キン肉マンⅡ世~転生超人襲来編~   作:やきたまご

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悪い子だ!悪い子だ!悪い子だ!


涙の感染の巻

「OKANの容赦ない強烈なビンタがティアーマンをとらえたーーっ! OKAN更に追撃でティアーマンの右わき腹にボディブロー! そして右アッパー! 攻撃が確実に効いているーーーっ! ティアーマンの涙の告白など気にしない猛攻だーーーっ!」

 

「ようし、この勢いで更に……」

 

「やめてーーーっ!」

 

 観客の一人の女子生徒が叫んだ。

 

「私その人の気持ちよく分かる! その人は辛い思いをしてきた! こんなこと言ってあれだけど、私を虐めていた子が死んで良かったと思っているの! これ以上その人を苦しめるのはやめてーーーっ!」

 

「そうよ! そうよ! 私だっていじめっ子に何度もカツアゲされたり、自慢だった長い髪も切られたのよ! だからこそ言える、ティアーマンは自分の傷を癒してほしいのよ! OKANのやり方は間違っている!」

 

 別のショートカットの女の子も自分の思いを叫んだ。

 

「ティアーマン頑張ってーーーっ!」

 

「ティアーマン! ティアーマン!」

 

 他の女子生徒も同調していった。

 

「やめろお前ら! 可愛い生徒を殺した超人を応援するなんておかしいぞ!」

 

 男性教諭が女子生徒を静止するように叫んだ。

 

「だまれーーっ! あんたもいじめを見て見ぬ振りしていたの分かっていたんだからね! あんたもティアーマンに殺されればよかったんだ!」

 

 女子生徒の一人が先生に向かい強気な態度で発言した。

 

「これは驚きです! 私も長年リングで試合を見てきましたが、応援される敵を見るのは非常に珍しい! いやぁ~私も幼い頃からヅラだったので苛められていたんですよ。ティアーマンの気持ち、女子生徒たちの気持ちはよ~く分かります」

 

「ウルルル、可愛い娘さん達よ、この試合が終わったらその先生も始末してやろう」

 

 男性教諭の表情に恐れの感情が現れた。

 

「ところでOKAN、今君はどんな気持ちかな~?」

 

 一方、OKANの表情は淡々としている。

 

「ふっ、私を応援するものがいなくてもかまわないムンタ。私のやり方を理解できる子供がいるとは思っていない。でもね、理解してもらえなくても私は私の主義を変えるつもりはない! 例えこの学校の皆を敵にしてでもだ!」

 

 OKANは堂々たる態度で発言した。

 

「OKAN! ここにあなたを理解できる人がいる!」

 

 恵子が突然に叫んだ。

 

「私もティアーマンみたいにたまきちゃんに苛められていた! みぞおちに喰らった膝蹴りの痛さは今も忘れていない! 未だに怖かった頃のたまきちゃんが夢に出てくる! でも凛子ちゃんが環境を変えてくれた! 凛子ちゃんは私のようないじめられっ子を救うためにわざと憎まれ役を買って出たの! いじめは少なくなったけど、おかげで凛子ちゃんは友達がいなくていつも一人で夜遊びすることが多かった! 凛子ちゃんは自分を犠牲にしてまで、たまきちゃんと仲良くなるきっかけを与えてくれたの! 最初はたまきちゃんが怖かったけど、次第にたまきちゃんの良さが分かってきた! そして一人ぼっちだった凛子ちゃんとも友達になろうと思った! 今ではたまきちゃんも凛子ちゃんも大好きな友達なの!」

 

 前川たまきが唐突に泣き出した。

 

「ごめんね、ごめんね……謝るタイミングを失っていたけど……ずっと謝ろうと思っていた。凛子に脅されて、最初は渋々と恵子と付き合っていたけど……仲良くなって分かったの。どうしてこんな良い子を苛めていたのか。私を許してなんていわない! でも罪の償いがしたい! どうすればいいの! 答えて、答えて恵子!」

 

 恵子が右手で平手打ちのそぶりを見せる。

 前川たまきは目をつぶるが、恵子は軽く手のひらで前川たまきの頬に触れる程度だった。

 

「これでおあいこだよ。許すことなんて何もないよ」

 

「ウワァーン!」

 

 前川たまきが一層涙の量を増やして、恵子に抱き着いた。

 

「ほう、反省したふりをするいじめっ子はよく見てきたが、この娘は心からの謝罪をしている。先ほどは狙ってすまなかった。」

 

 恵子と前川たまきに向かってティアーマンは頭を下げた。

 

「恵子ちゃんと言ったか、ありがとう。こんな見た目でも私の心はか弱い女性だ。今の言葉は私にとって心の支えとなるムンタ。凛子ちゃんか、見たことはないが、大した娘さんのようだ。きっとお母さんの教育がよかったのだろう。」

 

「ウルルル、二階堂凛子の事は僕も良く知っている。彼女が捨て子であること。彼女の母親とは血がつながっていないこと。そして、人間離れした身体能力を持ち合わせていること!」

 

「よく知っているのが気になるな、一般の女子生徒一人に対してその知り様。何か目的があるとみられる。」

 

「ウルル、ご察しのとおり、僕達は今彼女に関することを捜査中でね、色々と調べさせてもらったんだよ。例えば彼女のスポーツテストの結果、全国の男子高校生の平均を上回る数値をたたき出している。また、悪行超人THE・リガニーの一撃を食らっても、怪我一つなく気絶しただけだった。更に、超人オリンピックではジェイドとの二人三脚で驚異的な力を見せた。そして極めつけは、皆の記憶にも新しい新世代超人(ニュージェネレーション)達が乗ったタイムマシンに潜入し、無事に過去に行ったこと。あのタイムマシンに載れば人間には耐えられない衝撃を受ける。ゆえに、言える結論はただ一つ。」

 

「もしや……」

 

「そう、二階堂凛子は超人なのだーーーーっ!」

 

「ティアーマンの口からとんでもない事実が明かされたーーーっ!」




凛子超人説!?

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