っ、!、?~~……っ!!…夢、か」

 

 

 

…どうやら、うなされていたらしい。あのバイザーとかいう変態悪魔を滅して数日、俺はようやく人外関係と関わらず、前の様に平穏な毎日を送り始めていた…ただ、久々に見た妙な夢がこびりついて、俺の頭から離れない。もう考える必要も無いだろうに…

 

 

 

「あ゛あ゛汗かいた…風呂入ろ」

 

 

 

俺は左肩に巻いた汗たっぷりの包帯の取り替えとシャワーを浴びるために上半身のみ起こして伸びをする。上だけ裸なのは寒いな

 

 

 

ちなみに肩の傷はそんなに深くなくて、実は刺される瞬間に俺は魔力操作を行っていたんだ。目で見て避けれそうになかったし、出来るならやってみよう程度でやってみたら成功したんで良かったけども…あれって肩落とされてもおかしくなかったよな

 

 

 

「風呂の時も傷口を魔力で抑えてたら問題ないのも分かったし、生活圏が便利って考えたら…人外パワーも気にならない、か」

 

 

 

頭をガシガシ掻いてから、早速シャワーのある所に行こうとしたその時

 

 

 

 

俺は左手で何かを掴んでいた

 

 

 

「…何だ、この人肌のような柔らかい感触は」

 

 

 

柔らかい、最初に行き着いた感想だった。だが俺が疑問に思ったのはそこじゃあない、左手はベッドの布団の中にあるんだが…一人暮らしの家に人間がいるわけがねえ!

 

 

 

「…いや、人肌とか有り得ねえだろ!」

 

 

 

そして右手で布団を勢い良く放り去り、俺は布団の中にいた何者かに驚愕した

 

 

 

 

 

 

 

「ん…ぁ、もう朝かしら?」

 

 

「……」

 

 

 

そこにいたのは紅髪の美少女。正体は悪魔、純白の肌に高校生とは思えぬ程の美貌を持つ彼女、リアス・グレモリーは

 

 

 

何故か俺のベッドで全裸状態で眠っていたのだ

 

 

 

「あら、おはようタカシ」

 

 

 

しかも全裸見られて平気かい!と言いたい所だったが、俺はそんなことよりもとんでもないことをやらかしていた

 

 

 

「おっぱ…さわっ…うぅん…」

 

 

 

色んな事が頭を駆け巡ったけど、そこから現実から逃れるように意識が遠のいた

 

 

 

「あら、二度寝は良くないわよタカシ?」

 

 

 

 

 

 

 

意識が戻ったのはあれから5分と短く、ひとまず言いたいことを言わせてもらった

 

 

 

「てめえグレモリー!何で家を知ってる!つか不法侵入だろう!淑女だろ、爵位持った貴族だろあんた!何普通に健全な男子の寝床にすっぽんぽんで寝てやがる!」

 

 

「そんな一杯言われても対応出来ないわよタカシ。それと私、裸じゃないと寝れないの」

 

 

「それカミングアウトするか!?」

 

 

 

あれ?気絶して頭冷えたと思ってたけど、意外とまだ慌ててたらしい。今は服着てるけどさっきまでは…ダメだ、脳に焼き付いてる

 

 

 

「突然訪問したことは謝罪させてもらうわ。ホントは昨日の夜にお邪魔させてもらったんだけど誰もいなかったのよ。それで部屋で待たせてもらってたら眠くなっちゃって、ね?」

 

 

「この家は別荘か!だったら出直せばいいじゃねえか!」

 

 

 

クソ!美人なら何しても許しちまいそうだ!確かにだ、こんな美人同じベッドで、しかも裸で寄り添ってるなんて一生の運使い切っても味わえんような幸福だわな。だがこいつは俺の平穏をぶち壊しに来る悪魔だ。そこを思うと嬉しく思えねえんだよ!

 

 

 

「ん?待てよ、じゃあ俺はグレモリーがいたにも関わらずベッドに入ってたのか!?」

 

 

「まあ、そうなるわね」

 

 

 

それ俺にも非があるじゃねえか!確か昨日の最後の記憶はトレーニング疲れがピークで風呂も入れずに…

 

 

 

「すまん!話は後だ!先にシャワー浴びる!」

 

 

「あら、なら私も一緒にいいかしら?」

 

 

「アホか!…ああもう!すぐ出るから待ってろ!」

 

 

 

完全にからかってやがるなこいつは…

 

 

 

「あ、後」

 

 

「ん?何だよ」

 

 

「私のことはリアスと呼んでほしいわ」

 

 

 

するとどこか、目の前の美少女は暗い表情をした。ほんの一瞬だったけど、その顔は見覚えがあった

 

 

 

「……ふむ、考えとくよ。゛先輩゛?」

 

 

「ふふ、素直じゃないのね」

 

 

「そういうあんたは物好きだな。こんな平凡面の人間に付き纏うなんてさ?」

 

 

 

取り敢えずさっさとシャワー浴びねえと。淑女に汗臭いまま一緒なのは気が引ける

 

 

 

「…そうでもないわよ」

 

 

 

一瞬何か聞こえた気がしたが、それを聞き返す程俺も野暮じゃない

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ところで何の用だ?関わるなって言ったはずだけど?」

 

 

 

さっぱりした後グレモリー…を改め先輩が交代でシャワーを浴びてる間に軽い朝飯を作って待っていた。ここまで来たらもうどうでもよくなっちまったし、先輩の分も作った。味の保証はせんがな

 

 

 

「はむ、んぐ…前にあったバイザーの件で聞きたいことがあるの。後、このトーストの目玉焼きのせ、普通ね」

 

 

 

ほっとけ!と言いたいけど話を拗らせたくないから続けさせるか

 

 

 

「あの変態悪魔か、あれが何だよ。殺し損ねたか?」

 

 

「いえ、実はあのはぐれ悪魔…本来とは異質の力を持っていたようなの。そしてここ最近、三勢力もはぐれ悪魔のみならず、はぐれの存在が謎の力を有していて、非常に手を焼いているの。その能力も、形を変えてね…」

 

 

「はぐれってのはそう聞くと裏切り者って括りでいいのか?」

 

 

「それで合ってるわ。それで、あなたの出番というわけ。あの強化体と化したバイザーの変化と、その対処についてをお手本にさせてもらいたいの」

 

 

「却下で。自分らで調べろボケって上の奴らに伝えとけ」

 

 

 

何がお手本だ、素人に講座開けとか気違いだろ。そっちプロのくせに何一平民に協力あおいでやがる

 

 

 

「そこを何とかお願い出来ないかしら?ご褒美として私の胸を」

 

 

「痴女にはもうコリゴリなんでお帰り願おう」

 

 

「あら、私の裸をマジマジ見て、挙げ句胸を揉んでおいてそんな事を言うのかしら?」

 

 

「……」

 

 

 

こ、この女あああああ!!なんつー悪女!いや小悪魔!ってこいつ公爵付きの上級悪魔だったか

 

 

 

「…あ~くそ!あいつは外見からは体色の変化、更に図体が一回りデカくなった。能力も飛躍的に上がって、魔力なんか倍は上がったし攻撃パターンも変化した。素人からしたら地獄だぜありゃ」

 

 

「…良くそこまで覚えてるのね。それに一つ一つ的確に特徴を捉えてる」

 

 

「生きる為平穏の為だっての。改めて俺人間だぞ?一回当たったらお陀仏のか弱い弱者なんだよ。当たらない工夫と速攻で仕留める方法なんか常日頃考えてるよ」

 

 

 

何か遠回しに答えろって脅されたから言ったら驚かれた。聞く気ねえなら学校に逃げるか…

 

 

 

「ふふ、あなたってホント面白いわね。自分は平穏を望んでるくせに誰よりも面倒ごとに顔を突っ込んでるわよ?」

 

 

「それを言うな…元はあんな夢見なけりゃ俺は…はあ~」

 

 

「夢?」

 

 

 

…あ、ついボロが!

 

 

 

「…変な夢だよ、真っ暗で音しか聞こえない夢。音も悲鳴と破壊音…寝覚め悪りぃよ全く!」

 

 

「…そう、それは嫌な悪夢ね」

 

 

 

危ねえ、こいつに兵藤のことゲロッたらややこしくなるとこだった

 

 

 

「話を戻すわ、強化体バイザーをどのようにして疲栄させたのかしら?」

 

 

「…ああ~そこは俺も疑問なんだわ。何故か急に力を抑えて、余裕かましてたから一発殴ったんだよ」

 

 

 

ここについては、一つ嘘をついた。あのはぐれは自分からじゃなくて、俺の何らかによって強制解除されたらしいことを言ってた気がする。てことはこいつらにそれ言うと面倒が倍増しされちまう!絶対やだねそんなの!

 

 

 

「ということは明確な対処は無いと…これは厄介になりそうね」

 

 

 

何か考え出したみてえだ。嘘はバレちゃいないらしい、好都合極まりない

 

 

 

「用は済んだろ?俺そろそろ学校だし、出るぜ?」

 

 

 

ここはサッサと撤退!そしてこいつを元の場所に追い返せば何ら問題は

 

 

 

「あら、ならあなたの学校と同じ方面だし、一緒に行きましょ?」

 

 

「…何故、学校さえ知られてんだ?」

 

 

「だって、この街は私が管理してる土地、住人の情報なんてお手のものよ?それと私の通う私立駒王学園はお父様が設立した悪魔管理の学校なの」

 

 

 

…どうやら、この街を離れない限り問題解決にはならないらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

「リ、リアスお姉様が男と歩いてるわ!!」

 

 

「どうして!?あのリアス様があんな地味な男と!」

 

 

「き、きっと脅されてるんだわ!」

 

 

 

……さ、て。今登校中なんだが周りがうっさくて仕方がない…全ては隣の紅髪の悪魔のせいでな!

 

 

 

「はぁ~…どんどん平穏が遠くなる…」

 

 

「刺激がある人生だって悪くないわよ?」

 

 

「この状況引き起こした張本人の言葉だと慰めにもならんね!」

 

 

 

現在位置はこいつの根城にしてここ最近で話題が上がる駒王学園付近。俺の学校は別ルートでも行けたはずなのに、事ある毎に今朝の黒歴史(主におっぱい揉んだこと)を公言しかねない口振りをするんでここまで同行する羽目になっている。おかげで向こうさんの学生連中から殺気やら負のオーラ当てられまくってる…泣いていい?

 

 

 

「ここでお別れみたいね。もうちょっとお話したかったけど」

 

 

「心にもねえ事を。グレ…先輩は運命のナイト様と優雅に話してる方がお似合いですぜ?例えば下僕にいる金髪君とかさ?」

 

 

「残念だけど祐斗はそういう色沙汰に手を出さないし、私もそんな目であの子を見ていないわ。…ねぇ、タカシは私がそういった雲の上の存在としか釣り合わない女だと思う?」

 

 

 

唐突に聞いて来た内容に疑問を感じた俺は、一度グレモリーの顔を目の端で確認してみた。その表情は、今朝に見たあの顔と同じ…何かに板挟みされて、悩んでいるものだった

 

 

 

「は~、知るかよ。自分に見合うかどうかは自分にしか分かんねえっての!見た目頼れるお姉様なんだからシャキッと自分で決断しやがれ」

 

 

 

ま、取り敢えずはこんな返しでいいだろ。俺から決め付けた評価なんて以ての外だし、関係ない話は関係してる奴が解決するに限る

 

 

 

「っ!…そう、そうね。その通りだわ」

 

 

 

するとグレモリーは急に顔を明るくして別れ道の片方に歩き出し、俺の方に振り向く

 

 

 

「なら決めてみようかしら。私に相応しい相手」

 

 

「はいはい、出来れば俺の目に届かないとこでやってくれ」

 

 

「あら、あなたにも関係する話なのに?」

 

 

 

…どういうこった?

 

 

 

「冗談でも止めてくれよ?俺はお前らとはもうつるまない」

 

 

「なら一方的に近付くわ。こんな魅力的な素質ある゛駒の器゛を逃す手はないわ」

 

 

 

まさか…俺墓穴掘ったか?

 

 

 

「死んでもごめんだね!この身も魂も俺のもんだ!預ける義理も、その必要性も無い!てめえらが寄って来ると平民の俺が迷惑すんだ!あばよ!」

 

 

 

一刻も早い撤退を強いられた為、俺はグレモリーの顔も見ずに別れ道から姿を消すように走り出す。今度近付いて来たら撃退すべきか?

 

 

 

「タカシ!この前言えなかったけど、ありがとう!」

 

 

 

後ろで礼を言われたが、何の礼か知ったこっちゃないので、前を向いたまま適当に手を振って全速力で学校へ向かった

 

 

 

しかし学校でもグレモリーとの登校風景を目撃したらしい奴がいたので、一日中男子からは鋭い目で詰め寄られた。ホント恨むぞあの野郎

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛ぁ゛クソーーーー!!俺はどうすりゃいいんだ!」

 

 

 

散々な一日を終えようかという時間、俺は生きる為のトレーニングを終え、肩にかけたタオルで汗を拭う。今日も恒例となった寺院奥の森林で行うトレーニング、『龍の手』を使用しながらのボクシング+蹴り技の連携を模索しつつ、木々を障害物としてフットワークを鍛えたりと充実したものをこなした。更にこれに加え普段の生活では魔力操作の一環として、魔力を手足の延長と考えて使いこなす゛魔力コントロールの日常化゛を実施している。今日はグレモリーのせいで家ではやっていないので、代わりに゛魔力の手゛を作り出して高い位置の木の枝を掴み、自由に空中移動するトレーニングを追加しておいた。これに至っても順調だから良しとしよう

 

 

 

「グレモリーは狙われるとかほざいてたが一度も向こうさんから来る気配がねえ…ホントに危険なのかねぇ?」

 

 

 

まあ、来たら倒せるようにって考えの上でトレーニングしてるんだし、それは言うべきではないか

 

 

 

「…夢、か。そう言えば左手の疼きもあれから時たま起きるよな」

 

 

 

今朝の夢で思い返すここ最近。そしてそれを考えると、俺はまだ自分の状況を全く分かっちゃいないって思い知らされる。左手の疼きは何を意味しているのか、兵藤は殺されたはずなのに何故行方不明のままなのか。隠蔽の線もあるけど、堕天使サイドも悪魔サイドもそれらしいことを言っていないとなると、その線すらも却下だ。じゃああの男は何処に?

 

 

 

「考えるだけ無駄、か。いずれ分かるだろうし、ぶっちゃけ害が無いなら無視が一ば…」

 

 

 

だが俺の言葉はその後続けられることはなかった。背を伸ばす為に両腕を上げた瞬間、俺の鼻先ギリギリに゛黒い魔力゛が横から飛んできたのだから

 

 

 

「おおこりゃすんげー…これぼくちん結構ヤバめ?」

 

 

 

何かニヒルな声でやんや言ってる野郎がいるみてぇだが、さっきの一撃はものっそい見覚えがある。ああそうとも、だってちょっと前あれだけ苦労して倒したバイザーを一撃で葬った攻撃だもんな~。記憶に新しいよ、だからこそ言いたいことがある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グレモリーこらああああああ!!殺す気かてめえええ!!!」

 

 

 

あんなもん食らって生きられる訳がねえ!それをあたり構わずぶっ放すとかイかれてんじゃねえか!?

 

 

 

「ありゃ?何だあいつ、こっち来てるけど悪魔関係者さ」

 

 

「てめえどけもやし!!」

 

 

「ぶげぇ!?」

 

 

 

何かこっち見てた白髪が気持ち悪りぃ笑みで俺に拳銃向けてたから、迷わず跳び蹴りを顔面に食らわせて沈めておいてと…目当ての女を視界に収めると、どうやら眷属共も一緒だったらしい

 

 

 

「おいコラてめえ!人通り考えて攻撃しろや!もうちょっとずれてたら鼻頭消し飛んでたぞおい!って何唖然としてやがる?」

 

 

「え?あ、その~…何というか、ごめんなさい?」

 

 

 

何故疑問形!?こいつ自分の悪行をこれっぽっちも反省してねえんじゃ?

 

 

 

「あはは…近衛君って少し変わってるよね」

 

 

「失礼なイケメン野郎!俺は地味な顔した平民だ!」

 

 

「…先輩、この状況じゃ説得力がありません」

 

 

 

すると視界に入らず気づかなかったが、何やら肩と足から血が流れてる塔城が片膝をついていた

 

 

 

「ってチビッ子!お前何だよそのき、ず……」

 

 

 

そして同時に視界に入ってしまった。彼女のすぐ右側、壁に逆さに磔された人であったモノを。しかも腹を裂かれ、内臓をえぐり出されて血の臭いが充満していた

 

 

 

「う…ぉえ゛ええっ!ぁ゛…ごぷっ」

 

 

「っ!~ー”/%&!?」

 

 

 

思わず胃液と消化途中のものを勢い良く吐き出していると、俺の側に駆け寄ってきた少女がいた。その子は少し前に出会ったシスターさん。だがシスターさんは何故か修道服を前だけ真っ二つに切られ、下着が露出している異様な格好をしている。てかどう見たって場違い過ぎる子が何でいるんだよ!

 

 

 

「うぷ…とり、あえず!先輩…説教は後だ。この状況はあのもやしがやったのか?」

 

 

「…そう、殺された子は私達悪魔に依頼をした人間よ。それを良しとせず、神に背いた罰という名目で惨殺したのは、さっきあなたが蹴り飛ばした『はぐれ悪魔祓い』の仕業」

 

 

「…そのシスターは堕天使についている様子ですが、望んでここにいる訳ではないようです。現に私はその人に助けてもらい、代わりにその男に暴力を振るわれる羽目に…」

 

 

 

塔城の話を聞いた後、そっとシスターさんの顔を見ると、痛々しい殴られた跡が頬に残っていた。それでも、この子はさっき…死体見て吐いてた俺を優先して心配していた。今ですら、この子は俺に微笑んできている

 

 

 

「…可哀想に、可愛い顔が台無しだ」

 

 

「ー?」

 

 

 

だから、今度は俺から手を伸ばし、彼女の腫れた頬に触れた

 

 

 

「部長!堕天使の反応です!それも複数の!」

 

 

「何ですって!?これでは分が悪いわ…タカシ!私達は転移でここを離れる!あなたも早くここを離れなさい!」

 

 

「おい悪魔ご一行、お前らこの子の言葉分かるか?」

 

 

「?近衛君?」

 

 

 

堕天使って聞いただけで左手が激しく疼いてる。何か物凄い思念を感じさせるような、そんな感じだ。考えられるのは、あいつの思念だ…俺も堕天使には苦汁舐めさせられてんだ。丁度良い、迎え撃つか!

 

 

 

「このシスターさんを頼む。俺が何とかする」

 

 

「っ!ダメよタカシ!神器に目覚めようとも所詮は『龍の手(トワイスクリティカル)』なのよ!?それにその子は転移出来ないの!眷属しかこの魔法では転移出来ないから、人間のあなたも例外じゃない…そのシスターは何らかの理由で殺されることはないの。だから早くあなたもその子を置いて離れなさ」

 

 

「黙ってろよ役立たず共!」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

 

ったく!せっかく俺とこの左手の疼きの意見が一致したってのに足枷があるんじゃまともに動けやしない!この悪魔共は肝心な時に役に立たねえ

 

 

 

「だったら後を追っててめえらの所にこの子を連れて行く。悪魔の根城なら流石に堕天使共も手は出さねえだろ?」

 

 

「…本気なの?」

 

 

「おうよ。わざわざ平穏から遠ざかる事をやってんのは百の承知だ…だけどよぉ、知り合いが不幸になってんのを目の前で見て助けない程腐ってもいねえんだよ!」

 

 

「部長、時間がありません」

 

 

「……」 

 

 

 

何だか険しい表情で俺を見てくるグレモリーだが、一度も言葉を発さない

 

 

 

「リアス…彼の我が儘、聞いてあげれないかしら?」

 

 

「っ!朱乃…」

 

 

「タカシ君、我が儘を聞いてあげる代わりに約束して下さいます?必ず二人生きてこちらへ来ること…出来るかしら?」

 

 

 

クイーンの姫島って人が、何故かグレモリーを差し置いて俺に約束させようとしている。だけど、好都合だ

 

 

 

「…分かった、そうさせてもらいますよ」

 

 

「ちょっと二人と…」

 

 

 

グレモリーが何か言おうとしていたが、転移の赤い光が一層強くなり、グレモリー一行は姿を消した。多分姫島さんが謀ったんだろうな

 

 

 

「さ、て…行くぞシスターさん?」

 

 

「っ!?~ーー@/+!?」

 

 

 

取り敢えず、俺が出来る行動はシスターさんを悪魔の元に送ること…途中野郎共が来たら迎撃で済ましてトンズラの方向で行こう。さすがにこの子ぶら下げてガチ喧嘩は無理だ

 

 

 

「?何だよシスターさん、お姫様抱っこで顔真っ赤じゃん。初だねホント」

 

 

 

ま、こんな平凡野郎が外人美少女助けるなんてシュチュエーション無いし、精々ラッキーとでも思おう…でないと心が保たない

 

 

 

「い、っでぇなおい…何やってくれてんですがっ!?」

 

 

「さっさと役立たず共のとこ行くかね!」

 

 

 

何だかもやしみたいな奴蹴飛ばしたけど、気にしたら痛い目見そうだから全力で走ろっと!

 

 

 

こうして俺は、一夜のデッドチェイスに巻き込まれる羽目になる




少しずつ主人公の立場を明確にしていくつもりなので、長い目でお付き合い頂けたら幸いです
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