「おや、どちらに向かうんですか?ハクさん」
「ん?いや、ちょっと飲みにな」
ハクはヘラヘラと笑っているがオウギは内心ため息を漏らしていた、この男は目を離せばすぐに何処かに行く癖があるのだ。だから常に誰かがお目付け役が着いていないと心配なのだ
「はぁ、飲みに行くのは構わないですけど誰かを連れて行って下さい」
普段は鎖の巫や男衆が側に居るのだが、たまに抜け出して一人ブラブラと帝都を回るから困るのだ。その為クオンさんに探して来いと言われる身にもなって欲しい
「なら、オウギも来るか?」
「いえ、僕は「ふむ、ならば私が付き合おう!」姉上……」
オウギが断ろうとすると間からノスリが会話に入ってきた。そのままハクの腕を掴みハクを連れて行く
「ちょ!?ノスリ!?」
「良い女の誘いを断らないのが良い男だろう!」
「人の話を聞け!」
「はっはっは!」
ハクとノスリを見届けてからオウギもある場所に向かった
「それで?ハク殿の様子はどうであった?」
書類を片付けながら背後に居るオウギにオシュトルは聞くと
「ええ、凄く楽しそうに過ごしてますよ。実は僕も先程ハクさんに誘いを受けたんですけど、貴方との約束がありましたので断らせてもらいました」
ニッコリと笑っているがオウギからは普通のヒトなら腰を抜かしてしまう程の怒気をオシュトルにぶつけていた
「むう、羨ましい」
「その首、切り落としますよ」
どうやらオウギはハクの誘いを断ってしまった事に罪悪感が物凄く押し押せている
そして一方ノスリとハクの方は
「それでな!オウギは昔から可愛くてな!」
「あー、はいはい」
ノスリを連れて居酒屋に来たは良いが酒が進むに連れてノスリが上機嫌になり身内の事や故郷の話を初めたのだ
「我等エヴェンクルガ族は生涯主と決めた者に一生付き従うものだ」
「へぇ、随分忠義に厚いんだな」
「そこで1つハクに相談なのだが私達の主になってはくれないか?」
先程までの雰囲気は消え、真剣な表情を浮かべるノスリにハクは残っていたコップの酒を一気に飲みほした
「自分はお前達に忠義を尽くされる程のヒトじゃないと思うが?それにオウギが自分に忠義を尽くすとは思えないが?」
あの男はノスリ以外に対して無心なので自分に対して忠義を尽くすとは思えない
「はは、それなら大丈夫だ。オウギも私もお前が良いと決めているのだ。それを踏まえて答えを聞かせてくれないか?」
「………………」
何でそんなに自分に忠義を尽くしたいのか不明だが断るのも悪いし
「はぁ、好きにしてくれ。ただし自分は責任は取れんからな?」
「ああ、分かった」
その時のノスリの顔は生涯忘れる事が無いくらいに綺麗で何処までも幸せそうな顔をしていた
「そう言えば」
「ん?何だ?」
「女のエヴェンクルガは生涯、男の主と決めた者の子を産み、跡継ぎにするのだ」
「ぶは!?」
男気が溢れるノスリからその様な事を聞くとは思えなかった
義賊姉弟は何だかんだ言ってハクを認めていましたよね。あ、あの会話を思い出して涙が………