ラブライブ!〜引きこもりとツンデレな女神〜   作:黒っぽい猫

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どうも、ご無沙汰してますと黒っぽい猫です。

数時間前にバカテスの方は更新していたのですがこちらの作品はだいぶ間が空いてしまいましたね…。

早速本編をどうぞ!


第7話「予期せぬ再会」

第一回勉強会から二日後の月曜日、時刻はまだ朝の6時である。俺は外に出てある場所へと向かっていた。

 

「たまにはこの時間にウォーキングも悪くないな。まあこれがほぼ毎日あるって考えると憂鬱でもあるが……はぁ。帰ろうかな」

 

このままだとタイトル詐欺だと思われちゃうよ!引きこもってないじゃん俺!だとすると帰るのもありか…?

 

あれ…?タイトルって何の話だ?どのみち約束しちまったもんはしっかり果たしたいし帰らねえけどな…。

 

「俺もとうとう頭おかしくなってきたか…?」

 

まあ、それは気のせいだと思うことにして音楽に意識を向けながら歩く事にした。聞いている曲は「これからのSomeday」だ。結構好きなのでよく流している。

 

15分ほど歩いて目的地──神田明神──に到着する。集合時間は6時半なので一番乗りのはずだ。

 

「とりあえずぱっぱと支度を済ませるか」

 

境内の脇に荷物を置いて軽く体をほぐしながら全員が揃うのを待つ。

 

「朝、早いんやね?倉持クン?」

 

「のわっ?!と、東條さんですか……驚かさないで下さい…」

 

後から突然現れた東條さんはドッキリが成功したからなのか、愉快そうにカラカラ笑う。

 

「ごめんごめん…それにしても体柔らかいやんね〜、なんだか意外かも?」

 

「一応毎日風呂上がりに一連の柔軟はこなしてますからね」

 

ほえ〜、と感心するような声を出した東條さん。

 

「それにしても、東條さんも早いですね」

 

「うん、一応ここでバイトもしてるからね♪」

 

「へえ、だから早起きには強いんですね」

 

「そんな事より…少し柔軟手伝ってもいい?」

 

「?構いませんけど、どうしてですか?」

 

「いや…あまりに体柔らかいからどこまで伸びるのか気になって」

 

意図がわからずにクエスチョンマークを浮かべている俺を見て気まずそうに東條さんは目をそらす。

 

「うちはまだμ'sに入って日数が浅くて、毎日柔軟はしてるけど中々伸びなくてね…」

 

「まあ参考になるならいいですよ?」

 

「あ、うん、ありがとう。それじゃ早速……えいっ!」

 

東條さんは後ろに回り込むと足を広げている俺の背中を押してくる。まだいけるな…というか基本的に地面についちゃうから参考にならないような……。

 

「南さんと同じかそれより伸びるんやね…えりちも柔らかい方だけどそれよりも柔らかいやん…ちなみに毎日お風呂上がり以外にはやってないの?」

 

「まあそんなに柔軟に時間は割けませんからね…もっぱら筋トレですよ。まあ筋肉もどちらかと言うとしなやかさを重視してメニューを組んでますから」

 

「ふうん…」

 

「あの、東條さん…腕を触るのをやめてもらえませんか?くすぐったいです」

 

さっきから腕を触られているのだが、こそばゆい。

 

「ああ、ごめんごめん。ホンマに柔らかい筋肉作ってるんやね〜」

 

そこは筋肉じゃなくて脂肪です…そう突っ込もうとした時にちょうど人が来た。

 

「東條先輩、倉持君、おはようございます」

 

「おっはよーございまーす!」

 

「おはよう、ショウ君♪」

 

園田さん、高坂さん、南さんの三人だ。

 

「おはようございます。準備ができ次第柔軟から始めて早めに体を柔らかくしていてください」

 

「わかりました、ことり、穂乃果、行きますよ」

 

「「は〜い」」

 

その後、続々とメンバーが集まって、全員が揃ったのはピッタリ6時半。流石というべきか、みんな真面目なのだろうな。

 

「さて、園田さんから見せていただいたメニューによると9人全員が同じように体力作りを行っているようですが、それでは効率が悪いと思います」

 

全員が体をほぐし終わったのを確認すると集まってもらいミーティングをする。

 

「効率が悪い、と言いますと?」

 

「はい、順番に説明しますね。例にあげるのなら星空さんと小泉さんがいいでしょう。体力作りの際に、星空さんは既に小泉さんをはるかに上回る体力を持っています。その二人が同じメニューをこなすとどうなりますか?この場合、無理させないためにメニューを小泉さんに合わせるものとします」

 

「星空さんにとっては、ステップアップに足りない……なるほど」

 

園田さんの他にも絢瀬さんや真姫は理解してくれたようだ。

 

「それってどういうことなの?倉持君?」

 

「そうですね……高坂さんにわかりやすく言うのなら、ゲームで高いレベルのキャラクターが自分を強くするためにする事は?」

 

「より強い相手と戦って経験値を貰う!」

 

「はい、その通りです。ではもう一つ、それを今の俺の話と結びつけてみてください」

 

ハッとした表情になる高坂さん。話を持っていき方を工夫すれば飲み込みは早いみたいだ。

 

「なるほど!つまり、人によってメニューをよりその人に合うものにすれば短期間でレベルアップが目指せる!」

 

「よく出来ました、後でにこちゃんがジュース奢ってくれるそうですよ」

 

「なんで私なのよ?!」

 

「まあそれはさておき、園田さんと小泉さん、絢瀬さんの協力を得て自分なりに各メンバーのメニューを組んでみました」

 

それぞれメンバー毎に、極力最終的な柔軟性や体力等が均等になるように配分したつもりだ。ダンスを踊る上で大切なのは突出した一人ではなくて全員が同じであることだからな。個人差はこれからまだまだ改善の余地がある。

 

「これは凄いですね…!私の弱点をカバーできるようなメニューです!」

 

「毎月メニューに微調整を加えていくつもりなので月に一度体力テストを行うつもりでいます。それでは各自始めてください」

 

一応、最初の月は近い人同士でペアを組んでもらっている。一人を除いて、だが

 

「凛のところに書いてある柔軟って……」

 

「ああ、それね。星空さんは柔軟だけがほかの誰よりもずば抜けて悪いって聞いてたから、今月はそこに専念してもらおうかなって思って。勿論、アップで軽く走ったりはするけど」

 

「じゃあ早く走りたいのにゃー!」

 

「OK、じゃあ階段の所まで行こう」

 

それぞれが体を動かしている所で男坂へと行く。

 

「はーーっ!はーーっ!花陽ちゃん、あと少し!!頑張ろう!」

 

「はいぃっ!南先輩!」

 

体力に自信が無いと言っていた小泉さんと南さんには男坂のダッシュの後にそこから降りて明神の正面の階段を通って戻ってきてもらうってメニューに設定したはずだから……

 

「彼女達があちらに走っていったらやろうか。それまで体をほぐしててね」

 

「わかったのにゃ!!」

 

「さて……俺も走ろうかな…」

 

軽く跳んでコンディションを確認する…悪くないな。

 

「おおっ!負けないよ!」

 

「俺も早々負ける気はないよ。そうだね……君が勝ったら今度ジュースを奢ろう」

 

ニヤ、と不敵な笑みを浮かべる星空さんだが、まんまとこちらに乗せられていることに気づいていないのか?

 

「よーーし!絶対に負けないのにゃ!!」

 

「ルールは、下まで降りて先に上に戻った方の勝ちでいいかい?」

 

「了解にゃ!」

 

ビシッ!と敬礼する星空さんに微笑んでから俺は近くにいた園田さんにスタートの合図を頼む。

 

「それでは、両者準備はいいですね?」

 

「おう!」「はいにゃ!」

 

「位置について……よーーーい……」

 

目を閉じて心を落ち着かせる。

 

「始め!!」

 

出だしはほぼ同じ。だが、星空さんは凄まじい勢いで加速していく。体のバネが強烈だからだろうか、不規則な並びの岩も気にせず、猫のように軽やかな進みだ。

 

(だが俺も負けられないからな……本気で行くぞ!!)

 

中学時代に鍛え、それを今日まで続けている俺も負けじとその後ろを付いていく。そしてあっという間に折り返し。

 

(この距離なら……抜ける!!)

 

体の柔軟さと俺のバネをフルに使って一気に段を飛ばして駆け上がる。

 

「にゃっ?!」

 

流石に星空さんもいきなりの加速には対応しきれなかったようで約2秒の差を開いて俺がゴールする。

 

「ふぅ……流石に急な加速は疲れるな……おわっ?!」

 

遅れてゴールした星空さんに背後からタックルされるように抱きつかれたのでつんのめって倒れそうになる。

 

「今の加速の仕方凄かったにゃ!どうやったのか教えて欲しいのにゃ!!」

 

密着されてふわっと甘い匂いがするので慌てて引き剥がす。

 

「…俺が星空さんを後半で抜かせたのは、体のバネの強さだけじゃなくて、そこに俺が持ってる柔軟性を掛け合わせたんだよ」

 

「よく分からなかったのにゃ!」

 

思わずずっこけてしまう。そばで聞いていた絢瀬さんと園田さんも同時にずっこける。

 

「要するに、早くなるために凛はどうすればいいの?」

 

「体の柔軟性を上げる事かな。その為のメニューでもあるしね」

 

「えぇ〜…体が痛くなるのは嫌だにゃ〜……」

 

「ほら、早く行くよ。時間は有限なんだから」

 

「は〜い……」

 

この後は滞りなく朝練は終了、午後4時に音ノ木坂に集合するように言われ(ほぼ命令)、一度帰宅してシャワーを浴びた後、俺はバイトへと向かう。そのはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……彰馬」「彰馬君…」

 

「──ッ!諒弥……健人」

 

家に帰るために歩いていた所、目の前から歩いてくる二人組の男に止められた。

 

「彰馬。少しツラ貸せよ」

 

目の前の大きな男──のいきなりの物言いに俺は間抜けな声が出る。

 

「は?お前学校じゃねえのか?」

 

「バックれるからお前の時間少し貸せ。30分もあればいいから」

 

「大丈夫だよ彰馬君、そんなに手間は取らせないから」

 

隣にいる涼弥も穏やかな笑みをたたえているが、その奥深くの目は笑っていない。まるで「逃がさない」と言っているかのようだ。

 

「……わかった、その辺りのファストフード店でいいか?」

 

「構わねぇよ、別にどこだって。ヤバい話をするわけでもねーんだ」

 

「じゃあついてこい、諒弥もそれでいいな?」

 

「うん、二人がそれでいいなら僕もそれでいいよ」

 

先ほどの冷たい視線はどこへやら、フワフワと可愛らしい笑みを浮かべる諒弥。可愛らしいという言い方に違和感を感じるかもしれないがこいつは立派な男だ。

 

「はぁ……んじゃ、ついてこい。そんなに遠くもないしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くの店に入り、会計を済ませて適当なテーブル席を見繕うと三人で座る。

 

「…こうして座ると、一年間のブランクがあったなんて嘘みたいだよね」

 

黙り込んだ重苦しい雰囲気の中に初めに口を開いたのは諒弥──八雲 諒弥──だった。華奢な体に高い声や童顔のため女と間違えられることが多々ある。

 

「そうだな…まあ、三人ばかり足りないけどな」

 

その隣に座って苦笑を浮かべてるの健人──檀野 健人だ。ガタイがデカいので運動部だと思われがちだが実は運動音痴だったりする。

 

そんな事よりも、と話を切り替える健人。

 

「お前がどうしてバンドに来なくなったのか、教えて貰おうか」

 

「……やっぱりその事…か。その前に二つ、聞いていいか?」

 

「なんだ?」

 

「他のみんながどうなったのかと、バンドはどうなったのかだ。差し支えなかったら聞かせてくれないか?」

 

逃げ出した俺が今更何かを知る資格があるのかすらもわからないが、ただそれだけは聞きたかった。変わらずに活動してる、そう言ってほしいと俺は思っていたのだろう。

 

だが、諒弥から聞けた言葉は、まるっきり逆の事だった。

 

「活動休止中だよ、僕達は。君がいなくなってから一度集まってそう決めたんだ」

 

正確には来なくなってからだけどね、と悲しげな笑みを浮かべる諒弥。

 

「それと、他の奴らの事だが…みんな元気にやってるよ。お前が居なくなった理由はうっすらだが真姫から聞いた。だからみんなわかってる。俺たちの中にお前の敵は一人もいねぇよ」

 

噛み砕くように言ってくる健人の言葉は不思議と心に染み込んでいった。それは痛みではなく暖かさのこもった言葉だった。

 

「そう……か。みんな元気なんだな…美優も、颯太も」

 

二人が同時に頷くのを見てホッとすると同時に俺が彼らのことを裏切ったのだと言うことを改めて実感させられる。

 

「真姫が抜けてるってことはもう会ったんだな?」

 

「……ああ、もう会ったよ」

 

「ふうん……」

 

「諒弥、ニヤニヤするのをやめろ。張り倒すぞ」

 

「諒弥、からかってやるのはよせよ。どうせまたラブラブなんだろうからな」

 

「すまん、健人。今はその話をするのはやめてくれ…。今の俺とアイツはそんな関係じゃないし、俺にそんな関係を作る権利は無いんだから」

 

そう言うと呆れた顔をする健人。間違ったことを言った覚えはないんだがな…。

 

「まずお前は、真姫がどれだけお前の事好きなのかをもう一回知るべきだろうな」

 

「彰馬君は少し女の子の気持ちをもっと知った方がいいよ。真姫ちゃん、泣いてたんだよ?『彰馬に嫌われちゃった…。どうすればいいの?!』って。僕達が泣き止ませるのにどれだけ苦労したか」

 

その言葉は、心に深く突き刺さった。諒弥は苦笑しながら言ったが俺にはとてもそれで済ませることは出来ない。

 

「だからこそ、僕と健人君が他の二人を代表して来たんだよ」

 

「話してくれねぇか、彰馬。どうしてお前が来なくなったのかや真姫がどうしてあの時泣いていたのか。全部含めて」

 

「僕達は、決して彰馬君を弾劾しに来たわけじゃないよ」

 

「一人で背負ってると、息苦しくて適わねぇだろ?」

 

意図せずに言ったのだろうが、二人の声が重なった。

 

「「俺達(僕達)にもその苦しみ、背負わせて(くれ)よ」」

 

暫くの沈黙のあと、俺がポツリと零した。

 

「どうして、俺なんかのために……そこまでしてくれんだ?」

 

こんな、逃げた奴の為に…どうして?そう問いを重ねようとした俺に二人は手を差し出す。

 

「どうしてもこうしても無いだろ。どんな縁にしたってバンドを組んじまったんだ。そうなった以上は一蓮托生だ。馬鹿馬鹿しいなんて言わせないし、ベタだろうがクサかろうが関係ない。俺たちは『仲間』なんだよ」

 

仲間が死ぬほど辛そうにしてるのに放っておけるかよ。そう言って照れくさそうに笑いかける。

 

「僕は、健人君とは少し違うかな。僕は、僕が居心地のいいって思ったあの場所をもう一度やり直したいだけなんだ。僕自身がいるのは勿論だけど健人君、真姫ちゃん、美優ちゃんと颯太君、そして彰馬君。六人が揃ってるあの場所にもう一回戻りたいんだ」

 

自分勝手でしょ?と言ってくるが、俺はそうは思えなかった。だって、俺も戻りたいと思っていたから。

 

「……わかったよ。全部話す。長くなるけど構わないか?」

 

「ちょっと待って、僕は学校に休みますって連絡してくる」

 

「ああ、俺も行ってくるから少し待っててくれ」

 

「………つかない格好をつけようとするから間の抜けた展開になるんだぜ、二人共?」

 

「「う、うるせえ(うるさい)っ!」」

 

 

 

 

 

 

 

次回、第8話「真相は──」




あれ、こんなにスペースキツキツだったっけ?と書いてて思うのですが、多分こんな感じでしたよね、はい。

前回の投稿後に最高評価の10を頂きましてその場で絶叫してしまいました。嬉しすぎて死んでしまうわ!ってレベルでした。

また、お気に入り登録も48件と驚きを隠せません。

これからも投稿感覚は空くと思いますがよろしくお願いします!!
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