キン肉マンⅡ世~転生超人襲来編~   作:やきたまご

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光と闇の関節技芸術者(サブミッションアーティスト)!!


地獄への誘いの巻

『あ――――――っ! ヒカルドの体が金色に輝いた! これは新世代超人(ニュージェネレーション)の闘いでも見られた光景だ――――――っ!』

 

 ヒカルドの体が金色に輝き、先ほどまでの弱々しい姿はどこかへいったような状態だ。

 

「先ほどの発言を撤回させてもらうぜ。俺にも仲間と呼べる者達がいた」

 

 ブロッケンJrがにやりと笑みを浮かべた。

 

「とうとうその力を出したか。それじゃあこっちも撤回しなきゃいけねえ考えが出てくるな。超人オリンピックの時に、俺はお前を根っからの悪行超人と思っていた。今のお前は目つきこそ悪者そのものだが、正義の魂を分かった漢の眼をしている」

 

「ふん、意外だな。てめえからそんな言葉が出てくるとはな」

 

「ああ、間違った考えを間違ったままにしときたくねえからな」

 

「それじゃあ、正義超人としての俺の力を見せてやるぜ!!」

 

 ヒカルドはブロッケンJrへタックルをしかけた。

 

(さっきよりも動きが速い!?)

 

 ヒカルドの予想以上に速い動きに、ブロッケンJrはタックルをきれなかった。ヒカルドはブロッケンJrの脚を関節技に決めていく。

 

『ヒカルド! アキレス腱固めでブロッケンJrを攻める!』

 

「俺は正義超人だが甘い事は考えねえ! 容赦なくいく! てめえのアキレス腱をいかれさせる気でいくぜ! もっとも、お前が泣いてギブアップするならこの技を解くことを考えてもいいがな」

 

 ブロッケンJrは苦痛の表情を浮かべるが余裕の笑みを見せる。

 

「くくく、上手く決まっているじゃねえか。なるほど、自慢の弟子が敗れた理由が段々と分かってきたぜ。ジェイドには教えなかったが、この技も教えるべきだったな」

 

 ヒカルドはブロッケンJrの体に違和感を感じ、技を解いた方が良いと直感的に察した。

 

「遅かったようだな! くらえ! 順逆自在の術!」

 

 ヒカルド、ブロッケンJrの体が一瞬消え、すぐに現れた。しかし、その体勢はまるでちがうものとなっていた。

 

「なんと――――――っ! アキレス腱固めをかけていたはずのヒカルドが逆にブロッケンJrにアキレス腱固めをかけられている!

 

 実況者の脇からアデランスの中野さんが現れた。

 

「この技はザ・ニンジャが得意としていた技ですね~。過去にブロッケンJrもこの技を見よう見まねで真似した事もあります」

 

 突然技が入れ替えられ、ヒカルドは驚きの表情を隠せない。

 

「フィギュ!? 一体どうなっちまったってんだ?」

 

「俺がよく知っている悪魔超人の技さ。驚いたろ?」

 

「正義超人であるお前が悪魔超人の技とはな、意外や意外だぜ」

 

「お前も似たようなものだろ。元は悪行超人とはいえ、正義超人の技の良さを素直に受け入れお前は強くなった。対して、ジェイドは純粋すぎて頑固な男だ。だからお前みたいな邪道な男は気にくわず受け入れず、俺みたいに悪魔超人の技を良しとしない。それがジェイドが善戦超人止まりの理由でもあり、お前に負けた理由でもあった」

 

「かつては自分の弟子だったっていうのにぼろくそ言うじゃねーか」

 

「そうだな、未だに俺はやつを弟子と思っている。俺がジェイドを未熟なまま巣立たせてしまったからな」

 

「それじゃあこの闘いが終わったら、やつをまたしごき直すってことかい?」

 

「そういうことだ」

 

「ブロッケンJr、残念だがてめえをこのリングから五体満足で逃がすわけにはいかねえぜ!」

 

 ヒカルドはピラニアン・ブレスの鎖をブロッケンJrの首に巻き付けて引っ張った。ブロッケンJrの技のフックが甘くなり、ヒカルドはブロッケンJrの顔面に蹴りを入れて脱出した。すかさずヒカルドはブロッケンJrをジャイアントスイングの体勢にとらえた。

 

『お――――――っと! ヒカルド! ブロッケンJrをジャイアントスイングに回転させる――――――っ!』

 

ミスミスミスミスミス

 

 ヒカルドはブロッケンJrを回転させながらブリッジの体勢をとった。

『お―――――っ! ブリッジの体勢をしたヒカルドの上でブロッケンJrがコマのように大回転だ――――――っ!』

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

『そのままブロッケンJrが回転しながら上昇していった!』

 

「これで終わりじゃねえ!」

 

グイ バウ

 

『ヒカルド! キャンバスをリバウンドさせて空中に舞い上がった――――――っ! その先にはブロッケンJrがいる!』 

 

「ボイリングエルボー!」

 

ガコォ

 

「ガハァ!」

 

『ヒカルドの鋭いエルボーがブロッケンJrの背中にヒット! ブロッケンJrそのままリングに落ちてたまらずダウン!』

 

「なかなか……いい技じゃねえか!」

 

『ブロッケンJr負けじと立ち上がってきた―――――っ!』

 

「今度はこっちの番だ! 森の木の葉の如くに体軽やかに」

 

 ブロッケンJrは鉄柱方向へ飛び、右肩から着地する。

 

ギュル ギュル ギュル

 

「隻腕軸としコマのごとくに体旋転すれば竜巻の如くに飛び出すこと縦横無尽!」

 

『ブロッケンJr! コーナーの鉄柱に右肩を乗っけて大回転! そまま左脚を大きく曲げて空中へ上昇した―――――っ!』

 

「なんだこのわけのわからねえ動きは!?」

 

「このとき左手右脚をもって左脚をしならせおうしんすれば左脚鋼鉄の鎌となる!」

 

シャキィ

 

『ブロッケンJrの左脚が炎をまとい巨大な鎌へと変化! そのままヒカルドへ回転しながら突っ込んでいく!』」

 

「ピラニアン・ブレス!」

 

『ヒカルド! ピラニアン・ブレスを鉄柱に引っかけて引っこ抜いた! そのまま自分の手元へ寄せていく!」

 

「敵の懐に深く入り肉斬り骨を断つ――――――っ!」

 

ザギャ スパァ

 

「フィギャ――――――ッ!!」

 

ブシャー

 

『決まった―――――っ! ヒカルドの持っていた鉄柱ごとヒカルドの体が一刀両断された―――――っ! 血の雨がリングに大量に降り注いでいく―――――っ!! ヒカルドダウン!』

 

「鉄柱でガードした分少し威力は半減したが、起き上がるのは難しいダメージを負っただろう……」

 

 ヒカルドは苦痛の表情を浮かべ、動けない。

 

(ぐぅぅ、苦痛で体が動かねえ……なんだ、誰かが俺の体を起こそうとしている)

 

 ヒカルドは自分の体を起こそうとする人物の姿を見て驚いた。かつて、自分が惨殺したバシャンゴの姿があったからだ。ヒカルドは目の前に突然現れた師匠の姿を見て、拒絶の態度をとった。

 

(バシャンゴ師匠!? そうか、俺を怨んで地獄へ送ろうと現れやがったな!! )

 

(待て息子よ、そう急くな)

 

 ヒカルドに別の声が聞こえてきた。その声の主は誰かとみると、ヒカルドの両親がいた。




地獄より産みの親と育ての親が御迎えに参る

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