やあ、はじめまして。僕の名前は
……え、そんな艦艇は聞いたことないって?うん、そうだろうとも。僕は一応艦娘ではあるけれど、どうも普通とは毛色が違うからね。
まず普通の艦娘についてはこれを読んでる人にいちいち説明する必要がないのは承知の上で、それでもやっぱり説明はさせてもらおう。
艦娘はかつて実在した軍艦だ。それに宿った魂的な何かが人形になったもの、それが艦娘。だからなのか彼女達は過去の記憶――大戦時の記憶を持っている。
ところが夜一型駆逐艦なんてものは過去にも今にも存在していない。そして当然僕には大戦に関する記憶なんてない。
じゃあ艦娘じゃないんじゃねーの?という疑問はごもっとも。ところが僕は艦娘と同じように艤装を装備できるし、そうすることで海上を航行することも可能なんだ。
そもそも艦娘と同じように建造されたんだから僕だって艦娘には違いない。もしかしたら僕は未来に造られる駆逐艦なのかもね。
英霊エミヤみたいな。
なんてさらっと他作品のネタバレをしつつ話を進めよう。僕にはもうひとつ他の艦娘とは異なる点がある。
それは僕が“男”だということだ。決してボーイッシュとかじゃない。ナニだってしっかり生えてる、歴とした男。オス。
つまり艦娘ならぬ艦息だ。
そして自分で言うのもなんだけど中性的な容姿をした美少年でもある。別に銀河美少年を名乗ったりはしないけど、表情筋があまり仕事しないことを除けば大層な美形であるのは客観的な事実さ。
……なんて長々と僕について語ってみたわけだけど、実のところそれらはどうでもいい。僕が何者だとか何かの伏線かとか、そういうことは考えるだけ無駄なんだ。
これを読んでたってその答えは出てきやしないからね。
あまりメタ的な話をするのはあれだけど、ついでだからもうひとつだけ注意しておこう。
それはキャラ崩壊のタグがある通り、この話には艦娘こそ出てくるけどそのキャラクター性は原型を留めていないのがほとんどだということ。
それを許容できない人は今すぐ引き返してほしい。
どれくらい本来のキャラからかけ離れてるかを例えるなら、愛宕姉さんは「ぱんぱかぱーん」とか言わないただのケモミミどすけべボディだったり、赤城姉さんは芋っぽさ皆無で悪のヤンデレ女幹部的な雰囲気だったりするくらいさ。
ああ、勘違いしないでほしいんだけど僕は別にアズールレーンについて悪く言うつもりはないんだ。ヴァンパイアちゃんとは真っ先にケッコンしたし、ロドニーちゃんやプリンツ・オイゲンちゃんの水着衣装には大変満足してる。
何か注文をつけるとするなら赤加賀のドロップ率しぼりすぎてて掘るのが辛かったとか、僕のだけ時雨ちゃんが未実装なんですけど、ってことくらいかな。
……おっと、話が逸れたね。
まあ何が言いたいのかというと、要するに『この先にあなたの知る嫁艦はいない』ってことなんだ。
これが最終通告だということを分かってほしい。下ネタ蔓延る世界観で品性が欠如してる嫁を見たくない人は今すぐページを閉じて。
あと数スクロールで艦娘のような何かが登場してしまうからね。
「そそそれで飲尿健康法っていうのがあってね?異性の、それも子どものを飲むのがいいらしいの。だ、だから夜一くんのおっ、おっ……おしっこを、分けてほしいなって……」
やあ、数行ぶり。そしていきなりの変態ですまないね。
いやまあ僕が謝るようなことではないし、再三注意したんだから今さら苦情なんて受け付けないんだけど。
さて、今僕の前で頬を上気させて派手に
よその鎮守府では見た目に違わない清楚で優しげなお姉さんらしいけど、僕からするとそんな翔鶴姉さんなんて想像できない。彼女はあの手この手で僕に性的なイタズラをしようとしてるからね。
それにしても異性の子どものおしっこなんてピンポイントすぎやしないかな。これ司令官が駆逐艦にやったら憲兵案件だよね?
いや、翔鶴姉さんでも普通に捕まるべきだと思うけど。
ちなみに姉妹艦の瑞鶴姉さんは比較的まともだ。今も草葉の陰で姉の醜態を嘆いているかもしれない。
まあそういう瑞鶴姉さんもボディタッチは多いんだけど。今のところ下半身には手を伸ばしてこないからSafeだ。
翔鶴姉さん?
「いきなりそんなこと言われても、さっきトイレに行ったばかりだから出せな――」
「はい!」
僕の言い訳を遮って翔鶴姉さんが差し出したのはスポーツドリンクとPTPシートに入った錠剤、そして検尿カップだった。後ろ手に隠していたのはこれだったんだね。
錠剤は数ある利尿作用のお薬の中でも効果・即効性が高いラシックス。さすがに準備がいい。
「こ、これならすぐに出せるから。ね?」
ね?じゃないよ。飲まれるって分かってて採尿するわけないじゃないか。
だいたいさ、なんで素直に飲むって言っちゃうんだよ。せめて健康診断のためとか、分かりきってても嘘で体裁保つべきじゃない?
「……そもそもそれって本当に健康にいいの?」
「そ、そうよ?お肌にいいんだって」
お肌にいいって健康法じゃなくて美容法では?どうして飲むってところは正直なのにそこは誤魔化すのかな。
もしかしたら飲むというのもフェイクで、僕みたいな常人じゃ一生及びもつかない変態プレイに使用されるのだろうか。体に塗りたくるとか。
まあなんにせよ翔鶴姉さんの特殊性癖に付き合うつもりはない。
僕は翔鶴姉さんの手を取る。姉さんは「きひっ!」みたいな奇声を上げて硬直し、持っていた採尿セットを取り落とした。
床に転がるそれらを無視して僕は姉さんの手の甲をさらりと撫でる。
その手触りはさらさらですべすべ。翔鶴姉さんの呼吸がヤバいくらいに荒くなっていなければずっと撫でていたいような感触だ。
「よ、夜一くん?もしかして……」
翔鶴姉さんが息をハアハアと荒げながら迫ってくる。
何がもしかしてなのか。変態の思考回路は理解不能なのでその先に続く言葉は分からない。いや、分かりたくない。
ただすこぶる嫌な予感がするのでそれ以上言わせないように先手を打つ。
「翔鶴姉さんの肌、じゅうぶんに綺麗だよ。ただでさえ美人なんだしこれ以上綺麗になっちゃったらみんな翔鶴姉さんのこと好きになっちゃって大変じゃないかな?」
「はぁうん!」
翔鶴姉さんがビクビクと震えながら体をくねらせる。シンプルに気味が悪い。
僕としてはクセがすごい系よりもこっちのツッコミの方が面白いと思ってる。
「大丈夫?翔鶴姉さん」
「だ、大丈夫よ……?ただちょっと“キュン”ってしちゃって……」
それが胸キュンならどれだけ良かったことか。
翔鶴姉さんが押さえているのは胸じゃなくて下腹部だった。それ完全に子宮がキュンキュンしちゃってるよね。エロ同人みたいに!
これは『子宮が孕みたがってるんだ』状態かな?玉子の妖精はいないけど、艦載機の妖精はいるからね。
発情したら腹痛が起きる呪いを翔鶴姉さんにかけてくれたりしないかな。そんなことになったら僕を見る度にお腹が痛むだろうけど。
「ならいいけど……あ、僕そろそろ行かなきゃ。司令官に呼ばれてるんだ」
「そ、そうだったの?呼び止めてごめんね」
「ううん、そんなことないよ。じゃあまたね、翔鶴姉さん」
軽く手を振って早急にその場から離脱する。
翔鶴姉さんも左手を小さく振り返してくれた。右手は未だに下腹部を押さえていたけど。
大腿を伝う透明な液体は見なかったことにした。っていうかそうすることしかできないよね。
翔鶴姉さんは今日も絶好調だ。