ハイスクールD×D 妖怪で怪人でダークライダーな転生者の物語   作:ムリエル・オルタ

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合宿の夜

この10日間、グレモリー眷属達は私により急造ながらレベルアップした。と言っても急造であり、付け焼き刃だ。フェニックスに勝てるかと言われれば『無理!』と笑顔で断言出来る。そもそも、アマがプロに勝つというのが無理なのだ。両者には決定的な実力差がある。

 

まぁ、相手が慢心していれば勝機はあるかも知れないが。

そんな事を考えながら夜酒を楽しんでいると背後から気配を感じた。振り向けばそこには眼鏡をかけたグレモリーが。いや、お前目は悪くなかった筈だろう?

 

「グレモリーか、その眼鏡は?」

「伊達眼鏡ですよ。こっちの方が雰囲気あるでしょう?」

 

そう言いながら手元にあった本に目線を落とす。チラッと覗いたがどうやらレーティングゲームのルールブックらしい。

ペラペラとページを捲る音以外ベランダには自然の音しか聞こえない。私は手に持っていた酒を杯に注ぎ、煽る。涼しい森の中での夜酒も乙なモノだ。

 

「どうだグレモリー。勝てそうか?」

「勝てます…………………と、言いたいところですけど、ギリギリでしょうね。私達とライザーの間には今は埋めれない経験の差があります。コレをどうにかしない限り私達には勝機が見込めませんし」

 

そう言って肩をすくめるグレモリーに私は微笑を浮かべながら話し続ける。

 

「グレモリー、お前の中での戦いとは何だ?」

「戦いですか?………………正々堂々、正面から相手に向かい実力で相手を打ち破る…でしょうか」

 

そう言いながら首を傾げるグレモリー。確かにそうだろう。だが、甘い。

 

「確かにそれも一つの戦いだろう。しかし、それはお互いの実力に差がある場合だ。まぁ、グレモリーは差を開けられている側だが。

グレモリー。お前は次期当主なのだろう?ならば決断しなくてはならない。1を切り捨て9を助ける選択を。

 

家族を見捨て、その他全てを救う選択を。いや、例えになってないな。

古今東西、貴族は卑怯を嫌う。だが、グレモリーお前はそれで良いのか?自分の人生を決める大舞台で過去の風習にとらわれた思考のままでいいのか?

 

貴族は策謀と謀略に満ちている。そんな中で正々堂々等と言った所で何にもならない。グレモリー、お前も今すぐとは言わんが搦め手を憶えた方が良いぞ?

戦い方だってフェイントを入れた方が勝つ可能性だって増える」

「それは…………………」

「なぁに、時間はあまりないがそれでも考える時間はあるんだ。はげめよ」

 

そう言った後、杯に残った酒を飲みきるとその場を後にした。

 

深夜の廊下は月明かりが差し込む以外の光が無く、どことなく不気味な雰囲気を醸し出している。

暫く歩いていると前から兵藤が歩いてきた。

 

「どうした、兵藤。こんな深夜に」

「暁さんこそ…………。あ、あの、丁度良いから相談に乗って貰って良いっすか?」

 

そう言って兵藤は私に話しかけてきた。別に寝ないといけないわけでも無い。私は二つ返事で答え、近くの適当な部屋に入る。

 

「それで、相談とは?」

「この後に控えるレーティングゲームの事です」

 

そう言う兵藤の顔は暗く、月明かりしか入っていない部屋の中でも分った。

 

「成る程。で?兵藤は何が不安なんだ?」

「俺、これまで悪魔なんてゲームの中だけだと思ってましたし暁さんみたいな妖怪が居ることすら知りませんでした。それがいきなり悪魔になって赤龍帝とか悪魔貴族とか訳の分らないことが沢山あって…………。

 

俺、どうすれば良いんですかね?」

「ならば、兵藤。お前は何がしたい?」

「え?」

 

私の問いに兵藤は間抜けな声を出す。

 

「私は何がしたいのか聞いたぞ?」

「何がしたいって…………………男ならハーレムでしょ!」

 

違うそうじゃ無い。しかし、まぁ、兵藤だから仕方が無いか。

 

「別にそれを聞きたかった訳では無いが。まぁ、兵藤。悪魔になったお前に人間のルールは限りなく適応されない。だが、人間の居る世界に居続けるなら適用されるが。

それでも、お前はこれから影の住人だ。いまさら戸惑った所で事態が好転するわけでもない」

「それは…………そうですけど」

 

そう言う兵藤の顔は先程より沈んでいる。

 

「所で兵藤、お前はグレモリーが好きか?」

「好きって!?……………………そりゃ、好きですよ。あんなおっぱい持っている女の子好きにならない男なんて居ないですよ」

「別にそこまで聞いていないが。兵藤、男が惚れた女の為に全力になる事に理由はいるか?ただ、(ソイツ)が好きだから。って理由だけじゃ駄目か?」

「!?」

 

私の言葉に兵藤は驚き目を見開く。そこまで驚くことでもあるまい。

兵藤は底抜けの莫迦だ。誰が何と言おうと莫迦だ。しかし、いや、故に周りがいくら暗くても元気付ける事が出来る。

場所等を弁えてさえ貰えば頭の中が性欲しか無くても私は別に良いと思っている。

だって私の事じゃ無いし(無情)

 

「兵藤、此所からは独り言だ。先程グレモリーに会い、少し話した。どうやら彼奴は落ち込んでいるようだったからな。慰めてみるとポイントアップかもしれんな」

「…………暁さん、ありがとう御座います」

「何故お礼を言う?コレは独り言だ。さて、部屋に戻ってもう一度飲み直すとするか」

 

短くお礼を言って出て行った兵藤を見送った後、私は夜空に輝く月を見ながらそんな事を呟いた。

 

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