え、そもそもこんな小説(?)を見る人なんて殆んど居ない? ……それを言ったら、おしまいですよ。
輝子「こ、こんばんわ……尊敬する人は森本彦三郎、星輝子です」
雫「及川雫ですー、よろしくおねがいしますねー♪」
輝子「今日も皆が茸の面白さに触れて、少しでも興味を持ってくれたらな、と思って講義をするぞ……今日のお題はこちら」
『クロカワ』
輝子「クロカワ、漢字で書くなら黒革……イボタケ目の食菌だ。秋にマツやコメツガ林、マツのある雑木林の地上に発生するんだ……国外でも、ヨーロッパや北米で確認されているみたいだな」
雫「……あれー? 科と属は、言わないんですかー?」
輝子「……私の持ってる文献だと、何故か表記に『イボタケ目マツバハリタケ科クロカワ属』と『イボタケ目イボタケ科クロカワ属』の2つがあって、どちらが正しいか分からなかったんだ。ネットでも科がイボタケ科だったりマツバハリタケ科だったりで……これだ、と断定口調で言って違ってても嫌だし、此処ではイボタケ目だけで通すぞ……」
輝子「かさは最初丸山形で灰色、しだいに大きく生長すると形が扁平になって周囲が褐色を帯びる……そして最終的には中央がくぼんで周囲が反り返るんだ。表面はなめし革状、または微毛に覆われていて……大きさは径5~15cmほどとキノコの中では少し大きめの部類かな」
雫「へぇー、そうですかー」
輝子「かさの裏側は管孔で白色、肉も白色で充実し脆く簡単に崩れるぞ……また、傷つけたり加熱したりすることで赤紫色への変色性を確認できるな。あとは……柄もかさと同色で、管孔と柄の境が色ではっきりと区別できるのも特徴だな……」
雫「わかりましたー♪」
輝子「このキノコは非常に見た目が地味で背の低いキノコだから、石だと思って気付かず踏んづけてしまったり、存在に気づけずスルーしてしまったり……キノコ採りの間では、目を『クロカワモード』にして探す必要がある、なんて言われるくらいだな……フヒッ」
雫「ほぇー……そこまでして、探そうとするんですねー」
輝子「このクロカワというキノコは……通好みの、心地好い苦味と素晴らしい風味の感じられるキノコらしいんだ。主に焼いて食べられることが多いみたいで、焼いたものにポン酢や醤油を付けて食べるとお酒によく合う――って図鑑に書いてあったぞ」
雫「私も輝子ちゃんも、まだ未成年ですけどねー」
輝子「うん……未成年者の飲酒は絶対に、駄目だからな! それと、クロカワは一部の地域ではマツタケ以上の価格で取り引きされる高級菌だ……その味と見つけにくさが理由として挙げられるだろうな。フヒヒ」
輝子「クロカワにも地方名が幾つかあって、『
雫「お牛さんですかー♪」
輝子「まあ、名前が
雫「ヒェッ」
輝子「今日の講義はここまで。この話で少しでもキノコに興味を持ってくれる人がいたら……う、うれしいな……」
雫「今回は通好みの食菌でしたけど、次は少し気味の悪いキノコみたいですよー。それじゃあ、ここまでお付き合いいただき……」
「「ありがとうございました」」