思いつきアンソロジー   作:小森朔

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妖精転成オリ主のノリッジ編

わけわからなくなってきました。先が長い。


徒歩にて目指すは煤の街

 橋を探すために上流からのルートをとったレッドラと別れ、残る全員で先へ行く。先頭はオベロン、その後ろをアルトリアとガレス、村正が行く。真ん中より後ろ側にはカルデアの二人。殿は私だ。

 

 ノリッジへの道を急ぐとは言えど、相応に距離があることに変わりはない。長旅において無理は禁物で、日暮れが近づけばすぐに野営を始めることになった。

 

 

 ところで、途中で出てきた野良妖精、いったい何だったんだろうか。似たようなのが数体いた上に、やたらと粘っていた。

 あんなの見たことがなかったんだけど、運良く避けて通れていただけだったろうか? いや、でもここ15年で何度も通った道ではあるし、そんなことはないはずなのに。

 

 

「おそろしい、敵でしたね、そしてこちらのパン、美味しいですね」

「小麦を粉にして一から作ったものだからだろうね。それに焼き加減がいい」

 

 もっきゅもっきゅと音がしそうなほど、沢山のパンをしっかり食べるガレス。その一方で擬音はしなさそうだけどしっかり食べるアルトリア。

 育て手のことは知らないが、育ちがいいんだろう。マナーは野営には必要ではないし、一緒に食事をするときの大前提は不快ではないこと程度だ。とはいえ、それ以外を気にしないとしても、二人とも品のある食べ方だった。

 きっと彼女たち自身が努力してそのあたりの仕草を身に付けたのだろうな。あるいは、そうせざるを得なかったか。頓着しない妖精はとことん無関心なのだから、そのどちらかだろう。おそらく前者ではあろうが。

 

「おや。君はどちらかといえば肉食だと思っていたけれど、パンにも一家言あるのかな」

「いいえ、ダ・ヴィンチが言っていたことの受け売りだから、詳しいことはわからないよ。それに、きれいに焼けているほうが香りがいいと思う程度」

 

 作ったことはないわけではないが、これが存外に難しい。それに、魔力なしで日持ちさせようと思えば炭になる寸前まで焼き締める必要があるのだ。余計なところにかける魔力を節約しようとしていたこともあって、パン焼きをしてみた感想は「割に合わない」以上にはならなかった。

 お世辞にも、携帯用の食料としてつくるのであれば、美味しいものは期待できない。だからこそカルデアの面々が美味しいものを求めて用意してくれた今回、良い食事にありつけたといえよう。限定的だけど、ご褒美だと思えばかなり嬉しいものだ。

 

「そういえば、アルトリアは風の氏族にしては良く食べるね。食事を目的にすると言ったら牙の氏族だけど」

「いえ、私は6輪の氏族ではなくて、氏族にもなれない下級妖精なので。食事を摂る習慣は、ティタンジェルの村のみんながとにかくよく食べ物をくれたからです」

 

 

 

「そういえば、ギャリーはそんなに食べないですよね」

「ん? ……ああ、実は、私の目的は食事から少し遠くてね。存在維持のために食べるには食べるけど、あまり意味を持たせていないから、最低限にしていたんだ」

 

 これは本当のこと。

 元々の本能は食事を求めていたけど、それにしたって生体の維持のための食欲だ。私の目的は、残念なことに人間的なもの。記憶のせいで少し変質してこそいるが、おおむね変わりはない。

 そして、在り方にしても、それを助けるためのもの。食事をしないと存在を保てない。弱ければ周りに捕食される。それを避けるための本能だったのだし、そのために理性は逃げ場をなくしていた。

 

「そうなのかい? そんなの初耳だな」

「えっ、話してなかったの?」

「オベロンさんとギャリーさんほど仲が良いのにですか?」

「いや、仲の良さは関係ないでしょう、それ……」

 

 言いたくないことのひとつやふたつは当然ある。

 それに、だ。

 

「そもそも目的を明かす妖精は多くないんだ。訊かれなかったから答えなかっただけのことだよ」

「またそれだ。ギャリー・トロット、君はいい加減色々話してくれたって良い頃合いだと思うね!」

 

 ビシ、と人差し指を突きつけられる。

 ああ、居心地の悪いこと。それに、知ったところで信用なんてできないだろうに。こんな面倒な存在なんて、本当は信じちゃまずいはずだ。

 だって、いくら理性的であろうとしているにしても、衝動が本当に抑えられているかをよく知りもしないんだから。それでも信じるというのか? 本当に? 

 

「悪いけどそれは無理だよ、オベロン。何を話せばいいか、どこまで話すべきか明示してくれれば別だけど。それに、本当にこればかりは親しかろうが言いたくなかったんだ。……秘密くらい、ひとつは持ってるものでしょう?」

「その割に、話してくれないことが多いじゃないか」

「大概は必要なことじゃないからね」

 

 少なくとも、あなた方にとっては必要の無い情報だ。要らないものは邪魔になる。

 

 

「さて、私は食べ終わったから見張りでもしてこようと思う。悪いけど、離れていてもいいかな」

「おや、もしかして秘密が明るみに出るのが怖くなったのかい? 君は一人でモースを倒してしまうのに、勇敢なのに妙なところで臆病なようだ」

「……そうだよ。あなたには敵わないな」

 

 怖いとも。怖くて怖くて仕方ない。

 みんな怖いし、気持ちも経歴も何もかも悟られたくない。知られたらきっと手痛いしっぺ返しを食らう。だって私は牙の氏族だ。

 

 だから、仲間(むれ)からはぐれたんだ。

 

 

 

 

 

 オベロンたちから離れて、少し息を整える。

 信用されるべきではないと、そう思ってしまったけれど、これは実際にはあまりよくないことだ。信頼関係を築きたければ情報の開示は必要不可欠であるし、何よりも「そういう相手だ」と納得できなければどうしようもない。

 色々、履き違えていたり間違えてしまったことも多いかな。うん、きっと多いはずだ。どうしよう。

 とはいえ、切り替えなくては。やってしまったことはどうしようもない。

 

 

 

 見張りをすると言ったことを嘘にしないために一声かけよう、と、話も落ち着いたらしいカルデアの面々のほうに向かう。

 この國の面倒な部分に触れたのだから、不信感を隠せはしないだろう。アルトリアたちだけではなく、私が話しかけたとしても、動揺は隠せないはずだ。関係がギクシャクしてしまうきっかけになるかもしれない。

 

 ──だが、そんな今だからこそ話しかける必要がある。

 

 

「妖精も人間も一代限り……」

「その通り。よく気づいた、というより、思ったよりも気付くのが早かったね」

「っ、ギャリー!」

 

 ちょうどタイミングが良かったらしい。

 立香が呆然と呟いたのが耳に入り、思わず頬が緩んだ。今気付いてくれなかったら不自然だから、少し安心した。

 

「驚かせてごめんよ。ちょっと聴きたいことがあったんだけど、うっかり聞こえたものだから、つい」

 

 頬が緩みすぎないように気を付けながら、無害を気取って近づく。いや、危害を加える気は毛頭ないし、彼女たちを気に入っているのも事実ではあるんだけど、それはそれだ。

 

 けれど、動揺する立香とは反対に、ダ・ヴィンチはひどく冷たい目をしていた。……なぜ? 

 

「……ギャリー、キミは【赤ちゃん】を知ってたろう? それだけじゃない。ウェールズの森で立香ちゃんから汎人類史の話を聞いた時点で、私たちとブリテンの違いを理解していたはずだ」

「どういうことだ。お前さん、妖精國の出身だと言ってたよな」

 

 

 ダ・ヴィンチは表情を消している。彼女の言葉を聞いた村正も警戒の色を浮かべて、すぐ戦闘態勢に入れる状態で構えた。

 

 ピリついた空気に、うっかり手が剣へと延びそうになって……意識的に押し止める。危ないな、これは敵対ではないんだから、わざと煽る行動をしてはならない。

 

 

 ダ・ヴィンチのほうは、きっとわざとではない。腹を立ててるんだろうな。それに、私が敵か、いつ排除すべきかを考えている。

 それもそうだろう。彼らからしたら、私は彼らの常識を多少なり知ってるのにもかかわらず黙っているわけだ。不審だし、そもそも汎人類史の仲間ではなく、生まれも育ちも妖精國側の妖精だとして理解している。

 彼らが既に私たちの性質について一通り理解している以上、何をしでかすかわからないものとして警戒するのは当然のことなのだ。

 

 

「そんなに身構えないで欲しい……といっても無理だろうね。

【赤ちゃん】は人間の幼体でしょう。信じられないくらい姿が違って、たしか大きさもバスケットに入ってしまうくらいじゃなかったかな。それと、【お父さんとお母さん】は立香から聞く限り、【赤ちゃん】を育てる共同体の教導役で間違いないと思うんだけど」

「ああ、その通りさ。それで、どこでそのことを詳しく知ったんだい」

「……なぜ、立香の話以上に知っていると?」

 

 意外。早くバレてしまった。

 警戒は解かれない。プレッシャーもかかったままだ。歴戦のオペレーターというのは、やはり厄介だな。

 

「キミが赤ちゃんの大きさをちゃんと理解していたからだよ。立香ちゃんが話したのは家族のことや友達のことだったはずだ。なら、大きさまで知っているはずがない」

 

 ああ、なるほど。先に私が口を滑らせていたのか。

 

 やっぱり、こういう行動には向いていないんだろう。実行したところで、すぐに破綻してしまう。難しいなぁ。

 彼はあんな緻密な計画をほとんど破綻なしに運営できていたのだから尊敬する。私には無理だ。

 

 諦めて、両手を軽く上げてひらひらと手を振る。白旗はこっちにはないし、きれいな布もないからこれが精一杯だ。

 

「ごめん、降参。わかりやすく失敗していたかぁ」

「……ギャリー?」

「ややこしい振る舞いをしたことは謝るよ。でも、私が【赤ちゃん】を知っていたのは、仕事の対価として外の──汎人類史の話を求めたから。そのあたりのことは、正直に言うと隠しておきたくて誤魔化したんだよ」

 

 これはほとんど本当。聞いた話として知っていることも多い。もっとよく知ってはいても、聞いたことも事実であるなら嘘にはならないはずだ。

 

「”外“の話って、どこで仕入れたんだ、そんなもん」

 

 村正が警戒を解いて改めて座り直して問いかけてくる。

 

 正直にいうとさっきまでこちらを警戒していた彼はかなり怖かった。相手は相当にできるとわかってるうえ、彼の刀は質の良い鉄だ。私たちにとってはモースと同じ、いやそれ以上の毒だから、冷や汗が噴き出た。

 お陰さまで、さっきの少しのやりとりの内に背中がひどく湿っている。できるなら水浴びをしたい。

 

「スプリガンの城。彼の私財が溜め込まれた堅牢な城で、金庫城ともいわれていてね。あの城には外からこの國に流れ着いたものがたくさん集められている。だから訊きやすかったんだ。もしかすると、ムリアンも知らないような本もあるかもしれないよ」

「それは本当かい!」

「ああ。ただ、さすがに私も好き勝手はできないし、する気もなかったからね、内容については提供できないよ。そのことだけは諦めて欲しい」

 

 スプリガン、かなりの私財を溜め込んでたからね。

 彼の背景が背景だからか、教養人として嗜むべきものは沢山あった。贋作新作が入り交じっているために質は担保できないとしても、あの財の価値は計り知れない。

 

 彼は私がそれらを理解していたことを気に入ってくれていたようだが、もはや関係のない話だろう。

 

「でも、それだけじゃあ理由にならないよ。なぜ、キミは汎人類史の話を詳しく知っているんだい」

「……今代になってから14年くらいかな、スプリガンの城の宝物番をしてたんだ。番人になるよりも、むしろあの城を離れる方が大変だった」

「スプリガンの城の宝物番!? なんでまた、そんな仕事を?」

「用心棒をやってるときにたまたまトラブルがあって、その解決を手伝ったとき気に入られてね。それをきっかけにスプリガンと契約をしたんだ。それで外から来た本に書かれている話をいくつも聴いた。本当に高い買い物だったけど、楽しかったなぁ」

 

 もちろん給与も貰ったし、宝物番の14年はそれで存在税を払っていた。汎人類史の話はいわばボーナスだ。たまに、扱いをわきまえていれば条件付きで現物に触ることも許されたし、今思えばかなり優遇されていたのだろう。

 それで聴いた話には子供だましみたいな話も多かったけど、彼の過去についての話は聴いていてよかったな。そのとき生きていた人間が語るものでなければわからないことは、往々にしてある。

 

 とはいえ、それだとはぐれものではないと思われるかもしれない。だが、宝物庫を守るときはほぼ一人でいたのだ。たったひとりで内側から私財を守るのだから、それはそれではぐれものとしても問題ないだろう。

 

 

「じゃあ、なんで番人をやめたの?」

「……しがらみが多くなったからだよ。ノリッジは土の氏族が多い街だ。それに……まあ、行けばわかるよ。私にとっては、長居するのには向いていなかったんだ」

 

 まあ、外にいる間に私が同調しないように自制していたのも原因ではあるだろう。兵士も街の鍛冶屋連も気のいい者たちではあったけれど、味方は少なかった。長居をすればするほど、そうではない周りからの視線は厳しくなったのだ。

 辞めるときこそスプリガンからはかなり熱心に引き止められたけど、金庫に籠っていてなお居心地が悪くなってしまっては、もう駄目だった。

 

「……っと、そうだ、見張りをするつもりだったんだ。明日も早いし、みんなは早く寝たほうがいいよ」

「わかった。それじゃあ、おやすみ」

「ああ。寝ずの番はありがたいが、無理するなよ」

「おやすみ、ギャリー」

「おやすみ」

 

 長くなってしまった話を切り上げ、その場を離れる。

 背後から、幾つか視線が刺さるような感覚はあったが無視した。背中から刺されることがないならなんだって構わない。どうせ、彼らと共に歩いていけるのはあと少しなのだから。

 

 

 

 

 

 

 そうして歩き続けると、まだ雲の引かない懐かしい街があった。

 鍛冶屋も槌の音を高く鳴らし、人間の兵士が注文をつけ、行く人々が軽口を叩き合い、鍛造品も鋳造品を競うように売買している。

 

「「「「「すっごく、さわがしーい!」」」」」

 

 ノリッジでは、やっぱり活気が失われていなかった。

 これでこそノリッジだ。

 途中でナックとオベロンが話をしていたらしいけれど、一団からちょっと離れた露店を覗いてしまって、話を聞いていなかった。残念なことをしたと思う。

 あとで顔を見せる予定だったのだから、きちんとついていけば良かったな。

 

「さて、これからは手分けして行動しよう。その方が効率がいい」

「それなら、私は単独行動でもいいかな。ちょっと寄りたいところがあるから」

「え、君も宿探しに来ないのかい」

「ああ、悪いけれど、ちょっとね」

 

 もちろん、ナックの鉄火場にも行きたいのもある。彼が今の片刃剣を造ってくれたのだ、どうせなら彼のところでメンテナンスをしたい。

 だが、それ以外にもやることがあるわけで。特に、表にない情報などはこちらでも探せたほうがいい。

 

 オベロンが情報を仕入れられるのは表だけでないとはわかっているが、それでも伝手から情報を集められるに越したことはない。

 

 

「そっか、ギャリーって」

「ストップ」

 

 まったく悪気なく、おそらく昨日明かしたことを言おうとしたであろう立香の腕を引き寄せた。

 危ない、あのことはあんまり言われたくないから、もうちょっと念入りに口止めしておくべきだったかもしれない。

 

「立香、悪いんだけどあんまり言わないで欲しい。ちょっと色々とあるから、ね?」

 

 不審だろうけど、オベロンたちにはあんまり知られたくないのだ。まあ、詳細に知られるまでの時間があと少し引き伸ばせればそれでいいんだけれど。

 

 そもそも長らくオベロンと会わなかった一番大きな理由は、この街で籠って仕事をしていたからだ。そうでもなければ、2日でブリテンの隅から隅まで巡ることができる彼が気づかないということは無い。

 彼はどこにでも行けるし、小さい分、いくらでも目を掻い潜って偵察ができるのだから、気づかれてないことは奇跡といっていいことだった。

 

「ナックの鍛冶場にはあとで合流するから、よろしく」

「わかった。それじゃあ、またあとで!」

「うん、また後でね!」

「……ああ。それじゃあガレス、僕らも行こうか」

「はい、それじゃあ!」

 

 

 

 

 

 情報はといえば、さほど期待できるものはなし、と。

 ここしばらくの変化にしたって、脛に傷のある連中がいくらか摘発されたくらいで動きはほとんどなかった。

 

 空振りしてよかったかと思いながらナックの鍛冶場に足を運べば、アルトリアも村正もいなかった。先に工房を出たのだろう。

 ……これは予定よりも遅れてしまうのが確定か。まだギリギリ時間はあるとはいえ、終わってすぐ走っても間に合わないだろうな。諦めて叱られることにしよう。

 

「ナック、メンテナンス頼める?」

「おう、構わんぞ。……そういや、探してた先代はどうなったんだ。石だったらそいつで研磨したいって言ってたろう?」

 

 片刃剣を渡せば、じっと眺めた上で丁寧に調べて研ぎ直してくれる。自分でも時折研ぐとはいえ、土の氏族として長く仕事をしてきたナックの作業は具合が違う。

 

「ああ、運の良いことに石になってたよ。回収もした。けど、砥石にはならなさそうでね、今は手元にない」

 

 彼には伝えていた行動。以前の自分の死体探しは、ノリッジを離れてからすぐに終わらせていた。

 あるには、あったんだ。見覚えのある場所に、赤錆なんかも含んだ石があった。傍らには、ボロボロの鉄の塊。あれがなければきっと気付けなかったとは思うけれど。

 

 その石の真ん中には、青い宝石のような、透明度の高い石があった。宝石の青は鉄のいろ。私の知っていることが正しければそのはずだ。

 

「そうか、そりゃあ運が良いんだか悪いんだか。だが、よく見つけたもんだな」

「わかりやすかったからね、思ったよりは早く見つかったよ。それに、もし砥石として使えるなら、程度だったからね」

 

 鉄はかつてご禁制だったものだから、かつての私は刃なしの鉄の板をひたすら叩いて無理やり刃にして、隠れて使い続けていた。鉄の武器の使用が解禁されてからは、ナックの作った武器を買い取って、大手を振って扱っていたものだけれど。それでも初代の鉄の塊は持ち歩いていた。

 そういうことを続けていたせいか、私の死体は鉄を含んだ石になっていたのだ。鉄の武器で手を爛れさせるどころか、芯から鉄に染まってしまったなんて、笑う他ない。

 

 

 死体が変質した原石そのものは、結局どこかの妖精の岩が転がって砕かれたらしく、掴める大きさの石になっていた。それを砕いたとき出てきたのが、あの青い石だ。

 

 周りの余計な部分を荒く砕いて、できるだけ青い部分だけ残るようにしたのが、立香へ渡したお守りの正体。

 大した量ではないけれど、青い石のところだけは有事のお守りになるように持ち歩いていた。それで立香に引き継いだのだ。ノリッジを離れてすぐに手に入っただけに、まずまずの量の魔力を吸い込んでいるだろう。

 あれが、いつか立香の助けになれば良いと思う。同時に、そんな日なんて来なければ良いとも。

 

 

「よし、こいつでどうだ」

「……うん、いい感じだ。助かるよ、ナック。お代はこれでいいかな。多めに入れておいたから、次にアルトリアが来たら融通してくれると嬉しいんだけれど」

「おう、いいぞ。けど、お前さんもまた来い」

「もちろん。ありがとう」

 

 気のいいナックに感謝をして、店を出る。

 メンテナンスの時間はさほどかからなかったけれど、やっぱり時間はオーバーしているし、まずそうだ。

 

 こんなことなら情報収集は後回しか、丸投げするべきだったな!




絆礼装のネタバレ読みました。正ヒロインについては早く教えて欲しかったですね。同人誌沢山欲しい。
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