「俺の命が報酬か、なめられたもんだぜ。ならば見せてやるぜ! 盗賊の技術をな!」
バンデットマンがボーン・コールドに向かったかと思うと空高く飛んだ。
そのまま内膝でボーン・コールドの首をとらえ、両手でボーン・コールドの両足をとらえた。
「盗技! 3Dクラッシュ!」
『なんと――――――っ! バンデットマンがボーン・コールドの必殺技3Dクラッシュを繰り出した――――――っ!』
「ぐっ! こいつ!」
「俺は盗賊だし、器用だ。だから人様の技を奪うなんてお茶の子さいさいさ!」
ミシ ミシ ミシ
『ボーン・コールドの腹部が裂け、血が吹きだしてきた――――――っ! まさかの秒殺負けとなるかボーン・コールド!!』
「なめているのはどっちだ! 最強のヒットマンと言われた俺を俺の技で殺そうなんて、甘いんじゃねえのか――――――っ!」
ボーン・コールドは体を後ろに体をそらすように力を入れ、バンデットマンごと体を回転させた。
バンデットマンの技のかかりが甘くなり、バンデットマンの体が宙に吹っ飛ばされた。
しかし、バンデットマンは宙で回転しながら、コーナーポストで直立を決めた。
「なるほど、自分の技の破り方もちゃんと分かっているってことか。しかし、それは逆におめえさんの首を絞めることになるんだぜ~!」
「ぐっ!」
キン骨マンもいつの間にか会場に到着してその様子を眺めていた。
「あの男、なかなか手強い!! 3Dクラッシュの破り方を出すことまで計算してボーン・コールドの技を使ったのか!! 技の破り方まで盗むとはまさに盗賊じゃ!」
バンデットマンの策略ぶりにキン骨マンが驚いていた。
「そろそろ話してもいいだろうよ。本来なら檻の中にいるおめえさんがしゃばに出ていることをよ。会場の奴らもそれについては気になっているとこだぜ」
「なぁに、簡単さ。悪魔のやつが唐突に俺の檻に来てな、殺して欲しいやつらがいると依頼が来たんだよ。金に関して聞いたら超人委員会にたんまりと払わせると聞いたからそれでOKした。一度は廃業したが、また殺しがやりたいって、うずうずしていたところだったんだ」
ボーン・コールドの発言にハラボテが青筋を立てて怒った。
「なんじゃと!? 悪魔!! 貴様勝手な事を言うではない!! わしの、いや、超人委員会の金を殺し屋を雇うために使うんではない!!」
「ゲギョゲギョゲギョ~とっくの昔に金はご~っそりと、超人委員会の金庫からいただいているんだぜ~~! 貴様が得た悪銭を世界の治安のために使うんだからな~ありがたく思え~~」
「お、おのれ~~!! これほど悪魔が憎いと思った日はないわい!!」
ハラボテが両の拳をテーブルにたたきつけて怒りを表した。
「ムヒョヒョヒョ、年をとっても金欲は衰えない。まさにキン欲マンだわさ」
そんなハラボテをキン骨マンがからかった。
「そういうことだ。万太郎と闘ったから言って、ハンゾウのように改心したなんて思わねえでくれよ!」
『ボーン・コールド! 宙へ高く飛び、肩のシュールを両脚に巻き付けた! この体勢はもしや――――――っ!』
「ナスティ・ギムレット――――――ッ!」
ギュルルルル
「右回転か、それなら、盗賊七つ道具の一つ! バンデット扇子!」
『バンデットマン! 頭に巻き付けているバンダナから扇子を取り出した! いったい何をする気だ―――――っ!』
「そうれい! そうれい!」
バンデットマンが扇子で渦を作るように左回転させた。
バンデットマンの腕から渦が発生した。
「そんな渦で俺のナスティ・ギムレットを破れ!?」
『あ――――――っ! ボーン・コールドのナスティ・ギムレットの回転の速度が遅くなっていく! どういうことだこれは――――――っ!』
「ナスティ・ギムレットとやら、恐ろしい技だ。でもな、回転しなけりゃあどうってことはない。右回転の動きを止めるに逆向きの左回転の動きをぶつけてやればいい」
「ぐっ! こんな方法で破られるとは!」
その様子を見てキン骨マンがあせりの表情を見せた。
「まずい、ボーン・コールドがすっかり相手のペースに乗ってしまっている。焦りからか、自身の得意技を早々に使いすぎておる!」
バンデットマンがバンダナから何かを取り出す動作を見せた。
「ではこっちも反撃といくぜ! 盗賊七つ道具の一つ! バンデットロープ!」
『バンデットマンまたも盗賊七つ道具を使った――――――っ! バンデットロープがボーン・コールドにらせん状に絡みついていく!』
「人様の体にロープを結びつけるとはあんましいい性癖をしてねえみてえだな」
「その減らず口をたたけないようにしてやるぜ! バンデットコマ回し!」
ギュルルル ズドン
『あ――――――っ! ボーン・コールドの体が駒のように頭部から落下勢いよく落下した!』
「ぐはぁっ!」
『ボーン・コールドダウン! 誰がこんな展開を予想したか! ノーリスペクトの一人として恐れられた男が今リングに倒れている!』
「けっ……こんな技で負けたら、俺は殺し屋をまた廃業しなきゃいけねえぜ!
『ボーン・コールド立ち上がった! しかしまだダメージはある模様だ!』
「おれには、まだこれがある! シューティング・アロー!」
ボーン・コールドの左目についた赤いレンズが、照準をバンデットマンの心臓に合わせた
ピピピ ドォゴォォォ
『ボーン・コールド! 伝家の宝刀シューティング・アローをバンデットマンにめがけて発射! バンデットマン危うし!』
「盗賊七つ道具の一つ! バンデットグローブ!」
ガシィ
「な、なに~!?」
『なんと! バンデットマン! 手でいとも簡単にシューティング・アローを受け止めた――――――っ!!』
「こいつはなんでも普通につかめるグローブだ。こんななまくらナイフ、こうしてやるぜ!」
パキィ
バンデットマンはシューティング・アローのナイフをへし折った。
「お、おれのシューティング・アローが!?」
「どうだい今の気持ちは? 自分の必殺技をことごとく破られたお気持ちは? もはやおめえさんは手詰まりに近い状態、何をすればいいのか分からんだろう?」
「くっ、とんでもない依頼を引き受けちまったもんだぜ……」
その様子を心配そうに見ているキン骨マンがいた。
「ボ、ボーン・コールド……」
「なにをやっているんだキン骨マン! お前にしかできぬ仕事があるであろう!」
突如、大きなだみ声が聞こえてきた。
そこにはよく皆が知る豚鼻のマスクマンの男が、一族伝統のスタイルで立っていた。
「お、お前は、キン肉マン!?」
待っていたぞ! 俺達のヒーロー
キ ン 肉 マ ン ! !