「クオン、ちょっと良いか?」
「う、うん。大丈夫かな!」
夜遅くにクオンの寝室に突然ハクが訪れたことに驚くクオンだが平常心を保ちながらハクを部屋に入れる
「すまないが少し手当てをしてくれるか?」
襖を開けて入ってきたハクに先程まで浮かれていた気持ちは消え去り、ハクの姿を見てクオンの顔は青ざめた
「ハ、ハク!?どうしたの、その怪我!?」
ハクの身体中に殴られた痕があり、酷い所は赤紫色になり晴れ上がっていた
「すぐに治療するから待ってて!」
ハクを座らせてクオンは治療する為に薬を調合し、包帯を巻いたりと慌ただしくも正確に治療していく
「それで?一体何があったのかな?」
治療が終わり、ハクに事情を聴くがすぐには答えてくれなかった。なので少し強めな口調で聞いてみる事にした
「ハク?正直に答えて欲しいかな」
「………………ウコンと飲んだ帰りに暴漢達に路地裏に連れ込まれてな、金を取られた後にその場に居た暴漢達に数回づつ殴られてな」
「………あの下衆野郎!!」
やはりあの男と関わると私のハクが危険な目に会う。今後は絶対に会わせないかな!
クオンの表情と雰囲気から危機を察知して慌てて取り繕う
「ウコンは送っていこうかって聞いてきたんだが、自分が断ったんだ!だからウコンは何も悪くないぞ」
「………ふぅ、それでも私はウコンを許せないかな。ハクがこんなボロボロになったのにあっちは幸せな夢を見ながら寝ているのだから」
「いや、でもな」
尚もウコンの弁解をするハクにため息を吐きながら、予備の布団を自分の布団の横に敷くクオンに首をかしげる
「クオン?どうして布団を敷いているんだ?」
「今日は念の為にハクは此処で寝るかな」
「いや、でも、年頃の娘が」
「寝・る・か・な!」
「は、はい………」
クオンに圧倒され渋々と言った感じに敷かれた布団の中に入る。それに満足したのかクオンは優しくハクの頭を撫でながら子守唄を歌う
「………すぅ………すぅ」
完全に寝入ったハクを優しく何度も何度も頬を撫でる。そして撫でるのを止めて、明日からハクにこんな傷を着けた愚か者とハクを守れなかった下衆野郎に報復をしなくては
「………そこに居るんでしょ?ウルゥル、サラァナ」
背後に二つの気配を感じるがクオンは振り向くと二人の顔の半分は赤く腫れていた。既に二人への罰は下されていたのでクオンは何も言うことはなかった
「何でこの件は帝に取り計らってもらうかな」
「承知しております」
「既にその者達への討伐命令が出ております」
「消しても平気」
「そう、なら朝になったらハクとシノノン以外の人達を呼んできてもらえる?」
「分かった 」
「お任せください」
それだけを言い残し二人は消えるようにクオンの部屋から消えた
「全く、これならトゥスクルに居た方が安全かな」
ハクオロお父様やお母様達が居るあの城の中の方が何倍もハクを安全に管理できるのに………
因みにこの小説内ではハクオロさんもユズハもちょんと生きてます。ユズハに至っては病弱ですが生きてます。ハクさんの筋力ではユズハにも勝てません!(確信)