キン肉マンⅡ世~転生超人襲来編~   作:やきたまご

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昔はよく特訓で石を破壊したからな


圧巻の電撃男!!の巻

『ブロッケンJr! 超人を人間に変える転生石を握力で粉砕した!』

 

 現在闘っているライトマン、ミスターノア、アヌビ・クレアは様子を変えずに冷静に見ていた。

 

「どういうつもりだ? お前の大将さんからもらった大事なもんじゃないのか?」

 

 ヒカルドがブロッケンJrに質問した。

 

「俺は若返らせてもらった借りを返すために闘っただけだ。この一戦が終わったら、さえない中年のおっさんに戻る予定だったのさ。それにお前はお前でやることがあるんだろ? それにサタンがよ、お前が正義超人になるなんて発言を見逃すとは思えないぜ」

 

 二人はサタンの方を見た。

 

「ゲギョゲギョ、はなっからヒカルドのことは信用してはいなかった。いや、それはネプチューンマンやボーン・コールドにも言えたことか」

 

 ネプチューンマンやボーン・コールドは特に動じる様子もなく、冷静さを保っている。

 

「そもそも寄せ集めの四人に俺が何を期待するというのか? まあ、今闘っているボルトマンに関しては貴様らよりはある意味信頼しているがな」

 

 ボルトマンは対戦相手のライトマン相手に優位に試合を進めている状態である。

 

「転生超人側の勢力を弱くすればお前らにこれ以上は望まない。あとはどこぞへ行ってもかまわん」

 

 ヒカルドがサタンを見ながら、にやりと笑った。

 

「サタンにしては尊大な処置だな。ならば遠慮なく好きにさせてもらうぜ。ところで、ブロッケンJrよ。お前はお前で敵対行動をとった。自分をの心配をしていた方がいいんじゃないか?」

 

 ヒカルドがそう言うと、アヌビ・クレアが飛んできた。

 

「残念ね。そういうつもりならいつまでも若くしておくわけにはいかないわ。あなたを惨めな隻腕のおじさんに戻すのは少々気が進まないけど、ミスターノアの命令は絶対だから」

 

「好きにしな、若作りのおばあちゃん」

 

 アヌビ・クレアが手をかざすとブロッケンJrがなにかを吸い取られていく様子が見えた。やがてブロッケンJrの顔は中年の顔となり、腕も隻腕となり、その場に倒れた。すぐにバッファローマンがリングに上がった。

 

「大丈夫かブロッケンJr!!」

 

「ちょっと元気がなくなっただけさ……少し寝てりゃあ治る……俺の試合はどうだったよバッファローマン」

 

「ああ! 強かったぜ! 全盛期以上に強かった!」

 

「そ、そうか……」

 

「教えてくれブロッケンJr。何故一時的とはいえ、なぜ転生超人側についた」

 

「そんなことか。あいつらは力尽くで俺を誘拐し、束縛していた。なぜあいつらが俺を誘拐したか、それはブロッケンの祖先が関係していた」

 

「ブロッケンの祖先?」

 

「ブロッケンの祖先は極悪なる超人の集団であり、昔俺達が闘った完璧超人始祖達の目に余る存在だった。完璧超人始祖がブロッケン一族を襲来し、滅亡の危機であった。しかし、そこへミスターノアがブロッケン一族の中の善良な超人にのみ救済をはかった。ブロッケン一族の一部の超人を人間に変えたのだ」

 

「ちょっと待て、それが事実ならば、お前が超人である理由が説明がつかない」

 

「この髑髏(どくろ)の紋章さ。人間である代わりに完璧始祖達に見逃して貰ったブロッケン一族の残りのやつらは、ミスターノアにこの髑髏の紋章を授かった。転生石の派生だろうな、こいつをつけると超人になれるんだ。これが先祖代々伝わり、今は俺とジェイドが持っているだけさ」

 

「そうだったのか、お前の祖先にそんな過去が……」

 

「正直そんなことはどうだっていいのさ。一時的とは言え、仲間に心配をかけてすまなかった。いや、むしろボコボコにしてもらわねえと気がすまねえ!」

 

「分かった。今はお前が元気になることだけを優先しろ」

 

「そうか、ありがてえぜ。じゃあちょいと寝させて貰うぜ……」

 

 ブロッケンJrは疲れた子供の様に眠りについた。超人委員会が用意した救急隊員によりブロッケンJrは病院に運ばれた。救急隊員はサタン側の超人にも声をかけた。

 

「ネプチューンマン、ボーン・コールド、ヒカルド! お前らも決して軽い傷ではない。病院へ行くんだ!」

 

「うるせー、俺を隻腕の老いぼれといっしょにすんじゃねえ。まだまだ闘える力はあるぜ」

 

「ムヒョヒョ、俺も同じくだ」

 

「右に同じだ」

 

 三人とも、治療を受けようとする気配はなかった。今後を見届ける意思があるのか、その場に残っていた。

 ここまで口を閉ざしていたジェロニモが口を開いた。

 

「ミスターノア。おらも正直に言わせて貰う。おらはあんたを止めるために若返りの道を選んだ」

 

 その言葉を聞いて、アヌビ・クレアが瞬時に飛んできた。

 

「正直すぎるのも良くないってもんよ。せめて直前まで自分の意思は隠さないとね」

 

「待て、アヌビ・クレア。聞かせろ、ジェロニモ」

 

「ボルトマンの試合が終わった後でいい。あんたと闘いたい」

 

「いいだろう。お前とは闘ってしかわかり合えぬと思っていた」

 

 その様子を呆れながらアヌビ・クレアは見ていた。

 

「お人好し過ぎるわね、うちの大将さんは。だからこそ私や亡くなった仲間がついていく気になったんだけどね」

 

 超人委員会もその様子をただ黙って見てはいなかった。ハラボテが役員をこき使っている。

 

「至急ジェロニモとミスターノアの試合を準備じゃ! 段取りを急げ!」

 

 

 一方、ボルトマンVSライトマンのリングにおいて、ライトマンが怒りの表情を見せていた。

 

世界浄化者(ワールドクリーナー)の戦士はミーしかいない状態となったか! ならばこの試合絶対ウィナーにならなければ!」

 

ドゴ バシィ ズバン メキィ

 

『ライトマン! 目にもとまらぬ連打をボルトマンに浴びせていく! 無数の打撃がボルトマンを襲う!』

 

「誰を相手にその台詞言ってんだ?」

 

ボゴォ

 

『ボルトマン! ライトマンの打撃をものともせずにラリアット一発でリング場外へふっとばした――――――っ!! かつて悪魔種子(デーモンシード)としてスカーフェイス、ケビンマスク、キン肉万太郎を大苦戦させたその力は今なお健在だ――――――っ!!』

 

「なんのこれしき――――――っ!!」

 

『ライトマン! 場外から勢いよくジャンプし、ボルトマンに向かって蹴りを放った!』

 

「ドヘドヘ、てめえみてえに自分が正義ぶっているやつらが俺は一番気にいらねえんだ!」

 

ガシィ

 

「ピカ!?」

 

『ボルトマン! ライトマンの勢いある跳び蹴りを片手で受け止めた――――――っ!!』

 

「正義は勝つ。ならば非道・邪道と言われようと、力のあるやつこそが正義なんだよ!!」

 

ドガァ

 

『ボルトマン! ライトマンの片足を持って、リングに勢い良く叩き付けた!』

 

「ビガハァ!!」

 

 ライトマンは頭を叩きつけられ悶絶した。

 

「ドヘドヘ、世界浄化者(ワールドクリーナー)とか大層な名前を語る割には大したことねえな。俺が殺したスカーフェイスの方がよっぽど手応えがあったぜ~~~」




死に方は選ばせてやるぜ!!

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