閻魔大王だって休みたい   作:Cr.M=かにかま

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お待たせいたしました
とりあえず落ち着いたのでこれからも週一を目標に投稿していきますのでよろしくお願いします!

....待っててくれてる人がいたのかはわかりませんがね




Fortieth Judge

 

死神...

現世の西洋では最高神に仕える農夫という異名もあり、死を迎える予定の人物が魂のみの姿で現世に彷徨い続け悪霊化するのを防ぐ為、冥府へと導いていくという役目を持っているとも言われている

よって一般的に想像される死神の禍々しい姿は死を擬人化したものとして扱われることもある

 

よって死神という存在は人々の想像と死の象徴から成り立っているため一種の信仰により具現化したものという捉え方も可能となる

 

「そして、鎌でありながら地獄の瘴気と膨大な怨念を持っているのが初代死神部隊隊長の骸型の大鎌、ミァスマと呼ばれるものだ...」

 

「.....なぁ、いきなりお前が喋って大丈夫なのか?当事者の俺ですら全く状況が飲み込めないんだが...」

 

「目が覚めた、起き上がった、目の前にミァスマがあった、説明した、これでいいか?」

 

「なんで全部短文なんだよ!?」

 

てな訳で、先程までゼストの身体を宿としていた黒い塊を追い出しヤマシロが新たな敵(鎌だけど...)であるミァスマと一戦やろうとしたトコロでゼストが目を覚まし、ミァスマを目の前にしながらどこか場違いな雰囲気を出していた

ミァスマもミァスマで何か癇に障ったらしく、先程から瘴気に混じり怒りの感情が流れ出てくる

...そもそもゼストが目を覚ましたこと自体驚きなのだが、ここでソレを突っ込んでしまうと永遠にミァスマと正面から向き合えない気がするので適当なトコロで切り上げる

 

「要するにアレは死神の怨念みたいな憎悪の塊が鎌に憑依したようなモノでいいんだよな?」

 

「まぁ、大体そうだが、あえて正確に言わせてもらえば奴はさっき言った初代死神部隊隊長そのものだ」

 

ゼストはミァスマを睨みつけながらヤマシロの問いに応える

 

「まぁ、話すのは面倒だから省略させてもらうけどな」

 

「....そこは話そうぜ」

 

「俺もお前もそれで構わないかもしれないが...」

 

「グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

突如、ゼストの声を遮るようにミァスマの咆哮と共に黒い斬撃がヤマシロとゼストを引き裂くかのように二人の間に攻撃が加えられる

 

「...あっちはどうやら待つのが苦手らしいからな、さっさと決着つけちまおうぜ」

 

「それには、激しく同感だッ!!」

 

ヤマシロはゼストの言葉を合図に鬼丸国綱を取り出し、超スピードでミァスマとの距離をゼロにする

そのまま閻魔帳も取り出し、炎を鬼丸国綱に纏わせミァスマに斬りかかる

ミァスマは瞬時にヤマシロの攻撃を察知し受身の体制を取ったかと思えば、背骨にあたる部分を鎌の刃に変化させ、そのまま回転を始め攻撃体制に切り替える

 

「儂がヤマトの一族、閻魔という種族を消さねばならんのだ!!」

 

「俺も閻魔だ、消せるモンなら消してみやがれ!!」

 

ヤマシロはミァスマの攻撃を受け止めながらも後退はせず、むしろ前進して斬撃の中に自ら進んで行く

ミァスマの攻撃は全身を使っているため一見すれば隙のないような状態にも見えるが、逆手に取れば体を使えなくすれば攻撃が出来なくなる

ガキィン、ガキキィン!!という金属と金属の衝突する音が三途の川全体に響き渡る

こんな状況では流石の餓鬼も行動できないらしく、戦いの輪から遠ざかって行く気配も感じられる

 

『まだか、ゼスト!』

 

『もう少し待て、病み上がりの体で力を存分に使うには回復がもう少しだけ時間が必要だ』

 

『...OK』

 

激しい攻防戦の最中にも、ヤマシロにはまだ余裕があるらしく脳話の方にも十分な力を注ぐことが出来た

 

しかし、逆にゼストに頼らざるを得ない状況の今、ヤマシロにあまり余裕がないことも感じることが出来る

先程まで全開の力の状態のゼストとガチンコでやりあっていたのだから

閻魔帳の補助がないと炎も使えず、格闘術と剣術に優れているとは言え、それは井の中の蛙の状態にも等しい

何せ彼は天地の裁判所で最も多忙な職である閻魔大王の役職に就いており、戦闘の訓練を行なう時間が就任前と体を動かす機会が極端に減ってしまったのだから

五年といえば彼らの年齢で考えてみれば一瞬で過ぎ去ってしまうような短い時間だが、ブランクで考えるとかなり長い間に感じてしまう

 

しかし、そのブランクを補い背中を預ける兄弟がヤマシロにはいた

 

攻防戦の最中、ミァスマは突如不自然な状態で動きを止めそのままの体制で停止する

 

「ぬっ、こ、これは...」

 

ヤマシロは鬼丸国綱と閻魔帳を仕舞い、ニヤリと笑みをつくる

そして、彼の背後からミァスマに向かって真っ直ぐに伸びる影を見る

 

「待たせたな、やっとこさ影と冷気使えるまで回復したわ」

 

「これは、縛影術...!」

 

「ご名答だ、ご先祖様」

 

縛影術、死神の影の暗殺術の一種で自身の影を対象の影に触れることで動きを止める術である

ちなみにゼストは影を真っ直ぐに伸ばす際に操影術という影の形を自在に変化させる影の基本技術も併用して使用している

 

「ま、さか、このような使い方があるとはな...」

 

「時代ってのは巡り巡って変わっていくんだよ、この術を考案し創作したあんたへの尊敬と憧れの気持ちは引き継がれていってるけどな」

 

「.....若僧が」

 

『ヤマシロ、そいつから離れとけ』

 

ゼストの脳話にヤマシロは静かに頷き従う

ゼストは操影術で伸ばした影に冷気を集中させる

どうやら冷気を影が伝ってミァスマを凍らせるようだ、例えて言うならば導火線に火をつける冷気バージョンというトコロであろう

 

「じゃあな開祖様、もうあんたの時代はとっくに終わりを告げたんだよ、ゆっくり眠りな」

 

ゼストを中心に冷気が影を伝い、ミァスマの体を徐々に凍てつかせていく

ヤマシロは自らが水を差してはいけないと判断し、静かに決着を見届けることに集中する

ミァスマの体が半分以上氷に包まれ動きを取ることすら難しくなった状態にも関わらず、ミァスマには苦悶の感情を感じることはなかった

 

「ゼスト、お前の名は輪廻転生の輪に乗っても忘れることはないだろう...」

 

ミァスマは最後の言葉を残し完全に凍き、全てが終わった...

 

 

 

 

 

 

誰もがそう思ったその瞬間であった

 

 

ミァスマを中心にゼストの力とは別の力が三途の川下層部分から力が伝ってくる

ミァスマと同じ瘴気に間違いはないがミァスマの瘴気よりもドス黒く、どこか禍々しささえも感じるモノだった

 

「うぐ、ゴォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!?」

 

刹那、瘴気の塊がミァスマを襲い、ゼストの縛影術と冷気をも飲み込みミァスマの体が瘴気に飲まれていく

 

「なっ!?」

 

「これは...!?」

 

ヤマシロとゼストは目の前の現実について行けずに、ただ立ちすくしてしまう

瘴気の影響は三途の川周辺にも発生し、草木は枯れ果て、大地はヒビが入り、辺りの餓鬼達が苦しみ始める

 

「閻魔様!」

 

そんなヤマシロとゼストを現実に引き戻したのは一人の青鬼の少女だった

 

「麻稚!」

 

「閻魔様、ご無事ですか?」

 

麻稚はヤマシロに駆け寄り、怪我の具合を確かめ始める

 

「麻稚、お前天地の裁判所に戻ったんじゃ...」

 

「えぇ、特に問題なかったのですが、こちらからあり得ないほどの瘴気を感じたので部下を連急遽戻ってきました」

 

確かに、麻稚の部下と思われる部下達が瘴気の抑制に力を注いでいた

流石、三途の川を管轄に持ち、力の強い鬼の中でも珍しい頭脳タイプの彼女はあらゆることを想定した上で大きな鞄の中に様々な道具を入れて持ってきていた

 

「麻稚さん、やはりこの瘴気は...!」

 

「えぇ、間違いないでしょう」

 

年配の部下一人が麻稚と深刻な話を始める

ヤマシロも表情を暗くしながらその話に耳を傾ける

 

「先代に報告した方が良いかもしれませんね、閻魔様」

 

「........本当にあいつなんだよな?」

 

「閻魔様、信じたくない気持ちはわかりますが」

 

ヤマシロは更に表情を暗くしながら麻稚に尋ねる

どうやら麻稚としても外れて欲しかったことのようだ

 

「ヤマシロ、お前なんか心当たりあんのか?」

 

ただ一人、ゼストだけが状況を飲み込めずにヤマシロに問いかける

 

「いいんだ、気にすんな」

 

ヤマシロは適当なことをゼストに告げてその場を立ち去り、天地の裁判所の方向に足を進める

 

(ヤマクロ....)

 

誰も彼の後を追いかけることはなく、三途の川では解凍作業が着々と進められた

 

 

 

「ンだよアノヤロー、ちっとくらい教えてくれてもいいだろうがよ」

 

ゼストはヤマシロが飛び去った方向を静かに眺める

 

「...安心しろ、もう敵意はねぇよ」

 

ゼストは頭に何かを突きつけられた感覚を覚えたため両手を静かに挙げながら降参の体制を取る

 

「貴方、一体何者なの?」

 

スナイパーライフルを突きつけた人物、蒼 麻稚は静かにゼストに問いを投げる

彼女が裁判所に戻るまではゼストと戦っていたのを彼女は覚えている

そんな彼がヤマシロと馴れ馴れしく話していることに疑問を抱いていた

 

「俺はゼスト、死神であいつの昔馴染みだ」

 

「貴方が...!そう...」

 

麻稚はそう言いながら静かにスナイパーライフルを下げる

 

「ンな簡単に信用していいのかい?」

 

「なら撃てばいいの?」

 

「冗談、信じてくれてありがとな」

 

なんだかんだで打ち解けた二人だった

どうやら麻稚はゼストのことをヤマシロから多少は耳にした覚えがあったらしい

 

「で、さっきのアレは一体何だったんだよ?」

 

ゼストはヤマシロに向けた質問を別の方法で麻稚に尋ねた

麻稚は少し表情を暗くし、静かに応える

 

「あれは閻魔様の弟、ヤマクロ坊ちゃんの一撃です」

 

 

事件は終わらない...

 

次々と連鎖し続ける事件にヤマシロは立ち向かい、解決への道を歩み始めて行く

 

そして.....

 

「あぁ、退屈だな〜」

 

新たな事件が...ヤマシロの下へと降りかかろうとしていた

まるで、三途の川で起こった事件が序章と言ったばかりに世界は動き始める

 

 




これにて第3章は終了となります!
少し無理矢理感のある終わらせ方ですが気にしないでください!
恒例の間章を投稿してから新章に入っていきたいです

この小説を読んでくださっている方々に感謝を込めて...
これからもよろしくお願いします!
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