星輝子と学ぶキノコ講座   作:一反目連

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10時限目 「アナスタシアとBoletus edulis」

輝子「こ、こんばんわ……尊敬する人は森喜作、星輝子です」

アナ「ミーニャ、ザヴート、アーニャ……私は、アーニャ……アナスタシアと言います」

輝子「今日も皆が茸の面白さに触れて、少しでも興味を持ってくれたらな、と思って講義をするぞ……今日のお題はこちら」

 

『ヤマドリタケ』

 

輝子「今回の題材は、ヤマドリタケだぞ……」

アナ「ヤマドリタケ、ですか……?」

輝子「ヤマドリタケ……漢字で書くなら、山鳥茸。海外ではポルチーニ茸と呼ばれ、人気のあるキノコだな……アーニャの場合、ベーリエグリヴィと言った方が馴染み深いかも……」

アナ「アー……ベーリエグリヴィ、ですか! 日本だと、ヤマドリタケと、言うんですね」

輝子「ヤマドリタケは、イグチ科ヤマドリタケ属の食用キノコなんだ……夏から秋にかけて亜高山帯針葉樹林の地上に発生して、国外だとヨーロッパの辺りでは確認されているみたいだな……」

 

輝子「かさは橙褐色から黄褐色の色で周辺ほど淡くなってる……形は半球形からまんじゅう形、平らに開いていって、その縁は幅の狭い薄膜状で白色に縁取られるんだ。表面は湿時に粘性があって、平滑らしいよ」

アナ「パニャートナ……なるほど、です」

輝子「また、かさの裏はイグチ科の特徴である管孔状の子実層托になっていて黄白色から淡黄褐色、成熟するとオリーブ色になるみたい……その外見からスポンジ状、と形容されることもあるぞ……」

アナ「スポンジ……とてもよく、わかります」

輝子「柄は下方が太く中実で……表面はかさより淡色~淡黄土褐色~肌色、上部ほど明確な網目模様に覆われるぞ……肉は白色で変色性がないのと、乾燥することで独特の香りを放つのが特徴だな……」

 

輝子「このヤマドリタケは世界各地で人気の高い食菌で、様々な呼び名があって……日本でも通じるほどの知名度であるporcini(ポルチーニ)は、イタリア語の『子豚』を意味するporcino(ポルチーノ)に由来してるとされてるし、フランス語ではcèpe(セップ)、ドイツ語では『石のキノコ』を意味するSteinpilz(シュタインピルツ)、ポーランド語では『針葉樹の森のキノコ』を意味するborowik(ボロヴィク)、特にこのキノコを『高貴なるポルチーニ』の意味であるborowik szlachetny(ボロヴィク・シュラヘトヌィ)と呼び……そしてロシア語では『白いキノコ』を意味するбелыми грибами(ベーリエグリヴィ)と呼ぶんだ」

アナ「色々、呼び方があるんですね」

輝子「ポルチーニと呼ばれるキノコは狭義ではヤマドリタケだけを指すけど、広義だとその類似の近縁種であるヤマドリタケモドキやススケヤマドリタケ、ムラサキヤマドリタケも含むんだ……だから、ポルチーニと銘打たれていても本種を指さない場合もあるぞ」

 

輝子「ヤマドリタケは肉質が非常に硬くて、ドイツ語名のシュタインピルツもそこから来てるらしい……ただ、硬いからといって別に美味しくないわけじゃなく、多くの国で超高級食材として扱われるほどに美味な食菌みたいだ……」

アナ「私も、食べてみたいですね……」

輝子「そうだな……様々な料理に使える万能茸だけど、特に洋風料理の炒め物、煮物と相性が良いみたいだ。そして高級茸だからやっぱりというか、養殖不可の菌根菌……いつかキノコ栽培の研究が進んで、ヤマドリタケやマツタケ、タマゴタケなんかを人工的に栽培できるようになると嬉しいよね……」

 

輝子「今日の講義はここまで。この話で少しでもキノコに興味を持ってくれる人がいたら……う、うれしいな……」

アナ「今回は美味しいグリーヴ……キノコの話でしたが、次は危険な毒キノコみたい、です。それじゃあ、ここまでお付き合いいただき……」

「「ありがとうございました」」

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