本編どうぞ
□□□□□□□□□ □□□□□□□□□
あれから2日経ちました。ん?俺はどうしてたのかって?まぁ先ずはギルドに帰ってマカロフにクエストクリアの報告だして、んであの時の戦闘で少しばかり採取したアマゾンの体液を少し拝借。ギルドからかなり離れた距離の
なぜに研究かって?思い出してみ、俺を造った奴は生命体を造るために幾つもの研究資料の調達もしていた。しかも独学でオリジナルの理論までレポートしてあったんだ。
中でも俺が目を付けたのはΣドライバーのさらに高性能のドライバー。既に名は決めてあるらしく【ネオΣドライバー】というらしいが……完全に鳥の目みたいというか、何というか。しかも姿を変えるのに特殊な液体を組み込まなければ発動しないというのだ。代わりに得られる力はΣドライバー状態を越えるという。
さらには魔導二輪を改造し少量のエネルギー注入だけでかなりの距離を走れる【自動魔導二輪】というのも開発の視野に入れていたらしい。それも俺のせいで叶わぬ夢となってしまったがな。
んで、俺の持つ幾つかの本。これはその魔導士が生前書き上げたレポートを纏めたもので、その中には先程のネオΣドライバーや自動魔導二輪の製作方法も含まれている。
「ッあぁ゛~。ざい゛り゛ょぉ゛~」
そして俺の家のとある一室。誰にも邪魔されず何の影響も無い様に龍脈操作で隠したこの一室で、この魔導士がしていた研究を俺が引き継いでいるという形となっている。
しかしだ!如何せん材料が足りんのだ!この魔導士が書いたレポートの中には殆ど希望的観測の結果が主だが、この理論に信憑性はあり理論上は製作でき稼働もできる。だが求められる材料がかなりのレアだ。
中には100年クエストの対象となるモンスターの体液だったり肉だったりと体の一部が多い上に、秘境の地でしか採れない薬草や鉱石などが求められ製作は難航しているのだ。
腰かけている椅子にもたれ、首をダランと後ろに倒して椅子を足の動きでユラユラと動かす。どんだけ無理難題を出してんだよその魔導士!俺でさえ100年クエストをボロボロに負傷して満身創痍でやっと成功したのに!
あい?100年クエストのクリア方法?そりゃ簡単だよ、傷ついたら相手から肉片をちょちょいと貰ってそれを食って体力回復させたし、アマゾンの力も借りた。流石にアマゾンの力は一時的に楽になったのも束の間、相手がさらに硬質化だったり攻撃力上昇だったりとしてきたので大変だったことこの上ない。
だが今はそれより遥か上の無理難題に出くわしている。自動魔導二輪の方は残り3割で完成する。材料的に大分揃ってエネルギーの方は用意できたが、その自動魔導二輪の設計に1つだけ足りないものがあった。とあるモンスターの角だが、俺はそれが微量だけ欲しい。
一応培養技術は龍脈操作を応用すれば材料揃えて可能だからな、流石に鉱石は無理だが。
……外出ようかな、気分転換でギルド行こ。彼処なら少しは考えも楽になれそうだしな。という訳で家の鍵を持ってギルドへと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……………………」
「……………………」
……えっと今の状況整理ね。外に出てギルドに向かっていたら偶然エルザとバッタリ会って……いや、何か俺の家の近くに来てたからどうなのだろうか?杞憂であってほしいと思う。んで挨拶交わして話して、どうせだからギルドに一緒に行くかと誘われて隣同士で沈黙状態。
ど う し て こ う な っ た ?
いや、まだ隣同士で沈黙きめてる辺りは良いんだ。それはまだ良い。だがエルザよ、君は角を持ち歩いていたのにも関わらず何故それを川に捨てた?しかもその角、研究資料にあった奴と同じヤツなんだけど?
その材料はつい先程俺が保護しました。これネオΣドライバーの材料にも含まれてるから、ちょうど欲しかった所なんだよ。しかも培養の手間を省けられるから一石二鳥!いやはやエルザ様流石!
但し俺がこれを持った途端に背中に寒気が走った様な気がした。そしてエルザが何となく不機嫌になったが、理由を聞いても“怒ってない”の一点張りで答えてくれない。何故だ?
まぁ兎にも角にも、材料は揃ったから家に一旦帰って角置いたあとギルドに出発。
だが何故手を繋ぐ必要があった?エルザよ。あの頃と本当に変わってしまったね、良い意味と悪い意味両方で。
聞いてよぉ。昔のエルザは強くなりたいが為に態々此方の方の家をマカロフから聞いて訪ねて来たんだよ?そん時の俺はさぁ、まだ色々と冷たい時期……というよりグレイの強化で忙しかった訳さ。でも流石にここまでされちゃあな、ってな訳でエルザも鍛えさせることにした。
だが今はどうだ?エルザがS級魔導士になった日の深夜、何故か俺の家の扉を叩いて一緒に寝る羽目になったんだぜ?しかも夜中の2時。その時ちょっと眠りかけてたのに……。
そして甘え癖というのだろうか。幼少期に何があったのかは知らないが甘えというのをあまり受けずに育ったのだろうか?今でも家に入った途端、両腕を腹に回して背中に密着するのだ。ヤメテクダサイ、リセイガモチマセン。
だってさぁ……俺も生物よ?人工生命体とは言え、実質人間と変わり無いし生物なんだよ?本能刺激されると堪ったもんじゃない。襲われても知らんぞと内心思ったよ?しかもそれ言ったよ。なのに密着を強めるってどういうこと?
それをマカロフに伝えたら“知識で覚えとけタラシ”って言われた。はっ?(怒)
んで今の状況、手を繋いで向かっています。
ど う し て こ う((ry
そしてギルドに着いた途端、ギルドメンバー全員は何時もの如く緊張した雰囲気となった。お前らどんだけ苦手なんだよ、相手してるの普通の女の子だぞオイ。あとエルザよ、先に向かうと行って手を離した瞬間また握ろうとするんじゃあない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ゆらり ゆらり 揺れてい~る 男心ピ~ンチ」
「何かケツに違和感しか起きねぇからストップ」
おいおい、この歌詞を歌わせろよグレイ。止めるんじゃねぇぞ……。
さて何でこの歌かと言いますと、今普通に汽車の中でユラユラと揺れてるからな。目の前にグロッキーと化して横になったナツが居るけど。そのナツは左手をケツを隠す様にした。
そして何時もの如くエルザが此方に視線を向けているがどうした?見なくても分かるんだけど、ただ研究書物読んでるだけなんですけど?
<チョットチョット、アノフタリドウイウカンケイナノヨ?
<シラネェヨ。トイウヨリ、エルザガコウナルノアイツダケナンダヨ
<……マジデスカ?
「「聞こえてるぞ!/~」」
「「なぬっ!?」」
なぬっ!?じゃねぇよ何時聞こえてねぇと思ってやがったお前ら。つーか心外だな、何故にクールビューティーの人気S級魔導士のエルザがこんな薄汚いS級魔導士と師弟関係なのか俺が知りたいわ」
「兄貴、心の声漏れてる」
「あ、マジ?」
「んでエルザの顔がまtt“メギャア”」
ハッピーの顔になまくらの剣が衝突した。龍脈操作でハッピーの後ろに壁を作り飛ばされる勢いを殺して読書の続き……と思ったが何故か視線を感じたので見てみるとルーシィが見てる。何?俺の言った師弟関係が気になんの?
つーかハッピー、さっき出しちゃいけない音だしてたよね?下手したら修復させなきゃ不味いよね?これ。
さて、話題を本質に戻そう。何故俺たちが汽車の中に居るのか。この話はかなり昔の因縁に遡……らないの?あっそ。
冗談はさておき、俺たちが赴く理由は【
そして鉄の森。闇ギルドの1つなのだがエルザの話にはエリゴールと呼ばれる暗殺系の依頼ばかりを受注する輩が居るらしい。ついた通り名が『死神』、大鎌持って殺してんならそう言えるわな。
……で?それがどうした?
「…………くふっ」
「どうしたロプト?何故吹き出した?」
「くははっ。いや悪い悪い、その鉄の森どもの
「……ほぉ?」
「「???」」
死神?馬鹿を言え。こちとら生きる為に殺したモン食ってんだ。暗殺術?捩じ伏せる。奇襲?無駄だ。現に……今近くに居る。アマゾン嘗めんなよ、魔力反応っていうのは感情で左右されやすいからよ。
あ、ちょうど着いたな。ってかナツぅ、お前まだ酔ってんのかよぉ。つーかまだケツ穴隠してんのかい。ってか駄目だわ寝てるし。何にも考えずに寝ろと言ったのは俺だけども。
「ロプト、早くしろ」
「悪い、先行っててくれ。ナツ放って置くのも不味いし」
「そ……そうか。では私も此処で「よっと」ふあぁッ!?」
あーもう面倒だな。つい強行手段に走ったじゃないかどうしてくれんだよ?えっ何やってるのかって?所謂“お姫様抱っこ”だわ。した途端に変な声を挙げて驚いたエルザを無視しながら出入り口の所にゆっくりと下ろす。
そしてちょうどエルザの荷物が外に出されたあと、俺とエルザの間の扉が閉まる。軽く手を振るが、汽車は既に駅から離れていた。
ナツを起こすため席に戻るが、どうやら先に起きていたらしく辛そうにしていた。ってか乗り物酔い辛いよね、俺も本読んでるとたま~になるのよ。いやホントたま~にだよ?
……ふぅ。さて、茶番はここまでにしとくか。今は目の前に居る標的に
◇◇◇◇◇◇◇◇◆
「やぁやぁ君、こんな所で奇遇だねぇ」
「ッ!……これはこれは、かの有名な
「はぁ……その呼び名は記者が勝手に名付けた通り名だ。ロプト、ロプト・ビギンズさ。以後お見知りおきを
「これはどうも御丁寧に。そして……」
「お前が居る理由は知ってるし、そもそも居たよな?
「ッ!…………そこまで知ってましたか」
最悪……と見て良いな。相手が相手だ。
今俺の目の前に居る魔導士、それもS級魔導士だ。
ロプト・ビギンズ。S級魔導士でありながら使用魔法の種類は不明……というよりどちらに別れるのか判断しかねる種類だと聞いた。風の噂で聞いた話には“人数と位置が分かっているかの様に的確に潰した”の他、“身体能力強化の魔法”であったり“遠距離操作型の所有系”が挙げられ何の魔法なのか特定できない。
極めつけは“相手をすると“魔力が無くなる”なんて言われている噂。正確性に欠けるが実際に被害にあった人物は居る。奇跡やら俺の悪運が良くなければやられることは間違いなさそうだ。
「ふおッ!?」
「なっ!?」
「おぉう」
突然の急ブレーキによってバランスが崩れた。そのせいで俺は前方向に倒れ、
「“龍脈操作”『殴突』」
「なっ!?」
相手の拳が空を殴ると同時に俺の体に衝撃と痛みが走った。可笑しい、影で守った筈だ!何故痛みが走った!?そして距離が離れたことによって、笛を取られた。
「がふッ……!お、お前……!それを!」
「さてっと……おいナツ!」
「ん……おぉ!?ロプトどうしたよ!?」
「話は後!天井突き破っちゃって良いから列車から降りろ!」
ちょうどその時、列車が再度発車するアナウンスが流れ慌てて魔導士の1人が炎を纏った拳で天井を突き破った。それを見届けている最中、俺は影を使用して相手の持つ笛を取り返そうとした。
無意味となってしまったが。何故か手を
「影……か、でもこれ魔法なんだよなぁ。元を辿れば操るのに魔力は必須、とどのつまり
次第に俺の元に影が集まり人の形をとった。そして頭の中で相手が言ったことが反復される。
なのにコイツは平然としている!表情1つ崩さず、笛を手で回し遊びながら片手の詠唱無しでやってのけた!これが……S級魔導士なのか!?
「まぁお遊びはここまで、だね。もう発車してるけど……」
相手は何も言わずに浮遊をやってのけた。そして笛を見せ付けながらこう言いやがった。
「この笛は預かった、返して欲しかったら俺を追いかけることだね。お仲間さん達にも伝えておいてよ~」
相手は先ほどの炎の魔導士が殴って開けた穴を飛翔して通り列車から離脱した。