思いつきアンソロジー   作:小森朔

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言葉を告げるためだけに生まれた者の話。

リハビリ。公務員講座が平日九時半まであるのがとても苦しいのと、なかなか折り合いがつかなくて書けていません。ルカーチェの話とか大遅刻ハロウィンとかクリスマスとかゴースの続きとか色々書きたい気持ちはあります。これからちまちま書きたいです。

このキャラクターを作るとき、友人からもネタ提供を受けたので(召喚後のセリフ等)続きを書く予定ではあります。


天命を知る

 ×××は化物だ。ヒトではなく、また、国津の神でも、天津の神でもない。

 ×××は遠い先の話を知っていた。多くの人が死ぬことを知っていた。だが、×××はそれを伝えてしまえば、自分が死んでしまうこともわかっていた。

 ×××は聡い生き物だった。身の程を知っていた。天命を識っていた。しかし、×××もやはりモノを識る生き物だった。それゆえに、死にたくないと思った。×××は簡単に死ぬ。ただ、人に出会ってしまえば、言葉を紡がざるを得ないことを理解していた。

 日ノ本の山の中をのっしのっしと歩きながら、×××は物を考えた。今代の天子に伝えるか、それとも只人の子に伝えることになるか、考えた。なるべくなら、より自分の命を費やすのにふさわしい相手であればと思ったからだ。天子の政治がどうであるか、×××は知らなかった。知る気もなかった。しかし、天子からすれば違うのだろう。×××は災いを告げて死ぬ。天子は災いが続けば位を辞して元号を変える。霊亀が現れないときも変える。×××が現れれば、それはそれは憤るだろう。やるせなさに襲われるだろう。しかし、それで×××が告げることがなかったことにされてはかなわない。

 

 そうしてどれほど歩いていたのか。×××は何者かが茂みを揺らす音を聞いた。

「あれは、人か」

 籠を背負って、何やらしているらしいその人間を見て、あれではふさわしくないのではないか、という考えがよぎった。

 ×××は告げなければならない生き物だ。告げて、死ぬべき生き物だ。それでも、あのようにきちんと伝えるかも分からぬ人間であったとは、と落胆していた。

 

しかし、

 

「おっかあ、喜ぶかなぁ」

 

 ×××は歓喜した。良い人間を引き当てたと知ったからだ。籠の中身で、山菜に混じり、薬草がいくらか混じっているのを見たのだ。これでよいのだ、とそう思える人間をきちんと見つけられた安堵で、×××は迷うことなく歩き出していた。

「そこな人間」

 ×××の言葉に振り向いた人間は、顔をひどく歪めた。当然だろう。×××は顔こそ人間だが、体は牛である。

「うわぁっ!? ば、化物!」

「聴くが良い!」

 これではにっちもさっちも行かないだろうと理解したくだべは、腹の底から叫んだ。

「ひぃっ?!」

 怯んだか、おとなしくなったことに満足してそのまま言葉を続ける。

「我は"くだべ"。天命を受け、ここまで来た。

 これより数年間、疫病が流行し、多くの犠牲者が出る。しかし自分の姿を描き写し絵図を見れば、その者は難を逃れるだろう。しかと、伝え広めよ」

 

 それだけ言うと、くだべは事切れた。満足げに笑って、死んだ。

 

 

 

「とまあ、こういう経緯で遣わされる者になったのだよ、主上」

「まさか牛も召喚されると思わなかったけど、本当にタダモノじゃない牛だったんだ!?」

 可可と笑う半人半牛のそのサーヴァントに、人類最後のマスターは叫んだ。

 第三の異聞帯、そこに突然現れた正体不明の二人目のキャスターのサーヴァント。ムキムキマッチョなジャイアントボディに、果てしなくちぐはぐな牛面。ピンチになりかけたとき彗星のごとく現れたそのサーヴァントは、挙げ句の果てには「拳を報じるのである!」とバスター宝具を発動した。追撃には頭突きをする始末。こいつは頭がおかしいのではないか。いや、実際に頭部は牛で、ボディと合ってないのだが。

「牛と馬、揃って突撃することになるのかぁ……」

 大丈夫じゃないけど、大丈夫な気がしてきた。そう言って、力なく藤丸立香は笑った。笑うと、本当に何となくどうにかなる気がしてきた。




この牛面、第二再臨で牛面にジャイアント○場的なマッチョになります。第一だと伝承通りに人面牛です。
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