キン肉マンⅡ世~転生超人襲来編~   作:やきたまご

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亡き親の現れた理由とはいかに!?


一人血盟軍!!の巻

(親父、お袋!? そうか、てめえらまで俺を地獄に誘いに来たのか!)

 

(待つのじゃ!)

 

 バシャンゴが強い言葉でヒカルドの暴走する心を制止した。

 

(お前は確かに地獄に落ちるべき邪悪な男じゃ。未だに私の全てを伝授したのをあの世で後悔しておるわい。だがなヒカルドよ、お前はわしが一番愛した弟子でもあり、わしを倒した唯一の弟子でもある! お前が無様に負けることはわしが許さん! 痛みで苦しかろうとまた起こしてやるわい!)

 

(バ、バシャンゴ師匠……)

 

(ふん、正義超人らしくなっちゃって! 恥ずべき息子を持ったもんだわ!)

 

(まあまあ母さん。そう言いつつ、こうやってヒカルドを心配してあの世から来ているじゃないか)

 

(お、親父……)

 

(ヒカルド、俺はお前が最強の超人になってくれればそれで良い。根っからの悪であるパパには得られなかった力が今のお前にはある。がんばれ息子よ)

 

 ヒカルドの父の顔に優しい笑みがあった。

 

(父君、母君よ、こやつが強い事はわしが証明する。実際に組み合ってきたわしが言うんだからな)

 

 バシャンゴもまた優しく笑っている。

 対しヒカルドの母がむくれていた。

 

(今回は悪行超人らしい手段を問わない闘い方とし特別に見逃すけど、次からはより悪行超人らしく闘いなさい! いいわね!)

 

(母者……)

 

(最後にリングに立っているのがお前であることを、私達含め五人が信じているぞ……)

 

 ヒカルドの父がそう言うと、三人の姿は消えた。ヒカルドの耳に、かすかに自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「……ルドさぁ……ヒカル……ヒカルドさぁん!」

 

 ヒカルドの意識は目覚めた。カウントダウンの途中であり、ヒカルドの取り巻きであった二人のブラジルの超人がヒカルドに激励のエールを送っていた。

 

「そうか……万太郎が俺との闘いでしつこく立ち上がってきた理由が……分かってきたぜ!!」

 

カアァ

 

『あ――――――っ! もはやKOされたと思われたヒカルドが立ち上がり、さらに体からより一層輝かしい光を放った――――――っ!』

 

 この状況にブロッケンJrも驚きを隠せなかった。

 

「まさか!? ブロッケンの帰還を食らって立ち上がるとは!!」

 

「分かった気がするぜ! なぜ伝説超人達が強敵相手に屈せぬかったかをな!」

 

 ヒカルドがブロッケンJrにパンチのラッシュをかけた。その攻撃は予想以上に速く、重く、ブロッケンJrに徐々にダメージがたまっていく。

 

「大した男だぜ。できればお前にこの試合勝たせてやりてえけどな、ここで俺が負けたら、俺が尊敬してきた男達に申し分が立たなくなっちまう!」

 

 ブロッケンJrの体も金色に発光をはじめた。ヒカルドの素早いパンチの連打を難なくかわしていく。

 

「フィギュ!? 突然パンチを見切られちまった!!」

 

「かつて六本の腕の男を相手にスパーリングをしてきた! それに比べれば、こんなの避けるのは容易いこった!」

 

 試合会場とは別の場所で試合を見ているアシュラマンの口元に笑みが浮かんだ。

 

「あいつめ……」

 

 ヒカルドはパンチのフェイントをいれ、ブロッケンJrにスキを作った。

 

「てめえの肉にこいつを深く刺してやるぜ!」

 

 ヒカルドはブロッケンJrに自身の牙で噛みつこうとした。しかし、ブロッケンJrは両手で牙をぴたりと止めた。

 

「ぐっ! 動かねえ!」

 

「かつて、1000万パワーの男のスパーリングで二本角の突進をうけてきた!」

 

ドゴォ

 

「ハンブルグの黒い霧!」

 

 ヒカルドは顔面に強烈な蹴りを食らい、よろついた。その様子をバッファローマンが嬉しそうに見ている。

 しかし、ヒカルドは即座にブロッケンJrの両の脚を掴んだ。

 

「不思議だぜ、こんだけやられてもまだまだ闘える気がする!」

 

『ヒカルド! ブロッケンJrの両の脚をとり、空中高く飛んだ! 空中でなにやら関節技らしき技にもっていくようです! あ――――――っ! これは!』

 

「俺の全力をもってこの技を放つ! トーチャスラッシュ―――――――ッ!!」

 

 トーチャスラッシュの体勢で両者勢いよくリングに落下していく。

 

「オリンピックの時よりも良い技になっているじゃないか。このままKOされてしまいそうなぐらいだ」

 

「フィギュフィギュ、今からでも遅くねえ。誰かにタオルを投げさせればこの技を解いてやるぜ!」

 

 ヒカルドとブロッケンJrはかつて、超人オリンピックでのタオル投入絡みのエピソードを思い出した。

 

「タオルなんざいらねえ! 俺はな、相手の技にギブアップせずに耐え忍ぶガッツも教えて貰ってんだよ!! できればそいつもジェイドに教えてやるべきだった!!」

 

 ブロッケンJrは、今は亡きザ・ニンジャを思い出しながら、全身に力を入れていく。

 

『あ――――――っ!! ブロッケンJr! 力尽くでトーチャスラッシュを外した! そして空中でなにやら別の技の体勢に固めていくぞ――――――っ!!』

 

「そして、俺の良いところも教えて貰った! みずからに課した仕事は絶対に遂行する事だ――――――っ!!」

 

「あ、あの技は!」

 

 試合を観戦しているキン肉アタル、ザ・ニンジャの亡霊が反応を示した。

 

「ブレーメンサンセット―――――ッ!」

 

ズガァン

 

 ブレーメンサンセットの威力により、リング中央部が大きくへこむように変形した。ブロッケンJrが技をほどくと、ヒカルドは大の字に倒れた。

 

カン カン カン カン

 

『因縁の対決ついに決着!! ブロッケンJrがヒカルドに勝利しました!! 師匠として弟子の敵をとる事に成功しました!!』

 

「フィ……フィギュ……」

 

 大の字に倒れているヒカルドが声を出した。

 

「お、俺はまだくたばちゃあいねえぜ……」

 

 ブロッケンJrは驚くこともなく、冷静な態度を保った。

 

「お前がアイアンネックという事を忘れてはいない。大ダメージは負ったと思うが、死ぬほどの事でもないだろ?」

 

「そういうこった……」

 

「さて、俺は勢力の関係上刃向かう奴には死か、超人としての力を奪うかを命令されている」

 

 ブロッケンJrが転生石を取り出し、ヒカルドに向けた。

 

「と言っても、お前が無様を晒して命乞いをするような男には見えねえけどな」

 

「その通りだ、遠慮なく殺れ……と言いたいが、俺は無様を晒してでも生きなきゃいけない理由を見つけた」

 

 ヒカルドがよろよろと立ち上がってきた。

 

「ほう、それはなんだ?」

 

「俺はこの試合を通して決意した……もう一つの正義超人の団体を立ち上げる! 俺みたいなアウトローな正義超人達を救うための集まりをな! まず立ち上げのメンバーとしてそこにいる二人は確定した!」

 

 ヒカルドは自分を応援してくれたブラジルの超人二人を指さした。

 

「ヒカルドさん!」

 

 二人は喜ばしそうな顔をしている。

 

「例え人間になってでも、俺と同じ思いをしているやつらがいっぱい世の中にいるとなりゃあ、恥をさらしてでも生きるぜ!」

 

 ブロッケンJrがその言葉を聞いてにやりと笑った。

 

「安心したぜ」

 

バキィ

 

 ブロッケンJrがそう言うと、持っていた転生石を持ち前の握力で破壊した。




頭がおかしくなったかレーラァ!?

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