「起きましたか」
眠りから目を覚ませば自分が知っている部屋では無く、何処か別の部屋に居る事にハクは気が付いた。そしてハクの付近で座り此方に視線を向ける物にハクは心当たりが有った
「アンタは確か」
「リンでございます」
頭を下げるリンにハクは流石に寝ながら会話をするのは失礼だと思い起き上がろうとするが体が思うように動かなかった。そして動けない自分とこの部屋に居るリンである仮説が出来た
「薬を盛ったな」
「はい、失礼ながら痺れ薬を盛らせてもらいました。ですがご安心ください、その痺れ薬には毒は一切含まれておりません。一刻もすれば動けましょう」
すらすらと答える辺り計画性があり、自分と会った時からこう言った計画を立てていたのだろう
「それで?こんな事をしてまで自分に何の用だ?」
「単刀直入に言いましょう。コユキ様から手を引いてはくれませんか?」
「もし断ったら?」
「貴方をこの場で息の根を止めましょう」
リンから放たれる殺気は確かな物だがハクにとってはクオンやアトゥイの殺気に慣れているのでこの程度は特に問題は無かった
「手を引くも何も自分はあの子に特別な感情は無いんだがな」
「貴方様が興味が無くてもコユキ様の方が重症なのです」
リン曰く自分と会わない日は人形師に作らせたハクの人形を常に持ち歩き、会えない日々が続くと人形相手に延々に話し掛ける事があるとか
「ですから貴方様にはお嬢様を振ってもらいたく」
「断る」
「………何故で御座いますか?」
「本人が嫌々していたのなら自分も協力していたが、アンタの話を聞く限りはそう言った事は無い。だから自分からは彼女を振らん」
「………貴方様の今のお立場を理解していますか?」
「ああ、体も動かん状況で相手と交渉している。だが悪いが自分はそっちの要求は呑めん」
「今此処で殺されてもですか?」
目を細めるリンにハクは鼻で笑いながら答える
「ッハ、一応言っておくが自分を殺しても何のメリットも無いぞ。あるとしたら怖ーい保護者達がアンタを探しに来るぐらいだがな」
「ならばその方達も私が殺せれば問題ないでしょう」
ピクリとハクの体が動くがリンはそれを気にする事無く、ハクの上に股がり自身の武器なのか暗器を取りだし構える
「一撃であの世へ向かわせましょう」
リンが暗器を降り下ろす瞬間ハクの頭に何かが囁かれた。それはまるで慣れ親しんだ様に何度も口にして来た言葉だった。そしてハクの意識は薄れていった
「仮面よ!」
「何!?」
ハクが叫ぶと同時に先程までの何も着いていなかった顔に見覚えのある仮面がハクの顔に着いていた。驚くリンを無視し、リンから暗器を奪い取り、自身の上から退けて今度は押し倒す様な体制に持ち込み、リンの首に暗器を付き当てる
「敵の前で躊躇うと死ぬぞ」
「何故、貴方がその仮面を!?」
「………それを答えるとも?」
悔しそうな視線を向けるがハクはまるで気にしていないかの様な態度を取る
「さて、貴殿には色々と聞きたい事があるが最初に聞こう、何故この様な事を?」
「そんなの当たり前てじょ!あの子は私の可愛い妹分なの!それを何処の誰だか分からない男に渡すわけ無いでしょ!」
先程までの落ち着いた雰囲気から一気に変わりまるで怒った時のクオンの様な雰囲気に変わった
「だけどあの子は本当に楽しそうに貴方の事を話すのよ?貴方と会ってからあの子に笑顔が戻った事は認めるわ!でもね、女を大量に侍らせてる男にあの子を渡すわけ無いでしょ!」
彼女の言っている事は確かなのだが此処までするとは思わなかった。顔を押さえてため息を吐く
「言っておくが某の周りに居る彼女等は別にそう言った関係では無い」
「ふーん、良く言うわね。あんなに好意を持たれてるのに答えようともしないとか何様のつもりかしら?」
「………………」
その言葉にハクの言葉は詰まり眉間に皺が寄るのが分かった。確かにクオン達から好意を寄せられているのはハクは理解していた。だがその好意の正体を知っているからハクはいや、オシュトルは答えることが出来なかった
「あれは好意では無い。あれはもっと違うものだ」
「……どうしてそんなに泣きそうな顔をしてるのよ」
彼女から殺気は消え、ハクを抱き寄せながら一定速度でハクの背中を優しく叩く
「何となくあの子達が貴方の周りに居る理由が分かったわ。だって貴方、目を離すとすぐに泣きそうな顔をするもの」
ため息を吐きながら呆れた表情を浮かべながらハクをまるで赤子を癒すかの様に背中を叩き続ける
「何て言うか、母親の気持ちってこんな感じなのね。多分あの子も貴方にそれを少なからず感じたからあんな行動をしたのかしら」
「むう、済まぬがリン殿、離してはくれぬか?」
流石に気恥ずかしくなったのかハクがもぞもぞと動き離れようとするがリンは話す事は無く、寧ろもっと力を込める
「だ~め!それにその状態で他のヒト達に会えないでしょ?」
「リン殿、この仮面の事は某との秘密に頼む」
「………ええ、良いわ」
「そ……れは…助か……る……」
言葉が徐々に小さくなっていきリンに倒れ込むと既にハクの顔には仮面は無くなっていた
(本当なら真相を知りたいけど、知りたがりは死にたがりとも言うし、その時が来るまではあの子とこの子を守って上げましょうか)
ハクさんの仮面については色々と秘密がありますが一つ明かすとするのなら二週目に至った原因と記憶持ちが居る原因を作った物の一つです
リンの方はクオン達と同じ様にコユキに対して過保護なお姉ちゃんキャラですかね。イメージ的にはディスガイアの女忍ですかね?あくまでもイメージですが