ボクはカルデアで生き残りたい。   作:LinoKa

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プロローグ2

気が付くと、冬木市に立っていた。

なんだ?意識が朦朧とする。なのに、体調も精神面も万全だ。これまでになかった程にだ。ピンピンしている。さっきはお腹に穴が空いていたはずなのに。

……そういえば、意識が落ちる前に何かと夢の中で話していた気がする。お腹が痛くてよく覚えてないけど、なんか力を貸すだとか何とか………。まあ、それどころじゃなかったから、うんうんと生返事を続けてたけど。

そう思って、自分の服装を確認してみると、なんか真っ黒なタイツみたいな服に身を包んでいた。さらに、左手には半分に割れた黒い盾のようなものが握られている。あれ、ボク着替えなんてしたっけ……?てか何これ?盾?

 

「マロ………?」

 

震えたような声が聞こえた。ふとそっちを見ると、同じように全身タイツっぽい服で、右手に半分に割れた盾を持ってるマシュが涙目でボクを見ていた。

が、やがてぷくーっと頬を膨らませ、顔を赤く染めて睨み始めた。

 

「えっ、何」

「マロ!バカ!」

「なんで⁉︎」

 

ズケズケとボクの方に歩いて来て、胸ぐらを掴んで来た。

 

「もうっ!私なんかを庇って………!しかも『ボクはどの道助からない……!』だなんて……!私がマロを見捨てられるわけがないでしょう⁉︎」

「ご、ごめんね……。でもほら、どうせボク死ぬんだし、ボク的にはマシュには生きて欲しかったなーなんて……」

「あなたの事情なんて知りません!あなたは、あなたは残された者の気持ちを考えたことがないのですか⁉︎」

「っ……!」

 

そう言われると胸が痛い。いや、でも実際今、ボクが生きてること自体が奇跡なんだし、これから命を落とす最後の願いとしては逃げて欲しかったんだけど……。

まぁ、マシュは怒ると面倒臭いし、言ってることも間違ってはないので謝っておこう。

 

「………ごめんね」

「………いえ。でも、良かったです。生きていてくれて」

「それなんだけどさ」

 

夢の中での話をしようとした時だ。周りの炎からゆらりと人影が見えた。

 

「! マシュ」

「は、はい……!」

 

現れたのはスケルトンだ。マシュを庇うように盾を構えつつ立った。どうする?喧嘩は苦手ではないが、相手は未知のモンスターだ。せめてマシュだけでも逃してやりたいが……。

若干、焦りながら盾を構えてスケルトンから目を離さないでいると、マシュが「あっ」と声を漏らした。

 

「どうしたの?」

「私の足元に、先輩が………」

「はっ?」

 

ふと下を見ると、立花がその場で寝転んでいた。気絶してるのか、スヤスヤと寝息を立てている。

 

「マシュ、立花を起こしてあげて。ボクが奴らを食い止めてる間に」

「! またあなたはそうやって……!」

「いやいや、今にもあいつら襲いかかって来そうだから。そうするのがベストでしょ」

「……わかりました」

 

よし、上出来。アメコミヒーローにハマってるボクは、特にキャップのファンだから身体は鍛えてある。とはいえ、生身の身体だ。どこまで戦えるかは定かではない。ここは立花を起こし次第、さっさと撤退するのが得策だろう。

スケルトンは片手に握る剣を振り上げてボクに向かって来た。ボクも後ろの二人を巻き込まないようにスケルトンと距離を詰めた。スケルトンは正面から剣を振り下ろし、それを反射的に横に回避した。なんだ?敵の動きがよく見える。あの速さの攻撃を、余裕をもって回避出来てる。

振り下ろした剣を、さらに斜めに振り上げた。盾を頭上に構えながら、腰を低い位置にしてなるべく体制を崩さずに回避。すると今度は振り上げた剣をそのまま振り下ろしてきて、それも避けた。

………なるほど、剣を振ることしか能がないのか。どういうわけか知らないが相手の攻撃はボクによく見えているし、これなら逃げるどころか全滅させられるかもしれない。

 

「っ」

 

振り上げてきた剣を、左手の盾で押さえつけるようにガードし、右手でスケルトンのボディにアッパーを叩き込んだ。バギバギッと骨が折れる音が鳴り響き、スケルトンは後ろに殴り飛ばされた。

 

「…………」

 

あれ、ボクこんなに力強かったっけ?少し怯ませるだけのつもりだったんだけど………。

自分で何をしたのかわからずにボンヤリと拳を眺めていると、後ろから声が聞こえた。

 

「マロ、後ろ!」

「へっ?うおっ⁉︎」

 

2体目のスケルトンがいつの間にか背後を取って剣を振り抜いてきた。ボクは慌てて盾を振り回して剣をガードした。

 

「くっ………!」

 

危なかった。あと1秒遅かったらやられてた。スケルトンの猛攻を盾で防いでると、スケルトンの後ろからバギッと音がした。直後、ズルリと粉々になって倒れるスケルトン。マシュが盾で押し潰していた。

 

「ふぅ……ありがと、マシュ。助かったよ」

「いえ」

「立花は?無事?」

「はい、この通り」

 

さっきまで寝てたくせに、えらいピンピンした様子の立花が歩いてきた。

 

「で、なんだったの?てか二人のその格好は?」

「ああ、それボクも気になってた」

「えっ、マロ把握してないの?」

「お腹に鉄骨刺さってて痛くてそれどころじゃなかったんだよ。気が付いたらここにいて服装変わってた」

 

なんか、こう……ボディラインが強調される服で少し恥ずかしいんだけど。双子のマシュも同じ格好だから尚更。

さりげなく盾で身体を隠しながら話を進めた。

 

「マシュ、なんか知らない?」

「あ、はい。それなんですけど……」

 

マシュが説明しようとした時だ。何処からか声が聞こえてきた。

 

『ああ、やっと繋がった!もしもし、こちらカルデア管制室だ。聞こえるかい⁉︎』

 

あ、ボクと同じで所長から嫌われてるドクターの声だ。

 

「あ、はい。聞こえるよ」

「こちらAチームメンバー、マシュ・キリエライトです。現在、特異点Fに到着しました。同伴者はマロ・キリエライト、藤丸立花の2名、心身共に問題ありません」

『マシュマロ姉妹⁉︎というよりマシュ!なんだい、その格好は⁉︎ハレンチ過ぎる!僕はそんな子に育てた覚えはないぞ⁉︎』

「おい、なんでボクは区切った」

「……これは変身したのです。カルデアの制服では先輩とマロを守れそうになかったので」

 

は?変身?仮面ライダー的な?

 

『変身?変身って、何を言ってるんだ?頭でも打ったのか?それとも、やっぱりさっきので……』

 

ボクと同じ感想を持ったドクターだった。どうでも良いけど、お前後でボクを区切った件は問い詰めるからな。

その言葉に答えるように、マシュは冷たい声で返した。

 

「Dr.ロマン、ちょっと黙って。私とマロの状態をチェックして下さい。それで状況は理解していただけると思います」

『君達の状態を……?お……おお、おぉおおおおお⁉︎身体能力、魔力回路、全てが向上している!これじゃあ人間というよりも……!』

「はい、サーヴァントそのものです。先ほど、マロが敵性モンスターと戦闘した結果、拳一撃で敵を戦闘不能にしました。経緯は覚えていませんが、サーヴァントと融合した事で一命を取り留めたようです」

 

ふむ、それでボクのお腹の穴は……。

 

「今回、特異点Fの調査、解決のためにカルデアでは事前にサーヴァントが用意されていました。そのサーヴァントは私に契約を持ちかけて来ました。英霊としての宝具と能力を譲り渡すに代わり、この特異点の原因を排除して欲しい、と」

 

なるほど、なんか朧げな記憶にあったのはそれか。でも、疑問も残る。ボクとマシュの手に持ってる宝具、おそらく盾はピッタリ半分に割れている。

もしかして、ボクとマシュに英霊は二つに分かれた、ということか?

 

『そうか。で、君達の中に英霊の意識はあるのか?』

「いえ、私達に戦闘能力を託して消滅しました。最後まで真名を告げずに……。マロは聞きませんでしたか?」

「ボクはお腹痛くてそれどころじゃなかったから」

「そう、ですか……」

『まぁ、不幸中の幸いだな。召喚したサーヴァントが協力的とは限らないからね。それに、二人がサーヴァントになってくれたのなら話は早い。全面的に協力できる』

 

まぁね。さっきボク、敵を殴り殺したし。……あ、そういえばさっきの奴、剣持ってたよな……。

ドクターと立花とマシュが何か話してる間に、殴り飛ばしたスケルトンの方へ歩いた。骨は粉々になっているが、剣は無事だ。よし、こいつを借りよう。納める鞘が見当たらないが、贅沢は言えない。

 

「マロ、行きましょう」

「あ、もう方針決まったの?」

「はい。こちら、先輩が私達のマスターとなり、霊力の高いポイントに移動することになりました」

「よろしくね、マロ」

「あ、うん。よろしくね、立花」

 

武器も調達したし、問題はないだろう。あ、いや一つだけ確認したいことがあった。

 

「その前にマシュ、一つ良い?」

「? なんですか?」

「マシュのその盾とボクの盾ってさ……」

「……はい。おそらく、同じものです」

「だよね」

 

こう言う時、何となく、こう……試してみたくなるよね。

 

「くっ付けてみようよ」

「マロ……。今はそんな事をしてる場合では」

「いやいや、性能チェックのついでにさ。もしかしたら、何か変化あるかもしれないし」

「……マスター?」

「いいんじゃない?こんな時だし、気楽にいこうよ」

「……まぁ、マスターがそう仰るなら」

 

そんなわけで、盾を断面に合わせてくっつけてみた。直後、バツンと音がした。何かと思って盾を見ると、くっ付いている。プラモデルのように接合されたのではなく、完全に一つになった。

 

「おお……おおお?」

「くっ、付いた………?」

 

すごい。でもこれどうやって離すんだ?と、思ったらグリップの部分にボタンがあった。それを押すとなんか離れた。

ふむ、つまり一つにしたら二つにしたり出来るわけか……。

 

「おおー、結構便利じゃない?」

「そうですね。まぁ、戦闘の役に立てば良いのですが……」

「そこはボクらの頭次第でしょ。もしくは立……マスターの頭次第だね」

「うっ、プレッシャーかかるような事を……!」

「冗談だよ。さ、行こう」

 

そういうわけで、ドクターに言われたポイントまで歩き始めた。

 

 

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