閻魔大王だって休みたい   作:Cr.M=かにかま

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連続投稿です


Thirtieigth Judge

 

氷の刃がヤマシロに迫る

先程の凍結することを目的とした冷気をメインとした攻撃とは違い、殺生性があり斬り殺すための一撃...

もちろん、強度や硬度も先程と比べればどちらが上かなどは明確であろう

 

だからこそ、その攻撃はヤマシロに当たることはなくパラパラと砕ける

 

「サンキュー、麻稚...」

 

「いえいえ、お安い御用です」

 

ヤマシロと同行していた蒼 麻稚の見事な狙撃によって氷の刃は粉々に粉砕される

密度が増えれば増えるほど物体に触れやすくなり、砕きやすくもなる

先程の凍てつくことを目的とした攻撃と比べ攻撃に特化しているが、所詮は氷なのだから砕くのに何の抵抗も苦労も必要としないのだ

 

「中々いい部下だ...」

 

「ゼスト、お前がなんで属性変換ができるんだ?」

 

「..............」

 

ゼストはヤマシロの問いかけには応える様子はなかった

 

そもそも属性変換とは、閻魔という種族に与えられた特権能力の一つである

自らの脳波や気を自然現象によって発生する気体や物質に変換する技術であり一人一属性が原則となっている

 

ヤマシロなら炎、ゴクヤマならば雷と言ったように自然の力を掌握することができる

しかし、ゼストは死神でありながら凍の属性変換を行っている

閻魔とのハーフという考えもあるがそれは即座に否定される

なぜなら、閻魔と子供を作るときは必ずと言ってもいいほど産まれてくる子供の種族は閻魔なのだ

死神とだろうが、鬼だろうが、人の魂であろうが、神であろうが、閻魔と交配した時に産まれる子は閻魔となっている

これは閻魔の遺伝子情報が強力で、他の種族の遺伝子情報は強制的に書き換えられてしまうからである

それほど閻魔という種族は数が少なく、どれだけ偉大かを示している

 

そのため、死神であるゼストが凍の属性を司り自在に操るということがもう現実としては受け止め難い事実なのだ

いくら常識から逸れることが多いと言っても限度というものは存在するからである

 

「世界が俺に与えた能力とだけ言っておこう、詳しくは俺も知らないからな」

 

ゼストはまた頬を緩ませる

その表情が現状で言えばかなり不自然で逆に恐怖を与えるほどである

 

「..麻稚、お前は一旦裁判所に戻れ」

 

ヤマシロは一瞬ゼストから目をそらして麻稚に小声で話しかける

 

「...閻魔様は?」

 

「アイツとケジメをつける」

 

ヤマシロの意図を素早く読み取った麻稚は反論することなく、あくまでもスムーズに会話を進める

...亜逗子では到底不可能な芸当だと二人の思考が一瞬シンクロしたのもまた事実である

 

ヤマシロは鬼丸国綱から閻魔帳に持ち替えて、

 

「地獄の業火よ、かの者を焼き尽くせ!」

 

継承すると同時に、ゼストの足元から巨大な炎の火柱がゼストを包む

 

「今の内だ、行け麻稚!」

 

「はい、どうか無茶だけはしないでください!」

 

あぁ、とヤマシロは麻稚の背中を見ながら頷く

火柱の影響で周囲の冷気も力を失っていき、凍結した場所も徐々に溶け始める

ヤマシロは宙に浮く技術の応用で閻魔帳を近くで浮遊状態に保っておき、右手に鬼丸国綱を握りしめる

 

時間が経つごとに火柱は勢いを失っていき、最終的には冷気の方が温度的なプラスマイナスの関係が発生したのか、炎が凍てつく

 

「やはり十分ではないらしいな」

 

「ゼスト、お前ホント変わっちまったよな」

 

ヤマシロは悲観するような眼差しでゼストを睨む

それに対し、ゼストは無機質で冷酷な眼差しをこちらに向けてくる

 

「年月とは人を変えるものだよ...」

 

ゼストは呆れた調子でため息を吐き、大鎌を構え直し、

 

「俺は俺の目的に生きる!」

 

ヤマシロとの距離を一気に詰める

 

「...ッ!!?」

 

ヤマシロはゼストによって振りかざされた大鎌を鬼丸国綱で防ぎ、閻魔帳を経由して炎を纏い弾く

炎を纏わせた鬼丸国綱で反撃に出るが、上手く体を動かせないことに気がつく

足元を見ると、ヤマシロの影に別の影が重なっているように見えた

 

これは死神の影の暗殺術の一つである、重影術...

本来影とは重なっているように見えるときは互いに上手くバランスを取りながら交互に重なっている

そのため自由に動くことも可能なのだが、この重影術は影の上に影を重ねることで本来調和している影のバランスを崩して、動きを鈍らせる働きを与える

例えるならば、重い荷物を背負いながらマラソンをするようなものである

 

仕掛けたゼストは潜影術でヤマシロとの距離を詰め、影から大鎌の刃の部分だけを出しながら移動する

近づいたところで一気に影から這い上がり、ヤマシロの背後から大鎌を振りかざす

 

ゼストは数センチも狂うことなくヤマシロの首を狙う

 

その嫌という程の殺気を感じ取ったヤマシロは瞬時に炎を自分の周りに展開し、ゼストの視界を奪う

 

「くっ!?」

 

「紅蓮の槍よ、悪しき魂に清浄の一撃を!」

 

ヤマシロが継承を終えると、炎が鬼丸国綱に収束し赤い炎が青い炎に姿を変える

酸素の量と空気の量が一定量に調整され安定した高熱の炎を纏わせた鬼丸国綱でゼストの体を狙う

 

瞬間、辺りの氷はほとんどが溶け三途の川がいつもの風景を取り戻した

一部焼け野原となったのはスルーしていただきたい

 

しかし、

 

「...何のマネだ?」

 

ゼストにその一撃が当たることはなく、ギリギリの部分で逸れていた

ヤマシロの瞳からは光に反射した綺麗な雫が頬を流れた

 




グダグダになっている部分もありますがこれからもよろしくお願いします!
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