「グロロ~!!」
デストラクションは頭をふって、触角で刺したランバージャッカーを投げ飛ばした。
デストラクションは倒れたランバージャッカーの元へ走り、すぐにマウントポジションをとった。
「グロロー!! 打撃はいいみてえだが、レスリング技術はなっちゃあいねえみてえだな」
デストラクションのマウントパンチの連打がランバージャッカーの顔面をとらえ、見る見るうちに流血顔になっていった。
「調子に乗るんじゃねえぞ! でくの坊!」
ランバージャッカーはデストラクションの両腕をつかみ、頭突きを食らわした。
ガゴン!
「うぐぅ~」
頭突きのダメージでデストラクションの体勢が崩れたため、ランバージャッカーにのしかかる体重の感触が軽くなった。
すかさず、ランバージャッカーは胴体に力を入れて、上にのっていたデストラクションを跳ね飛ばした。
ランバージャッカーは立ち上がりキックボクシングスタイルに戻った。
「こちとらキックボクサーとしても強いが、喧嘩屋としても強いんだぜ。てめえみてえな巨漢、用心棒やっていた時によく相手にしたもんだぜ!」
ランバージャッカーはストレート、ボディーブロー、ローキックといった、直線的な攻撃に、対角的な攻撃も加えたコンビネーションでデストラクションにダメージを与えていく。
「タートルディフェンス!」
顔面にランバージャッカーのパンチが飛ぶ瞬間、デストラクションは頭を体内に収めた。
ランバージャッカーの拳は触角部分に当たり、自爆ダメージを与えることができた。
「ぐあっ! そんなのありかよ!」
ガシッ!
「こうやってしまえばお前ほど打撃センスのないおれでも攻撃をあてられるというわけだ」
デストラクションは首相撲の体勢となり、ランバージャッカーのみぞおちや顔面に膝蹴りをあびせていった。
「首相撲はキックボクサーの専売特許だ!」
ランバージャッカーは首相撲に慣れている感じで、デストラクションが膝蹴りを当てるも最小限のダメージとなる。
体をより密着させたり、時には左右にデストラクションの体を揺らし、巧みに膝蹴りの威力を減らした。
「グロロ~、こうなったら
デストラクションは持ち前の怪力でランバージャッカーを真上に投げ飛ばした。
デストラクションは触角を開き、アバランチャークラッシュの体勢に入った。
「その技をまともにくらうと俺様でも危ういな。さて、どうしたもんか。よし!」
ランバージャッカーは空中で頭から落下する体勢になった。
「グロロ~、これで俺の勝ちだーー!っ!」
「エアーダッシュ!!」
ランバージャッカーは空中で脚をクラウチングスタートの体勢のように丸めて伸ばした。
持ち前の脚力のおかげで、ランバージャッカーはの落下する速度がすさまじく速くなった。
「グロ!?」
ゴン!!
アバランチャークラッシュの発動直前で、ランバージャッカーが右拳一つでデストラクションの頭の上にのっかる体勢となった。
デストラクションの頭部は凄まじいスピードで激突した拳により、激しく流血している。
「うぐぅ……」
「技は当てるタイミングが大事だ。当てるタイミングさえ合わなければ、お前の硬い触角も怖くない」
デストラクションは血まみれになってダウンした。
しかしすぐに立ち上がった。
「もう寝ていろ! ふぅん!!」
ドゴ!
重く速いハイキックがデストラクションの首をとらえた。
デストラクションの体はずしーんと音を立てて倒れた。
しかしランバージャッカーは少し驚いた表情をしていた。
「ほう、俺様はハイキックの威力には結構自信があるんだぜ。まさか形を維持しているとはな。その首、大木のような頑丈さと柳のしなやかさをもってやがる」
ランバージャッカーの話に対して、デストラクションは全く反応がない。
「レフリーがいればお前はもう試合を止められている状態だ。だが俺も鬼ではない、ギブアップして仲間になるっていうなら助けてやるぜ。お前は伸びしろがありそうだ。俺様が鍛えてやれば世界で二番目に強い男になれるぜ」
「……ふ、ふざけるな!」
デストラクションは朦朧としながらも立ち上がった。
「今おれたちがやっているのは……戦争だ!戦争とは命を賭けて互いの正義をぶつけ合うもんだ……初めから命を賭けている俺に命を助ける情けは失礼ってもんだぜ!」
「そうか、イラクは争いの多い国だったな。俺は戦争自体は否定するが、お前のことは嫌いになれん。だから生かしてやろう」
「てめえ……人の話を聞いていたのか!」
「ああ聞いていたさ、でも俺様は悪い奴だからな」
ランバージャッカーはどこからともなく石を取り出した。
「こいつは転生石、イギリスのストーンヘンジに使われている石で、原理はよく分らんがとにかくすごい石だ」
シュイシュイシュイシュイ
デストラクションの体はみるみる姿を変えた。
触角はなくなり、黒色肌の男の姿となったデストラクションはその場に倒れた。
「超人としてのお前は死んだ。じゃあな」
ランバージャッカーはそのまま去っていった。
ちょうどその頃、ヘラクレスファクトリーにてもこの試合が観戦されていた。
「なぜあやつがあれを!?」
仮面から髭を生やした鎧の紳士ロビンマスクが驚愕の表情をした。
人間になっちゃった!?