ネプチューンマンがリングから起き上がらずカウントが数えられる。
しかし、ランバージャッカーはそのネプチューンマンを無理やり起こす。
『どうしたことだランバージャッカー! ダウンしたネプチューンマンを立たせた――――――っ! このまま寝かせればKOの可能性もあったのになぜだ――――――っ!』
ランバージャッカーは立たせたネプチューンマンをジャーマンスープレックスでリングに叩きつけた。
『ランバージャッカー! ネプチューンマンをジャーマンスープレックスで追撃! またもネプチューンマンダウン!』
しかし、またランバージャッカーはネプチューンマンを無理矢理立たせた。
「おいおっさん! 俺はこんな勝ち方好きじゃねえんだよ! 俺に合わせて打撃戦でいく漢気は悪くはねえけどよ! それでおっさんが本来の実力を出さないっつうのが気に食わねえんだ! 俺はレスリング技は上手くねえけどよ! やってやるから、おっさんもどんどん技を出しやがれってんだ!」
『ランバージャッカー! 今度はネプチューンマンをブレーンバスターでリングに叩きつけた!』
しかし、ネプチューンマンは立ち上がらない。
それを見てロビンマスクが声をあげた。
「どうしたネプチューンマン! 本当にまいってしまったのか! お前に慈悲の心があるなら、あの力を使ってこんな状況たやすく逆転するはずだ! それとも改心しきれずに慈悲の心等ない状態なのか!!」
ネプチューンマンがその言葉にピクリと反応し、よろよろと立ち上がってきた。
しかし、ロビンマスクが期待していた変化がネプチューンマンに起こらずに、なぜなんだと怪訝そうに様子を見た。
「ロビンマスクよ、その通りさ。昔の俺ならあの力を使えたかもしれない。だがな、今の俺は悪に染まりすぎてしまった。俺が使いたくても使えないのさ。心の底から慈悲を思える相手がいねえんだ」
「ネプチューンマン……」
「だけどよロビン、俺は憎たらしい悪よりも、自分と異なる正義よりも受け入れたくないのが、俺様自身の敗北だ!! 勝って当たり前!! それが俺様ネプチューンマンだ――――――っ!!」
『ネプチューンマン! ランバージャッカーを持ち上げて空高くジャンプ! 空中からランバージャッカーをリングに放り投げた! このまま落ちればランバージャッカーは頭からリングに激突だ!』
「やっとその気になったか! でもおっさん、その左腕で高い威力の技を出せるのか?」
「左腕を負傷した俺でも十分に威力の高い技を出せる事を教えてやるぜ!」
ネプチューンマンは頭から落ちているランバージャッカーの足に、自分の足を乗せて、全体重をかけた。
「なんだこりゃ! 体に凄いGがかかるぜ!!」
テリーマンがその動きに反応を見せた。
「おお! あの技は!」
「ネプチューンキング! あなたの技を使わせていただく! メガトン・キング落とし!!」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ズ――――――ン
『決まった――――――っ! かつて、マシンガンズを苦戦させたネプチューンキングの技がランバージャッカーにさく裂した――――――っ!』
「ぐぐぐ……」
リングに頭から刺さったランバージャッカーをネプチューンマンは引っこ抜いた。
「すまなかったな、これが俺の本気だ。どんどん行くぜ!」
グサッ
『ネプチューンマン! 更に追撃をかける気だ! 自らのチョッキの突起部分にランバージャッカーの背中を突き刺した!』
ガシィ ガシィ グワッ
「ダブルレッグスープレックス!!」
ガ ガ ァ ン
「ガハァ!」
『ネプチューンマン! 自身の必殺技を惜しまずに繰り出しまくる! ランバージャッカー! KO寸前!!』
「最後はこれだ――――――っ!」
ネプチューンマンがランバージャッカーの体を固めていく。
「喧嘩スペシャル!!」
グワッキィ メキ グキ ゴキ
「あがぁ――――――っ!」
『ランバージャッカー! 苦しみの声をあげる! ネプチューンマン! 更にランバージャッカーの体を締め上げる!!』
ロビンマスクがネプチューンマンの技を見て解説を始めた。
「あの技で、ダイヤモンドの硬さを誇るケンダマンが葬られたことがある。ランバージャッカーのポテンシャルが高いとはいえ、ただではすまないだろう」
「くそう! どんだけ力を入れても抜け出せねえ――――――っ!」
「ランバージャッカー! これで終わりだ!!」
ボ キ ィ
「ガボハァ!」
ランバージャッカーは血反吐を吐いて倒れた。
カウントがすすめられたが、ハラボテがそれを止めて、両手をふった。
カ ン カ ン カ ン
『試合決着!! ネプチューンマン!! ランバージャッカーを喧嘩スペシャルで仕留めた――――――っ!』
試合の結果に観客は盛り上がり、ネプチューンマンコールが会場に響いた。
ランバージャッカーの体がほんのわずかに動き、意識を見せた。
しかし、その体は喧嘩スペシャルによってダメージを受けて満足に動かせない。
「なぜだ……なぜ殺さなかった……」
「ふん、殺すとか殺さないとか悪魔が勝手に言ってることだ。お前の首は俺が預かった。それで十分殺したことになる」
「けっ……俺を生かしてどうしようってんだ?」
「お前を一人前のファイターに育て上げる」
「? 何を言ってんだおっさん?」
「あるお人よしのヒーローからな、未来と命を託されたんだよ。こんなどうしようもないおっさんに、後進の指導をするようにってお願いしやがってな。だから、お前が嫌でも首根っこ捕まえて鍛えてやるぜ。こんな末恐ろしい超人を見逃すわけにはいかねえよ」
ネプチューンマンは過去の世界で、無様を晒して一度死んだ。
そんなネプチューンマンを命を賭して救ったカオスがいた。
悪魔と共に行動しながらも、カオスの言葉を忘れてはいなかった。
「あんがとよおっさん……いや、ネプチューンマンといった方がいいか。もしあんたと早く出会うようなことがあったら、俺はあんたについていっただろうぜ……でもな、今の主に反抗する行為はできねえぜ。それに、亡くなった仲間にも申し分が立たねえ……」
「ランバージャッカー……」
「俺は一足先に地獄に行く! また俺が生き返ったら相手してくれよ!」
「こう見えても俺は地獄の閻魔と顔見知りなんだぜ。なんなら口をきいてやってもいいさ」
「ガハハハハハ!! そんじゃま口を聞いて……くれよな」
ランバージャッカーは自分の胸に右腕を刺して超人強度の塊の球を取り出し、それを超人の神ミスターノアに向かって投げた。
ランバージャッカーは満足そうな笑顔をして息絶えた。
「もうちっと頑張らないとあの世にいったカオスに顔向けできんな、それに、ザ・マンにもだ。完璧超人たる俺が完璧の象徴をおおいに汚してしまったからな……」
ランバージャッカーの遺志を受け取ったミスターノアが追悼の意をささげた。
「ランバージャッカー、お前の死に報いようぞ……そしてネプチューンマンよ、流石ネプチューンキングの名を継ぐだけの事はあるな」
ネプチューンマンが思わぬ言葉に反応した。
「知っているのか! キングのことを!」
「ああよく知っているとも、かつてあの男と共に行動を共にしていたのだからな」
「なんだと!?」
ネプチューンマンは驚いた。
ネプチューンマン以外の超人達も同様に驚いていた。
「そう、ネプチューンキングもかつて、ザ・マン、私のように神の座を降りた神の一人なのだからな!!」
明かされたネプチューンキングの過去!!