キン肉マンⅡ世~転生超人襲来編~   作:やきたまご

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またも現れたすごそうな奴!!


リングの迷い犬の巻

 会場の皆が、ここまで正体を隠していた超人アヌビ・クレアに注目した。キン骨マンの義母にあたり、ボーン・コールドの祖母にあたる彼女がいかなる力を持つ超人かをほとんどの人が考えていた。

 

「一応言っておくけど、私は平和主義者よ。まず、戦うことはないものと思って貰って良いわ。でも、ミスターノアの命令次第では私も戦うかもしれないけどね……」

 

 彼女が不気味な笑みを浮かべた。キン骨マンが恐れながら、アヌビ・クレアに話しかけた。

 

「義母様、申し訳ありませんでした。あなた様の子供にあたる方に酷い仕打ちをしてしまい、なんとお詫び申し上げれば……」

 

「気にするな、それよりもまだ残っている二試合の方を気にした方がいいのではないのか? 特に、疑問点の多いお二人さんの試合なんかね」

 

 アヌビ・クレアの言葉で皆の注目がある試合へと集まった。ヒカルドVSブロッケンJrのリングである。ヒカルドはブロッケンJrの右腕に腕ひしぎ十字を決めていた。

 

「フィギュ~、まずはベルリンの赤い雨を封じさせて貰おうか~!」

 

メキメキ

 

 ブロッケンJrの腕から嫌な音が聞こえてくる。

 

『流石はヒカルド! 関節技アーティストと呼ばれるだけあります! あの伝説超人(レジェンド)のブロッケンJrをマットに寝かせています!」

 

 ブロッケンJrは腕ひしぎ十字の状態から、右手でヒカルドの手を握りつぶそうとする。

 

「フィギュ!?」

 

「どうだい俺の握力は?」

 

グギグギ

 

 ヒカルドの手が許容範囲以上の変形をはじめる。

 

「フィギャッ!!」

 

 手に伝わる圧力と苦痛で、ヒカルドの腕ひしぎ十字のかかりが甘くなり、ブロッケンJrは技からの脱出に成功した。両者スタンディングの体勢となった。

 

「そろそろ教えてくれよヒカルド、お前は何故悪魔(サタン)と一緒にいるんだ?」

 

「ふん、俺が悪魔(サタン)といる理由は特にはない。いや、むしろお前がこの場にいる理由を一番聞きたいもんだ。そう思っているのは俺だけではないはずだ」

 

「かわりに私が答えてやろう」

 

 その発言をしたのはミスターノアだった。

 

「ブロッケンJrも転生超人の一人であり、私が仲間にならないかと勧誘したのだ。丁重なお断りを食らったが、ちょうどこやつは弟子を巣立ちさせ、何をやればいいのか分からぬ状態となり、酒に飲んだくれていた。ならば、こやつに今後どうすれば良いのかという答えを出せるように、今回の闘いに参戦させることにした。流石に老体かつ隻腕のまま戦わせるのは不味いと思い、アヌビ・クレアの力でブロッケンJrを隻腕でなかった頃まで体を若返らせたのだ」

 

 会場の人たちの注目がアヌビ・クレアに集まった。ブロッケンJrはいらついた態度を見せる。

 

「ちっ、ぺちゃくちゃと喋らなくても良いことを喋りやがって! そうさ! 俺は弟子のジェイドがいなくなってから、何をすればいいのか分からなかった! 俺は自分が思っている以上にバカさ! バカな分、闘いにしか能がねえ! だからこそ闘う事で今後俺がどうすれば良いか答えを出せると思った! とはいえ、しばらくは正体を表さずに様子見しようと思っていたが、闘いたいと思っていた相手が目の前にいた! ヒカルド! 弟子を可愛がってくれた分、たっぷり礼をしてやるぜ」

 

 ブロッケンJrの発言を受けて、ヒカルドは不適な笑みを浮かべている。

 

「ゲギョゲギョ、なるほど奇遇だな。そこにいるヒカルドも似たような感じだ」

 

 ヒカルドが悪魔(サタン)の言葉に反応する。

 

「おい悪魔(サタン)! 話す必要はねえ!」

 

「どうせ、話さねばしつこく聞かれる事だ。いいだろう?」

 

「ちぃっ! 好きにしろ!」

 

「こいつは一人で山奥にこもって修行していたのだ。悪魔超人としてか正義超人として生きるか悩みながらな。そこで俺が、一度正義超人として戦ったなら、悪魔超人として戦ってみるのもありだろう?と。そう、誘いをかけたのだ」

 

「……そうだな、超人オリンピックで俺が負けた理由をあげるとすれば、正義にもなりきれず、悪魔にもなりきれず、不確定な俺自身がいたからだ。どうせ俺は悪行超人出身! ならば正義の心など捨てて、今度こそ悪魔超人として闘いきってやる!!」

 

「じゃあ俺も親父仕込みの残虐ファイトでお相手させて貰うか」

 

「ブロッケンJr、俺はお前も気にくわねえし、弟子のジェイドも同様に気にくわねえ。分かるか?」

 

「……ジェイドと闘った時のことか?」

 

「そうとも、俺が迷い苦しむきっかけを作ったのはおまえらだ! 正義超人として闘っていたが、悪行超人出身と聞いてお前は真っ先に偏見的な目で俺を見た。師匠が師匠なら弟子も弟子だ。親に花を手向けられないのがどうこういってたが、生みの親より育ての親だ! あいつが元々孤児とはいえ、あの発言は納得しかねる! 俺にとって親といえる存在はないが、近い存在がバシャンゴ師匠だった!! 最終的にはバシャンゴ師匠にも偏見的な目を向けられ、殺し合いをしてしまったが……、今でもバシャンゴ師匠の教えは守っているぜ!」

 

『ヒカルド! ブロッケンJrに向かっていく! 飛びついて三角絞めの体勢に、やや! さらに右腕にアームロックまでかけ、この技はもしやっ!!』

 

「アラーニャクラッチ!!」

 

メキメキクキクキクキ

 

『これは、ヒカルドがジェイドとの闘いで出した関節技です! 会場内にブロッケンJrの右腕の骨がきしむ音! 頸動脈が絞まる音! いや~な音が聞こえてくる!!』

 

 ブロッケンJrは苦しい表情を浮かべ、叫ぶ。

 

「ぐおおお!! これが、ジェイドが味わった苦しみか!!」

 

「てめえが俺に復讐の炎を燃やしているように! 俺もお前に復讐の炎を燃やしているんだぜ――――――っ!」

 

ザシュ

 

『ヒカルド! 技にかけられた状態で更にブロッケンJrの右腕に噛みついた!』

 

 より苦痛を増したはずのブロッケンJrが技をかけられながら、笑っている。

 

「これだぜ、これ。久々にリングで闘っている気がしてきたぜ。痛いし、苦しいんだが、それが妙に心地良い」

 

「何を変態じみたことをいってやがる! 俺にはその趣味はないぜ!」

 

ガシッ

 

『ブロッケンJr! ヒカルドの顔面をハンドクローでとらえた! そのまま力任せに上体を起こしていく!」

 

「フィギュ~!!」

 

「最初はてめえへの憎しみや復讐で闘っていたが、気持ちがよくねえや。やっぱ俺は、試合を楽しくやる方が良いぜ――――――っ!」

 

『ブロッケンJr! ヒカルドの顔面を掴んだ上体で、上空へ飛び上がった。そのままヒカルドの顔面を掴んだ上体で落下! ヒカルドの頭をリングに叩き付けるつもりか! いや、真下にはコーナーポストの鉄柱があるぞ!』

 

ガゴン

 

「ゾーリンゲンの鈍色刃!!」

 

「フィギャー!!」




二匹の迷い犬のたどり着く先は何処なるか!!
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