星輝子と学ぶキノコ講座   作:一反目連

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8時限目 「双葉杏とCantharellus cibarius」

輝子「こ、こんばんわ……尊敬する人は森喜作、星輝子です」

杏「印税で食っていくならアイドルより作詞家になるべきだった、双葉杏だよ~」

輝子「今日も皆が茸の面白さに触れて、少しでも興味を持ってくれたらな、と思って講義をするぞ……今日のお題はこちら」

 

『アンズタケ』

 

杏「えっと……ジロール、だっけ?」

輝子「知ってるんだ……アンズタケ、漢字で書くなら杏茸。アンズタケ科アンズタケ属の食用キノコで、杏ちゃんの言ったとおりフランスではジロール、またはシャンテレルと呼ばれて珍重されてるな……フヒ」

杏「へぇ、シャンテレルの呼び名は初めて聞いたな……」

輝子「夏から秋にかけてマツやコメツガなどの広葉樹林内の地上に発生するキノコで……国外でも、世界的に分布しているみたいなんだ……」

 

輝子「かさは径3~6cmほどの漏斗形で縁が浅く裂け、不規則に波打っている。色は卵黄色で、表面は平滑かつ粘性がないみたいだな……」

杏「今まで紹介されたキノコと比べると、少し小さめなのかな……?」

輝子「そうだな……大型化したものでも、10cmが精々みたいだから、キノコの中では小型~中型くらいの位置付けみたいだ。ひだはかさと同色かやや淡い色のシワひだ状で柄に垂生し、分岐、合流、交差……連絡脈と呼ばれるひだとひだの間にわたる小さなひだまで、多く確認できるんだ」

杏「ん、んん……? ひだの部分は少し分かりにくいかな?」

輝子「私も言葉だけで説明するのは難しいから、画像検索してくれると助かる……フヒ。柄は3~5cmほどの大きさの、下方は細くて中実で表面はかさと同色か濃色みたい……ただ、なあ」

杏「どうしたの?」

輝子「アンズタケは近縁種との見た目での判別が困難だからか、同属の何種類かをひっくるめてアンズタケと呼んだりしてるみたいで……アンズタケの変種は柄がかさと同色か淡色だと書いてる図鑑もあれば、変種じゃなくてよアンズタケは柄がかさと同色か淡色だと記されたりしてて……どの情報が正しいかは判別できなかったんだ」

杏「あぁ……それは、面倒だねぇ」

輝子「あ、アンズタケの肉は淡黄色みたいだ……」

 

輝子「アンズタケの名前の由来は、その匂い。強い干した杏のような、フルーティーな匂いがするんだ……その匂いから、アンズタケと名付けられたらしいぞ」

杏「へぇ、杏の香りかぁ……味は?」

輝子「まあ、食用とされるキノコだから美味しいとは思うけど……コショウみたいにピリッとくる、ような味みたいだ」

杏「……杏の匂いなのに、辛いの?」

輝子「……みたい」

杏「不思議だねぇ……」

 

輝子「因みに、ジロールの名で慕われるこのアンズタケ。実は最近の研究で毒を持つことが確認されたんだ……」

杏「……え、そうなの?」

輝子「猛毒のアマトキシン類と胃腸系の毒性を持つノルカペラチン酸がごく微量とはいえ確認されたんだ……まあ、よほど多く食べたりしなければ問題ないだろうと思うけどな……フヒッ」

杏「いや、それでも怖いよ……」

輝子「他にも、セシウム137などの放射性重金属を蓄積しやすい性質があって、とある原発事故によって放射能汚染された輸入アンズタケが積み戻し処分になった事例もあるぞ……」

杏「うわぁ……なにそれこわい」

輝子「ただ、その放射性元素を特異的に蓄積する性質を利用して、汚染された土壌を浄化する研究もされているみたいだ……こういうのを聞くと、キノコの可能性は無限大だと感じるな」

 

輝子「今日の講義はここまで。この話で少しでもキノコに興味を持ってくれる人がいたら……う、うれしいな……」

杏「今回は海外では有名な食用キノコの話でしたけど、次は危険度最大級の猛毒キノコみたいだよ。それじゃあ、ここまでお付き合いいただき……」

「「ありがとうございました」」

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