『決まった――――――っ!! ボーン・コールド劣勢ではやダメかと思われましたが、見事な逆転勝ちを収めました!!』
キン肉マンがボーン・コールドの必殺技を目の当たりにして驚きの反応を見せた。
「あ、あの技は、3Dクラッシュに万太郎のマッスル・ミレニアムを組み合わせたものだ! 万太郎の技よりも難易度はより高く、威力も上がったものとなっておる! 次に万太郎が戦ったらどうなるか分からんな……」
ロビンマスクがキン肉マンの言葉に反応を見せる。
「しかしお前の息子の技の影響なのか、完全に相手の命を奪う技とはなっていないようだな。殺意に満ちたボーン・コールドの技に慈悲の心が宿ったようだな」
キン骨マンは喜びの顔を見せていた。
「よくぞ勝ってくれたボーン・コールド! 悪ぶってはいたが、なんだかんだ万太郎との試合で良い影響を受けていたようじゃ!」
バンデットマンが重傷の状態ながらもなんとか体を動かそうとしていた。
「ちっ……負けちまったか……俺も泣き虫坊主や交通標識達と同じとこいきか……」
「そうだな、お前は俺に殺されるのだからな」
ボーン・コールドはバンデットマンのバンデットナイフを奪い、シューティングアローにセットした。キン骨マンが驚愕の表情を見せる。
「なに!? そこまでやるなボーン・コールド!!」
「報酬を貰うからにはちゃんと仕事をしないとな」
ボーン・コールドの顔が邪悪に満ちた笑い顔と化した。
「さ、最後の盗賊七つ道具……バンデットポイズン!」
バンデットマンはカプセルを取り出し、それを飲んだ。
「この期に及んで、悪あがきか? もう勝負はついているんだぞ」
「キエハァ!!」
「!?」
ボーン・コールドが突然血反吐を吐いた。冷や汗もかき、より苦しそうな表情となっている。
「こ……こいつは毒薬だ。盗賊が命を盗まれるなんてな・・・・・・俺の盗賊としての誇りが許さねえ! 俺の命を失ってでも、てめぇの殺し屋としての仕事を失敗させてやるさ!!」
「・・・・・・バンデットマン、俺は殺し屋という仕事柄、今まで死んでいく命に敬意なんざ表したことはない。今日が初めて敬意を表す時かもしれんな・・・・・・」
「・・・・・・嬉しいじゃねえかこの野郎・・・・・・」
「一つ聞きたかった事がある。お前は何故老人ホームの老人を狙ったのだ?」
「そんなことか・・・・・・昔話をしよう・・・・・・俺の親父は盗賊でもあり師匠でもあった・・・・・・。いつからかボケ老人になり、ある日・・・・・・俺の母親と兄弟を殺していた! だから俺はボケた親父を殺した! 父親とか師匠とか関係なしに・・・・・・老害になる前に殺すべきだった・・・・・・そう思っていた。しかし、この試合の勝敗を分けたのは、父親を殺したか殺さなかったかの差だったな・・・・・・」
「バ、バンデットマン・・・・・・」
「クソみてぇな人生、クソみてぇな最期だったが……お前さんと闘えたことだけは良かった……」
バンデットマンは寂しそうな笑みを浮かべながら息絶えた。親父というワードにミンチを殺したときの記憶、キン骨マンに殺しを依頼されたときの記憶がよみがえった。ボーン・コールドはタバコを口に加えて、一服し始めた。ボーン・コールドがそのままリングを降りると、真っ先にキン骨マンが泣きながら抱きついてきた。
「うぉぉおおん!! よくぞ生きてリングを降りてきたもんじゃ!!」
「お、親父! 離せ!! 恥ずかしいじゃねえか!!」
ボーン・コールドは顔を真っ赤にしてキン骨マンをふりほどこうとしていた。その様子を周りが微笑ましそうに見ていた。キン骨マンが落ち着いた頃、ボーン・コールドが気になっていたことを話した。
「親父、試合中に言っていた俺のお袋についてなんだが」
「そうじゃ、まだ言っておらんかったな。ボーン・コールド、お前の母さんの名前はオメガ・イクサンニ。つまりオメガマン兄弟の姉にあたる存在なのじゃ」
驚きの反応を示したのはスグルであった。
「オメガマン!? かつて私達が戦ってきたあの兄弟か!!」
「そうじゃ、かつてオメガの民が地球に住んでいた頃に、オメガマンの父親にあたる男が地球の女と恋をして、子供が産まれたのじゃ。その子がオメガ・イクサンニ、わしの妻だった人なのじゃ」
ここでテリーマンが博学を見せた。
「イクサンニ、ギリシャ語でいう部外者のことだな」
「そう、彼女の母は当時オメガの民とは対する勢力の者であった。父親がいる内は良かったが、父親が亡くなってからは彼女は忌み嫌われる存在となり、オメガの星を出ることとなった。そして、わしも何を隠そう、シャレコウベ星から来たと言っていたが、実はオメガの民として地球を侵略しに来たのじゃ!」
ボーン・コールドが驚いた。
「なに!? 親父もなのか!?」
「地球侵略といっても、わしは弱く、戦力外通告をされていた。それが悔しくてわしは皆を見返してやろうと、地球を攻めたのじゃ。そして、同時期にお前の母さんも一族から追放されたのだ。互いに、オメガの民の一族から外れた存在であり、すぐに相思相愛になった。そして、産まれたのが」
「俺って訳か。ただのさえない骨男の親父の元に産まれたと思ったが、かなり血筋が良くて驚いたぜ」
「というより母さんの血が良かったようじゃ。わしの血じゃお前さんがそこまでポテンシャルの高い超人にならんかったじゃろう。オメガの民の印として、お前の左肩に載っている指がなによりの証拠じゃ」
そう言われて、ボーンコールドは自分の左肩を見た。
「母さんは元気にしているかのう、当時すまないことをしたと思っている。できればあの時のことを謝りたい……」
「キン骨マンよ」
突然の言葉、その主は超人の神ミスターノアだった。
「お前の妻の行方は分からんが、お前にとって義母にあたるものは今も元気でやっておる」
「なんじゃと!?」
世界浄化者の中で、まだ正体を明かしていない超人が正体を現した。犬のような耳を生やし、若い女性に見える見た目をしていた。
「我が名はアヌビ・クレア。私も他のメンバーと同様に、邪悪なる人間を滅ぼす者である」
新たな波乱まき起こる!?
1ヶ月間休載とさせていただきます。
代わりの別小説を短期連載しますので、よろしくおねがいします。