キン肉マンⅡ世~転生超人襲来編~   作:やきたまご

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母親には命を賭してでも守るものがある!


お仕置きの時間の巻

「ウルルル、君は僕の失敗をカバーしてくれたのかな? それとも、邪魔しに来たのかい?」

 

「子供がいるからね、この惨事は他人事には思えなかったのだ。子供を一人前に育てるまで守るのが母親の仕事ムンタ」

 

 ティアーマンに対し、OKANはきっぱりと自分の主張を述べた。

 

「つまり邪魔するってことだね、ところで一人前に育てるだって? 君は一見母親に見えるが、その子供が根っからの悪人だとしても放棄せずに一人前に育てるのかい?」

 

「例え根っからの悪人だとしても、子供は可愛いもんだ。しかし、人様に迷惑をかけんように自分を律せるように厳しく育てていくムンタ。たとえその子に殺意を抱かれるくらい恨まれてでもだ」

 

 ティアーマンはOKANの考えに感心した態度をとった。

 

「ほう、君のような母親が多ければ、僕がこんなことをする必要もなくなるだろうな。しかし、こんなことでも邪魔をするやつはつぶさないとね!」

 

 ティアーマンが指を鳴らすと、学校の校庭のど真ん中にリングが出現した。

 校庭にいた生徒たちは突然のことに驚いた。

 

「君も超人だろう! ならばリングの上で決着をつけようじゃないか!ウルーーーッ!!」

 

 ティアーマンは校舎の3階の窓からリングの上に飛び移った。

 

「ムンターーーーッ!!」

 

 OKANも続いてリングに飛び移った。

 

「最近話題となっている人間を襲った謎の襲撃事件、さっき速報で飛び込んできたガゼルマン、デストラクションの試合から察するにお前は『この世を浄化する者達』の一人か?」

 

「うん、そうだよ。僕もミスターUSBやランバージャッカーと同じさ。君は無名の超人のようだけど、大丈夫かい? 僕も強いよ」

 

「なめるなよ小僧、怪我のために超人オリンピックに出られなかったが、ロシアではイリューヒンに勝るとも劣らない実力をもっていると言われているムンタ」

 

「OK、OK、では試合を始めますか」

 

「では、実況兼解説はこのアデランスの中野さんが務めさせてもらいま~す♪」 

 

 どこからともなくアデランスの中野さんが現れた。

 中野さんが持っていたゴングを鳴らし、試合が始まった。

 

「先手必勝! 涙弾丸(ティアーショット)!」

 

「ティアーマン! 目から勢いよくピストルの形状をした液体を出したーーーッ!

 

 OKANはとっさに反応してよけようとはしたが、涙弾丸(ティアーショット)が左肩をかすめた。

 

「グウウ~~ッ」

 

「あぁ~っと、OKANの肩に技が命中してしまったーーーッ!」

 

「よくよけたね、並みの超人だと心臓を貫かれておわりなのにね」

 

「ムンタ~~ッ」

 

「OKAN! アイアンクローでティアーマンの顔を掴んだ!」

 

「どんな固い蓋をも開けてきた握力、とくと味わうがよい」

 

 OKANの握力で、ティアーマンの頭がメリメリと音を立てていく

 

「ウルルル、なかなかの握力だね。しかし、悲しみがあればこんな技を脱出するのはたやすいよ」

 

 ティアーマンの目から涙があふれた。

 

「私は子供が涙を見せても容赦はしない性質(タチ)でね。そんな泣きで手を休めると思……!?」

 

「気づいたみたいだね、この涙はアイアンクローから抜けるためのものさ」

 

「ティアーマン! 涙による滑りで、OKANのアイアンクローから脱出した!」

 

「ならば腹を責める!」

 

「OKAN! ミドルキックをティアーマンの脇腹にあてた!」

 

 ティアーマンは苦痛の顔をし、腕のガードが下がった。

 OKANはそこへすかさずハイキックを当てにいった。

 

「なんちゃって」

 

「ティアーマン! ハイキックの体勢のOKANの軸足を取り、タックルにいったーーッ! ティアーマン! マウントポジションをとった!」

 

「女性の顔を殴るのはあまり良い気はしないが、容赦はしないよ!」

 

「ティアーマン! OKANの顔面に容赦ないパンチの嵐を浴びせていく!」

 

「わたしは幼い頃に母親の鉄拳制裁をよくくらっていたから、慣れているよこんなもん」

 

「OKAN! ティアーマンの膝をつかんでティアーマンの体を倒すように押した! ティアーマンの体勢が崩れたところでブリッジでティアーマンを弾き飛ばした!」

 

「それって厳しいを通り越して虐待じゃないかな? そういうのは許せないね」

 

「確かに私が幼い頃はこのクソババアめ! とは思ったが、今になってみれば、自分が嫌われてでも一人前に育てていくという心を私の母親は持っていた。だから母には感謝している」

 

「そんな風に思える君の心の強さは羨ましい。そんな心を持っていたら、僕は自殺なんてしなかっただろう」

 

「自殺?」

 

「そう、かつて僕が人間だったころ、同級生のいじめを苦に自殺したのさ」

 

「……」

 

 OKANは何もしゃべらないが、真剣な顔をして、ティアーマンの話を集中して聞く。

 

「分かるかい、同級生も先生も親も誰一人味方してくれない四面楚歌の気持ち! 常軌を逸した暴言・暴力の苦しみ! おまけに自殺の遺書まで書かされたんだぜ! 僕のせいで家庭もボロボロ、母はうつ病になり、父は家のいざこざが嫌になって出ていった! 僕なりにあらがってはみたけど、僕は弱かった。だから人生から試合放棄するしかなかった。こんなことは虐められたやつにしか分からないだろうけどね。」

 

 ティアーマンは号泣しながら自分のことを語った。

 

「ティアーマン……」

 

 たまきは何か思うかのような顔をしている。

 恵子も同じような態度である。

 場の流れを変えるかのように怒りの表情に変えた

 

「だから僕はいじめをするやつは死ねばいいと思っている! 悪人は反省などしない! あの世からいじめっ子を見たが、反省したふりをしていただけだった! 心からの謝罪はできない! 悪人はいつまでも悪人さ!」

 

「そうか……」

 

 OKANはゆっくりティアーマンの元に歩み寄った。

 

「お前の人生の悲惨さを同情しても何も変わらないだろう、ならば」

 

バシン!

 

「あぁーっと! OKANの強烈なビンタがティアーマンの顔面をとらえた!」

 

「グウウ~~ッ」

 

「お前の荒み切った性根を叩き直す!」




全国のお母さんを代表してお仕置きだ!

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