ニルスバックブリーカーが決まり、バンデットマンが苦しい表情を浮かべる。
ぐきぃ ぐきぃ ぐきぃ
「ぐぅ! なるほどな、体のどこに力を入れても脱出ができない。こいつはモノホンの必殺技だ!」
「さあ、体を真っ二つにされたくなければギブアップしろ! 敵とはいえ、殺しはしたくないのだ!」
「その甘さが命取りになるぜ、そっさと殺らねえと、お前はチャンスを逃す事になる」
バンデットマンのバンダナからカギが出てきた。
そのカギはバンデットマンの右腕の方へと飛んで行き、バンデットマンの右手がとらえた。
「盗賊七つ道具の一つ! バンデットキー!」
ジャキーン ガチャリ
バンデットマンがバンデットキーをニルスの右腕にさし、時計回りに回した。
「うっ!」
ニルスは右腕の違和感に気づいた。
右腕に力が入らなくなった。
むしろ右腕が自分のものではない感覚がした。
やがて、ニルスの右腕がとれて、リングに落ちた。
「あぁーっ! ニルスの右腕がとれたーーーっ!?」
「二、ニルスはんの義手が!?」
実況や観客が驚きの反応を見せた。
「そらよ!」
バンデットマンは自由になった右腕でエルボーをニルスの顔面に放った。
ドガ
「ぐあっ!」
ニルスの技の体勢が崩れ、バンデットマンはニルスバックブリーカーからの脱出に成功した。
「いい技だったな。他の仲間だったらKOできていた可能性は高かったぜ。もしも義手じゃなければ、もしも俺が相手じゃなければ、勝てたかもな。さあて、両足の自由も効かない、腕は一本もげた。他の仲間だったら、ここらで情けをかけるだろうが、おれは情けはかけない。殺す!」
「た、頼む……ギブアップするから……殺さないでくれ……」
「なに!?」
バンデットマンが驚愕の表情を見せた。
「二、ニルスはん……」
観客も開いた口がふさがらない状態だ。
カン カン カン カン
試合終了を告げるゴングが高らかに鳴った。
不完全燃焼の試合に観客は不満げな表情だ。
「こんの恥さらしめ!」
「他の超人達はカッコよく戦っていたんだぞ!」
「お前さんに面倒見てもらっていたのが恥ずかしいわい!」
観客はニルスにブーイングの嵐を浴びせている。
「み、みんな、止めるんや! ニルスはんが生きていただけでもありがたく思わんと!」
「そうや! わいらのためにあそこまでみじめな姿になりながらも!最後まで戦った!」
ET顔のお婆さん、米男さんが観客の皆を必死で落ち着けようとする。
しかし、観客のブーイングは収まらない。
「殺す気が失せちまったよ。お前さん、もうちょい根性のあるやつとは見ていたが、俺の人を見る目も腐ったもんだ。もう貴様とのやり取りに興味はない! 人間として無様を晒して生きていくんだな!」
バンデットマンは先のランバージャッカーが使っていた転生石を取り出した。
シュイシュイシュイ
ニルスのエネルギーが可視化され、そのエネルギーはニルスの体から出ていき、転生石に収まった。
ニルスは金髪の青年へと変化した。
「盗賊は相手の大事なものを奪うのが仕事だ。お前の大事なものとして、超人として証のパワー、そして、この義手をいただく」
バンデットマンは転がっていた義手を拾い上げた。
「すまないな……私のために力を尽くした人がいたというのに、正義のために誇り高く散った仲間もいたのに……こんな無様な負け方をしてしまって」
ニルスはリングに倒れこんだ。
そこへ一人の老人がニルスのもとへよってきた。
「ニルス! しっかりせい!」
「キ、キン骨マンさんか……すまなかった、あなたから頂いた腕を有効利用出来なかった……」
「いいんじゃ! そんなことは! お前さんが生きているだけでもいい!」
「骨の爺さんよしな、無様な敗者への慰めは余計無様にするってもんだ。そいつへの一番の気遣いは無視することだ」
「やれやれ、盗賊ってのは意外とおつむがないんだな」
唐突にボーン・コールドがリングの上に現れた。
リングを見つめる皆が驚きの表情を見せる。
「お、お前! 何をしているんじゃ! 堂々と人前に姿を見せられる立場ではないだろ!」
キン骨マンがボーン・コールドを心配しながら言葉を強くかけた。
「この甘ちゃんはな、自分の命よりも、自分のプライドよりも、老人達のことを考えていた。自分がいなければ、誰が老人達の世話を見るんだという考えを持っていたんだ。こいつがギブアップしたのは、恐らく、どんなに無様な姿を晒してでも老人たちを守りたいからと思ったからだぜ」
「ボーン・コール……すまな……りがとう……」
ニルスは弱った状態だったが、ボーン・コールドへの礼を言おうと、声を何とか出した。
「勘違いするな、俺はただこいつにムカついただけだ」
「目上に対しておつむがないだの、ムカつくだの、お前は俺に喧嘩を売っているのか?」
「喧嘩を売る? 売ってるつもりはないんだがな、そうだな、お前の命を盗んでやろうか?」
シューティングアローをバンデットマンに向けて、ボーン・コールドは言葉を放った。
「キェキェキェ! 挑発の仕方が上手いじゃねぇか若いの! その喧嘩、買ってやるぜ!」
「おっと待ちな! 戦う舞台は既に用意してあるんだ!」
「なに?」
施設内のモニターに電源が突然入った。
その映像は全宇宙で配信されていて、ヘラクレスファクトリーやハラボテマッスル達の方でもみられている。
「ゲ~ギョゲギョゲギョ~」
モニターには
「なに!!
ハラボテマッスル、そしてヘラクレスファクトリーの
「
モニターが4分割され、4人の超人の姿が映し出された。
一人はボーン・コールドである。
「ムヒョヒョヒョ~」
そして、もう3人は……
「フィギュ~! 久々に大暴れしてやるぜ~!!」
「ドヘドヘ、対戦相手を血祭りにあげてよ~、そばみたいに血をすすってやりて~!!」
「ふふふ、過去から帰ってのんびりしようかと思っていたが、思わぬ試合のオファーを受けてしまったな」
ヒカルド、ボルトマン、ネプチューンマンの姿があった。
抽選で好きな悪行超人のサインが貰えるぞ!!