ハイスクールd×d 仮初めと虚無   作:Third+s

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届かぬ手

アーシア救出から次の日、俺は頬と顎に氷を当てながら眠った。あの後チビっ子…いや癖で呼ぶと面倒だしネコ娘に家まで追いかけられて遂にぶっ飛ばされた。しかも真面目に4m程飛んだんだから笑えない…ギャグ補正とか無いこのご時世に何転落死ランクの攻撃してやがんだあいつ!?これだから非日常の住人は困る!

 

 

 

「ああ゛クソ…こんなんじゃまともに飯も食えねえ…学校休んだから良いけど」

 

 

 

今までこんな頻繁に休みなんて取ってなかったんだけどな~…これも平穏の崩壊の一歩なんだろう。だが俺は今から堕天使連中の根城と目的を把握しないといけない。悪魔連中は動きを見せないし、もう俺が単身やるしかない。それにどうも俺の勘が悪い方に傾きやがる…普通一人のシスターに堕天使四人掛かりで保護する価値があるか?まあ、あれだけの治癒が使えるから捨てがたいっていうなら分かるけど…どうも嫌な予感がしやがる。さっさと探さねえと

 

 

 

『ピンポーン!』

 

 

「あ?朝っぱらから誰だ?てかもう寝不足だよもぅ…」

 

 

 

でも居留守は悪いし出るしかないか…ネコ娘め、ホント覚えてろ

 

 

 

「はい、どなたでしょ…」

 

 

「おはようタカシ、悪いけどこの子をって閉めないで頂戴!こらタカシ!」

 

 

 

はあ変な幻覚を見たもんだ。開けたらネコ娘の飼い主と幼気な金髪シスターが立ってるなんて

 

 

 

「さあ今日の支度でもするか」

 

 

「タカシ?早く開けないとこのドアごとあなたを消し飛ばすわよ?」

 

 

 

…チッ!現実は非情だ!

 

 

 

「…何だよ先輩、昨日お宅の猫ちゃんにボコされた挙げ句怪我でトレーニングも出来ない始末なんですが?」

 

 

「その先輩を先輩として見ない口調どうにかならないかしら?それと自業自得って言うのよ、それ。で、頼みなのだけど、アーシアに街を案内してあげてほしいの」

 

 

 

こいつ、馬鹿か?

 

 

 

「先輩?それは堕天使という名のカラスに餌をぶら下げる行為だと分かっての発言でしょうかね?」

 

 

「百の承知よ…でもこの子きっての頼みなのよ。゛あなたに゛街を案内してほしいと、ね?」

 

 

「ー、~ーー!」

 

 

 

アーシアが恥ずかしそうに頭を下げてる所、グレモリーの言ってることに嘘は無さそうだ。何故俺を強調したかはこの際置いておこう。ただ…なぁ?

 

 

 

「それじゃ保護の意味が無いだろ?何でわざわざ」

 

 

「…アーシア、話しても大丈夫かしら?あなたの過去」

 

 

 

するとグレモリーがアーシアに何か確認を取ると、アーシアは暗い顔しながら強く頷いた。こりゃ、長話か

 

 

 

「はあ…上がりな?粗茶くれぇは出せる。ま、姫島さん程のは期待すんな?」

 

 

「あら、ではお邪魔させてもらうわ。アーシア、中に入る時は靴を脱いでね?」

 

 

「ー、~!」

 

 

 

アーシアは日本の習慣に慣れてない様子。ま、いずれ慣れるでしょ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいよ、熱いから気をつけて」

 

 

「ありがとう」

 

 

「ーー」

 

 

 

アーシアは辺りをキョロキョロしながら家の中を見る。珍しいもんかね?台所が見えるリビングとトイレ、バスルーム離別式位のもんだ。まあ畳九枚分のリビングは広いもんだが…ちなみに家賃は5万円

 

 

広さ的に安過ぎだって?…訳あり物件、とだけ言っておこう、真夜中に窓からノックは日常茶飯事です。人外連中と関わってからは何かしなくなったな?地味に肩こりとかも無くなったし

 

 

 

「そんじゃ、話をしてもらっても?」

 

 

「そうね、でもその前にあなたの傷を治してもらったら?アーシアもそうしたいって言ってるしね」

 

 

 

そう言うとアーシアは俺の顔に優しく触れ傷を癒やし始めた。おい、顔が近いの気付きませんかシスターさん!?てかグレモリー!ニヤニヤしやがって、ぜってー今の状況面白がってやがる!

 

 

 

「……ーー!」

 

 

「終わったようね。では始めましょうか」

 

 

「おう…アーシア、サンキューな?」

 

 

 

取り敢えず顔赤いまま礼を言った俺は、グレモリーのムカつくにニヤニヤに耐えながら話を聞くことになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、1日その子をお願いね?」

 

 

「はいはい、いってら~お姫様?」

 

 

「そこを疑問形なの?嘘ではないのだけれどね……それじゃ」

 

 

 

アーシアの話を聞いた後、俺は以前より学園から離れた位置でグレモリーと離れた。てかあいつまたあの顔してたな…もしかしてお家の問題でも抱えてやがんのか?ま、首は突っ込むべきではないが

 

 

 

「アーシア、行こうか?」

 

 

「?…ー!」

 

 

 

思わず通じない日本語で喋っちまったが、俺が伸ばした手で意図を察したアーシアは、明るく俺の手を握った

 

 

この子の過去、8つの頃に神器に目覚め、聖女と担ぎ上げられた彼女は…友達がいなかった。ただ普通に生きたかった女の子は、その神器…『聖母の微笑(トワイライトヒーリング)』によってその小さな望みすらも失った。そしてある日、傷付いた悪魔を治療したことで魔女の烙印を押され、教会を追放、結果この街に追いやられた

 

 

 

「ある意味、平穏を求める所は似た者同士、か」

 

 

「?」

 

 

 

おっと、口に出たか。失態失態

 

 

 

「てか俺言葉通じねえのに何で道案内を?他の連中が学校だからかって、どしたアーシア?」

 

 

「……」 

 

 

 

何だか気になるものがある様子、そこを見ると…ファーストフード店?

 

 

 

「ふむ、行きたそうだし連れて行ってみよう。嫌ならアクション起こすだろうし」

 

 

「っ!?タ、タカシサン!?」

 

 

 

おんや?この子何時の間に俺の名前を…ってそりゃそうか。グレモリーんとこいたら名前位出るな

 

 

 

取り敢えず慌てふためくアーシアを引っさげて俺はファーストフード店へ。ん?良く見るとか弱い女の子引っ張ってる悪い奴に見えるような?ポリに気をつけよう

 

 

 

 

 

「ゴクリ…」

 

 

「ほら、食いなよ?」

 

 

 

何やかんや補導も何もなく、アーシアはお望みのハンバーガーセットを頼めたので、ブランチにゃちと不摂生なファーストフードを俺も買い、食おうとしたんだが…どうもアーシア、ハンバーガー食べるのに戸惑ってる様子、何で来た?

 

 

 

「これを、こうやって、食べる!はぐっ、んむ…ん、ふぅ。分かる?」

 

 

 

「ー!~\ー!」

 

 

 

あぁ食べ方知らなかったのか。お手本見せたら驚いてる…ん?てことは食ったことないのか?

 

 

 

「てかアーシア、その手に持ってるお水は何?」

 

 

 

どうやら手を洗いたいっぽいんだろうけど、封の仕方とかさぁ…何とな~く教会関係つか聖水的な代物に見えるんだよね…

 

 

 

「あー、これ使えな?」

 

 

「?ー~\?」

 

 

 

おしぼりを渡してみたら、どうやら用途に気付いたらしい。聖水っぽいのをしまって念入りに手を拭いた後に手を見せてきた。無垢だなおい…

 

 

 

「聖職者って大変だな~飯食うのに祈り捧げるなんてよ」

 

 

 

俺ら日本人はいただきますだから、人の事言えんだろうが

 

 

その後は飯食いきってお向かいのゲーセンで遊び倒した。それで気付いたのは…アーシアが本気で楽しんでるってこと…ありふれたハンバーガーを幸せそうに食ったり、ゲーセンの一つ一つに目を輝かせて、UFOキャッチャーの景品ラッチュー君を取って上げたらはしゃいだり。…後、アーシアの修道服がプリクラのコスプレ衣装と勘違いされて持ってかれて、アーシアのそのコスプレ姿がまた何とも…取られて涙目だから庇護欲を駆り立てられた

 

 

 

…オホン!要はアーシアが望んだ幸せだったんだと俺は思ってる。彼女が決して手に入らなかった平穏。俺が遠ざかっていった平穏…どっちが価値あるものなのか、馬鹿でも分かる

 

 

 

今、俺とアーシアは日が高い時間に公園へ歩いてきていた。何の因果か、やたらと堕天使遭遇率の高い自然公園…ここから俺は始まり、今…俺はまた別の思いを誓った

 

 

 

「アーシア…約束する」

 

 

「?タカシサン?」

 

 

 

言葉が通じなくても、名前だけは知り合えて、ここまで仲良くなれた…俺には見合わない美少女。俺はもう、平穏の為に無視とか無責任なことも言わないし、一度守ったこの子を途中で投げ出す気もない…ここで、通じなくても誓おう。この子の前で

 

 

 

「俺、戦うよ。平穏はもう戻らないけど、せめて俺の日常の一部になった奴ら全員を守れる位には、戦ってみせる。だから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、俺って奴はやっぱり最後まで決まらない男のようだ

 

 

だって言葉を続ける前に、俺の横脇を光の槍が貫いたんだから

 

 

 

「~~~っ!!ごぷっ!?」

 

 

「キャーーーーー!!タカシサン!!」

 

 

「あら残念ね、もう戦えないわよ?」

 

 

 

ぐ、そ…!縁起でも無いこと考えなきゃ良かった

 

 

 

「レイ…ナ゛ーレ゛…っ!ぶぉっ!」

 

 

「気安く呼ぶな薄汚い人間が!たかが『龍の手』程度の力で粋がるんじゃないわよ!」

 

 

「っ!~~っ!」

 

 

 

するとアーシアは槍が消えて風穴が開いた俺の腹部に治癒の力を掛ける…よく意識が飛ばなかったと思うよ。おかげでアーシアの治癒が終わればあいつを殴れる

 

 

 

「サンキューアーシア…これであのビッチをっ!?なっ」

 

 

 

だけどどうだろう、傷は塞がったはずなのに力が入らない!?どうなってやがる!?

 

 

 

「ふふ、どうやら彼女の神器は傷は癒せるけど失った血液は戻って来ないようね…けどそれを抜いても、あの神器は計画に不可欠ね」

 

 

「何、だって?」

 

 

 

やべえ、目がちょっと霞んでる。血が足りないせえか!

 

 

 

「アーシア、その男を殺されたくなかったら戻って来なさい?あなたは本来こちら側の者」

 

 

「それはちげぇよ」

 

 

「タ、タカシサン?」

 

 

 

どうやら俺を人質にしたいらしいが、戦えない訳じゃない。けどその前に言っとかねえとなんねえ!

 

 

 

「友達作りたいだけの女の子じゃねえか…平穏求めてるだけの人間じゃねえか!訳の分かんねえ理屈でこいつの自由を縛んなよクソ共!俺の前でふざけた真似してくれるな!」

 

 

『Boost!』

 

 

 

俺の怒りに応えるように『龍の手』は姿を現し、倍化をかける。だけどおかしい…どうしてこの篭手は゛俺とは別の感情を流し込んで来る゛?

 

 

 

「死に損ないが調子に乗らないで頂戴!」

 

 

「槍で倒せる程柔じゃねえ!」

 

 

「タカシサン!」

 

 

 

レイナーレが槍を俺に向けた瞬間走り出すと、背後から悲痛な声が聞こえた。悪い、今は答えてやれねえ…絶対守りたいから!

 

 

 

「らぁ!」  

 

 

「ちっ!また見えない魔力攻撃か!あなた゛あの時殺したあの子゛より質が悪いわね!」

 

 

 

レイナーレに飛びかかりながら、腕の形に整えた魔力で右フックを槍の側面を叩くことで、槍を無力化する。でも奴から聞こえた言葉…正確には殺した何者かについて耳に残った。誰のことなのか、そんなの分かりきってる

 

 

 

「なら刺された゛兵藤の分まで゛きっちりぶん殴ってやるよ!」

 

 

「っ!?くっ!」

 

 

 

眼前にフットサルサイズの魔弾を作り、左ストレートで放つが、あいつも二度は効かないらしく、大きく体を逸らすことで攻撃を避けた

 

 

 

「あなた…何故その男の名を知っているの?」

 

 

「運命の悪戯、かね?どうやらあいつ、死んでもあんたに仕返ししたかったんじゃねえか?」

 

 

 

着地した俺は左手を見せるように構えを取ると、向こうも合点がいったように不敵に笑う

 

 

 

「ふふ、そういうこと…神器が他者に乗り移るなんて聞いたことないけど、どうやらそれに当たるようね。あなたの場合」

 

 

「俺にも分かってねえがな、ただ言えるのは…今はこれでてめぇを殴れるってことだ!」

 

 

「キャアアアア!」

 

 

 

レイナーレに飛びかかろうとしたその時、突然アーシアから悲鳴が上がった。しまった、仲間が来てたのか!

 

 

 

「ふふふ、小僧。背中がお留守だぞ?」

 

 

「クソロン毛!何回殴られたいんだよ、まさかMか!」

 

 

「黙れ!」

 

 

 

そこにはアーシアを脇に抱えるドーナシーク、ロン毛の姿があった

 

 

 

「あなたを殺すことは出来るけど、私には目的があるの。失礼するわ」

 

 

「させっか!」

 

 

 

俺はロン毛にすぐさま駆け寄り、アーシアに手を伸ばす。だが今度こそ後ろから殺気を感じ、真横へ転がる。そこにはレイナーレの槍が突き刺さっており、間一髪だった

 

 

 

「ふふ、油断大敵よ…」

 

 

「っ!がっ!?」

 

 

 

だけど奴の狙いは殺すことではなく、足止めだったようで、槍が突如として爆発し、俺を脇に生えた木まで吹き飛ばした

 

 

 

「あっはっは!無様ね人間、今回だけ見逃してあげる。でも覚えてなさい?次邪魔するなら、殺す」

 

 

「ま、…て」

 

 

 

打ち所が悪かったらしく、意識がうっすらとしている。そんな中、俺の前で堕天使共は魔法陣を展開し、意識の無いアーシアを連れ去った

 

 

 

畜生、アーシア……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

「近衛君、近衛君!」

 

 

「ぐっ…」

 

 

 

次に視界に入ったのはイケメン、グレモリーの眷属である木場祐斗の顔だった。この様子だと堕天使と俺の反応に飛びついたと見える。時間もいつの間にか夕方だ…来るのが遅い位だ

 

 

 

「ててて…木場、アーシアは…?」

 

 

「残念だけどここにはいない。恐らく堕天使が連れ去ったんだと思う」

 

 

「…先輩、それよりも怪我の手当てを」

 

 

 

するとどうやら猫娘もいたらしく、ご丁寧に救急箱を両手に持っていた

 

 

 

「ああ~いらねえよ猫娘。傷は言うほどねえ、から!」

 

 

「近衛君、まだ無茶しない方が」

 

 

「いんやまだ活動限界にゃ程遠いさ…後、先言っとくわ。アーシア助けに行くから」

 

 

「…一人でですか?」

 

 

 

一人で立ち上がり、後ろの二人に背を向けて話してるけど、猫娘が心配してくれてるのが良く伝わる。普段は殴ってる癖に調子狂う野郎…じゃなくてアマか

 

 

 

「ダメよ、タカシ」

 

 

 

けどそれを止める聞き慣れた声、赤の魔法陣から現れたグレモリーと姫島さんが立ちふさがった

 

 

 

「…先輩は、悪魔関係が堕天使と問題を起こしたくない。だが俺は人間なんだぜ?そっちに被害なんてのは無いはずだ。止めんなよ」

 

 

「これはあなたの為に言ってるの。行けば必ず無事ではすまない、分かっているはずよ?」

 

 

て…んなこた分かってる。けどな、俺の中で…親父が言ってくれた言葉がそれを許そうとはしないんだよ

 

 

 

「それでも、自分が今後悔しないことをやる。泣いてる女を、男が黙って見過ごしちゃいけねえから!何より!アーシアの前で俺は誓ったんだ!戦うって!せめて周りを守れるように戦うって!」

 

 

 

強く、強くグレモリーの目を見た。知らぬ間に体から魔力が漏れたみたいで、少し驚いた風に見える

 

 

 

「そう…それはあなたの意志?」

 

 

「そうだ、もう退かねえ。こんなんで俺の前から誰かが消えるだなんてまっぴらごめんだ」

 

 

「うふふ、男の子ですわね」

 

 

 

どういう意味ですかね、姫島さん

 

 

 

「カラスの巣窟には見当がついてる。今度こそ責任は俺が取る…今まで悪かった」

 

 

 

そしてそれ以上の言葉は無く、俺は悪魔との関係を切り、単身奴らを蹴散らしに行く。これでいいはずだ…後のしわ寄せについては、俺一人でどうにかすればいい




主人公単身プレー、原作と違いますがどうでしょう?


次回は戦闘。剛、奮闘します
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