「これでまた一人、次の標的はと、ん?」
デッドシグナルが周囲を見回すと、高速道路を逆走する車を目撃した。
すぐにその場から勢いよくジャンプし、高速道路を逆走するその車に飛び移った。
デッドシグナルがフロントウインドからドライバーが誰かを覗くと、老人の男性がドライバーであった。
「うひゃあーー!!」
「グギガギ~!! 高齢者ドライバーか! 貴様らのいい加減な運転のせいで、多くの尊い命が失われているんだ~~!! とっとと、免許を返上するか! あの世に逝きやがれ~~!!」
ドライバーは車がコントロールできない状態となり、車はカーブへ真っすぐ突っ込む。
そのままガードレールや柵を突き破り、高速道路下の一般道へと落ちた。
車は大破し、ガソリンが引火したのか、大きい火が上がった。
デッドシグナルが数秒ほど、燃え盛る車を見ていると、どこからか、火だるま状態の車に向かって大量の水が放水された。
車の火が消えて、一人の超人が車の中へ入り、気絶していた老人の男性を救い出した。
「オレの邪魔をするやつはだれだ~!!」
「もう忘れたのか、わたしの顔を」
老人を救い出したのはクリオネマンだった。
「お~久々じゃねえか、クリオネマン、入れ替え戦以来か?」
デッドシグナルは殺伐とした態度をしていがたが、クリオネマンの顔を見て喜ばしい態度をとる。
「何をやっているんだおまえは!!」
クリオネマンはそんなデッドシグナルを一喝した。
「見ての通りよ、オレはこの通りルールを守らない奴らを成敗しているのさ」
「デッドシグナル! 正義の心を忘れたのか!!」
「正義か、忘れちゃいないさ。でもな、オレの正義を実現するには正義超人を捨てるしかなかった。現に、先の入れ替え戦では、ルールを守ることを主張したオレよりも、ルールを破ることを正当化した万太郎先輩が人間たちに支持された。だからオレは今の主のもとで忠誠を尽くすことを誓った」
「主だと、お前、もしや……」
「そう、『この世を浄化する者達』の一員としてーー! オレはオレの正義を人間達に分からせるのだーー!!」
「お前! 自分が何をやっているのか分かっているのか! 今からでも遅くはない、罪を償って正義超人に戻るのだ!」
「うるせえ! オレはルールを守る善良な人間が、ルールを守らない危険なドライバーによって、命を落とすのが許せないんだ!! そのためならオレは悪魔にだってなってやんよ!!」
クリオネマンはその言葉を聞いて、ひと呼吸おき、落ち着いた態度で会話を再開した。
「デッドシグナル……、分った、今のお前に私の声は届かない、話し合いは通じない、ならば方法は一つ」
「グギガガ~、分るぜ~、超人同士の決着のつけ方はあれしかない。ならば、お前との決着にとっておきの場所があるぜ~、ついてきな~」
どこかへデッドシグナルは向かっていく、それをクリオネマンは追いかけていった。
やがて両者はナゴヤドームに到着した。
ナゴヤドーム内へデッドシグナルが入り、それをクリオネマンが追いかけた。
ナゴヤドーム内には、巨大な岩の彫刻が真ん中にどんと居座っていた。
その岩の彫刻は威厳のある掌の形をしていた。
「こ、これはヘラクレスの掌じゃないか!」
クリオネマンが驚いた表情をした。
「レプリカだけどな。入れ替え戦の時は、ハラボテの万太郎への嫌がらせのとばっちりを受けて俺らはヘラクレス足の裏で闘うことになった。あの時の試合結果によってはもしかしたら俺らはこのリングで闘っていたかもしれない」
「そうだな、ただしジェイドとスカーフェイスのように両者が望めばだがな」
「オレはいつもお前が気に入らなかった。エリートぶって人を見下す態度、今すぐにでも殺してやりたい気持ちだぜ~」
「そうか、奇遇だな。私もお前が気に食わない。ルール、ルールとその体同様硬い考えを押し付けるところは好きではなかった」
「なら、この戦い了承ということだな!」
デッドシグナルが勢いよくジャンプし、ヘラクレスの掌のリングに先にリングインした。
それに、クリオネマンが続いた。
「デッドシグナル、お前の仲間の『この世を浄化する者たち』は元は人間だったやつら、お前がいることはその、やや不釣り合いに感じるんだが」
「オレ、いやオレ達というべきか、元々は壊れてしまった交通標識達の塊さ。何も言えない物ではあったが、社会の安全を守るという使命を帯びて生まれたという誇りがあった。だがな、ルールを守らないドライバーたちの危険運転によって多くの仲間の交通標識が破壊された。まだ、人間達のために頑張りたいんだという交通標識達の強い意志があの男、ミスターノアを呼び寄せた」
「ミスターノア!? ライトマンの話していた男か!!」
「そう、奴は俺達を一つの集合体、新たな命、超人としての人生を与えてくれた。そして、オレ達はデッドシグナルとして生まれ変わったのだ!」
「お、お前の出生にそんな秘密があったとは……」
「もっともその記憶は、万太郎に負けてスクラップになってから思い出したものだけどな。俺はあるべき場所へ帰ってきたのだ!」
「二人とも、会話を邪魔するようですまんが、ちょいと話をしたい」
二人の間にハラボテが入ってきた。
「デッドシグナルよ、我々はお前さん方の情報が少しでも欲しい。そこでどうじゃろうか、お前が勝った場合一つ望みを聞こう。そのかわり、お前が負けた場合は情報を聞く、どうじゃ?」
「グギグギ~、じゃあ万太郎との再戦の舞台を用意してくれや~。奴を倒すことが、今の一番のオレの望みよ~」
「わかった」
そういうと、ハラボテはリングを去っていった。
観客席はいつの間にかお客さんで埋め尽くされている。
試合のゴングが鳴った。
カーーーン!!!!
「あいさつ代わりにこれだ~」
「デッドシグナル、なにやら不可思議な動きをしているぞー!」
ゴガシャーン!
「なんだー!? 唐突にナゴヤドームの天井が割れ、突風が現れたーー! 突風はリングに向かってくる!」
「これだけではない!」
「なんだこれはー!? 突風ともに雷まで落ちてきたーー! 突風が落ちた雷をまとい、クリオネマンへ一直線!」
「食らえ! |稲妻突風撃(いなずまとっぷうげき)!」
「キョカー!!!」
「これはすごい! クリオネマンに突風の打撃と稲妻の感電の二重ダメージだーー!!!」
本日のお天気、突風のち雷!!!