私には大好きな兄が二人います。一人はこの帝都では知らぬ者など一人も居ないくらい有名な兄、名はオシュトル。この帝都では右近衛大将と言う地位に着き、民からは清廉潔白として有名なのだ
そしてもう一人の兄は何時もぐうたらでサボる癖や昼間っから酒を楽しむ駄目人間なのです。だけどそんな駄目駄目な今の兄様が私は大好きです。前までだと倒れるまで政務に付きっきりでその後は帝都の巡回や挨拶回りと忙しすぎたのだ。何度も休む様に言っても一段落終わったら休むと言ってそのまま徹夜することなんて当たり前だ
あの出来事が起きる前の世界で私は嬉しい気持ちがあったが前の世界での出来事に後悔も抱いていた。自分があんな軽率な行動を起こさなければ大切な兄二人を同時に失うことなど無かったのに。何度後悔し何度夜が来る度に涙を流したのか分からない程に私は後悔した。償えるならこの身を差し出す事に躊躇いが無い程に私は………
「どうしたんだ、何時もより元気が無いな?」
気が付けば彼は何時も私の側に居てくれる。何か悩んでいる時や嫌な事があった時には側に居て慰めてくれる。だから私は何時も通りに彼に対して昔の態度を取る
「何でもないのです!そんな事よりもハクさんは私が出したお仕事は終わったのです?」
「うっ、ま、まだ終わってないが」
「それならさっさとやるのです!姉様やルルティエさん達に甘やかされ過ぎなのです!」
ゲジゲジと彼の脛を蹴りながら彼を部屋に戻し、作業に戻して自分も彼の部屋に居座る事にした
「本当にハクさんは駄目駄目なのです!そこの文章は他の所に使うんですよ!」
「分かった!分かったから耳元で叫ばないでくれ!」
現在ネコネはハクの胡座の上に座っている状態でハクの仕事を見守っているのだが間違える度にネコネがハクを怒鳴るので作業が全体的に遅れてしまう。だけどネコネにとってこの時間こそが何よりも求め続けてきた光景だった
何時か見たあの祭りの様な日々が今目の前にあるのだ。例えこれが夢だとしてもネコネにとっては嬉しかった。彼が仮面を着けてから全てが狂ってしまったあの世界で私はこの祭りの様な日々が無くなるのを一番怖れていたのだ。だから今度は絶対にこの日々を守って見せる。何を代償にしても………
「あ、そう言えばオシュトルがお前を探してだぞ?」
「兄様がですか?」
「多分仕事の事じゃないか?」
「分かったのです。後で兄様に会いに行きます」
「いや、今会いに行けよ」
「駄目なのです!私が離れたらハクさんはすぐにサボるから駄目です!」
「あ、そうですか………」
何だかんだ言ってネコネはまだ何処かあの頃のトラウマから脱出出来ていない様な感じですかね