『ランバージャッカー! 掟破りのロビンスペシャル返しを返しまさかの
この危ない状況に、ネプチューンマンは落ち着いている。
「おっさんよ! 諦めて開き直っちまったのか!」
「ランバージャッカー、キックボクサーながら、レスラーとしてのお前のセンスもなかなかだ。だがな」
ダァン
ネプチューンマンは
ランバージャッカーの繰り出した
『ネプチューンマン! ランバージャッカーの
「なに!?」
「あの漢の技はそう簡単に真似できるものほど軽いものではない。あの漢はかつて私が限界まで力を出してやっとのこと倒せたからな」
その様子をヘラクレスファクトリーの巨大モニターでラーメンマンが観戦していた。
「ネプチューンマン……」
両者技の体勢を解き、スタンディングの体勢になった。
「おらっ!」
バキィ
ネプチューンマンが右フックをランバージャックの顔面に当てた。
「どうりゃ!」
バキィ
ランバージャッカーもお返しと言わんばかりに右のフックを当てた。
その流れのまま、両者乱打戦となった。
バキィ ドゴォ ズボォ
『これはすごい!! 両者逃げずに殴って殴って殴り合う!! まるで子供の喧嘩だ――――――っ!!』
徐々に互いの顔が流血していき、顔も腫れてきた。
「ガハハハ!! おっさん! 50過ぎとは思えねえパンチだな! すっごく痛えけどすっごく楽しいぜ!」
「はははは!! そのままそっくり返してやるぜ!!」
この展開を見て、ハラボテが疑問を抱いた。
「すごい展開じゃ! だが、ネプチューンマンはなぜ打撃戦にこだわる? ランバージャッカーは打撃中心のファイター、寝技や関節技に持ち込めば、もっと優位に戦えるはずじゃ。それに、あいつにはサンダーサーベルや光ファイバーのパワーもある。なぜなんじゃ?」
ロビンマスクがハラボテの疑問に答えた。
「ハラボテ元委員長、それがあいつの流儀ってやつですよ」
「流儀?」
「ネプチューンマンは頭の良いファイターです、寝技や関節技でいけば楽に勝てると分かっています。しかし、それで勝っても面白くない、相手の土俵に立って勝ってこそ、真の価値ある勝利だとネプチューンマンは思っているはずです。正々堂々と戦って勝つ正義超人の流儀とも、どんな手を使ってでも勝つ悪魔超人の流儀とも、また違う、完璧超人の流儀なんですよ」
「ワシが若い時でもやらなかった戦い方じゃな。まっ、ああいうのは嫌いではない」
「私も嫌いではないです。特にあの殴り合いは、私が若かった頃を思い出します」
ロビンマスクはキン肉マンとの戦い、ネメシスとの戦いを心に浮かべながら語った。
両者の殴り合いは続いているが、ランバージャッカーから焦りの顔が見える。
(殴り合いには慣れてはいるんだがな、このおっさんのパンチの重いこと重いこと。この展開のままいくと、俺が先にリングでおねんねしてるかもしんねえな)
「殴り合いも飽きてきたな、こんなのはどうだ!」
バシィ バシィ バシィ
ランバージャッカーは右ミドルキックをネプチューンマンの左腕に連打していく。
「ぐぅ、貴様!」
「ガハハハ!! おっさんは左のラリアートが得意なんだろ! なら早めにその利き腕を潰さねえとな!!」
『殴り合いの流れから一転し、ランバージャッカーの右ミドルキックの連打がネプチューンマンの黄金の左腕をとらえていく!! このままではネプチューンマンの左腕が破壊されてしまうぞーーー!!』
「てめえが蹴り合いを望むなら、俺もその蹴り合いに付き合ってやろうじゃねえか!!」
ドゴォ
ネプチューンマンの強烈な前蹴りがランバージャッカーのどてっぱらにさく裂した。
「ガハァ!」
『ネプチューンマンも負けていない! 強烈な前蹴りでランバージャッカーをリングの支柱まで吹っ飛ばした――――――っ!』
間髪入れずに、ネプチューンマンはランバージャッカーを追いかけ、飛び膝蹴りをランバージャッカーにかました。
ガコォ
『ネプチューンマンの飛び膝蹴りがランバージャッカーにヒット! ランバージャッカーたまらずダウン!』
「ちぃ、見た目に似合わず身軽な動きも出来るんだなおっさん」
鼻が曲がり、鼻血も大量に出ている状態ながらも、なおランバージャッカーは立ち上がろうとする。
「なかなかの戦闘狂だな、その状態でもまだ戦おうというのか?」
「その言葉! 斧をつけて返してやるぜ!」
ランバージャッカーがネプチューンマンに向かっていき、右のハイキックを撃った。
ネプチューンマンは左腕でガードをした。
ドゴォ
「ぐおぉ!?」
ネプチューンマンが左腕に伝わった思わぬダメージに、苦痛の表情を浮かべた。
『ネプチューンマン! ランバージャッカーのハイキックをガードしましたが、左腕へのダメージは相当のもののようです!』
「俺のハイキックは大木すら倒す。いかにネプチューンマンの左腕といえど、まともにくらえばただではすまないぜ。その左腕では、従来のラリアットは打てないだろう」
「ぬかせ、同じ英国の超人が両足両腕が無くなろうとも、最後まで勝利を信じて強豪に勝ったことがあるんだ。左腕をちょいと痛めた程度で負けたら、そいつに合わせる顔がないってもんだぜ!」
ネプチューンマンはかつて、王位争奪戦編でロビンマスクとマンモスマンが闘った時の記憶を思い出しながら言った。
その言葉にロビンマスクが反応した。
「そうだ! ただでさえ過去で恥を晒した老害のお前がここで負けたら、私はお前を一生英国の国辱と蔑んでやる!」
ネプチューンマンがその言葉に、にやりと笑いを浮かべた。
「こんにゃろ~! それがてめえなりのゲキってわけか?」
「かつて私とその弟子を倒したやつが、こんなとこで負けるのはみたくないからな」
ロビンマスクとネプチューンマンは、心のどこかで通じ合ったという様子を見せた。
ネプチューンマンは冷や汗を流しながらもランバージャッカーに左腕でラリアットを放った。
しかし、威力も半減しており、ランバージャッカーはリングに転がされる程度で済んだ。
「意地の一撃かい。もう立てないようにしてやるぜ」
『ランバージャッカー! またもネプチューンマンに右のハイキックを当てに行く!』
ネプチューンマンは膝を曲げ、上半身全体を下げるように力を抜いてハイキックをかわそうとした。
「俺のキックは軌道が変わるんだぜ!」
ランバージャッカーのハイキックの軌道が変わった。
斜め上を狙った足が、カーブを描き、斜め下方向の軌道となった。
足の到着点はネプチューンマンの側頭部であった。
ゴォン
ネプチューンマンの意識が遠のき、その巨体は傾き、リングに沈む。
『決まってしまった――――――っ!! デストラクションをしとめたあのハイキックがネプチューンマンをとらえた――――――っ!』
大木折られるっ!!