キン肉マンⅡ世~転生超人襲来編~   作:やきたまご

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炸裂!! ハワイアン返し技殺法!!



解放された野生!!の巻

 コーナーポストに叩き付けられ、倒れたミスターノアが起き上がってきた。

 

「やられたな。お前の技は効かないが、私の力を利用した技であれば幾分かダメージがある。良い師の元で学んだようだな」

 

 ガゼルマンがにやりと笑った。

 

「お褒めいただき光栄だぜ、お次はこれだ!」

 

 ガゼルマンがリングロープに背中から勢いよく突っ込み、強い反動をつけてミスターノアに突進する。

 

ドォォン

 

「フットボールタックル!」

 

 カナディアンマンがその動きに反応を見せた。

 

「あ、あの動きはまさか!?」

 

 ガゼルマンは間髪いれずにミスターノアを持ち上げた。

 

「リビルトカナディアンバックブリーカー!!」

 

ミシィ ミシィ ミシィ

 

 ミスターノアの体から軋む音が聞こえてくる。

 

「どうだ! この技の使い手が俺と同じ超人強度100万パワー! 猿まねじゃねえ事を教えてやるぜ!」

 

 ガゼルマンはさらにミスターノアの体を曲げていく。

 

「流石俺様の技だ! 超人の神相手にもよく効いているぜ!!」

 

 カナディアンマンは調子に乗った態度をとっている。

 

「なかなか良い技だな。しかし、この技は実戦で決まらなかったんだったな」

 

ググググ

 

 ミスターノアは自身の体に力を入れて、ガゼルマンの技のクラッチから外れようとしている。ガゼルマンも懸命に力を入れるが耐えきれそうにない。

 

「ぐぅ! な、なんてパワーだ!?」

 

「貴様の超人強度は100万パワーだったな、非凡なる値ではある。だが」

 

バッ

 

『ミスターノア! リビルトカナディアンバックブリーカーから力尽くで脱出した!!』

 

「私の超人強度は1億パワーだ!」

 

「なんだと!?」

 

「そろそろお遊びはおしまいといこうか!」

 

 ミスターノアは鋭く体を反時計周りに回転させて、左手刀をガゼルマンの顔面に当てた。

 

ゴガァァァン

 

『ミスターノア! 左手刀のバックハンドブローを繰り出した! ガゼルマンたまらずダウン!」

 

 ガゼルマンの顔面には手刀の跡が残っている。ガゼルマンの意識はあり、起き上がろうとするが起き上がれない。

 

「私が本気を出せばこんなもんだ。さて、忠告にもかかわらず、貴様は自らこの闘いにあがってきた。ならば、私の仲間を倒した責任として、貴様が死ぬまでこの闘いを続けようぞ!」

 

 ミスターノアがガゼルマンに向かって左手刀を大きく掲げた。

 

「待った――――――っ!!」

 

 突如リングに乱入者が現れた。その乱入者はジ・アダムスであった。これにはミスターノアも攻撃を中断した。

 

「お前はガゼルマンの仲間だったな。助太刀すればこいつの反則負けになるぞ!」

 

「そうだ! 私はガゼルマンを助けに乱入した!」

 

「その男は闘いに対してプライドが非常に高い。貴様が仲間とはいえ、助ければ酷く怒るだろう」

 

「そんなことは分かっている! 例え嫌われてでも、仲間を守りたいんだ! さあミスターノア! 私が相手だ!」

 

「しからば、貴様の漢気を尊重する事にしよう。そのかわり、お前がガゼルマンの代わりに死ぬ事になる!」

 

『ミスターノア! ジ・アダムスに左手刀を突き刺しにいく!』

 

「そうはいくか!」

 

 ジ・アダムスはミスターノアの左腕に関節を決め、首を絞める体勢をとった。

 

『ジ・アダムス! ミスターノアに三角締めだ!』

 

「これで終わりじゃない!」

 

 ジ・アダムスはその状態から、脚の力を利用してミスターノアの体を投げ飛ばしに行く。

 

ドガァ

 

『おお! ジ・アダムス! 三角締めを決めつつフランケンシュタイナーでミスターノアの体をリングにたたきつけた! なかなかの高等技術を見せてくれます!』

 

「ほう、貴様が生み出した技か。なかなかの複合技だ。殺すには惜しいな」

 

 ミスターノアは勢いよく左腕を払い、強引にジ・アダムスの体を引きはがした。体勢の崩れたジ・アダムスに間髪いれずに、組合いにいった。

 

ガシィ

 

「組み合っても、安心せぬ事だな」

 

 ミスターノアは組み合った体勢で、軽い物を持つかのようにジ・アダムスを持ち上げ、リングに叩き付ける。

 

ガガァァァァン

 

「ぐほぁ!」

 

 ジ・アダムスが血反吐を吐いた。

 

『ミスターノア! 圧倒的なパワーでジ・アダムスにブレーンバスターを決めた!!』

 

「ただのブレーンバスターでも私にとっては必殺技になる。私が神だからだ」

 

 ジ・アダムスは立ち上がってきたが、ダメージは大きい。

 

「もう少しやろうとは思っていたが……ここまでか……」

 

「話は変わるが、ガゼルマンはミスターUSBと闘った時の力を出していない。慈悲の力と呼ばれるもの、つまり人のためを思ってこそ発揮される力のようだ。貴様を殺せば、ガゼルマンはその力を出すと思うか?」

 

 ジ・アダムスは数秒ためて応えた。

 

「彼が私をどう思っているかは分からない……だが、彼が私との間に友情を持っている事を強く信じている! 私を殺せば、彼がきっとお前を倒してくれるはずだ!」

 

 ジ・アダムスは自身の死を決意した。

 

「ならば」

 

 ミスターノアが瞬時にジ・アダムスとの距離を詰め、左手刀でジ・アダムスを突き刺しにいった。

 

グサァ

 

 ミスターノアの左手刀が、ジ・アダムスの心臓ごと、体を貫いた。

 

「ガハァ!」

 

 ジ・アダムスは大量の血反吐を吐いた。もはやだれがみても即死の状態であった。

 

『もはやミスターノアを止められるのはケビンマスク、万太郎だけか!! 早く来てほしいと心から願っております!!』

 

 ミスターノアは自身の後ろにいる超人の気配に気づいた。

 

「ほう、ようやく起き上がってきたか」

 

 ガゼルマンが足下がおぼつかないながらも立ち上がり、ジ・アダムスの元へ駆け寄った。

 

「アダムス、お前、なんてことを!」

 

「私はガゼルマンという素晴らしい超人を助けられたのだ……悔いはない……」

 

「アダムス……」

 

「頼んだぞ……本当は誰よりも一番……強いんだろ……」

 

 そう言って、ジ・アダムスは事切れた。ガゼルマンはジ・アダムスの死を追悼する。

 

「ジ・アダムスに感謝するんだなガゼルマン、お前が死ぬ予定だったが、代わりにその男が引き受けたのだ」

 

 ガゼルマンは何も言わない。

 

「闘う気がなくなったか腰抜けの鹿め。もう貴様への興味は失せた。この世界へかえって来るであろうケビンマスク、万太郎の二人を倒して、改めて私の計画を実行するか」

 

「なさけねえ……」

 

 ガゼルマンの口から小さな言葉が出てきた。彼は今、自分が闘ったミスターUSBの言葉を思い出していた。

 

「俺はあんたの仲間のミスターUSBに、「仲間を大事にしろ」って言われたんだ……それなのによ……」

 

 ミスターノアは真面目な面持ちでガゼルマンの言葉を聞いている。

 

「俺がふがいないばっかしに、良い奴が死んじまってよ……」

 

「むっ!」

 

 ミスターノアはガゼルマンの異変に気付いた。ガゼルマンの目が白目となり、血の涙が出てきている。さらに、ガゼルマンの体の筋肉が発達し、血管が体のあちこちに浮き出てきた。

 

「グオワアアアアアアア!!!!!」

 

 ガゼルマンの雄叫びが強い風となり、砂埃の混じった強風が観客にふりかかった。

 

『どうしたことだ!! ガゼルマン突然の変化だ!! これまでにない姿を露わにした!!』

 

 ガゼルマンが今までの倍以上のスピードでミスターノアに襲いかかった。勢いをつけた右のハイキックを繰り出した。

 

ドガァァァァン

 

 あまりの威力に、ミスターノアの体がリング際まで吹っ飛ばされた。ミスターノアも予想以上の威力に驚いている。

 

「慈悲の力とやらを引き出そうと思ったが、思わぬ力が顔を出したようだな。ガゼルマンとの試合、まだまだ楽しめそうだ」

 

 ミスターノアはガゼルマンの強さを期待し楽しそうな顔をした。

 

 

 

 ガゼルマンが闘っているアララトから少し離れた場所に、突然異変が起きた。空間に歪みが生じ、あたりに強い風や電撃が発生する。やがて、宇宙船のような大きな構造物が現れた。

 その宇宙船にはソースせんべい用のソースで書かれた「ケビンマスク号」の文字が記されていた。




ついに主人公帰還!!

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